評価とその後の展開
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NAVi-5の「自動制御MT」というコンセプト自体は時代を先取りした先進的なアイディアだったといえる。80~90年代当時こそ制御技術が未熟であったため商業的な成功を収めることはできなかったが、それ以降は技術的熟成により同様のシステムを採用した車種が国内外問わず登場してきている。 トルクコンバータ方式に比べ変速がより直接的であり、動力伝達ロスの減少や燃費の改善などが期待されたが、当時の電子制御技術ではキメの細かい制御ができず、自動変速モードでは多様な運転パターンにうまく対応できない場面もあった。また手動変速モードではレバーの操作と実際に変速されるまでに微妙なタイムラグが生じ、一般的なATのようなクリープ現象が起こらないなど運転に多少のコツが必要であった。さらに、イルムシャーなど、NAVi-5に対応できなかった車種(グレード)もあり、初代アスカ、2代目ジェミニともに、必ずしもすべての車種(グレード)にNAVi-5が設定されていたとは限らなかった。販売期間中の改良も「D4レンジとマニュアルモード」の追加に留まっている。 販売不振もあって、乗用車では初代アスカと2代目ジェミニ以外では採用されなかった。同時期に販売されていたファーゴ、ジェミニ(初代で、ディーゼルエンジンのみ)、ピアッツァ(同・ネロを含む)、ビッグホーン(富士重工業にOEM供給していた製品を含む)、ミュー(本田技研工業にOEM供給していた製品を含む)の駆動方式がFRまたは4WDであるため、FF用に設計したNAVi-5を搭載することが物理的に不可能であった。3代目ジェミニと2代目ピアッツァでは、コストを削減することができる電子制御などを備えたジヤトコ製の油圧式4ATが採用されている。 いすゞが乗用車の開発・生産を縮小(最終的には撤退)したため、いすゞの乗用車用システムとしては発展しなかった。その後もトラック用として開発が続けられ、エルフに搭載されたものは世界初のダイヤル式セレクタースイッチを採用した。中型車や大型車には発展型のNAVi-6を810やフォワードに搭載した。現在ではスムーサーE・F・Gへと発展的に継承され、12速制御化まで進化を果たしている。 バス用としては、キュービックに採用され、横浜市交通局や京王帝都電鉄(現・京王電鉄バス)など、機械式AT車を好む一部バス事業者に集中的に納入された。当初は油圧駆動であったが、1995年のマイナーチェンジ以降はフィンガーシフトとほぼ同一構造のエア式となり、2000年の生産終了時まで設定されていた。現行エルガには6速AMTが採用されている。 詳細は「セミオートマチックトランスミッション#バス」を参照 乗用車では、1990年代より、ルノー・トゥインゴがイージーシステム(自動変速機構のないクラッチ操作のみ自動化されたAMT)を採用したのを皮切りに、フェラーリ・355のF1システム、BMW・M3といったハイパフォーマンスカーに乾式クラッチ式AMTが搭載され始める。2000年代後半には、欧州車を中心として乾式クラッチ式のAT(DCTなど)が広がりを見せた。 NAVi-5以降の日本製乗用車への目立った搭載はなかったが、トヨタ・MR-SにBOSCH製のAMT制御機構が採用され、2010年代にはスズキが簡素化した同様のマニエッティ・マレリ製AMT「AGS」を軽自動車に搭載するなど、類似のトランスミッションの普及が進んでいる。
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評価とその後の展開
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「テキサス州対ジョンソン事件」の記事における「評価とその後の展開」の解説
本件以前にも表現の自由に対する規制との関連で国旗が問題になったケースは複数存在するが、本件は国旗焼却について正面から憲法判断を下した点でその意義が認められる。 本判決により、50州のうち48州で施行されていた国旗冒涜に関する法が事実上効力を失った。ただし、本件でジョンソンはテキサス州法について不明確でありかつ過度に広汎であるとして文面審査(英語版)(facial challenge)の申立てを行っていたが、裁判所は、政治的な「表現」にその射程を限定し、本事件に適用される限りにおいて法律を違憲無効と判断するいわゆる適用違憲の方法によってその解決を図っており、本判決によって国家冒涜に関する各州法が即無効となるような法的効果が生じたわけではない。また、上記のとおり、本件で問題となったテキサス州法は他者にとって「不快」なメッセージを伝達するものかを問題にしている点でまさに表現内容に着目した規制というべきであるが、その規定の仕方によっては本判決に抵触しない制定法も観念し得るとする見解もある。 なお、本判決は、保守派のアイドルとでもいうべきスカリア裁判官が多数意見に加わった一方で、リベラル派と目されていたスティーブンス裁判官が反対意見を執筆するなど、裁判官の普段の判断傾向からすると左右入り乱れる結果となったことでも注目された。 本判決から40年以上が経過した現在でも、この問題に関する議論は継続している。世論調査によれば、過半数のアメリカ人は、国旗冒涜に対する規制を未だ支持しているといわれる。本判決の後、1989年に連邦議会で法案が可決され、成立した国旗保護法(英語版)によって、国旗を冒涜する行為が連邦法上の犯罪とされた。しかし、1990年のアメリカ合衆国対アイクマン事件最高裁判決において、テキサス対ジョンソン事件と同じく、裁判官5人の多数によってこれも違憲と判断された(その意見もブレナン裁判官が執筆した)。それ以来、連邦議会は、国旗冒涜について定めた憲法修正案の可決を複数回試みている。かかる修正案はたいてい下院は通過するものの、常に上院で否決されている。直近の試みとしては、2006年6月27日に一票差で否決された2006年6月27日のS.J.Res.12(上院共同決議案)がある。 日本との関係では、刑法上の器物損壊罪の成立が問題になった沖縄日の丸焼却事件控訴審判決において、本判決を前提とした「象徴的表現行為」という概念の承認の可否については留保しつつも、その該当性の判断が傍論として示されている。
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