川越制度とは? わかりやすく解説

川越制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/28 04:56 UTC 版)

川越制度(かわごしせいど)とは、橋がかけられず洗い越しを徒歩、輦台(れんだい、蓮台)、馬越などで渡河させた制度である[1][2]

制度を行う川会所が設けられ、その日の川を渡る川越人足を雇う切符である川札、輦台を使用する切符である台札の値段が提示された[1][2][3]

明治維新後に、制度は廃止された[2]

役職など

当初は島田代官や宿場役人が管理・統制していたが、元禄9年(1696年)に川庄屋と年行事が任命され、川越制度が形作られていった[1]。年行事(ねんぎょうじ)は、川越人足の高齢者からなり、川越料金の徴収、帳簿の記載、人足の配置などを担当した。川庄屋(かわしょうや)は、伝馬方から選ばれ、その日の料金を決定する役目であった[1]。そのほかに小頭(こがしら)、川越仲間の口取、待川越(まちかわごし)などが置かれた[2]。待川越は、朝に川の水深と川幅を計測する役であった[1]

川越人足は、12歳頃から見習いとして雑用を行い、15歳頃から水入という訓練期間となり、一人前となると川会所に申し出て許可を受けてから川越人足として仕事を行うことが出来るようになる。そして、本川越・待川越・口取(45歳以上の者)と階級を上げていく[1]

営業時間と水深

明け六ツ(午前6時ごろ)から暮六ツ(午後六時ごろ)の時間までが原則だが、許可があれば夜間でも川を渡る行為(越立)が行われた[1][2]

水深4尺5寸(約1.4メートル)以上では川留・川支 (かわづかえ) として営業を取りやめたが、幕府の文書輸送である御状箱は水深5尺(約1.52メートル)まで許容された[2][4]

値段と方法、例外

方法と水深などによって値段は変化した。水深は深くなるほど高額となった。

方法は、肩車、連台越しという複数人の川越人足と台車からなる方法、二人の川越人足が持つ棒につかまる棒渡し、武士のみに許された川越人足が馬を引き乗馬したまま川を渡る馬越しなどがあった[1]

大井川では、帯通二尺五寸(約76センチ)までは常水で、それ以上となると手張という補助者が1人付き添い、付添人の分の川札が必要となった[1][4]

また、自力で渡る自分越は基本許されなかったが、相撲取、巡礼、非人は例外であった[2]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 川越制度 - 島田市公式ホームページ”. www.city.shimada.shizuoka.jp. 2023年4月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 川越https://kotobank.jp/word/%E5%B7%9D%E8%B6%8Aコトバンクより2023年4月1日閲覧 
  3. ^ 国立国会図書館. “大井川の川越しにかかる費用が知りたい”. レファレンス協同データベース. 2023年4月10日閲覧。
  4. ^ a b 観光情報|一般社団法人島田市観光協会”. www.shimada-ta.jp. 2023年4月10日閲覧。

関連項目


川越制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/11 04:29 UTC 版)

島田宿大井川川越遺跡」の記事における「川越制度」の解説

徳川家康征夷大将軍となった慶長八年以降に、諸街道江戸防衛要所として大井川渡船架橋禁じられて「渡渉制度」が施されるようになった渡渉制度当初は、一般旅人川越人足との話し合い比較自由に賃銭決めていた。そのため、わざと深い所を通って高い賃銭を取る川越し無作法横行していた。 寛文五年、川越賃銭具体取り決めを示す高札出され水の深さ問屋方で賃銭定め、これより多く取ってならないことや、川越しの者が渡す時は番人がつくことが定められた。翌年には川越し無作法取り締まるための川目代が置かれその後渡渉統制化が強化されていった元禄九年に川越業務問屋場から独立し川庄屋任命される。この時に川会所設立され運営必要な組織次々と作られた。 明治三年太政官布令により、河川渡船架橋許される同時に渡渉制度廃止となった

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