墨谷高校野球部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 15:18 UTC 版)
「プレイボール (漫画)」の記事における「墨谷高校野球部」の解説
都立の公立高校。野球部は谷口が入部するまでは毎年3年生が引退するとメンバー割れする弱小チームで、「楽しく野球が出来れば良い」程度の意識しかなかったが、谷口と田所たちの引退後に再入部した倉橋の熱意に影響を受けて少しずつ実力や意識が向上して弱小を脱する。更に、中学大会を制した谷口の後輩達の加入によってシード校に名を連ねるまでに強化されていった(表記は「人物名:声の出演」)。 谷口タカオ:前田賢一朗 本作の主人公。右投右打。ポジションは投手・三塁手。右翼手を守ったこともある。中学時代に試合中のアクシデントで指を骨折し、無理をして試合続行し投げ続けたことから、利き手の人差し指が曲がったまま伸びなくなり(アニメでは人差し指が伸びたまま曲がらなくなり)、真っ直ぐボールを投げられなくなる。入学してしばらくはサッカー部に所属し努力の甲斐あってレギュラーにも選抜されたが、野球への情熱を捨てきれず主将の相木による叱咤と後押しで、野球部に転部する。怪我の影響で送球がままならない状態であったが、バウンド送球を経て努力の末に投げられるようになり、その過程でフォークボールをマスターする。その後、手術を受けて指の怪我を克服する(この過程は原作とアニメ版では若干異なっている)。打順は4番(川北戦のみ5番)。ピッチャーとしてはコントロールを身上としており、倉橋の要求するボール半個分の出入りを可能とするほどの見事な投球術を持っている。最終的にカーブ・シュート・フォークボール(故障が明けてからは、ここぞという時にしか投げなくなった)を一通りマスターした(中学時は直球のみ)。また精神面が強く、ピンチや味方のエラーにあっても粘り強く淡々としたピッチングを展開し、その姿勢は作中屈指の好投手である専修館の百瀬さえも驚嘆させている。イガラシ、井口世代の他の一年生から「やっぱ(シード校入りした墨谷の)エースだけあってナリ(体格)に似合わず凄え球投げるなあ」と評されるなど球速もある模様。 本来は三塁手がベストポジションだがチーム層が薄い墨谷では投手と兼任を余儀なくされ、成り行き上エース格になっていた背景もある。それ故に特に自身がエースという自負はなく、総合チーム力で挑む姿勢は中学時代から変わっていない。 対戦相手を徹底的に研究かつ分析するタイプで、その姿勢は相手が強豪・弱小かを問わず一貫している。その結果、それまで5年連続1回戦負けを喫し、勝利とはほど遠かった墨谷高校野球部を1年生時は3回戦、2年生時は準々決勝(ベスト8)3年生時は準決勝(ベスト4)にまでコマを進める原動力になった。野球に熱心なあまり学業が疎かになり、母親から釘を刺されてしまうこともあり、3年生時はそれが災いして成績が下がっていた。 前キャプテンの田所により1年生の夏以降は墨高のキャプテンに任じられ、以降連載終了まで継続。中山から「お前はキャプテンなんだから、グラウンドに出れば俺たち上級生を呼び捨てにして良い」と言われ倉橋からも賛成されるが、本人は「僕は頭が古いんで無理です」と上級生に対する気遣いと礼儀を忘れることはなかった。逆にここぞという場面では気弱だった中学生時代に比べてはっきり意見を言えるようになっており「言って分からなければ放っておけばいい、困るのは本人だ」と井口の態度に突き放す発言をとったり、アニメでも格下の言問高校相手に油断する上級生を含めたチームメイト全員に前年に全力を出し切って3回戦に進んだことに例えて「このままでは負けてしまう。僕たちの今1番の敵は気の緩みです!」と激を飛ばす場面が見られる。真剣になった際は問題児の井口に「やはりキャプテンだけあって迫力がある」と言わしめるほどの貫禄を放つ。 『2』では彼と対立する丸井を競わせて井口に自分の過信を痛感させるとともに奮起を促す意味で投手としては起用しない方針をとっていた。その後自主練習に励み結果を出した彼の進歩の速さに驚き、指南役を買って出た丸井に感謝した。 一方で、公式戦での得点力向上のために真芯で捉えないと長打が打てない竹製バットでの練習を採用。練習試合でも反対を押し切って使用を続けた結果、相手校の監督を怒らせてしまったばかりかバットが折れてしまう、大会期間中に「練習をしないことも練習」とイガラシ達をたしなめたにもかかわらず通常通りの練習をして疲労を蓄積させるなど一生懸命ゆえの判断ミスを招くこともあるが、その度に反省し分析を重ねた。 3年間を通じて全国大会への出場は逃したが、3年生時の川北商業戦ではサイクルヒットを放ちメディアの注目を集めた。引退後は野球に対する次の目標が見出せずにいたことや、両親の負担を考慮して将来的に家業を継ぐために父親の下で大工修行を検討したが、部長や田淵、父親に諭され、大学進学を目指して予備校に通いながらの野球部監督就任を打診され、了承する。 田所:河野裕 谷口の2学年上であり、谷口が入部した時のキャプテン。右投右打。ポジションは捕手。中学時代は投手でもあったらしく、東実戦では疲労した谷口に代わって登板したが全く通じず、大量得点を許してしまった。京成戦に7番、城東戦に3番、東実戦に5番を打った。特に突出した能力は見せなかったが他のナインと共に谷口に影響され上達して行き、東実戦でも活躍した。 当初は怪我を負っている谷口に戦力としての期待をせず、彼の入部に浮かれる部員たちにも厳しい態度を取っていたが、「ちやほやするとかえって本人が気を遣ってしまう」と彼なりに配慮しての行動だった。サッカー部や他部員の進言による打撃練習にてその実力を認め、以後は試合でも谷口の意見を積極的に取り入れるまでに至っている。捕手としては、ロングリリーフの谷口の疲労なども察しロジンバッグなどで間をとるように指示をしたり、中山の限界を見抜くなど気が付く方であった。すぐ部員を怒鳴りつけたりバットを振り回して脅すなど粗暴なところが見られるが、弱小に甘んじていた部員の中では野球に対して真剣に取り組むなど基本的にキャプテンとしては信頼されている。 東実戦前には強豪に本気で勝とうとする谷口に対し、「卒業後の進路の為の勉強に支障が出かねない練習量は避けるべき」との考えを持っていた。そのため練習方針の考え方の違いで衝突するが、後に谷口の姿勢に動かされた中山と共にベストを尽くす事を選択した。しかし自身は補習を受けるなど学業成績はあまり良くなかったようである。 卒業後は家業の電気屋を継ぎ、合間を見て野球部の見物や試合の応援に駆けつけ、公式戦では解説や応援団を鼓舞する。面倒見の良い性格で、全部員にアイスの差し入れやカツ丼(当初は「鰻丼」と吹聴していたが、予算の問題からカツ丼になった)をご馳走してくれるなど卒業後も気にかけている。また、なにかというとタイヤキ屋を相談場所として利用している。 仕事上あちこち駆け回るため顔が広く、後輩勧誘の手助けをしたこともあった。井口勧誘の際には本気で投げた球をヒットにするなど野球の能力も衰えてはいないが、山本から「腹が出てる」と言われ太り気味である模様。 アニメでは東実戦で疲労がたまった谷口を走らせたくない一心でホームランを打っている。卒業後の2期では地元商店街の草野球チームで捕手・4番を任されるなど、野球を継続していることを語っている。 倉橋豊:日野聡 谷口と同級生であり、谷口のよきパートナー。顎が割れている。右投右打。ポジションは捕手で、田所の後継に当たる。打順は3番(川北戦と3年生時における夏の都予選では4番)。中学時代に谷口が在学した墨谷二中と激戦を繰り広げた隅田中出身でキャプテンも務め、当時は地区随一の名捕手と噂されていたほどの実力者。谷口の球を変化球もノーサインで捕球できるほどスキルが高い。高校入学時は野球部に入ったがあまりのレベル不足と勝利意識の低さに呆れて3日で退部していた。その後しばらくは草野球でプレイしていたり、中学時代の先輩・田淵がいる川北高の練習に参加していたが、谷口の勧誘で改めて野球部に籍を置くこととなる。 言いたいことをはっきり口にする性格。先輩相手でも一切遠慮をしないので当初はトラブルが絶えなかったが、そのほとんどが相手やチームを思ってのことであり、谷口、半田と共に部全体の実力と意識向上に貢献した。チームがまとまってからは、陰で上級生を「あいつら」「お前ら」というなど、若干見下す発言をすることもある一方で、不可欠な存在として溶け込むようになっていく。 原作ではクールな性格で中学時代のイガラシの性格に酷似しており、チームの参謀的な役割を果たしていた。原作、アニメとも谷口のキャプテンとしての采配を甘いと感じることもあったが、最後は谷口のキャプテンシーを認めている。 実力はチーム屈指で、他チームからも「一発がある打者」として警戒される描写がいくつかあるが、物語中では本塁打を放ったシーンが出てこない。しかし、専修館戦の百瀬から初回でチーム初ヒットを記録したり、明善戦では最終回で唯一ヒットで出塁したり打撃の水準は高い。ただし、外角球に体が泳ぐことがある。 アニメでは小学生時代はリトルリーグに所属していた。また原作以上に棘のある発言が多くみられていたが、公式サイトの紹介では自身が憎まれ役を買って出ることによって、谷口に不満が向かないようにするための配慮ではないかと補足がなされている。一方でチームのために人知れず練習に励む半田のことを気にかけたり、上級生の引退時行われた一打席勝負では、涙を流しながら球を受けるなど、チームメイトを大切に思う場面も描かれている。 『2』でも谷口と並ぶチームの首脳として活躍している。実力はあるが自身の結果を出すことにこだわりスタンドプレーをしがちなイガラシと井口を叱りつけたり苦言を述べる場面も多い。また、谷口の過酷な練習内容に驚く場面も目立ち、谷原戦での惨敗以降試行錯誤を重ねる彼を心配している。 引退後は試験の結果が悪かったことから浪人しての再受験を考えている。家族の負担を考えて進学(および野球)を断念する意向の固い谷口を案じて、谷口にそれまで野球部に不在だった監督を務められるよう田淵や部長に説得できないかを打診した。 小説版では2巻目から登場。概ね原作と同じだが、若干言い回しがマイルドになったり、谷口を認めるまでの心境が原作以上に深く掘り下げられている。 中山:呉圭崇 谷口の1学年上。谷口が入部する前は唯一の投手であった。丸眼鏡が特徴。右投右打。田所達の引退後は三塁手と投手を兼任。松川が登板する時は左翼手も務める。打順は2年時に9番、3年時に6番(大島戦のみ5番)。 気分屋であり、投手としては気弱なものの相手打線が沈んでいると「いっちょ脅かしてやるか」とサインを無視し変化球(カーブ)を投じるなど調子に乗りやすい。怒りっぽい面もあり、田所が谷口のデータに依存して思うようなプレーができなかった時にヘソを曲げたり、先輩に敬意を払わない倉橋とは特に衝突が多かった。しかし、京成戦で谷口の「最後まで諦めない」熱意を目の当たりにしてからは彼を信頼するようになり、東実戦前は谷口の努力に心を打たれて意見を求めたことがチームがまとまるきっかけになった。 球速・球威は低い部類に入り、精神面がやや脆く打たれるとすぐに動揺し、投球が乱れてしまう。川北戦では滅多打ちに遭い「勘弁してくれ」と泣き言を吐き、病み上がりの谷口にマウンドを譲ったこともある。しかし、コントロールは非常によく、谷口の偵察メモ通りに相手の苦手なコースを的確について抑える場面もあった。 打撃面ではかなりの回数で得点に絡み、専修館戦ではサヨナラヒットを放っている。谷口がキャプテンになってからも引き続き背番号は1番だが、年功序列や当初は谷口との二本柱でいく予定だったこともあり特に背番号変更はなかったが、引退前に谷口の懇願によりバッティングピッチャーを務めた。専修館戦で疲労困憊の谷口を見た山本が、倉橋に中山を起用し投げさせるように進言するが「中山さんには荷が重すぎる」として却下された。原作では谷口をして「足がある」と言わしめるほどの俊足を持ち、セーフティバント・盗塁も行っている。また投手だけあって肩も良く、レフトからノーバウンドでバックホームしたシーンもあった。 引退日に開かれたお別れ会では代表でスピーチし、「俺たち目上を(谷口が)指示するのが面倒だったろう」とさり気なく上級生としての気遣いを見せていた。 アニメでは外見が若干変更されている。また3年生時は他の同級生部員同様、言問戦までは実力が向上したことからの過信も見られたが、谷口の激と倉橋との度重なる衝突を受けて選手として成長。引退時には谷口の懇願でバッティングピッチャーを務め、送別会後にエースナンバーを託した。 山本:疋田高志 谷口の1学年上。出っ歯が特徴。右投右打。当初は右翼手だったが、谷口が右翼手の守備に入ったのをきっかけに一塁手を経験。共通していた「右打球に慣れている」という理由で3年生時から一塁手にコンバートする。田所が投手の時には捕手も経験した。打順は1番。「おっちょこちょい」と言われるだけあって気配りに欠ける場合も多い。当初は勝利にこだわる谷口と反りが合わなかったが、京成戦で谷口の「最後まで諦めない」熱意を目の当たりにしてからは彼を信頼するようになり、キャプテンになってからも積極的にサポートした。 東実戦では疲労困憊の谷口に気付かず、初球打ちでヒットしたため、田所からそれを咎められたり、専修館戦の終盤では痛恨のエラーを喫し田所に「お前は何年墨谷のレギュラーやってるんだ!」とスタンドから罵声を浴びるなどここ1番で判断を誤ることがあった。後者では直後に帳消しにするファインプレーを魅せた。幼少時は青戸辺りでザリガニ捕りの名人と呼ばれていたらしい。 アニメではくじ引きで一時的にキャプテンとなった。田所らからは「おっちょこちょいだが、ムードメーカーでもあるから結果的にはいい選択だった」と評されたが、墨谷二中との壮行試合後、「俺にはあんな後輩(丸井・イガラシ等)を育てられない」と言い谷口にキャプテンを譲った。また、2期では倉橋にもきっちり意見を言う、明善戦の終盤では意気消沈する谷口に「最後まであきらめないんじゃなかったのか?」と励まして出塁を果たすなど、締めるところは締める場面も追加されている。 太田:福井信介 谷口の1学年上。ニキビ(もしくはそばかす)が特徴。右投右打。100mを12秒台で走る俊足(アニメでは11秒台)。2年時は遊撃手だったが、俊足と強肩など運動能力の高さに着目した谷口の意向で3年生から中堅手にコンバートする。打順は2番。中々の切れ者であり、東実戦では谷口の疲労度を察し、追い込まれて(ツーストライク)から粘り、時間を稼いでいた。しかし田所からは「お前は顔に似合わず頭良いんだな」とあまり嬉しくない誉められ方をされた。 谷口がキャプテンになってからは上級生に強く出られない彼の性格を見越して好き勝手に振る舞う面もあったが倉橋から「レギュラーから下ろす」と喝をいれられ初心を取り戻した。負けている状態で最終回に打順が回る事が多く度々プレッシャーを背負って来たが、試合の逆転の突破口を切り開いた人物でもあった。長打は無いものの、クリーンナップへ繋げる重要な役割を見事に果たし、アニメ版の明善戦でも谷口達下級生を励ます活躍を見せた。 山口:南田親彦 谷口の1学年上。右頬にある大きなほくろがトレードマーク。右投右打。谷口が入部するまでは三塁手。彼のスタメン昇格後は左翼手、3年生時には遊撃手を守る。打順は3番だったが、倉橋入部後は5番となった。東実戦ではセンターオーバーの飛球をフライに打ち取られれ、最後のバッターとなり涙を流したが、その後、聖稜戦ではサヨナラホームランを打つ活躍を見せた。倉橋、谷口の後続とあって長打力も高い。メンバーきってのユーモラスな性格で、偵察後の練習を予想しなかった同級生の中で唯一ユニフォームを持参していた。チーム内で一番インシュート(内に食い込むシュート)は苦手であったがここぞという時に活躍する選手。専修館からも「5番(山口)は一発があるから歩かせろ」と警戒されていた。 アニメでは、半田が硬球を怖がっている事を見抜いてアドバイスを送っている。 佐々木:竹谷和樹 谷口の2学年上。ポジションは一塁手。墨高唯一の左投左打。打順は8番。カーブ打ちが得意と自称。京成戦で谷口に打席を奪われる。あまり目立つ存在では無いが、東実戦ではヒットや死球で着実に出塁している。 松本:山田浩一 谷口の2学年上。丸い鼻が特徴。右投右打。ポジションは二塁手。京成戦では3番を打っていたが、城東戦以降は3番に山口が入り、打順は7番。東実戦では内野に打球が飛ぶシーンが少ないので、守備での出番はほぼ無い。守備練習の際に彼が谷口の送球の変化に気付き、東実戦でのフォークボールの器用に繋がる事になる。二塁打を放つなど長打力もある。 村松:谷口祐貴 谷口の2学年上。顎髭を生やしている。右投右打。ポジションは中堅手。打順は6番。一発を狙いに行くなど積極的なバッティングを見せる反面、若干自信過剰な面があり、京成戦ではバントの指示を無視してヒッティングに出る場面があったが、右翼手についた谷口の奮闘を見て田所の次に彼を認め、ファインプレーを見せた谷口に代わってタッチアップ時の送球をし、「代わりに投げてやるから、ボールを取ったらすぐ俺によこせ!」と励ました。 城東戦では相手チームのエース投手である藤井からヒットを打ち、速球を打ち崩すコツを田所に伝言した。東実戦で走者に出た谷口が疲労困憊の際には「ゆっくり歩かせてホームインさせてやる」とホームランを狙う気遣いも見せた。 アニメでは外見が原作とかなり異なっている。 横井:柴崎幸一 谷口の同級生。頬に渦巻きがある。右投右打。背番号11のノッカー担当であったが、田所世代が引退してからレギュラーとなった。ポジションは2年時に二塁手、3年時に遊撃手。松川が二塁手の時は左翼、イガラシが遊撃手の時は三塁をも守る。谷口世代で一番上達した選手であり、最終的に内野のほとんどを請け負っている。また夏季大会中はマラソン練習で最後尾にいることが多かったが、秋からは谷口・倉橋に並んで体力を余し「なんてザマだ、この程度の練習で!」と後輩を叱咤するまでになった。打順も当初は7番であったが秋季大会からは5番(谷原戦は2番)を務めた。山本同様ユーモラスなキャラではあるが、公式試合では言問高戦で2打点、聖稜戦では送りバントも兼ねたセーフティバントを成功させている。谷原戦で丸井からぞんざいな口調を使われた事があるが、丸井から「恋に悩むと気が抜けるのですか?」と聞かれ「何を下らない事を言ってるんだ、練習中に!」とゲンコツをかました事もあった。しかし先輩や下級生を思いやる気持ちは強く、OB戦でもワザと空振りして上げる優しさをみせたり、イガラシ世代の入部での訓辞の際にキャプテンの谷口の言葉足らずに補足を加えた。その中で「みて貰えれば解ると思うが、体格にも恵まれない我々がシード権を得るには想像を絶する努力をしてきた。辛くて辞めたいこともあったが、自分に打ち克った時の喜びが忘れられなくてここまで来られた」と自身の体験を交えている。 『2』ではイガラシをレギュラー専任と考える谷口の方針に従い控えになる事が多いが、3年生として冷静な先輩としての姿勢は崩すことはなく、3年生時の準決勝では途中出場し、谷原の村井からヒットを二本打った。 戸室裕之:窪田亮 谷口の同級生。右投右打。初期は背番号12。田所世代が引退してからレギュラーとなった。ポジションは左翼手。本人の発言から元々は中堅手だったようだが、太田のコンバートによって左翼手になった。打順は主に7番と下位ではあるが速球でも難なくミート出来る。能力としては平均値には達しているが、肩が弱いのが欠点。試合では守備での貢献が目立つが、松川が登板の時は谷口が三塁で中山が左翼に、松川が二塁に入る時は横井が左翼に、3年時の谷原戦では井口が中堅に入り島田が左翼に回ってくるなど割りを食う場面が多い。 『2』でも外野手としてレフトのレギュラーを維持している 半田:田中恭兵 谷口の同級生。×字型の目が特徴。右投右打。ポジションは右翼手控え。元草野球選手。背番号10。真面目で野球好きだが、最初はチームで一番能力が低く練習でも試合でもエラーを連発していた。一方で分析能力が高く、対戦相手のデータ収集などで活躍しチームを勝利に導く力となっている。特に専修館戦では誰も気づかなかったメモの足跡を消した点に着目し、チームの逆転に繋がるきっかけを作った。これらがきっかけで彼を侮っていた部員たちからも信頼と敬意を持たれるまでになった。努力の甲斐あってエラーの数も減り、公式戦に出場できるまでになる。 作者が『キャプテン』以前に描いた読み切り作品『半ちゃん』の主人公。終盤、鈴木と共に学年が一つ下がっている。 アニメ、および小説版では鈴木共々一貫して同級生のままとなっている。原作以上に活躍や成長が細かく描写され、上級生と対立する倉橋の真意を谷口と松川に次いで理解し、彼の助言を取り入れて練習をしたり、一緒にバッティングセンターにも通っている。中山たちの引退後は自分の実力不足と理想のギャップに悩むあまり一度は退部を考えたが、転校生の丸井から谷口が上達した経緯を聞き、鈴木の励ましと倉橋の協力もあって思い留まるエピソードが挿入されている。最終回(秋季大会東実戦)では、終盤の攻守に活躍し、勝利の立役者となっている。 『2』では偵察役を継続しつつも右翼手としてスタメンに出ることが多くなり、「チームで一番うまい」と言わしめるほどバントが向上している。竹バットでのバッティング練習を重視していた谷口に練習試合でのバントをした際に金属バット時のバントの難しさと、金属バットでのバント練習の必要性を説いた。大島工業戦ではバスター・エンドランを披露してチームを優勢に導いた。 谷口達の引退後は副キャプテンに就任し、ポジションも戸室の後任で左翼手にコンバートした。 鈴木:杉山大 谷口の同級生。右投右打。ポジションは右翼手控え。半田と共に途中から入部する。当初はダイエットが目的の入部だったが、体力があり、技術も最終的には同時入部の半田を越えるまでになり、物語が進むにつれて体格が締まってきた。夏季大会では背番号9だが専らベースコーチを務めていた。秋からは二塁手に転向するが守備に精彩を欠き、途中から入部した丸井に二塁手を譲りライトに回るが、そこでも半田にポジションを譲る格好になり、ノッカーや(部員が10名だった頃は)万が一のための救世主的な役割を担った。終盤に半田と同じく学年が一つ下がっており、丸井に同級生として扱われているが、アニメおよび小説版ではでは谷口の同級生に修正されている。性格は原作もアニメも欲がないイメージで描かれているが、アニメでは自分の実力に悩む半田を励ますなどナイスガイぶりも見せている。また半田にポジションを譲った理由も突き指による怪我が原因となっている。 島田:安齋龍太 谷口の1学年下。原作は右投右打で、アニメでは当初左投左打だったが、専修館戦で相手投手の攻略のきっかけを掴むという役割の設定上、原作と合わせるため「スイッチヒッター」となった。ポジションは1年生夏の大会時に右翼手、中山達の引退後からは中堅手。足が速く守備も上手い。丸井と共に墨谷二中を地区大会優勝に導いたメンバーの一人。谷原戦では途中から左翼に入っており一通り外野は全て守れる。経験値が高い為、1年時から9番ライトのレギュラー(背番号は12)として活躍し、秋季大会は1番打者、2年時の谷原戦では5番を任されるまでに成長した。 加藤正男:関直人 谷口の1学年下。左投左打。入部時は背番号13。中山世代が引退してからレギュラーとなった。ポジションは一塁手。丸井と共に墨谷二中を地区大会優勝に導いたメンバーの一人。同期の島田にはやや出遅れレギュラー獲得後の練習では息切れ気味になるなど、中学時代に比べると地味な役柄になってしまった。打順は8番。 『2』では井口にポジションを奪われ、控えに回る。井口が投手となる時は谷口が一塁手に入る事が多い。 松川:岩間健児 谷口の1学年下。右投右打。隅田中出身で、中学時代倉橋とバッテリーを組み、谷口がいた墨谷二中と激戦を繰り広げた。入部時は背番号11。野手としてのポジションは二塁手で、谷口の代わりに投手を務めることもある。丸井の入部後は三塁を守り、6番を打った。 中学時代の経験から、先輩相手でも遠慮のない倉橋の発言が誰よりもチームのためを思ってのことと理解している。そのため部員たちから反発を受けた際には進んで彼のフォローに回ったり、時としては静観して彼の意図をいち早く察して行動した。基本完投型ではなく先発途中やリリーフで谷口と交代する場合が多い。聖稜戦以降は公式戦に登板する描写がない(OBとの試合では先発投手)。体格がよく、スピードがあり、球質も重いなど、投手としての素質は谷口より上だが、投球術等では谷口に劣る。また、1年秋以降は攻守とも伸び悩んでいるようで、谷口や倉橋からたびたび叱咤されていた。原作では最後の試合である谷原戦で代打を送られる。 『2』では三塁手とリリーフ投手としてレギュラーを務めている。 須藤 谷口の1学年下の部員で島田達と共に入部したが、中山ら3年生の送別会以後は登場しない選手。中学時代はキャプテンを務めていたらしい。専修館戦まで背番号14のベースコーチを務めていた。 アニメでは登場しておらず、(谷口の1個下の後輩の)入部者は島田、加藤、松川の3名のみとなっている。 村瀬 須藤と同様に途中で消えてしまった選手。中学時代は4番三塁手として活躍していたという。夏季大会のベンチ枠から洩れ、須藤より早く姿を消している。 アニメ版では須藤と同じく未登場。 丸井:浅野雄 谷口の1学年下。右投右打。中学生の時は、谷口の後を継いで墨谷二中のキャプテンを務めた。谷口を追って墨谷高校を受験するも不合格になり、朝日高校に入学し軟式野球部で活動していたが、同年秋に墨谷高校に編入学する。 入学後は独学ながら硬球の使い方を練習していたことですぐに二塁手のレギュラーになり、打順も1番または2番を担うようになる。小技が上手く足も速い。試合では中学生時代に見せた長打力は打順の役割の為に封印し出塁に専念している。二塁手にも関わらず、フェンス際のライトフライを捕球したこともある。OBとの試合では遊撃手を務めていた。 原作での登場は、専修館戦後の谷口の自宅への激励と編入後のみだが、アニメでは田所たちとの壮行試合で対戦相手を買って出るなどイガラシ共々出番が増えている。 『2』では自分の実力を過信し礼を欠いた言動をとる井口に腹を立てて勝負を持ちかけ、谷口の裁量で勝利。その後、彼の意を汲んで再起を目指す井口の居残り練習に付き合い、成長に貢献する。夏の都予選では東都実業戦で激走を見せてナインが奮起するきっかけを与える。 準決勝の谷原戦では、8回裏の守備でコールド負けの危機を阻止したが、サヨナラ負けに終わり谷口達を甲子園に導けなかった悔し涙を流した。編入生であることから次期キャプテン就任に難色を示したが、谷口の推挙でキャプテンを引き受けた。 イガラシ:佐藤ミチル 谷口の2年後輩。右投右打。丸井の後の墨谷二中のキャプテン。その非凡な野球センスは丸井が中学3年時に4番を打っていたほどである。原作では終盤で墨谷高校に入学するが、アニメでは描かれていない。谷口の方針では「攻守の穴を埋める適任者」として、投手ではなく野手に専念させていたが、『2』からは公式戦に備えて投手としての練習もスタートさせる。春の選抜で甲子園に出場した谷原高校との練習試合で松川の代打で出場し、そのまま遊撃に入る(横井が三塁に回る)。 なお、アニメでは丸井と共に頻繁に登場するが、原作では冒頭と終盤の入学してからのみの登場である。 『2』では恵まれた体格の幼馴染である井口に対してコンプレックスを抱き、反発故に投手においても負けまいと意地になっていた。倉橋からも「天才イガラシ様」と皮肉を言われたが、全国中学大会を制覇したセンスは谷口も倉橋も認めており、その名は他校にも知れ渡り要注意選手と評されている。聖陵戦で先発した際は6回までノーヒットノーランを保っていたがペース配分と無理が元で失速して追いつかれ、身体を休めることの大切さを学ぶ。 井口源次 谷口の2年後輩。左投左打。江田川中学出身。過去にイガラシと同じチームに所属、中学時はライバルであり『キャプテン』にも登場した。田所の勧誘により墨谷高校に入学する。投手としても野手としても優秀である。欠点は鈍足で谷口に「ウエイトを絞る必要がある」と指摘される。谷原戦では途中で戸室に代わって中堅手として入った(左翼手には島田が入る)。 陰日向がなく大らかな性格をしているが、悪く言えば無作法で調子に乗りやすい面がある。上級生に対しても同じような感覚で接してしまったため、上下関係に厳しい丸井を怒らせ、谷口からも厳しい忠告を受けることになる。また、頭に血が上るとみさかいがつかなくなり、イガラシによると小学生の時に先生を殴って停学になったこともあったという。 『2』では丸井との勝負には勝ったものの、過信が抜けていないことに加えて硬球に慣れておらず、投球が単調になっている点を谷口から指摘され『投手としての起用はしない』と明言される(ただし、墨谷唯一の左腕投手として、谷口はどうしても実戦で使用したく、彼を発奮させる為と後に田所に明かしていた)。しばらくは結果を受け入れていたが丸井の叱咤と協力もあっての居残り練習やバッティングピッチャーを通じて硬式野球の難しさを痛感。師岡高校との練習試合後半でリリーフ登板した際には見違える投球を見せる。一連の出来事を経て倉橋と田所に「僕の考えが甘すぎたのかもしれないっす」とそれまでの非礼を謝罪したり、四回戦の大島工業戦で勝利投手への欲を出して片瀬の起用を渋ったり、失点を招いたことを「自分の心に隙があった」と猛省するなど精神面でもレベルアップが見られるようになっている。以上の点から中学よりレベルが高い高校野球の難しさや対人関係における分相応を理解したことによって、江田川中(および墨谷入学当初)時代に見られた不遜な態度は先輩に対してとらなくなった。特に谷口、倉橋、丸井に対して頭が上がらない場面も見受けられ、聖陵戦では功を急ぐイガラシに不安を抱いていた。 キャプテン2では2年生に進級し、入部した近藤の技術面と言葉遣いの指導をしている。 松本 イガラシ達の同級生。右投右打。不安視されている右翼手の半田の代わりとして谷原戦に途中出場した有力な選手。同名の谷口の上級生の「松本」とは違い小柄な選手。『2』以降は未登場。 久保 イガラシ達の同級生。右投右打。谷口や丸井の墨谷二中時代の後輩でイガラシの中学時代のチームメイト。墨谷二中時代は外野手で3番を打っていた。彼の世代は田所の勧誘もあり部員が多数集まりレギュラーの競争率も激しくなっている。丸井からも「すぐにポジション獲れなくても腐るなよ」と念を押されていた。 アニメ版では墨高との壮行試合に登場した。 片瀬 イガラシ達の同期。リトルリーグに在籍していた投手で優勝経験もある。中学の軟式野球には参加しておらず、高校から再度硬式野球に参加する事になった。ただし、中学全国大会で活躍したイガラシ、久保の存在は知っていた。丸井からも「礼儀正しく、腰の低い男」と好印象であった。右投げで谷口の方針ではイガラシ世代での投手は彼と井口のみである。 『2』でも登場しているが、谷口世代では試合に使われる事はないとされていた。しかし、3回戦の大島工業戦で右翼手として途中出場を果たす。 部長:小室正幸 墨谷高校の教員で野球部顧問。名前は不明。原作では谷口が1年の頃は台詞だけでその存在が語られており、2年時の秋季大会後にようやく姿を現している。部活と学業の両立のため、成績が停滞気味な野球部に勉強会を行う。谷口達部員は迷惑気味であったが、田所から「所沢市在住で片道2時間かけて通勤しているにもかかわらず勉強会に付き合うのは、お前達の学業を本気で心配してる証拠」と真意を聞かされ、彼の好意に感謝する事になる。勉強会中に田所が新人勧誘報告に来た時も、さり気なく席を外す気遣いをみせていた。野球に関しては素人であり、他の先生の「甲子園でも狙ってるんでしょう」という言葉に対し「何です、その“甲子園”ってのは」と質問するほどであったが、勉強会かたがた野球部の活動を見守るうちに野球を見る目もできてきたらしく、松川のスランプに気付くなど田所を驚かせるまでになった。 『2』では夏の予選大会を前に居残り練習を続ける部員達をたしなめたり、谷口達の引退後には甲子園出場のために倉橋の提案を受け入れて、予備校に通いながらそれまで不在だった野球部の監督就任を谷口に打診する。 アニメでも登場したが、ベンチで居眠りをする描写のみであった。「部長先生」と呼ばれていた。 小説版では顧問と監督を兼任し、″伏野″という苗字も追加された。 OBの先輩たち(墨高野球部後援会) 谷口が入部する以前の弱小だったころの元野球部員。田所を含めて社会人で主に構成されている。中山たち引退の「お別れ会」と「OB会」を合同で企画し、部員たちにうな丼、餃子などのご馳走でもてなした。墨高のグランドの狭さに悩む現役部員に対し河川敷の野球場を週2回、1年間借り切り提供するなど気前が良い。が、野球の実力は乏しく現役部員との交流戦を行ったが相手にはならなかった。それを理解したOBたちは現役部員の練習に協力する器量の良さをみせた。 アニメではエピソードがカットされた影響から未登場で、中山達の送別会も田所達4人の気遣いと主催によるものとなっている。 一ノ瀬、安西、藤村 佐々木、村松、松本に代わりに小説版で登場する田所の同級生部員。
※この「墨谷高校野球部」の解説は、「プレイボール (漫画)」の解説の一部です。
「墨谷高校野球部」を含む「プレイボール (漫画)」の記事については、「プレイボール (漫画)」の概要を参照ください。
- 墨谷高校野球部のページへのリンク