安全率
入力荷重に対して、その余裕値を安全率という。クルマが一生涯で遭遇する荷重の2倍に耐えるようにすれば、安全率は2倍である。余裕を多くとれば安全設計と思われるが、予測のバラツキ、製造のバラツキ、ユーザーの使用環境でのバラツキなどいろいろある。クルマが遭遇する境界条件をより具体的、より正確につかめば、安全率は下げられて最適設計に近づく。一般的に安全率が低いのは飛行機、クルマ、船、橋などの順であり、飛行機はいちばん安全率が低い。飛行機は境界条件を明確にして余裕が少なく、むだのない設計をしている。逆説的にいえば安全率は自信のなさの係数ともいえる。
あんぜんりつ 安全率 safety factor
安全率
安全率
安全率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/14 15:02 UTC 版)
安全率(あんぜんりつ)とは、あるシステムが破壊または正常に作動しなくなる最小の負荷と、予測されるシステムへの最大の負荷との比(前者/後者)のことである。構造的な強度のほか、トルク、電圧、曝露量、薬品摂取などさまざまな負荷に対し使われる。安全率のことを安全係数(あんぜんけいすう)とも言う。文部科学省は学術用語として安全率を採用している[1]。英語では safety factor または factor of safety で、SF、FoS、FS などと略す。
概要
実際の工業製品の使用環境は、材質の経年劣化や環境の違い、想定外の使われ方をされるなど、多分に不確実性を含んだものである。設計者はそれらの事象を想定し、設計時にできる限りの計算を行うが、全てのことを計算し尽くせるわけではない。そのため、実際にはある程度の余裕をもって設計される。例えば、10 kgf の荷物を置くための棚について、荷物を置くときの動作の勢いや、棚の上で荷物が偏った置き方をされる場合などを考えると、実際には10 kgf以上の荷重に耐えられるように設計しなければならないことは明白である。具体的には「耐荷重量: 100 kgf (安全率 2.5)」のように用いる。この場合、安全を保証出来る仕様上の耐荷重は100 kgfまでであるが、設計的な実力としては250 kgfまでは耐えられるという意味である。
注意すべきなのは、設計時に設定される安全率とは、強度の不確実性、負荷の不確実性が存在するために設定されるものである。したがって、安全率が大きいということは予測の不確実性が大きいということを意味するのであり、必ずしも安全性が高いことを意味するものではない[2]。
実際の安全率の値はさまざまで、1よりわずかに大きい値から、数百にまでいたる。なお、1をあまり超えない場合、「安全率1.1」の代わりに「安全率0.1」のように言うことがあるが、正しい用法ではない。マージン (margin) は、安全率の同義語として使われることがあるが、本来は、安全率から1を引いた余裕部分を意味する。
直接的に人命に関わるような部材は安全率も大きめに取られており、例えばエレベーターのかごを吊るすロープなどは安全率を10以上とすることが建築基準法によって定められている。また、同じ自動車の中でも、過積載や現場の判断によって独自の改造などが施されるトラックなどは、一般的な乗用車より安全率が大きめに取られている。
機械的強度に対する安全率
概要
機械・構造物などの部材の外力に対する機械的強度(引張強さ、弾性限界、疲労限度など)に対する安全率については、応力、荷重、ひずみなどを指標にして安全率が取られる[3]。どのような指標を取るかは、どのような破壊現象に対する安全率なのかを考慮して決められることである。特に一般的に用いられるのが応力に基づく強度検討で、このときの安全率は次のような形で表せる[4]。
この項目は、工学・技術に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(Portal:技術と産業)。
「安全率」の例文・使い方・用例・文例
- 安全率のページへのリンク