カラビナとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 旅行 > カラビナ > カラビナの意味・解説 

カラビナ【(ドイツ)Karabiner】

読み方:からびな

登山用具の一。一部開閉できる金属製の環で、ハーケンなどとザイルとを連絡するのに用いる。


カラビナ

作者安曇潤平

収載図書赤いヤッケの男―山の霊異記
出版社メディアファクトリー
刊行年月2008.2


カラビナ carabiner

カラビナ
機体ハーネスをつなぐ為の金具
初期の頃登山用のものが使われていたが、最近はパラグライダー専用のものが殆どである。
カラビナにも寿命有り2年一度交換したい
パラグライダー使われるカラビナは、まず、材質別でアルミカラビナ(ジュラルミン)・スチールカラビナ・ステンレスカラビナと分けられる
また、形状別では、台形カラビナ・ミニカラビナ・D形カラビナ楕円形カラビナなどがある。
全てのカラビナが安全環またはそれに相当する機構をもち、外部からの圧力ゲート簡単に開かない構造となっている。
注目するのは写真3の様なゲートロックの存在である。
カラビナに負荷がかかると僅かに本体伸びフックどうしがロックして強度確保している。(ねじ込みタイプでも結合により強度確保している。)
取付けが不完全でゲート開いた状態では強度著しく低下してしまう事に注意したい

カラビナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 10:08 UTC 版)

ストレートゲートD型カラビナ

カラビナ: Carabinerドイツ語: KarabinerKarabinerhaken)は、固定具の一種。開閉できる部品(ゲート)がついた金属リングである。

本来は、銃をベルトに下げるための器具であり、Karabinerhaken = Karabinerカービン銃)+ Haken(フック)という語源にそれが残っている[1]

現在は主に登山に使われる。ロープハーネスハーケンクライミングチョックなどの支点を素早く確実に繋ぐことができる。ジュラルミン製が主流である[2]

形状

基本的な構造
1.ゲート 2.スリーブ 3.ノーズ 4.スパイン 5.フレーム

基本的な構造と部位の名称は画像の通り。

登山・救助用の(ジュラルミン製)カラビナには、基本的に3種類ある。

O型(オーバル型)
左右対称なカラビナのため、厚みのある器具と併用できる。
D型
カラビナの中で一番強度のある形。スパインに荷重がかかる構造をしており、同じ素材であればD型はO型の3倍の強度があると言われる。D環とも呼ばれる。
HMS(Halbmastwurfsicherung)型(洋梨型、茄子型とも)
洋梨のような形をしたカラビナ。開口部が広いため、太めの支持物やケーブル等に直接取り付けられる。ムンターヒッチを使用する場合はこの形状を選択する[3]

これら以外にもヴィアフェラータ(固定ロープルート)用やクイックドロー用もある[4]。また、カラビナではないが、似た形状の固定具としてクイックリンクもある。

右上がオーバル型、右下がHMS型、他はD型

ゲートの形状によっても分類でき、ロック機能のないストレートゲート・ベントゲート・ワイヤーゲート、ロック機能を持つスクリューゲート・オートロック等がある。

安全環

カラビナの開口部(ゲート)の安全環(ゲートが勝手に開かないようにロックする装置)も、基本的に3種類ある。ペツル製を例に挙げると、

  • スクリューロック - ねじ式になっている安全環。数回まわして開閉する。
  • ボールロック - オートロック式の安全環。緑色のボタンを押して半回転させると簡単に開けられる。指を安全環から離せば勝手にしまる。
  • トライアクトロック - オートロック式の安全環。一度安全環を上方へ指で引き上げてから半回転させる。指を安全環から離せば勝手に閉まる。

登山用途でのカラビナの強度

強度の刻印

カラビナの強度は主にカラビナ本体に刻印され、破断強度がkNで示される[5]。製造企業によっては安全率を12とし、破断強度を12で割った数値を許容荷重としている[6]。画像の場合は破断強度が約3200kg重で許容荷重が約260kg重になる。

  • メジャーアクシス - 一般的には縦方向の荷重のことで、構造上カラビナが最も強度を発揮できる向きに荷重がかかった状態を指す。
  • マイナーアクシス - カラビナに対して横方向への荷重のことで、構造上カラビナが最も強度の低い向きに荷重がかかった状態を指す。
  • オープンゲート - ゲートが開いた状態のことで、荷重がメジャーアクシスの方向であっても、著しく強度が下がる。また、ウィップラッシュ現象といって墜落時等の衝撃で、一時的にゲートがオープンしてしまうことがある。
  • 三方向以上の荷重 - カラビナに複数のロープやスリングを括りつけて使用し、それらが一直線上ではなく二直線以上の方向に荷重が分散した時にカラビナの強度が下がる。

安全基準

キーホルダー用など、登山に使うことを想定していない耐久性・強度が弱いカラビナも販売されているので、購入の際には注意する必要がある[注釈 1]CE0082やCE0333、UIAA、EN12275等によって性能を保証している場合がある。 また、救助用カラビナはNFPA Standard 1983やastm f1956に基準が定められている。UIAA121では形状ごと、状態ごとに基準が定められており、以下の表のように設定されている。

UIAA121基準[7]
メジャーアクシス マイナーアクシス オープンゲート
D型 20kN 7kN 7kN
オーバル型 18kN 7kN 5kN
HMS型 20kN 7kN 6kN
(クイックリンク) 25kN 10kN -

歴史

初期の歴史

Kriegskunst zu Pferdt, 1616

1616年Kriegskunst zu Pferdt(直訳:馬上武術)には、カラビナのような器具が登場する[8]。ただし、機構の説明は断片的で、詳細は不明である。

1785年Oeconomischen Encyclopädie(直訳:経済百科事典)には、Karabiner-Haken として、現在のものと基本的には同じ機構(ただしバネはリングの内側)が解説されている[9]

登山への普及

登山にカラビナが使われる前は、ハーケンで身体を確保するのに「身体に結びつけたザイルを一時解いて、ハーケンの環や穴に通す」という極めて面倒で危険なことをやっていた[2]。補助ロープで作った輪をかけてハーケンとザイルを接続する方法も採られ、この輪を大きめに作って「輪抜け」と称して身体ごと潜り抜けるという、今から考えると間抜けなことを大真面目にやった人もいた[2]

カラビナの図入り解説が初めて現れるのは1853年のベルリン消防隊の刊行物で、「ベルリン・ベルト・フック」と呼ばれていた[2]。その後、軽量化されたマギウス製「ウルム・ベルト・フック」が使用された[2]。演習中の消防隊員がこの洋梨型の輪をベルトに装着しているのを見たオットー・ヘルツォーク(Otto Herzog)はこれを登山用に使うことを思いつき、実際の登攀に使えるよう改良した[2]。ハンス・デュルファー(Hans Dülfer)も1910年にはこれを使った確保方法を考え出した[2]。ハンス・フィーヒトルも山行には必ず携行したが、現在のように多数でなく2個だけであったという[2]

しかしハーケンやカラビナを使用することを拒否した者もいて、特にパウル・プロイス(Paul Preuss)は、突然襲いかかって来る危険に際してのみ、その使用が正当化されるとしていたが1913年に墜死した[2]。信条こそ違えど親友だったハンス・デュルファーはその墓の前で子どものように泣いたという[2]

カラビナが使われるようになるとその便利さと安全性はすぐに了解され、急速に普及、岩登りを大きく発展させた[2]

ミュンヘン1913年に開店したスポーツ店シュスターは登山者の要求に極めて好意的に理解を示してカラビナを含む色々な登山用具を提供した[2]。1921年にはニッケル鍍金をし、1935年には不必要なゲート開を防ぐ安全装置付きカラビナを発売している[2]

日本での歴史

実物が手に入らず開閉部の仕組みが分からなかったため、日本での生産はかなり遅れた[2]ロック・クライミング・クラブの湯村という人物が1923年に初めて試作したが、この時点ではバネが内蔵されているヨーロッパ製と違い、いちいちネジを外す形式だったため手間が掛かり、またネジを落とさないよう細心の注意を必要とした[2]

登山用途以外のカラビナやカラビナをモチーフにした道具

注釈

  1. ^ 「Not for climbing」-登攀用に非ず、と刻印されているが、この刻印がなく外見で区別が難しいものもある。

出典

  1. ^ Carabiner | Definition of Carabiner at Dictionary.com
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『山への挑戦』pp.139-168。
  3. ^ 意外と知らない?カラビナの種類と使い方を徹底解説”. BE-PAL. 2025年5月16日閲覧。
  4. ^ UIAA121 Pictorial Presentation”. Safety Standards - UIAA. 2025年5月18日閲覧。
  5. ^ UIAA121 Pictorial Presentation”. Safety Standards - UIAA. 2025年5月18日閲覧。
  6. ^ カラビナの破壊荷重と許容荷重について”. 株式会社伊藤製作所. 2025年5月16日閲覧。
  7. ^ UIAA121 Pictorial Presentation”. Safety Standards - UIAA. 2025年5月18日閲覧。
  8. ^ Johann Jacob von Wallhausen: Kriegskunst zu Pferdt. Frankfurt/M. 1616, S. 35
  9. ^ D. Johann Krünitz: Oeconomische Encyclopädie oder Allgemeines System der Land-, Haus- und Staats-Wirthschaft in alphabetischer Ordnung, Band 34, Joachim Pauli, Berlin 1785, S. 628 ff

参考文献

関連項目


カラビナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 15:19 UTC 版)

登山用語一覧」の記事における「カラビナ」の解説

岩登り用具1つハーケンにかけ、ザイルを通すための金属製の輪。語源ドイツ語Karabiner

※この「カラビナ」の解説は、「登山用語一覧」の解説の一部です。
「カラビナ」を含む「登山用語一覧」の記事については、「登山用語一覧」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「カラビナ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「カラビナ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



カラビナと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カラビナ」の関連用語

カラビナのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カラビナのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
浜名湖パラグライダースクール浜名湖パラグライダースクール
Copyright (C) 2025 浜名湖パラグライダースクール All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカラビナ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの登山用語一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS