「のっぺら坊」と刺青の脱獄囚
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「ゴールデンカムイ」の記事における「「のっぺら坊」と刺青の脱獄囚」の解説
「のっぺら坊」と呼ばれる男により、身体にアイヌの金塊の隠し場所に関する暗号が記された刺青を彫られた囚人たち。中には金塊に興味がなく、脱獄を目的として刺青を入れた者もいる。小樽へ向かうよう指示され、暗号を解くため脱獄当初は全員が一緒に行動していたようだが、殺し合いが始まったことで逃亡者が出て散り散りとなった。 脱獄囚は総勢24人いるとされ、第260話(単行本第26巻)の時点で、下記の20人の他に、第七師団に捕縛・殺害され、鶴見が刺青人皮として身につけている「33人を殺害した津山という囚人」、「茨戸で刺青人皮として取引きされていた囚人」、「夕張の炭鉱事故で死亡した囚人」の存在のみ言及されている3人を含めた、計23人が登場している。 のっぺら坊(のっぺらぼう) 声 - 東地宏樹、相馬康一(偽のっぺら坊) 網走監獄の「第弐拾四房」に収監されている死刑囚。本名は不明で、頭部全体を含む皮膚と顔面の耳や鼻が剥脱・欠損した異様な風貌のためこの名で呼ばれる。アイヌが秘密裏に蓄えていた金塊を、和人に抵抗する軍資金として持ち出した際にアイヌ7名を殺害・強奪したとされ、金塊を隠した後に、支笏湖で警察に捕まり網走監獄に収監。金塊の隠し場所を知ろうとした看守から片足の腱を切られ、行動の自由を奪われたため、監獄の外にいる仲間に金塊の隠し場所を伝えるべく、同房になった囚人らの身体に刺青を彫り「脱獄に成功した者には金塊の半分をやる」と脱獄を促した。しかし、彫られた刺青は分割された暗号になっており、皮を剥いで全て繋ぎ合わせなければ解読できないため、脱獄囚達は「刺青人皮」として最後には殺害される役回りである。目的が一致している土方に対してのみ、実際の埋蔵金は他囚人に語った量の千倍である2万貫(約75トン、2015年時換算で約8千億円)と告げた。 彼が金塊を託した相手が「小樽の小蝶辺明日子」、すなわちアシㇼパだったこともあり、キロランケが彼の正体はアシㇼパの実の父・ウイルクであると杉元一味に語り、それを確認するために一味は網走へ向かうこととなった。一方で、インカㇻマッの占いではウイルクではないと出ていたが、網走に近づくにつれ占いの結果は変わってゆき、最終的に五分五分となっていく。土方は金塊強奪後の移動経路から、彼とその仲間は極東ロシアのパルチザンと推察している。 網走監獄典獄・犬童は、彼の身柄を確保し邪魔者を排除するため囮の偽物まで用意していた。本物の正体はウイルクであったが、網走監獄襲撃時に頭部などを狙撃され死亡した。遺体は、重傷を負った杉元とインカㇻマッと共に第七師団に回収された。 後藤(ごとう) 声 - 青山穣 殺人犯。泥酔して妻子を刺殺した罪で服役していた。酒代稼ぎに少量の砂金を採っていた飲兵衛の男で、砂金が採れずに不貞腐れていた杉元へ、酔いに任せてアイヌの金塊に纏わる噂を語った翌日、話した内容に怖気づき杉元の口封じを試みるも失敗し、山へ逃亡するが羆に首の骨を折られて捕食され、羆を倒した後の杉元によって刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。 射殺された脱獄囚 声 - 山本兼平 姓名は不詳。小樽にて刺青の囚人を探して売春宿の呼び込みである妓夫太郎(声 - 山本格)などに聞き込みを行っていた杉元らを見つけ後を追うが、逆に彼らが仕掛けた罠に捕らえられた。囚人が脱走中に殺し合いとなり散り散りになったことと、刺青を彫った人物が「のっぺら坊」であることを杉元に伝えたところで尾形に射殺され、杉元によって刺青人皮となる。白石は刺青人皮を見ても彼の存在を知らず、「ただの雑魚だろう」と言った。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。 白石 由竹 杉元一味の項の白石 由竹を参照。 土方 歳三 土方一味の項の土方 歳三を参照。 牛山 辰馬 土方一味の項の牛山 辰馬を参照。 二瓶 鉄造(にへい てつぞう) 声 - 大塚明夫 多弁にして豪放磊落、単独で過去200頭超の羆を屠り、入山先の羆を全て仕留めると謳われ、同業者界隈から「冬眠中の羆も魘される悪夢の熊撃ち」と名が通り恐れられている初老の猟師。猟の伴としてアイヌ犬のリュウを連れ、日清戦争で戦死した一人息子の形見で銃床に7つの傷の入った旧式の十八年式単発銃を愛用する。口癖は「勃起!!」。 知力と体力を駆使して動物・人間問わず獲物を狩る興奮に執着する。自身を山で生きる獣同様に考えており、「殺すか殺されるか」の覚悟を決めた一発勝負を羆に挑むべく、単発銃ながら予備弾を用いない信念を持つ。10年以上前に道東アイヌのキラウㇱと共に羆を狩ったことがあり、彼から「この山の熊がすべていなくなるかと思った」と言われるほど、その腕前を賞賛されていた。恐れ知らずのように見えてたびたび「女は怖い」と語る。妻と15人の子供がいるが絶縁状態である。なお戦死した一人息子以外の14人は娘である。 数年前、猟師を銃殺し獲物を横取りしては金を稼いでいた輩3名に物陰から狙われ、憤慨して殺害したため網走監獄に収監された。金塊の在処には頓着無く、狩りの果てに山で命尽き、その身が獣に喰われ排泄物と化す終の生き方を率先すべく、刺青を入れて脱獄に加わる。山中、行き倒れていた谷垣を救助した際、既に絶滅したと思われていたエゾオオカミの存在を知って猟師魂が猛り、最後の血脈に留めを刺し途絶えさせた猟師としての偉勲を立てるべく全てを賭して獲物を追うが、勝利を確信した直後、背後から現れた雌のエゾオオカミに首を噛み切られ致命傷を負う。狩りは未遂に終わるも、充実した己の有様に満足しつつ息絶えた。その後、杉元の手により刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。 辺見 和雄(へんみ かずお) 声 - 関俊彦 連続殺人犯。一見温厚な性格の漁師の成人男性だが、その本性は100人以上を殺害してきた快楽殺人者。子供のころに弟が巨大な猪に襲われて喰い殺される様を目撃して以降、必死の抵抗に命の煌めきを感じ、また同時に虚しく死にゆく人の虚ろな目と姿に欲情と憧憬を抱いている。 弟のような死に様を求めて殺人衝動に駆られ、また自身を殺してくれる圧倒的な強者を見つけるべく犯行を重ねながら各地を放浪。脱獄後は鰊番屋で寝起きし鰊漁に従事する季節労働者である「ヤン衆」として潜伏しつつ、治安組織から追跡されるよう刺殺体にわざと痕跡を残していた。 鰊漁出航時にクジラの激突で船から転落、溺死寸前のところを杉元に救助されたが、同房だった白石が別行動中だったため刺青の脱獄囚とは気づかれなかった。出征経験のある杉元の人を殺めることへの覚悟に共感し、この人に殺されたいと理想の死を遂げるべく杉元の襲撃を決意する。 自身を追ってきた第七師団から杉元を匿おうと手引し師団兵を殺害するが、反撃を受け被弾。その身を案ずる杉元に手を取られ浜辺を逃走中、鉢合わせした白石に正体を暴露されると背後から杉元を強襲。すぐさま反撃した杉元にトドメを刺されるその瞬間、突如現れたシャチに攫われ、想像を超えた本懐を遂げる煌きの中で嬲られながらも歓喜の声を上げ昇天する。その遺体は杉元に回収され刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。 家永 カノ(いえなが かの) 声 - 大原さやか キャッチフレーズ - 殺人ホテルの支配人 口元のホクロが特徴の妖艶な若い美女に見えるが正体は女装した天才外科医の老人男性。「カノ」は偽名であり、本名は「親宣(チカノブ)」。 身体の不調部と同じ部位の食材を食べることにより回復が得られるという「同物同治」に確たる信念を持ち、「最高の自分」に固執している。同物同治は中国医学の概念のひとつで、通常は食用家畜の該当部位を食するが、家永は人間の該当部位を食することに固執する。普段は礼儀正しい温厚な人物だが、食人に関しては見境ない一面もある。老齢もあって身体能力は低く、拠点で留守を預かる場面や長距離移動で乗馬する場面が多い。なお獲物を捕らえる際には、主に隙を突いてガスや薬品等で眠らせ拘束する。 患者を殺害しては遺体を利用していた罪で収監されていた。脱獄後は「札幌世界ホテル」の所有者を消し、若く妖艶な外見の女将に身をやつし、ホテルに施した隠し通路や仕掛けを使い、欲する部位を持った宿泊客に目星を付けてはガスで眠らせ地下室に監禁して拷問の末殺害、バラバラに解体して「同物同治」の餌食としていた。 牛山がホテルを訪れ、間を置かずに杉元らが来客し、牛山の強靭さとアシㇼパの瞳を狙うことにする。刺青を巡って騒動になるのを懸念して白石を監禁するも、結局身元が割れ、脱出した白石から手投げ弾で反撃され、眠るアシㇼパの瞳に手を出そうとしたことに激高した杉元と、酔いと性欲で我を失った牛山の大乱闘に巻き込まれる。収拾つかず観念した家永がホテルを焼失させる装置を作動させたことに加え、白石が誤って地下室に落としたキロランケの爆薬と合わさり大爆発してしまい、寸でのところで牛山に救出される。同じ刺青脱獄囚の若山 輝一郎が男娼を伴い宿泊していた情報を明かし、その後は牛山と共に土方一味に合流する。 網走監獄襲撃時、永倉新八と一緒にコタンで待機していたところを第七師団に捕縛され、杉元救命のため脳外科手術を行った。その際に杉元の脳をつまみ食いした影響からか「アシㇼパさぁん」と叫ぶこともある。 小樽の病院から身重のインカㇻマッを逃がそうとした際、月島に射殺された。 若山 輝一郎(わかやま きいちろう) 声 - 銀河万丈 ヤクザの親分で博徒。逆手に握った仕込み刀の一閃で並居る商売敵を斬り伏せ伸し上がったほどの剣客でもある。上半身には倶利伽羅紋々があるため、他の脱獄囚と違い、暗号の刺青は下半身に彫られている。 脱獄後は茨戸の賭場争いの支援に子分を送り込みつつ、子分の仲沢と共に札幌に滞在後、日高の牧場で馬を買い、苫小牧競馬場で八百長を命じていた。しかし代役騎手のキロランケが八百長の指示を無視したため大損、仲沢を連れてキロランケを追い日高の空き家で一服していたところ、赤毛羆に追われるキロランケたちと遭遇。即興で家主に成りすますも、若山の男娼買いに気分を害していた仲沢の当て付けにより企てが破綻する。3頭の赤毛羆に包囲され撃退可能な装備を失った窮地の中、杉元らとの丁半博打で負けた若山が屋外に落ちている銃弾を回収したが、土饅頭となり餌にされかかるも逃れて機関銃を携え再登場、最期は羆に襲われた仲沢を助けるため深手を負いながらも羆を討ち斃した末、仲沢と手を握り合いながら死亡した。見届けた杉元の手で刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。 鈴川 聖弘(すずかわ きよひろ) 声 - 楠大典 老齢の詐欺師で、変装の達人。身体能力が低いため当初は雑魚と思われていたが、事前の周到な下準備と相手の心理を突いた巧みな話術で、相手を信用させる能力は杉元を感心させた。アメリカ軍大佐になりすまし、富裕層の女性に対する幾つもの結婚詐欺の咎で服役していた。薩摩弁を習得している。 脱獄後、政府の高官に扮して樺戸集治監を訪れ、内部から多くの囚人の脱獄の手引きをした。その後、樺戸近くのアイヌのコタンを襲い男を全員殺害、女は脅して妻役とし、コタンを乗っ取って熊岸に偽札作りを命じていた(偽アイヌ村事件)。自身は「村長・レタンノ エカシ」を名乗り、他のアイヌに扮した囚人らと共に、訪れる旅人の寝込みを襲い殺害していたが、杉元らとの乱戦で捕縛される。 その後、第七師団に捕えられた白石奪還への協力を命じられ、網走監獄の典獄である犬童に扮し、杉元と共に旭川の司令部に向かう。熊岸長庵と白石の交換を持ち掛け、淀川中佐を騙す寸前まで行くも、鶴見の命を受けて駆けつけた鯉登少尉に見破られ射殺される。死後、彼の刺青人皮は第七師団の手に渡る。 坂本 慶一郎(さかもと けいいちろう) 「稲妻強盗」と呼ばれる連続強盗犯。象皮のような足裏を持ち、韋駄天のごとき健脚で、素足で一日に約200キロも走り続け逃げ切ったとされる。 一度は樺戸に収監されたが脱走、途中で同じく強盗の蝮のお銀と出会い夫婦になる。二人で銀行や郵便局を襲うことで、夫婦は反権力の象徴として世間の注目を集める。網走からの脱走後にお銀と再会すると、小樽にて土方の部下を従え賭場を襲撃、刺青人皮を手に入れようとするが、第七師団に建物ごとを包囲される。自らを囮に夫婦で脱出を果たすが、鯉登の追跡を振り切ることができず、鶴見に機関銃で射殺される。刺青人皮は第七師団の手に渡る。 モデルは実在の強盗犯、坂本慶次郎。 姉畑 支遁(あねはた しとん) 声 - 堀秀行 学者。北海道の動植物を調査する傍ら野生動物と獣姦したり、穴が開いた樹木でオナニーを行う歪んだ性嗜好の持ち主。動物を愛していながらも、獣姦した後の動物を殺すなど身勝手な一面を持つ。 各地で家畜を殺し回り、見つけた牧場主に大怪我を負わせた罪で服役していた。脱獄後は、羆を誘き出すべく北海道東部のアイヌにとってカムイであるエゾシカを穢し惨殺したため追われる身となる。偶然出会った谷垣らが油断したところで彼の村田銃を奪い、カムイを穢す犯人に仕立て上げた。釧路の大湿原で3日彷徨いようやく羆を見つけ、獣姦を成し遂げるも過度な興奮により腹上死、杉元の手で刺青人皮となる。網走監獄襲撃後は、杉元と結託することになった第七師団へ渡った。 都丹 庵士(とに あんじ) 声 - 水島裕 按摩。盲目の老人。耳に左右で向きが違う集音用の覆いを付けており、舌を鳴らして反響した音を拾うことで周囲の状況を把握し盲目ながら常人と大差なく行動できる。その舌を鳴らす音は下駄の音に似ており、近隣の住民からは「天狗の下駄音」と恐れられる。聴覚が異常に発達しているため、常人以上に爆発音等の騒音に弱い。チョッキを着ており、装備はモーゼルC96。白石、土方と面識があり、後者には敬語で接する。 網走に収監された経緯は不明だが、1896年(明治29年)まで囚人の手で行われた硫黄山での硫黄採掘によって失明し、その後に暗号の刺青を彫られた。脱獄後は、犬童が秘密裏に再開した硫黄採掘によって失明し脱走した囚人たちを率いる盲目の盗賊団の親玉として、屈斜路湖周辺で強盗を繰り返しており、杉元らを犬童や硫黄山の鉱山会社からの刺客と勘違いして襲撃する。その最中に土方の仲裁が入り、犬童への報復のため土方に従い網走監獄の侵入に協力する。犬童の攻撃により重傷を負うが復帰する。 岩息 舞治(がんそく まいはる) 声 - 三宅健太 格闘家。坊主頭で大きな瞳、メガネをかけ、日本人離れした屈強な肉体をもつ巨漢。殴ることを自己表現と考えており、人生の大半を監獄で過ごす。網走監獄でまともに戦える相手は牛山ぐらいで、殴り合いだけなら勝ったこともあると語る。また殴られても「良い良い良いッ」「全員同時に(殴って)来て欲しい」「もっとォ」と叫ぶなど、殴られることをむしろ喜んでいる節もある。 網走に収監された経緯は不明。アイヌの金塊には興味がなく、脱獄後は海を渡り南樺太に逃亡し、現地で賭けスチェンカ(ロシア語版)を始めた。アシㇼパを追って樺太へ渡った杉元・鯉登らとスチェンカで闘うが和解。刺青人皮を写させた後、金塊を狙う者の手の届かない大陸の西方面へ向かう道中、ソフィアと出会う。 土井 新蔵(どい しんぞう) 声 - 清川元夢、小野大輔(若年期) かつて幕末の京都などで活躍していた人斬り。名前は偽名で、幕末の頃は人斬り用一郎(よういちろう)として恐れられていた。そのため、暗殺した人物の親族などから仇として常に命を狙われている。詳細は不明だが、勤皇派の「先生」が唱える身分差別のない理想の国を作るため汚れ仕事を請け負っていたが、その「先生」から切り捨てられたらしき描写がある。公式ファンブックでは、土佐国出身。 30年ほど前に根室のコタンに流れ着きアイヌの女性と出会って結婚し、人としての生活を取り戻したが、8年前、土井に恨みを持つ者に妻が人質として囚われたため、犯人を斬り殺して網走監獄に入った。妻の命が長くないことを知って脱獄し、妻の最期を看取った後はすっかり老いさらばえ、ヤン衆の中などでひっそりと暮らしていた。失禁や幻覚など、認知症のような行動が見られるものの、剣客としての腕前は今なお健在。 エトピリカを手掛かりに釧路から追いかけてきた土方と相対し敗北。大傷を負うが、「楽にする」という土方からの斬首の申し出を断り、絶命。妻の死を看取れたことに満足している。好物はチタタㇷ゚。 関谷 輪一郎(せきや わいちろう) 阿寒湖近くに潜伏している元家畜獣医。戦闘力はないが狡猾であり、網走監獄収監までにストリキニーネ、青酸カリ、ヒ素、フグ毒などを使って30人の殺人を犯したと話す。肝も座っている。刑期中も囚人を毒殺し若山と同房だったこともある。 過去に日曜日に教会に通う道中、幼い娘を落雷事故で亡くし自分は生き残ったことから、神の存在を試すようになり、その毒殺は運次第で生き残れるロシアンルーレットのような形をとる。 土方・牛山・門倉に毒を飲ませることに成功するが、土方は若い頃に薬売りしていた時の知識を活かしトリカブトとフグ毒の拮抗作用を利用して生還。虚を突いた土方に致命傷に負わせられるも、その様を見て「神はいた」「ようやく自分に裁きを与えた」と満足して死んでいった。 松田 平太(まつだ へいた) 砂金採りの名人で、ぎょろ目の小柄な男性。万年筆のペン先の材料としてにわかに価格が高騰していた砂白金を獲って1日50円を稼いだこともある。杉元に命を救われたことで砂金採りのコツを教える。アイヌの煙草入れとヒグマの毛皮を持ち歩いている。杉元達からは「平太師匠」と呼ばれる。 実は網走監獄に収監されていた死刑囚の一人。多重人格者で、自身のほか家族三人分とウェンカムイ(人喰いのヒグマ)の5つの人格を持ち合わせており、「道東のヒグマ男」と言われて恐れられていた。ウェンカムイ状態にトランスすると人としての人格は失われ、人体を食いちぎる程の怪力を発揮して襲い掛かる。その人格からカニバリズムも行う。杉元を容易に投げ飛ばす程の屈強な肉体の持ち主。 少年時代から砂金採りをしていたが、自身の家族はその金を浪費しその日暮らしをしていた。欲深い家族に罰を与えたいという思いから、ヒグマの習性を利用してヒグマの食い残しを自宅まで持ち帰り、家族は羆害に遭い死亡、自身だけ生き残る。 幼い頃に聞いたウェンカムイの話について誤った解釈をしており、「人間を罰する悪い神様」だと思っている。その考えは変わらず、ずっとウェンカムイの妄想に取り憑かれている。上記のように脳内には殺された家族がおり、常に一緒に行動していると思い込んでいる。脳内で家族が一人一人熊に殺され、最後に自分自身が殺されて「ウェンカムイ」の人格に成り替わり、罪のない人間を食い殺し、肉が爆散して元の自身に戻るのだと門倉に語っていた。 杉元一行と砂金探しをしていたが、アシㇼパに看破された事で、ウェンカムイの人格となり杉元を攻撃。しかし揉み合っている際に元の人格へ戻り、アマッポ(アイヌの狩猟の仕掛け弓矢)の紐を自ら引いて自害する。死に際に「あいつに勝った」と言って自身の生い立ちを語り、杉元達に感謝して息を引き取る。 海賊 房太郎(かいぞく ぼうたろう) 元人夫で素潜りの達人。膝まで伸びた長髪に面長のサスペンダー姿の男性。足袋を履く。大柄な体格に加え、足のサイズが36cmもあり、手の指の間には水掻きが発達しており、水深200mを30分にわたり潜水し続けることが可能。それだけでなくワニのように水中から急浮上し船に上がる事も可能にしている。水中では自身の髪を相手の首に巻き付け絞殺に使う。自動車の操縦も可能。本名は大沢 房太郎(おおさわ ふさたろう)。白石の能力を評価している。 子供の頃から木材を川で運搬する人夫として働いていたが、人を水中へ引き込み溺死させる強盗に手を染めるようになる。55件の強盗殺人のほか、多数の傷害、放火、窃盗を犯した重犯罪者。14人家族だったが疱瘡で全員死に、村八分にされた過去から、追い出されない居場所を求め、東南アジアの島に自分の王国を作る事を野望としている。網走監獄の脱獄後の1907年、松田平太の協力を得ながら支笏湖に沈んだウイルクの木舟を確認した。一度は杉元らと交戦するが、独自に集めた情報を握っていることから、刺青人皮を失った状態で鶴見・土方勢力を出し抜くための手段を求めた杉元らと協力する。 上エ地 圭二(うえじ けいじ) 道化師。顔含めた全身にお手製の刺青をしている。三つ編み。男児の殺害願望を持つ。相手の残念がる顔が見たいが為に常習的に嘘をつく。父親は箱館戦争で武功を挙げた新政府軍の軍人。金塊には興味がなく、自らの入墨を判別不可能に上書きしており、それを争奪戦の真っ只中で明らかにすることで失望を誘おうとするが、その頃には杉元・鶴見・土方らは必ずしもすべての囚人の刺青人皮が必要ではないことがわかっており、まるで興味を持たれなかった。直後に煙突から足を滑らせ、窓に写った自らの残念がる顔を見て狂喜しながら落下死する。 マイケル・オストログ 日本における外国人初の死刑囚。カール髭の50代くらいの見た目の白人男性。国籍不明でカタコトの日本語を話す。下腹部から陰茎にかけて生まれつき痣がある。貿易船で密入国を果たし横浜で娼婦を多数殺害し網走に収監された。その正体はジャック・ザ・リッパー。自身を聖母マリアにおけるイエス・キリストのように処女から生まれた神の子だとし、脱獄後、札幌にて自身の道理から外れる娼婦を断罪の意味を込めて殺害し現場で聖なる水・精液を残し清めるという連続殺人を行っていた。実際には自身が娼婦の息子というコンプレックスであった。赤子の時、寺院に拾われている。 鶴見・土方の両勢力から狙われることとなり、逃れる最中にアシㇼパを見つけて襲うが、交戦中に現れた杉元に銃剣で腹を割かれて内臓を引き出されたまま窓から蹴り落とされ、落下場所に居た牛山に頭部を粉砕された。
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