トリアシルグリセロールとは? わかりやすく解説

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トリアシルグリセロール

同義/類義語:トリグリセリド
英訳・(英)同義/類義語:TG, triacylglycerol, Triacylglycerols

グリセロールの3個のOH基が、アシルエステル化され分子脂肪

脂肪

同義/類義語:トリアシルグリセロール
英訳・(英)同義/類義語:fat, lipo

有機化合物で、脂肪酸グリセロールエステル生体内では、膜の成分エネルギー源として使われる

トリアシルグリセロール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/09 15:02 UTC 版)

トリアシルグリセロール分子種の例。緑色がグリセロール部で、3分子のパルミチン酸(パルミトイル基)がエステル結合している。

トリアシルグリセロール英語: triacylglycerol、TAG)とは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸エステル結合したアシルグリセロールで、単純脂質に属する中性脂肪の1つである。トリグリセリド英語: triglyceride、TG)またはトリアシルグリセリド英語: triacylglyceride)ともいう。

中性脂肪は動物の体内脂肪組織に蓄えられる脂肪や、食品中の油脂植物油種子)などを構成する脂質の8から9割を占めるが、その中ではトリアシルグリセロールが圧倒的に多く、特に動物の脂肪組織では95%を超える。このことから、単に「トリアシルグリセロール」というときは油脂のことを指し、グリセロールと3分子の脂肪酸が結合したひとつの分子を示すときは「トリアシルグリセロール分子種」ともいう。

構造と物理化学的性質

グリセロール(グリセリン)に結合する脂肪酸の部分は、置換基としてはアシル基である。したがって、トリ・アシル・グリセロール=3分子・脂肪酸・グリセロールという意味となる。アシル基となる脂肪酸の種類は極めて多いが、それらアシル基の組み合わせ、グリセロールへの結合位置によってさまざまなトリアシルグリセロール分子種が生ずる。脂肪酸が n 種あるとすれば、理論的にはおよそ n3/2 種類(グリセロールの1位と3位は対称だから)のトリアシルグリセロール分子種が存在すると考えてよい。個々のトリアシルグリセロール分子種は以下の例のように呼ばれて区別される。

パルミチン酸が3分子結合した分子種
トリパルミチンCAS登録番号は555-44-2。パルミチン酸(Palmitic acid)は、略してPと表示できるので、簡単にPPPとも書く。
パルミチン酸が1分子、オレイン酸が2分子結合した分子種
グリセロールへの結合位置によって、1-パルミトイル-2,3-ジオレオイルグリセロール (POO)、1,3-ジオレオイル-2-パルミトイルグリセロール (OPO) などと表示する。オレイン酸 (Oleic acid) は略してOと示す。
パルミトレイン酸ステアリン酸リノール酸がそれぞれ1分子ずつ結合した分子種
前述と同様に、1-パルミトオレオイル-2-ステアロイル-3-リノレオイルグリセロール (PoSL)、1-リノレオイル-2-パルミトオレオイル-3-ステアロイルグリセロールなどと表示する。パルミトレイン酸 (Palmitoleic acid)、ステアリン酸 (Stearic acid)、リノール酸 (Linoleic acid) はそれぞれPo、S、Lと略される。

トリアシルグリセロール分子種には立体位置異性体が存在し、2 や 3 の例のように、同じ脂肪酸で構成される分子種であっても POO - OPO - OOP、PoSL - PoLS - SPoL - SLPo - LPoS - LSPo はそれぞれ異なる分子種となる。結合位置が不明な場合(どの異性体か不明な場合)は、POO、PoSL というように脂肪酸の炭素数が小さい順に、二重結合の少ない順に表示することが多い。LPoS というようにアルファベット順に示す場合もある。

個々の脂肪酸は二重結合の有無(不飽和度)によって融点が異なるが、この不飽和度によってトリアシルグリセロールの性質が大きく異なる。不飽和脂肪酸の多いトリアシルグリセロールは室温 (25 °C) で油状の液体だが、飽和脂肪酸の多いトリアシルグリセロールは固体となる。オリーブ油サフラワー油などは前者に、ココナッツ油パーム核油は後者に当たる。またトリアシルグリセロールは一般に有機溶媒によく溶けるが、ステアリン酸のような長鎖の飽和脂肪酸が多くなると、アルコール石油エーテルジエチルエーテルなどにも難溶になる。

健康への影響

トリアシルグリセロールが高値になると動脈硬化膵臓炎になる。肝臓にトリアシルグリセロールが過剰に沈着すると、脂肪肝になる。

血液検査の参考基準値

トリアシルグリセロールについての血液検査の参考基準値は以下のとおりである。

項目 年齢 下限値 上限値 単位 最適範囲
トリアシルグリセロール 10–39 歳 54[1] 110[1] mg/dL < 100 mg/dL[2]
or 1.1[2] mmol/L
0.61[3] 1.2 [3] mmol/L
40–59 歳 70[1] 150[1] mg/dL
0.77[3] 1.7[3] mmol/L
>60歳 80[1] 150[1] mg/dL
0.9[3] 1.7[3] mmol/L

脚注

  1. ^ a b c d e f Blood Test Results - Normal Ranges Bloodbook.Com
  2. ^ a b Adëeva Nutritionals Canada > Optimal blood test values Archived 2009年5月29日, at the Wayback Machine. Retrieved on July 9, 2009
  3. ^ a b c d e f Derived from values in mg/dl to mmol/l, by dividing by 89, according to faqs.org: What are mg/dl and mmol/l? How to convert? Glucose? Cholesterol? Last Update July 21, 2009. Retrieved on July 21, 2009

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