はけ【刷=毛/刷=子】
刷毛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/31 21:29 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動刷毛(はけ)とは、木やプラスチックなどでできた柄の先端に多数の毛を取り付けた道具。漢字では「刷子」とも書かれる(ただし、「刷子」は「ブラシ」とも読まれる)。
概要
刷毛は液体のものを塗ったり細かいごみを払ったりするのに用いられる[1]。
毛を二枚の木片で挟んだ形状のものが多いが、筆と類似した形状のものもある。材料の毛は、豚や山羊、馬などの獣毛が多い[1]。溶剤による環境問題への対策から塗料の水性化が進んでおり合成樹脂製のものも多くなっている[1]。なお、竹製の竹刷毛もある。
種類
和刷毛と洋刷毛
刷毛は和刷毛と洋刷毛に大別される[1]。
和刷毛は中国から伝来し日本で改良されたものである[1]。日本で伝統的に用いられてきた画刷毛、糊刷毛、張物刷毛、漆刷毛などが和刷毛にあたる[1]。
- 絵刷毛 - 日本画の絵刷毛は羊毛を使用し、幅は5分幅から6寸幅までの種類がある[2]。
- 礬水刷毛 - 礬水引きをする際に使用する。
- 金泥刷毛 - 金泥・銀泥などを均一に塗るための刷毛。
- 唐刷毛 - 絵具をぼかすときなどに、乾いたまま使用する[3]。
洋刷毛は油性塗料(ペンキ)を塗るために西洋で使われてきた刷毛で日本には江戸時代末期に伝来した[1]。
用途による分類
用途に合わせた多様な刷毛があり刷毛の種類は約1,200~1,300種類といわれている[1]。陶芸に用いられる釉はがし刷毛、表具・製本の際に糊を塗るための糊刷毛、紙製品の貼り付けの際に空気を取り除く撫で刷毛などがある。
塗装用の刷毛
約1,200~1,300種類ある刷毛の種類のうち約1,000種類は塗装用である[1]。
- ニス刷毛
- 目地刷毛
- ダメ込み
- スミ切り
塗装用以外の刷毛
産地
日本では大阪が主産地だったが、大正時代に山崎政三郎が愛知県海部郡甚目寺町(現あま市)に刷毛生産を持ち帰り1970年から日本一の生産量となっている[1]。
脚注
関連項目
刷毛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 22:08 UTC 版)
刷毛としての利用は、伝統工芸技術として日本で発展してきた漆工芸において、漆刷毛(うるしばけ)という形で昔から欠かせないものになっている。これは、高品質な一本物の長い人毛(直毛)を束ね、漆糊(うるしのり。澱粉糊に生漆〈きうるし〉を混ぜ込んだもので、布や木などの接着剤)で固めて板状に加工し、それを白木の板で挟み込んで刷毛の形に整えたもので、日本における刷毛の原型とされている。漆刷毛は鉛筆の芯のように先端から柄尻まで固めた人毛が詰まっているので、鋭さが鈍ってしまった鉛筆の先を削って尖らせるのと同じように、使うことで乱れてしまう先端部を小刀などで削って刷新しながら消費してゆくものである。毛は一本物であるため、抜け落ちて塗り面を乱すということが無い。仏教が伝来して日本各地に寺院が建立されてゆくなかで、仏像や美術用具、その他に漆を塗るために使われるようになったとされている。塗師によれば、現在でも馬の尻尾の毛以外の他素材で代用することは考えられない。代用が利かない理由の第一はその長さで、全長200~250ミリメートルという漆刷毛に必要な長さの毛は、人毛と馬の尻尾の毛くらいでしか安定して確保できないことがある。そして人毛が素材として最高級である理由は、馬の毛では太過ぎて漆を塗るのには刷毛目が立ち過ぎて不向きなことにある。その点、人毛の太さはちょうど良く、刷毛目も立ちにくいという。なお、昔から海女の髪が良質とされている。海水にさらされて適度に脂が抜けるため、漆の含みが良いという。また、現在(※令和時代初頭)の漆刷毛職人にはストックしてある明治時代の女性の頭髪を材に生産している者もいるが、これもやはり適度に脂が抜けるからという。ただ、今では刷毛用の国内産の人毛は入手困難になってしまっており、ほとんどが中国産になっている。2010年代後期後半時点で、漆刷毛職人の工房は大阪市にある老舗1軒と東京にある1軒しかない。
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