石鹸 分類・種類

石鹸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/22 17:44 UTC 版)

分類・種類

身体用石鹸

人の身体に用いる石鹸である。各国で薬事法などの規制を受ける。 下位分類に浴用石鹸ボディーソープ)、洗顔用石鹸手洗い用石鹸ハンドソープ)、薬用石鹸などがある。

固形・粉石鹸はナトリウム石鹸で、液体石鹸・ボディーソープ・シャンプーは溶解度の大きいカリウム石鹸である。また、ナトリウム石鹸・カリウム石鹸を併用したものもある。なお「合成固形石鹸」は石鹸ではない。日本の医薬品医療機器等法では「化粧品」という行政的な分類枠(日本の行政独特の分類用語)で扱われている。

なお日本語には「化粧石鹸」という言葉があるが、これは一筋縄にはいかない言葉であり[2](ややこしい言葉であり)、身体用の固形石鹸を「化粧石鹸」と総称することが一般に行われてもいる[2]が、その一方で「洗顔石鹸」と「浴用石鹸」をひっくるめたものを「化粧石鹸」と呼ぶこともある[2]。なおいずれの場合も「化粧石鹸」は通常固形石鹸だけを指し、液体石鹸を含めないので、液体のボディソープや練り状の洗顔フォームなどは「化粧石鹸」と呼ばれていない[2]。(なぜ日本語にはこんな妙な言葉があるかと言うと、日本の法体系では薬事法によって、「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」という行政的な枠を用意して、(純粋に物質としての性質での判断でもなく、実際の使用者が想定している用途でもなく)かなり行政的な理由からそのいずれかに押し込むようにして申請され、分類されるわけで、「化粧品」の枠で申請された製品は効能をうたうことはできず、「医薬部外品」という枠で申請した製品は(法的な規制上も)一定の効能をうたうことができ「薬用石鹸」という分類になる、ということになるが、つまるところ薬事法での「化粧品」という行政用語での分類法が影響してしまって、「化粧石鹸」という(妙な)言葉が使われる(つまり、本当はほとんどは化粧用でもない石鹸なのに、なぜか「化粧石鹸」と呼ばれる、という奇妙な現象が起きている)原因になっているわけである。

薬用石鹸
殺菌消毒用。身体の一部や食器、布巾などの殺菌消毒目的。「逆性石鹸」や「両性石鹸」は石鹸ではない。トリクロサンやトリクロカルバンなどの殺菌成分を配合したものがある。日本の医薬品医療機器等法では医薬部外品として扱われている。
日本薬局方薬用石ケン[10]
日本薬局方に収載されている医薬品で、医療用洗浄剤、リニメント剤坐薬の基剤、瀉下浣腸に用いる。殺菌消毒用ではない。白色ないし淡黄白色の粉末または粒で、臭いがある。

※なお日本の薬事法上での申請や分類がされていない石鹸、薬事法で用意された「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」という分類枠のいずれにも分類されていない石鹸を、巷では「雑貨石鹸」と呼ぶことがある。たとえばペット用石鹸、輸入石鹸、手作り石鹸(後述)などは日本で薬事法にもとづいた申請は行われていないので、いわゆる「雑貨石鹸」である。日本で販売する時には、当然、効能などは謳えない(また場合によっては、用途もはっきり明記できない場合もありうるが、「ペット用石鹸」とは書ける。)。

身体以外用石鹸

洗濯用石鹸
手洗い向けの固形石鹸と、洗濯機向けの粉石鹸。合成洗剤より高価だが、水質汚染、皮膚炎、蛍光剤による衣類の褪色を避ける効果が期待できる。水温が高いほど洗浄力が上がることから、風呂の残り湯を利用することが多い。また、石鹸かすの残留による黄ばみを抑えるため、クエン酸が使われる。
台所用石鹸
使用済み食器の洗浄、食品の寄生虫卵除去用。食器が滑りやすく、破損リスクが高い欠点がある。近年普及した食器洗い機は構造上石けんが使用しにくいが、成分を調整した製品もある。

形状別

液体石鹸とレフィル(詰め替え用)

鹸化に使用するアルカリによって固まりやすさが変わるため、固形と液体は製造段階で分かれる。水酸化カリウムで鹸化したものはカリ石鹸(脂肪酸カリウム)、水酸化ナトリウムで鹸化したものはナトリウム石鹸(脂肪酸ナトリウム)と呼ばれ、カリ石鹸はナトリウム石鹸より融点が低い。

固形石鹸(Bar soap
ナトリウム石鹸を手に収まるサイズに成形したもの。ただし、洗濯石鹸ではキログラム単位のものもある。乾燥するとひび割れる事から、防湿包装される。プラスチック包装が普及するまではパラフィン紙(グラシン紙)が用いられた。
紙石鹸
固形石鹸を紙のように薄く削いだもので、手洗い一回分として携帯用や、駄菓子屋で売られていた(女の子向け)。
粉末石鹸
主に洗濯用石鹸の形状。必要量を計量しやすく、溶かしやすい。
液体石鹸
常温でゼリー状から粘液状になるカリ石鹸を適度に加水したもの。固形石鹸より割高だが、洗浄効果や節水で有利であるほか、ホテルなど宿泊施設では管理面で有利(減った分だけ補充すればよい)なため普及している。手洗い用(ハンドソープ)と浴用(ボディソープ)があり、前者は殺菌と洗浄を、後者は香料や保湿を重視している。液状以外にゲル状、状(プッシュ式容器による)の製品がある。

石鹸ではないもの

界面活性剤として脂肪酸塩を利用していないため該当しないが、一般に、または法令上「石鹸」とされているもの。

逆性石鹸(陽性石鹸)
界面活性剤として脂肪族アミン第四級アンモニウムイオン)を用いる。界面活性を持つイオンが陽イオンであるため、陽イオン界面活性剤に分類される。石鹸の脂肪酸イオンは陰イオンであり、性質が逆なので逆性石鹸と呼ばれる。洗浄力は低いが殺菌力が強く、殺菌剤・消毒薬に利用される。なお、石鹸と混合すると界面活性剤同士が中和反応を起こして相殺し、効果が減じる。
両性石鹸
両性イオン界面活性剤に分類される殺菌剤。消毒薬に利用される。普通石鹸と混合しても殺菌力がある程度維持される。
ステンレスソープ
金属のイオン性を利用した臭い消し製品。作用原理が全く異なる。



  1. ^ 一般用語としての石鹸と化学用語としての石鹸は重なり合う事が多いが、化学的には石鹸じゃ無い物が一般的に石鹸であったり、その逆もある。
  2. ^ a b c d e f g 日本石鹸洗剤工業会
  3. ^ おふろ宇宙航空研究開発機構
  4. ^ a b c d e f 暮らしの中の石けん・洗剤”. 日本石鹸洗剤工業会. 2019年10月17日閲覧。
  5. ^ サポニンを多く含む、エゴノキムクロジなど。インドではリタ(reetha)、ソープナッツとも呼ばれ、現在も粉末が利用されている。
  6. ^ 石鹸洗剤の歴史日本石鹸洗剤工業会
  7. ^ シリア 千年の潤い|中東解体新書 - NHK
  8. ^ a b ティドビット〜水まわりのまめ知識〜”. TOTO. 2013年5月25日閲覧。
  9. ^ 石鹸業界における流通の変遷 : 石鹸業界の誕生から統制解除まで 宝子山 嘉一 2017年8月26日
  10. ^ 日本大百科全書. “薬用石ケン”. コトバンク. 2020年3月22日閲覧。
  11. ^ 日本石鹸洗剤工業会「石けん洗剤知識」を一部改変
  12. ^ Kawahara, Takayoshi; Akiba, Isamu; Sakou, Megumi; Sakaguchi, Takemasa; Taniguchi, Hatsumi (2018-09-27). “Inactivation of human and avian influenza viruses by potassium oleate of natural soap component through exothermic interaction”. PLOS ONE 13 (9): e0204908. doi:10.1371/journal.pone.0204908. ISSN 1932-6203. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0204908. 
  13. ^ シャボン玉石けん、天然石けん成分「オレイン酸カリウム」の高い抗ウイルス効果を実証” (日本語). 日本経済新聞 電子版. 2020年5月1日閲覧。
  14. ^ 50 雑貨工業品品質表示規定経済産業省
  15. ^ 洗濯用又は台所用の石けん消費者庁
  16. ^ 「2-611 飽和脂肪酸(C=8〜18、直鎖型)のナトリウム塩または不飽和脂肪酸(C=16〜18、直鎖型)のナトリウム塩」「2-611 飽和脂肪酸(C=8〜18、直鎖型)のカリウム塩又は不飽和脂肪酸(C=18、直鎖型)のカリウム塩」化審法データベース 独)製品評価技術基盤機構
  17. ^ 2-1.魚介類への毒性 - 洗浄・洗剤の科学
  18. ^ 初期リスク評価書NITE-化学物質管理分野
  19. ^ 海洋での原油流出事故後に発生する黒い塊と紛らわしいので、この項では白色固形物と記す
  20. ^ 下水道における白色固形物の成分組成変化調査 東京都下水道局
  21. ^ [https://www.nikkei.com/article/DGXKZO21807290S7A001C1LKB000/ 日本経済新聞「固形せっけん国内首位」牛乳石鹸共進社(関西企業のチカラ)」
  22. ^ [1]





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