底質
生物を取りまく外囲物質(媒質)のうち,固体の場合をいいます。陸上では岩石や土壌,水界では底泥,岩石底が代表的な底質です。底質は,生物の分布を左右する最も重要な環境要因です。例えば,陸上の岩礫地には地衣類や藻類のような付着性植物群が,移動の激しい砂浜や砂丘には根の非常によく発達した海浜植物群が生育し,腐植に富む土壌中には高等植物のほかに,ミミズ,ダニなどの土壌動物やバクテリア,カビなどが生活します。海洋,湖沼,河川などでは,底質の違いによって異なった種類の生物が生息します。底質が有機物で強度に汚濁されると,底質中に酸素が欠乏し多くの生物に影響を及ぼします。底質 (ていしつ)
有機物質や重金属類などは、水質汚濁の進行に伴って沈積し、底質中に蓄積されることから、底質を調査することによって、汚濁の進行傾向や速度について有用な情報を得ることができる。また、一度底質に移行した各種物質の一部は溶出や巻き上がり現象により、再び水質に対して大きな影響を及ぼすことが知られている。
有害物質による魚介類の汚染は底質の汚染に一原因がある。対策として、底質の除去等による浄化を図るための底質の処理・処分について環境省の暫定指針がある(昭和49年)。
底質
粒度組成(底質)
酸素消費速度(底質)
底質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/10 00:53 UTC 版)
底質(ていしつ、英語: bottom material / bottom sediment)とは、河川、湖沼、海洋、水路等の水域において、水底を構成している表層のこと。広義では水底を構成している堆積物および岩石を指し、主に侵食による運搬作用によって堆積した砂泥、生物の遺骸、不溶性塩などから形成されている[1][2]。狭義では表層土類や岩盤類の直上に蓄積した不溶物を指し、その状況を調べることによって水質汚濁の状況などが把握される。
人工的な化学物質による底質汚染を問題とするときは、水底を構成している堆積物のみを議論の対象する場合が多い。
閉鎖的ないしは半閉鎖的な水域における高有機質の泥質堆積物をさしてヘドロと俗に呼ぶことがある。
底質についての環境基準
工場等の排水に含まれる有機物を代表例として人工的な化学物質による底質の汚染は、それが有害物質であるときに特に問題となり、水銀とPCBを対象にした底質暫定除去基準と、ダイオキシン類における底質環境基準が定められている。
脚注
- ^ 地学団体研究会 編『地学事典』(新版)平凡社、1996年。ISBN 978-4582115062。
- ^ 堆積学研究会編『堆積学辞典』朝倉書店、1998年。 ISBN 978-4254160345。
関連項目
外部リンク
- EICネット環境用語集:「底質」
- 底質(ていしつ)とは - コトバンク
- 底質とは - 環境用語 Weblio辞書
- 日本の地球化学図
- 環境基準について(環境省)
- 化学物質と環境(年次報告書)
- 底質の暫定除去基準について
- 遠藤毅「東京都臨海域における埋立地造成の歴史」『地学雑誌』第113巻、第6号、東京地学協会、785–801頁、2004年12月25日。doi:10.5026/jgeography.113.6_785 。
底質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 02:40 UTC 版)
底質の環境基準(150 pg-TEQ/g以下)を下記の地点で超過していた。 都道府県/水域分類/水域名称/地点名称/底質(pg-TEQ/g)平均値/最大値 東京都/河川/横十間川/天神橋/ 290 pg-TEQ/g(290) 富山県/河川/富岩運河、岩瀬運河及び住友運河千原崎地内水路橋: 200 pg-TEQ/g(200) 静岡県/河川/沼川下流/沼川植田橋: 180 pg-TEQ/g(180) 大阪府/河川/住吉川/住之江大橋下流:1100 m/ 250 pg-TEQ/g(250) 大阪府/河川/六軒家川/春日出橋:180 pg-TEQ/g(180) 大阪府/河川/神崎川/新三国橋:160 pg-TEQ/g(160) 大阪府/河川/古川/中茶屋橋:190 pg-TEQ/g(190) 島根県/河川/樋ノ口川/馬潟町: 220 pg-TEQ/g(220)
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