おおい‐がわ〔おほゐがは〕【大井川】
大井川
大井川は、静岡県静岡市と山梨県南アルプス市・早川町の境にある間ノ岳にその源を発し、幾つもの渓流を合わせながら、静岡県島田市・金谷町で山峡の地を離れ、以後、島田市、藤枝市、金谷町を南に流下し、大井川町、吉田町にて駿河湾に注いでいる流域面積1,280km2、幹川流路延長168kmの急流河川です。 |
駿河湾に注ぐ大井川 |
河川概要 |
| ○拡大図 |
1.大井川の歴史 |
"「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」と唄われ、暴れ川として全国にその名を知られた大井川。昔は、大雨が降るたびに洪水を繰り返したため人々は舟形や三角形をした屋敷や集落を形成し洪水と闘ってきましたが、現在では、しっかりとした堤防により洪水の被害は軽減されています。" |
流域の歴史と人々の暮らし |
“箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川”と唄われ、暴れ川として全国にその名を知られた大井川は、流れが急で川幅が広く、旅人が一人で渡るには危険であったため古くから川越人足による川越しが行われてきました。やがて江戸時代になり橋を架けようとしましたが、技術的な問題や、人足達の仕事が無くなることを恐れて、また、江戸幕府の政策も合わさって、ずっと橋が架けられず船による渡しも許されませんでした。川越しは時代が進につれて川の深さにより料金を決めたり、川札を発行するなどの制度ができ明治時代まで続きました。
昔の大井川は、大雨が降るたびに流れを変えて暴れ回り、洪水を繰り返し、そこに住む人たちを苦しめてきました。そこで、人々は洪水被害から自分たちの人命や財産を守るために考え出した知恵として、舟形や三角形をした屋敷や集落を形成し洪水と闘ってきました。現在は、しっかりとした堤防ができて洪水の被害は軽減されるようになってきました。大井川流域の中上流部は年間降水量が3,000mm(全国の年間降水量は約1,700mm)を越え、静岡県内はもとより日本国内においても多雨地域として有名です。 |
2.地域の中の大井川 |
"大井川下流部に整備された多目的河川敷道路は、河川敷としては国内初のフルマラソンコースとして、震災時には緊急物資等の運搬路として活用します。また、平成14年3月に完成し、「地域に開かれたダム」に指定されている長島ダムでは貯水池周辺のキャンプ場整備など、観光資源、地元活性化の一助となるようダム周辺が整備されています。" |
●河川整備について 大井川下流部において、島田市、藤枝市、大井川町の2市1町の区間の河川敷で多目的河川敷道路が整備されており、震災時には東西に走る主要幹線を南北で結ぶ緊急用道路として人員や救援物資を円滑に運搬することができます。また、全国でも初めて河川敷のみを利用したフルマラソンコースとして、平常時には地域住民の方々がジョギングや散歩、サイクリング等で川に親しみのもてる空間を提供しています。その他、堤防の補強と併せて整備した大柳地区の桜づつみや赤松地区のラブリバーにより河川環境の良好な維持と潤いのある水辺空間を醸し出しています。
●長島ダムについて 長島ダム(静岡県榛原郡本川根町)は平成14年3月に完成した重力式コンクリートダムで、1.洪水調節(川の水量を調節して下流地域を洪水から守る)、2.流水の正常な機能の維持(川のはたらきを保つのに必要な量を下流に流す)、3.かんがい用水の供給(農業に必要な水を下流に流す)、4.水道用水の供給(毎日の生活に必要な水道用水を下流に流す)などの多目的な役割を担っています。 当ダムは「地域に開かれたダム」に指定されており、ダム堤体の開放、貯水池周辺のキャンプ場整備など、他のダムに比べて開放的な管理を行い、観光資源、地元活性化の一助となるようダム周辺が整備されています。
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3.大井川の自然環境 |
"大井川流域では、南アルプスにニホンカモシカ、ニホンザル、ニホンツキノワグマ等が観察され、鳥類では高山地帯にライチョウ、低山にシジュウカラ等が分布しています。昆虫の仲間のカミキリムシでは日本で確認されている約650種の内、実に半分近くの種が大井川の周りで確認されています。" |
大井川は、流域が多雨地域でありながら、上流から下流まで平常時の水量は多くありません。これは急流河川であるとともに多くのダムや発電所を流下した水が農業用水や上水道に利用され川に戻る量が少ないため、下流部においても網状の細かい流れとなり、広い河川敷いっぱいに発達した砂州が特徴的な景観となっています。中流部は隆起作用(地面が盛り上がる作用)と下刻作用(河床を掘り下げる作用)などの影響により、家山付近の“鵜山の七曲り”に代表されるように蛇行し、河川により両岸の河岸段丘が形成され茶畑が発達しています。上流部では、隆起の著しい山地と流水による浸食の激しい河川との結合の結果、V字型の急峻な地形となった接岨峡や寸又峡が形成され自然の造形美が良好な景観をつくり出しています。
流域内にパルプ工場等を持ち、かっては汚濁していた大井川の水質も昭和47年以降徐々に改善され、現在では約2mg/L前後を維持しています。 大井川での動物類は南アルプスにニホンカモシカ、ニホンザル、ニホンツキノワグマ等が観察され、鳥類では高山地帯にライチョウ、低山にシジュウカラ等が分布しています。昆虫の仲間のカミキリムシについては日本に生息する約650種の内、実に半分くらいが大井川周辺に生息しています。 |
4.大井川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
大井川
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 03:49 UTC 版)
大井川(おおいがわ)は、静岡県を流れる河川。一級水系大井川の本流。
注釈
- ^ 文献により、「江戸城の外堀」「駿府城の外堀」といった表現が散見されるが、現実の外堀は別に存在するわけで、これらは象徴的な表現と考えてよい。
- ^ 当時の大井川は平均水深が76 cmあり急流であった[7]。
- ^ 架橋の禁止については江戸防衛の観点によるものであるかどうかについて疑問ももたれている。実際、1600年(慶長5年)には東海道の多摩川下流(六郷川)に最初の六郷橋が架けられたが、その後の多摩川の度重なる氾濫により幾度も橋は流されしてしまった。この六郷橋は、1688年(貞享5年)の橋の流出を最後に、1873年(明治6年)になるまで再建されなかった。もし大井川への架橋禁止の目的が江戸防衛であったとするならば、江戸直近の多摩川に架橋が許されたことは不合理といえる。この多摩川の例でわかるように、江戸当時の技術では川の氾濫に耐えられる恒久的な橋を東海道の大井川や天竜川、富士川に建設することはできず、また、川の氾濫で流された橋をその度に再建することも経済的には無理なことであった。むしろ江戸防衛という観点からより効果的な江戸防衛策として、これらの川の沿岸の村々には舟の所有が禁止されていた。[9]
- ^ 入船屋敷、入船式屋敷'とも呼ばれる。盛土の形状が三角の場合は三角屋敷と呼ばれる。
- ^ 2000年に漢字を変更。地元紙の静岡新聞が、用字制限の基準がわりと厳し目であるために「大井川鉄道」表記のままであることから、地元ではこの変更を知らない者も多い。[独自研究?]
- ^ 本来介在するトンネルの覆工コンクリートについては言及なし。
- ^ 掘削部分に直接コンクリートを吹き付け、ボルトを固い岩盤まで打ち込むことで地山とトンネルを一体化させる工法。
出典
- ^ “大井川について”. www.cbr.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。
- ^ a b c いのちの水, p. 2.
- ^ a b 大井川水系河川維持管理計画 2018, p. 2.
- ^ 『静岡県史』通史編1(原始・古代編)481-484頁。
- ^ “川越制度 - 島田市公式ホームページ”. www.city.shimada.shizuoka.jp. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “箱根馬子唄”. NHK. 2013年3月14日閲覧。
- ^ a b “大いなる川、よみがえれ”. ダムの書誌あれこれ(15) ~大井川水系のダム(井川・畑薙・長島)~. 一般社団法人日本ダム協会. 2020年3月14日閲覧。
- ^ “2016年3月-5月の貴重書展示 大井川”. 静岡県立中央図書館. 2017年6月23日閲覧。
- ^ 青木栄一 2006, p. 139.
- ^ 「わが街道」宮本常一監修 建築資料研究社
- ^ 南アルプス学 2010, p. 58.
- ^ a b c d 南アルプス学 2010, p. 59.
- ^ a b c d e f g 名古屋大学鉄道研究会 1998, 大井川鉄道の歴史.
- ^ a b 住田至朗. “大井川鐵道大井川本線 その1”. 私鉄に乗ろう. 鉄道チャンネル. 2020年3月15日閲覧。
- ^ いのちの水, p. 5.
- ^ a b c いのちの水, p. 6.
- ^ “大井川用水農業水利事業所”. 関東農政局. 2020年3月15日閲覧。
- ^ a b 大井川水系河川維持管理計画 2018, p. 10.
- ^ a b c d e 西田直晃 (2019年1月4日). “「放水足りぬ」地元切実 大井川 水返せ運動30年”. 中日新聞 2020年3月11日閲覧。
- ^ 田淵直樹 2002, pp. 1–2.
- ^ a b 田淵直樹 2002, p. 2.
- ^ 蔵治光一郎 & 溝口隼平 2007, p. 303.
- ^ a b c d e f g 蔵治光一郎 & 溝口隼平 2007, p. 306.
- ^ 田淵直樹 2002, pp. 4, 6.
- ^ 田淵直樹 2002, p. 4.
- ^ 住田至朗. “大井川鐵道大井川本線 その5”. 私鉄に乗ろう. 鉄道チャンネル. 2020年3月15日閲覧。
- ^ “大井川とリニア 水と生きる(中)「水返せ」の思い今も”. 静岡新聞. (2019年8月30日) 2020年3月15日閲覧。
- ^ “中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書(平成26年8月) 静岡県 第8章 環境影響評価の調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果”. 東海旅客鉄道 (2014年8月26日). 2020年6月28日閲覧。
- ^ 安藤剛 (2017年8月17日). “リニア南アルプストンネル、水資源維持に残る不安”. 日経コンストラクションweb版 2017年8月24日閲覧。
- ^ “第4回大井川水資源検討委員会 説明資料”. 東海旅客鉄道 (2015年11月27日). 2020年6月28日閲覧。
- ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川コード表編)” (PDF). 2023年6月16日閲覧。
- ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川模式図編)” (PDF). 2023年6月16日閲覧。
- ^ しずおか河川ナビゲーション. “大井川水系 川の紹介”. 2023年7月13日閲覧。
大井川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 02:27 UTC 版)
大井川 - 静岡県を流れる一級河川。 大井川 (沖縄県) - 沖縄県の本部半島を流れる二級河川。
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