工業用水道とは? わかりやすく解説

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工業用水道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/25 07:04 UTC 版)

工業用水道(こうぎょうようすいどう)とは、工場などの事業所に人体と直接接しない目的で用いる雑用水を供給するものである。地方公営企業の事業として整備されることが多い。

工業用水道の施設の一部(群馬県東毛工業用水道事務所)

概要

かつて工場などの事業所では雑用水として地下水をくみ上げて使用していたが、それらの集中する地区では地下水位の低下とそれに伴う地盤沈下が激しくなった。そのため、洪水の被害の拡大・建造物の不等沈下などが起こるようになってきた。それを改善するための代替水源として利水者の負担で構築されるようになった。

飲用には用いられず、事業向けに限定した水道であるため、水道法の適用を受けない。殺菌等の水処理を行う必要がないため、中水道のようにトイレ洗浄用水に用いられている例も多い。東京都では集合住宅の3万世帯以上で利用されている。また、近年では精密機械産業向けなどに高純度濾過処理などを行った水が供給される例もある。

日本での定義

日本の「工業用水道事業法」による定義では、「工業用水」とは、工業(物品の加工修理業を含む製造業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業)用に供する水で、水力発電用と飲用を除く水を指し、「工業用水道」とは、導管により工業用水を供給する施設であって、その供給をする者の管理に属するものの総体とされる [1]

上水道への誤接続

しばしば工業用水道の末端配管で、上水道の配管と誤って接続されるケースが見られる。2002年7月、大阪府ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、園内の冷水器が工業用水道に接続されていた。東京都水道局では、2002年12月、2003年5月にそれぞれ9世帯、54世帯に誤って工業用水を供給してしまった例がある。

原水の種類

  • 表流水、伏流水
  • 湖沼水、貯水池水
  • 地下水
  • 下水処理水
  • 海水

使用比率・使用量

利用可能な水の使用比率を世界的に見れば、概ね、農業用/工業用/生活用で7:2:1となっており、農業国や発展途上国ではこれより農業用が多くなり、工業国や先進国ではこれより工業用が多くなる[注釈 1]傾向がある[2]

日本の使用量
日本の2014年の統計では、工業用水(淡水)として日量12,500万m3が使われているが、様々な業種で工業用水の回収利用(リサイクル)が進められた結果、回収率は約80%に達しており、補給水量は日量2,640万m3にとどまっている。なお、そのうち工業用水道から供給された工業用水は日量1,120万m3である[3]

脚注

注釈

  1. ^ 農業用水の割合は、日本では6割、米国では4割である。

出典

  1. ^ 工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2014年6月13日). 2019年12月28日閲覧。 “2016年4月1日施行分”
  2. ^ 柴田明夫著、『日本は世界一の「水資源・水技術」大国』、講談社、2011年11月20日第1刷発行、ISBN 9784062727419
  3. ^ 平成26年工業統計表「用地・用水編」 - 経済産業省大臣官房調査統計グループ

関連項目

外部リンク



工業用水道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/07 07:59 UTC 版)

河本ダム」の記事における「工業用水道」の解説

高梁川河口倉敷市水島地区は、1941年三菱重工業水島航空機製作所(現・三菱自動車工業水島製作所)が建設され以降川崎製鉄水島製鉄所(現・JFEスチール西日本製鉄所倉敷地区)、三菱石油水島精油所、日本鉱業水島製油所いずれも現・JXTGエネルギー水島製油所)等の大企業相次いで進出したことにより水島臨海工業地帯として発展したこのため岡山県は、水島臨海工業地帯工業用水安定的に供給するため水島工用水事業着手し、その第1期事業水源施設として河本ダム建設することにした。第1期事業給水能力122,500m3/日)は1961年7月一部給水開始され河本ダムは総事業費43億円をかけて1964年2月完成した。なお、当初高梁川本川中流部高梁市中井地先に「方谷ダム」を建設する計画であったが、その後中止になったため代案として河本ダム建設された。 その後工業用水需要拡大したため水島工用水道の給水施設拡充図られ新成羽川ダム水源とした第2期事業給水1968年4月に、第3期事業給水1970年9月開始した。さらに1971年からは千屋ダム等を水源とした第4期事業着手し1975年から一部給水開始した。しかし、第1期事業設備の老朽化および経済情勢変動による工業用水需要減少により、第4期統合される形で昭和54年度末に廃止され以降河本ダム第4期事業水源施設となった水島工業用水道の現在の給水能力第2期201,500m3/日)、第3期206,500m3/日)、第4期300,000m3/日)の計7,080,000m3/日となっている。

※この「工業用水道」の解説は、「河本ダム」の解説の一部です。
「工業用水道」を含む「河本ダム」の記事については、「河本ダム」の概要を参照ください。

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