表面処理
ある素材に塗料や接着剤などを塗布する場合、素材との密着性を高めるために、素材の表面に化成処理などで密着性の良い皮膜を形成したり、素材表面に化学的に活性な極性基を導入すること。あるいは、素材や工具・部品などの耐久性、潤滑性を改善するために、それらの表面に種々の被膜を形成させることをいう。金属めっきや化成被膜の形成がその一例である。
表面処理
金属素材は耐久性や靭性、耐熱性など材料によってそれぞれに優れた長所を持つが、さらに材料表面に加工を施すことにより、装飾のほか金属素材単独では得られない、耐摩耗性、耐食性、耐熱性、潤滑性などの性質を付与することができる。
例えば機械部品にとっては、外観のほか高い強度、硬度、靭性、防食、防錆性などが求められるが、単一の金属やプラスチックその他の材料でこうした要求全てが満たされる訳ではない。また、市場ではコストも同様に問題視される。
表面処理はこうした特性の、複合的な要求に応える手段として様々な方法が開発され、素材に新たな特性を付与してきた。
表面処理の方法は、めっきや塗装のほか、アルマイト仕上げのような化成処理、エンボスのように機械的に加工を行う方法、エッチングや酸洗のように酸性水溶液により表面処理する方法など様々である。
表面処理は最終的な仕上げとして行われる場合も多いが、鋼の冷間圧延前の錆除去やはんだ付け前の下地めっきなど、工程の前処理として行われる場合も多い。
表面処理の種類
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アルミニウムの表面に陽極酸化皮膜を生成し、耐食性を高めた仕上げ。 硬質アルマイト仕上げは耐摩耗性、潤滑性に優れる。 |
調理用品(アルマイト) 航空機部品、機械部品(硬質アルマイト) |
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金属の表面を溶解除去してパターンを得る処理。 薄板や微細加工、高硬度材料の加工も可能である。 |
電子基板回路の製作、半導体の製造。 装飾加工の場合、建築金物など。 |
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エンボス | 金属板を上型と下型によってプレスを行い、浮き彫り加工を行う。 金属のほか樹脂フィルムなどにも行われる。 |
装飾用加工(金属) キーパッド、シボ加工(樹脂) |
酸洗 | 鋼を熱処理した際などの、錆やスケール除去のために処理物を酸溶液中に付けて表面を清浄にする方法。 | 表面の酸化物除去。 |
用語解説
表面処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/02 17:24 UTC 版)
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表面処理(ひょうめんしょり、英: surface treatment, surface finishing)は、機械工学などの分野において、めっきや塗装など、素材表面の性質を高めるために行われる機械工作法の一種である。硬さや耐摩耗性、潤滑性、耐食性、耐酸化性、耐熱性、断熱性、絶縁性、密着性、および、装飾性や美観など、これらの性質のいくつかを向上させることを主要な目的として施される。
材料技術の一分野であり、加工、熱処理、溶接、鋳造などの材料プロセス技術群に属するが、補助的技術群のひとつである。しかし熱処理や研磨技術と同様に、金属母材の性能を極限までに高める重要な技術であるにもかかわらず、性能理論が確定しておらず、その存在が極端な過小評価に陥る場合がある。
おもな表面処理
金属皮膜処理
非金属皮膜処理
- プラスチックライニング (plastic lining)
- コーティング :材料などに金属などを浸漬・溶射・静電・などの処理をしたもの。
- セラミックコーティング (ceramic coating)
- 塗装 (painting)
- ダクロタイズド
- ホットスタンピング (hot stamping)
- 熱転写 (heat transfer)
- 金属印刷 (metal printing)
陽極酸化処理 (anodization)
化成処理 (chemical conversion coating)
化成処理とは、金属などを溶液に浸漬し皮膜を作ること。特に化成処理によるものは化成着色といい、電解による着色とは区別することもある。
- 煮色仕上げ 化成処理のひとつで、日本の金属工芸において様々な色金の表面処理に使われる。
- クロメート処理 代表的な防錆目的の化成処理。浸漬及び電解によるものもあり、亜鉛めっき上のものは銀白色と干渉縞のある黄色、黒色、緑色があり装飾としても使われる。
- りん酸塩処理・パーカーライジング (phosphate treatment)
- 黒染め(四三酸化鉄皮膜)ブルーイングとも言う。
- 古美処理 :「古仕上げ」「古美仕上げ (weathering)」の一手法でもある。
鋼の表面硬化処理 (surface-hardening treatment)
- 火炎焼入れ
- 高周波焼入れ (induction hardening)
- 電子ビーム焼入れ (electron beam hardening)
- レーザー焼入れ (laser hardening)
- ショットピーニング (shot peening)
- 拡散浸透処理 (pack cementation; diffusion coating)
キリンス、化学研磨
粘度の高い酸で、凸部のみを選択的に溶解することで平滑化する。銅及び銅合金を対象にしたときのみキリンスと呼ばれる。
ラミネート加工
シボ加工
参考文献
- 岩森暁『高分子表面加工学―表面改質・加工・コーティング』技報堂出版、2005年6月。ISBN 4-7655-0395-X。
- 越智光一 監修、日本接着学会 編『表面解析・改質の化学』日刊工業新聞社、2003年12月。ISBN 4-526-05208-6。
- 精密工学会編著『スーパーコーティング―硬質膜の機能と利用技術』大河出版、1992年9月。ISBN 4-88661-100-1。
関連項目
- 熱処理 (en:heat treatment)
- 硬化 (hardening)
- フロアコーティング
表面処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/21 09:17 UTC 版)
粒の電気伝導度の高い方が、静電界で跳び上がりやすい。炭化ケイ素は問題ないが、コランダム質研磨材は、薬品を散布して跳び上がりやすくすることもある。また、砥石に作るときの、結合剤とのなじみをよくするため、研磨材に表面被膜を付けることも、広く行われる。
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