アルマイトとは? わかりやすく解説

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アルマイト

《(和)Alumite》アルミニウム陽極として電解により酸化させて、表面酸化アルミニウム耐食性皮膜作ったもの。大正12年(1923)ごろ、理化学研究所発明されたときの商標名米国ではアルミライトドイツではエロクサールなどという。


アルマイト加工

【別称】アルマイト
アルミパーツの表面酸化処理をほどこし、薄い被膜作ること。耐蝕性耐摩耗性などが向上する他、赤・青などの着色もできるので見た目美しく仕上がる。
関連用語アルミニウム

アルマイト

アルミニウムは、そのままの状態でも表面に薄い酸化皮膜生成させますが、傷つきやすく、また環境の変化にも弱い金属です。 そこで、アルマイトという陽極酸化処理を行ない表面強制的に緻密な酸化被膜生成させれば耐食性耐摩耗性著しく向上しますが、通電性なくなります
また様々な着色をして装飾することも可能です。

アルマイト


アルマイト

アルミニウム表面酸化皮膜形成し耐食性および表面硬度向上させる処理。一般名称陽極酸化処理。英語はAnodizing(アノダイジング)。

アルマイト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/29 01:05 UTC 版)

アルマイト処理をしたアルミニウム製やかん

アルマイト: alumite or anodizealmite[1])は、アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を作る表面処理である。人工的にアルミニウム表面に分厚い酸化アルミニウム被膜を作ることにより、アルミニウムの耐食性・耐摩耗性の向上、および装飾その他の機能の付加を目的として行われる。

概要

1923年大正12年)に理化学研究所鯨井恒太郎、植木栄らが発明し[2]特許を取得したアルミニウムの蓚酸陽極酸化皮膜を、それを引き継いだ理化学研究所の宮田聡が「アルマイト」と命名したのが由来である。当時は登録商標(商品名)であり、理化学研究所で開発された方法により生成された蓚酸法陽極酸化皮膜のみに限定されていたが、現在は「アルミニウムの陽極酸化皮膜」の総称として使用されている(商標の普通名称化)。

陽極酸化とは、対象となる材料の表面を陽極として、主に強酸中で電解によりバルブ金属英語版の表面を酸化させる処理を指す。アルマイトはアルミニウムの代表的な表面処理方法である。日本工業規格としてはJIS H8601「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜」(ISO7599対応)、JIS H8603「アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜」(ISO10074対応)及びJIS H0202「アルミニウム表面処理用語」(ISO7583対応)がある。

英語での陽極酸化は anodizing、陽極酸化皮膜は anodic oxide coatings[3]というが、正式には「anodic oxidation coatings on aluminum」である。

技術

希硫酸シュウ酸(蓚酸)などを処理浴に用いて、アルミニウムを陽極として電気分解することにより、アルミニウムの表面を電気化学的に酸化させ、酸化アルミニウムAl2O3(アルミナとも言う)の皮膜を生成させる。

バリヤー皮膜断面の図解

ホウ酸など、酸化アルミニウムの溶解力の低い酸を用いてバリヤー皮膜と言う数十nm〜数百nmの薄い酸化層を形成する技法もあるが、蜂の巣状を有した層(ポーラス層という)を作って数μmから数十μmの多孔質皮膜を形成した後、沸騰水または酢酸ニッケルなどの高温水溶液、加圧水蒸気により水和する事でβアルミナ化し、孔壁を水和膨張させて孔を封じ(封孔処理という)、耐食性を向上させる技法が一般的に用いられている。

この多孔質層(ポーラス層)の孔は陽極酸化処理時に電気の通り道が最終的に残った物である。封孔処理には、化学反応による不活性化高分子などにより孔を埋めるような技法もある。

多孔質層の図解

多孔質皮膜の特性を利用して、ポーラス層(多孔質層)に金属塩や有機染料などを吸着させて着色することも可能である。また、ポーラス層内に電気化学的に金属などを析出させて着色する二次電解、三次電解と言うカラーアルマイトもある。アルミサッシなど腐食環境で使用される部材においては、一般的に封孔処理しない状態で電着塗装を施した「陽極酸化塗装複合皮膜」(JIS H8602参照)が用いられている。密着性向上の為に未封孔で処理した多孔質皮膜は塗装後も大気中の湿気と反応して封孔が進む事が確認されている。ただし塗装の密着性は維持される。着色と同様にポーラスに固体潤滑剤PTFE二硫化モリブデンなど)を含浸英語版析出させることで、潤滑性、耐摩耗性その他の性能を付加することもできる。

アルマイトの電解液には現在、硫酸を用いるのが主流であるが、蓚酸などの有機酸クロム酸リン酸などが使われることもある。ホウ酸浴などで作る比較的厚いバリヤー皮膜は絶縁被膜としてコンデンサーなどに利用される例がある。特別な処理条件により得られた硬く厚い皮膜は「硬質アルマイト」と呼ばれる(JIS H8603「アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜」に規定されている)。

利用

アルマイト処理されたアルミニウム製弁当箱

アルマイトを利用した家庭用製品には弁当箱やかんなどがある。また、戦後まもなくの1951年昭和26年)にアルマイト製の食器が学校指定食器に指定されたことで学校給食食器としてもアルマイトが用いられるようになった。非常に軽く児童の持ち運びにも適していたほか、頑丈であったためその後も長く学校給食で用いられてきた。しかし、熱い料理を入れると熱さで持てなくなることから次第に陶器やプラスチックに置き換わっていった[4][5]

素のアルマイトは元のアルミと変わらず銀白色だが、着色したカラーアルマイトも広く利用される。やや古風なやかんや鍋等では黄色が多いが、これはアルミやさらに後のステンレスの普及以前、加工性がよく錆びに強い金属材として利用されていた真鍮(黄銅)を模して仕上げた名残である[要出典]。またアルマイト被膜を封孔処理せずに塗装することで、非常に強い塗装の密着性を示す。これを利用して多くのフライパンフッ素樹脂コーティングが施されている。

そのほか、アルミニウム製の建材、鉄道車両航空機の内装品、自動車部品、光学部品、半導体部品、各種のネームプレートや化粧板などに、アルマイトが幅広く用いられている。

酸化アルミニウムは非常に硬質であり耐久性に優れるが、強酸や強アルカリに対しては溶解したり腐食する場合がある。また、アルミニウムはイオン化傾向が高い金属であるため安定な酸化物であるとしても、海水醤油食塩などの電解質)に曝される場合、または、鉄や銅などの金属に湿潤状態で接触すると腐食しやすい。

関連項目

脚注

  1. ^ 理化学研究所による表記。
  2. ^ 杉本克久「アルマイト」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%88#w-1502215コトバンクより2024年12月23日閲覧 
  3. ^ または film、layer
  4. ^ 学校給食の今 今は懐かしアルマイト製 全小学校で樹脂製食器に | 藤沢”. タウンニュース (2021年2月12日). 2025年1月29日閲覧。
  5. ^ 辰濃隆; 小林町子. “安全性を第一に給食を楽しめる食器を”. 教育家庭新聞. 2025年1月29日閲覧。

外部リンク


アルマイト(あるいはシュウ酸アルマイト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 15:17 UTC 版)

給食」の記事における「アルマイト(あるいはシュウ酸アルマイト)」の解説

軽く収納しやすいなど長所もあるが、熱伝導性高く熱い物を入れると器が高温になり持つことや口にすることが困難となり、また、内容物冷めやすいといった欠点もある。さらに、作業時の騒音もうるさいという欠点がある。従来学校給食多く用いられていた。

※この「アルマイト(あるいはシュウ酸アルマイト)」の解説は、「給食」の解説の一部です。
「アルマイト(あるいはシュウ酸アルマイト)」を含む「給食」の記事については、「給食」の概要を参照ください。

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