連邦最高裁判所の判例とは? わかりやすく解説

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連邦最高裁判所の判例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 21:16 UTC 版)

著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」の記事における「連邦最高裁判所の判例」の解説

最高裁係争中案件は「#連邦下級裁判所の判例」を参照。 ※表中の「判例通称」の英語表記クリックすると、英語版ウィキペディア個別判例ページ遷移する。また判例集番号末尾クリックすると、JustiaFindLawなど判例転載し外部サイト遷移する。デスクトップビューで閲覧場合表の項目名横をクリックすると、昇順または降順並び替えることができる (モバイルビューモバイルアプリでは並び替え機能なし)。判例通称英語名アルファベット順並び替えされる。 判例通称判決年(判例集番号)争点判決訴訟概要判決要点特筆性ウィートン対ピーターズ裁判(Wheaton v. Peters) 1834(33 U.S. 591) コモンロー・コピーライト、職務著作 (代理法(英語版)) 合法 連邦法としての著作権法適用され米国最高裁最古判決:23法律家ヘンリー・ウィートン(英語版)は公務として最高裁判例集の編纂者英語版)を務めており、ウィートン判例集無断同僚のリチャード・ピーターズ(英語版)によって複製出版されたことから著作権侵害提訴した事件である。州法たるコモンロー・コピーライトも著作物保護するが、これが発行によって保護消滅することを示し英国ドナルドソンバケット裁判英語版)」(Donaldson v Becket) の1774年判決踏襲した。そして、合衆国最高裁判決連邦法では著作物性がないとも捉えられ複製合法とされた。また、ウィートン代理法の観点から独立契約者なのか、それとも最高裁から雇われ従業員なのか (つまり職務著作となりうるのか) についても考察されたことで当判決知られている。 ベーカーセルデン裁判(Baker v. Selden) 1879(101 U.S. 99) アイディア・表現二分論 (マージ理論) 合法 アイディア・表現二分論 (事実発見を含むアイディアそのもの保護せずアイディア表現のみを著作権法保護する法理) の基礎構築したとされる判決ベーカーセルデン両名書籍紹介した簿記の手法が酷似していたことから、先に出版されセルデンの書の相続人である妻がベーカー訴えた簿記の手に対して独占性を主張するには、特許取得しなければならず、手法そのもの著作物性がないと判示された。同様に新薬耕作用具論文文字による表現著作物だが、発明新規性特許法範疇だと例示され、後の国内外判例多大な影響与えたリーディング・ケース。 バローガイルズ・リトグラフィック対サロニー裁判(Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony) 1884(111 U.S. 53) 写真保護要件 違法 作家オスカー・ワイルド被写体にした写真無断リトグラフ化されたことから、写真家ナポレオン・サロニー(英語版)がリトグラフ販売事業者を提訴した最高裁被写体ポーズ衣装装飾品明暗などの選択は、写真家創造的な選択配置であると指摘し写真著作権保護認めた。なお、米国著作権法1865年法改正写真保護対象追加している。 ブライシュタイン対ドナルドソン・リトグラフィング裁判(Bleistein v. Donaldson Lithographing Co.) 1903(188 U.S. 239, 251) 応用美術の保護要件 違法 サーカス広告用多色石版刷りされたポスター無断複製され、このポスター著作権保護対象かが問われた。ポスター描かれたのは実在する人物であり、実際サーカスでよく見られる情景であった。当判決以前著作権保護要件審美性 (aesthetic merit) を求め判決存在したものの、当判決によって審美性保護要件とならない判示された。ただしこの原則実用品には適用されず、審美性の質を主観的に判断して保護要件含めうる余地残している。 シェルドン対メトロ・ゴールドウィン・ピクチャーズ裁判(Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp.) 1940(309 U.S. 390) アイディア・表現二分論 (物語)、抽象化テスト英語版違法 エドワード・シェルドン英語版脚本Dishonored Lady英語版)』は実在殺人事件被疑者マデリン・スミス(英語版)を題材にした作品。メトロ・ゴールドウィン (現MGM) がシェルドンとの間で映画化権交渉を行うも決裂したことから、同じ題材の別小説原作として映画令嬢殺人事件』を製作した。これを受け、シェルドン映画差止損害賠償 (興行収入シェア) を求めて提訴した物語のプロットアイディアに過ぎないが、人物関係情景設定情景描写詳細な出来事などはアイディア「表現」だとし、損害賠償金額の算出対象絞り込んだ。また 二審 では抽象化テスト用いたことでも知られる抽象化テストの手法を確立した「#ニコルズユニバーサル・ピクチャーズ裁判」(1930年) も参照のこと。 メイザーステイン裁判(Mazer v. Stein) 1954(347 U.S. 201) アイディア・表現二分論応用美術の保護要件意匠特許 違法 実用品デザイン著作権保護を巡るリーディング・ケース原告卓上ランプ支柱にはステイン夫妻作・半浸透性ダンサー男女の像が装飾されており、この像は著作権登録されていた。実用品の「機能」面でのランプには著作権性はないが、ダンサー像には「表現」著作権性があるとして、卓上ランプ模倣著作権侵害判定された。著作権法意匠特許のどちらで美的な創作物保護するかについて、実用的か否か問われず、美的「表現」デザインの「発明」かが判断基準だと示された。本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り形の貯金箱繊維製品グラフィックデザイン著作権性が認められる判決続いている。なお、本件ではダンサー像の「物理的分離」が可能で像単体著作物として成立しうる判断されたが、2017年最高裁「#スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判判決では「概念的分離」の基準示されることとなったシアーズ・ローバック対スティフル裁判(Sears, Roebuck & Co. v. Stiffel Co.) 1964(376 U.S. 225) 連邦優位条項英語版)、不正競争防止法著作権法の関係 訴訟概要参照 スティフル社製支柱ランプ類似品シアーズ社が販売したことから訴訟至った下級裁では、たとえ連邦法としての著作権法特許法保護されていない商品であっても州法不正競争防止法観点違反であると認めてシアーズ社はスティフル社に対して部分的に賠償責任を負うこととなった。しかし最高裁合衆国憲法連邦優位条項適用して州法による保護否定した。これは連邦法著作権特許認められている独占範囲以外は、パブリックドメイン帰して万人による利用を可能とすべきとの立場に基づく。なお、同日には蛍光灯設備類似品を巡る「コンプコ対デイブライト・ライトニング裁判英語版)」(Compco Corp. v. Day-Brite Lighting, Inc., 376 U.S. 234 (1964)) の最高裁判決出ており、連邦法優位がこちらでも示された。その後も「#ボニート・ボーツ対サンダー・クラフト・ボーツ裁判」(1989年) が同じ立場踏襲した。 ゴールドスティン対カリフォルニア州政府裁判(Goldstein v. California) 1973(412 U.S. 546) 固定要件連邦優位条項英語版違法 ゴールドスティンらは楽曲テープレコード複製する海賊版生産拠点運営しパッケージ化して無断販売していた。カリフォルニア州刑事法典(英語版) (The California Penal Code) の第635h条では音楽実演無断複製販売することを禁じこのような楽曲永久著作権認めていた。ところが当時連邦著作権法 (1909年改正ベース) は楽曲実演について規定していなかったことから、被告合衆国憲法連邦優位条項および特許著作権条項持ち出して抗弁した。しかし最高裁は、連邦議会1909年法を可決した際、楽曲著作権保護値しないとの意図には解せないとして被告訴え退けた。また特許著作権条項には Writing (著作) の文言があるが、これを「あらゆる物質的表現」と解したことから、著作物保護には何らかの媒体固定されていることが必要と判示された。 20世紀ミュージックエイケン裁判(Twentieth Century Music Corp. v. Aiken) 1975(422 U.S. 151) 公衆実演著作権保護目的 合法 バーモント州知事合衆国上院議員などを歴任したジョージ・エイケン(英語版)が経営する食料品店 (イートインスペースも併設していることから客の滞在時間長い) が、ラジオ局から楽曲受信して店内流していた。この楽曲米国作曲家作詞家出版者協会 (ASCAP) が著作権管理しており、20世紀スタジオ系列20世紀ミュージック社に実演独占ライセンスされていたことから、営利目的楽曲使用したエイケン20世紀ミュージック著作権侵害提訴した一審原告訴え認めたものの、二審最高裁退けたラジオ送受信実演含まれない判断されたためである。さらに、創作者公平な対価享受し創作インセンティブ与え目的著作権保護存在するであって、その著作物公衆享受する公益性との間でバランスとられるとも判示された。 ソニー・アメリカ他対ユニバーサル・シティ・スタジオ裁判(Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.) 1984(464 U.S. 417) フェアユース第1・第4基準寄与侵害英語版合法 通称「ソニー・ベータマックス判決」。テレビ番組家庭用録画機器ベータマックスなどを使用して一般ユーザ著作物 (番組) 全量複製しており、番組著作権者らが寄与侵害 (一般ユーザ直接侵害手段提供している廉) で機器メーカーソニーらを提訴した利用者多く家庭での使用であり、後日視聴 (time-shifting) を目的としていることから、フェアユース第1基準非営利性が認められ録画番組著作権者収益影響及ぼさないとしてフェアユース第4基準市場代替性の観点考慮された。21世紀に入ってからはインターネット視聴音楽などファイル共有ソフトウェアなどを巡って類似訴訟発生しており、度々ベータマックス訴訟は「ソニー・ルール」として引き合い出される (#MGMスタジオグロクスター裁判:2、#ABC他対Aereo裁判:17など)。 ハーパー & ローNation裁判(Harper & Row v. Nation Enterprises) 1985(471 U.S. 539) フェアユース第1・第4基準アイディア・表現二分論 違法 フェアユース関連言及されることの多い代表的判例一つフォード大統領未発表回想録引用を巡る争い総合出版ハーパー社 (原告) が回想録出版するためフォードから著作権獲得し書籍化を計画していた。この書籍の発行前に雑誌TIME』が2万5千ドルハーパー支払契約締結し回想録抄録発行得た。しかし雑誌『The Nation英語版)』を発行するNation社 (被告) が無断引用して先に記事掲載したことから、ハーパーTIME誌間の契約破棄となり、著作権侵害Nation提訴された。フォード大統領公人であることから「公共性」を理由被告フェアユース抗弁するも、公人か否かフェアユース判断基準外と判示された。また最初の出版誰が有するかを重要視された。逐語的に引用されたのは、書籍元原稿20語のうちわずか300語だったが、決定的な箇所だと判示された。加えて回想録事実記していることからアイディア・表現二分論上のアイディア」に該当して著作権保護されないではないかとの指摘もあったが、その創作的表現には保護がおよぶとも判示された。 ボニート・ボーツ対サンダー・クラフト・ボーツ裁判(Bonito Boats, Inc. v. Thunder Craft Boats, Inc.) 1989(489 U.S. 141) 連邦優位条項英語版)、船体デザインDMCA 合法 デジタルミレニアム著作権法 (DMCA) 第5章 (連邦著作権法 第13章新設する改正立法) 可決影響与えた判例ボニート社のガラス繊維製の遊興ボート船体デザイン特許申請されていなかったものの、後にフロリダ州政府船体デザイン盗用販売禁じ州法成立させたことから、ボニート社がサンダー社を提訴した。この州法連邦特許法矛盾するとして「#シアーズ・ローバック対スティフル裁判」で示され連邦優位条項解釈継承し船体デザイン模倣合法とされた。その後発明新規性要件とする特許法では保護されないような船体デザイン著作権法保護すべく、連邦議会DMCA1998年成立させて法改正することとなった。 CCNV対リード裁判(Community for Creative Non-Violence v. Reid) 1989(490 U.S. 730) 職務著作 訴訟概要参照職務」の要件定義したリーディング・ケースホームレス問題取り組む慈善団体のCCNV(英語版)が彫刻家リード作品依頼完成した彫像職務著作として委託者CCNVに著作権認められるのかが問われた。当判決では代理法における「独立契約者」(independent contractor) の概念判断基準として用いられた。 ファイスト出版ルーラル電話サービス裁判(Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.) 1991(499 U.S. 340) アイディア・表現二分論 (額の汗の法理) 合法 額の汗の法理英語版)が最高裁初め否定され判決として国内外知られるルーラル社はカンザス州北西一部地域独占営業認められ電話サービス事業者で、加入者の電話番号電話帳として編纂して無料配布する法令義務負っていた。一方ファイスト社は、カンザス州広域電話帳発行専業とする出版社である。ファイストルーラル無料電話帳から自社発行する電話帳電話番号転載したことから、著作権侵害問われた。一審二審侵害認めたが、最高裁では一転し著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創造性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だ合衆国憲法特許著作権条項英語版)が解釈され結果電話帳著作権認められファイスト行為合法判示された。なお、ファイスト判決以前に額の汗の法理支持されていた判決例としては、判決文ページ付けシステムなどがある。 キャンベルエイカフ・ローズ・ミュージック裁判(Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.) 1994(510 U.S. 569) フェアユース第1 (パロディ) 基準 合法 パロディに関するリーディングケース1990年公開映画プリティ・ウーマン』の主題歌 "Oh, Pretty Woman" (歌手ロイ・オービソン) を使用して、ヒップホップグループのThe 2 Live Crew (被告ルーサー・キャンベル(英語版)はこのメンバー一員) がパロディ製作し25万枚セールス記録した一審フェアユース認定二審否定し最高裁が再び認定したパロディとして使用され箇所 (原曲冒頭部) は有名であり原曲中核をなすと認定されたものの、パロディこのような中核用いることが常であると判断された。そしてフェアユース第1基準定め変形利用が、同じく第1基準例示され非営利性に勝り、第4基準市場代替性を損なうことがない解される裁判原曲 "Oh, Pretty Woman" (あぁ、可愛い女性) がパロディでは "Big Hairy Woman" (デカ髪型女性) に変形されている。2つ楽曲動画は「#関連画像・音声・動画」節のリンクを参照ロータス・デベロップメントボーランド裁判(Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc.) 1996(516 U.S. 233, per curiam decision) 著作物の定義アイディア・表現二分論 合法 ロータス・デベロップメント (現IBM) 製の表計算ソフトLotus 1-2-3使用されているコマンド469個 (コピー印刷等) と同じものをボーランド自社開発した表計算ソフトメニュー組み込んだロータス既存ユーザボーランド製に乗り換えやすくなったことから、ロータス提訴一審ではメニュー体系著作物性認めたものの、二審では「操作の手法」に過ぎないとして著作権保護否定された。最高裁二審支持している。 ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判(New York Times Co. v. Tasini) 2001(533 U.S. 483) 集合著作物二次的著作物職務著作著作物の登録 違法 通称「タシーニ判決」「フリーランサー集団訴訟」。フリーランサー著作物ニューヨーク・タイムズ (NYT) などに寄稿され、それがレクシスネクシスなどのオンラインデータベース無断転載されたため、全米作家労働組合英語版)のタシーニ会長らが集団訴訟起こした201(c)条 は集合著作物について規定しており、集合著作物著作権者 (本件ではNYT等の新聞・雑誌社) は改訂版発行する権利有するが、個々記事複製権頒布権有しないデータベース化フェアユース定め翻案化 (つまり改訂版創作) には該当しないことから2001年最高裁判決原告勝訴となった。しかし訴訟には事前に著作物の登録が必須とされている (米国著作権法412条) ことから、和解金受け取れなかった未登録著作物著作者らが別途訴訟継続した本件では別途全米作家協会全米ジャーナリスト・作家協会英語版) (ASJA) なども同類訴訟起こしており、2001年のタシーニ判決後合流している。最終的に原告側総勢3000人以上、対象著作物60記事超え総額1800万米ドル和解金2014年決着エルドレッドアシュクロフト司法長官裁判(Eldred v. Ashcroft) 2003(537 U.S. 186) ソニー・ボノ著作権延長法合憲性永久著作権 合法 通称ミッキーマウス訴訟」。著作権保護期間死後50年から70年延長する1998年改正立法によって著作物社会利用妨げられ合衆国憲法修正第1条保障する表現の自由抵触するとの主張。また合衆国憲法特許著作権条項英語版)は「限られた期間」(limited times) を保護する記されており、期間延長がこれに抵触する主張した原告パブリックドメイン帰した著作物活用する団体個人構成。しかし、フェアユースによって既存著作物翻案認められていることから、表現の自由抵触しない判断された。また、既に欧州連合 (EU) では保護期間70年設定していることから、米国もこれに合わせることで創作者へのインセンティブ与えるとする特許著作権条項目的合致するとして、原告の主張棄却した。 ダスター20世紀フォックス裁判(Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.) 2003(539 U.S. 23) 商標権著作権関係性 合法 元軍人・後の大統領アイゼンハワーによる戦争回想録 (1948年出版) のテレビ化20世紀フォックス獲得著作権期限切れ前に更新せず、テレビ番組1977年パブリックドメイン帰すダスター社がテレビ番組映像購入して複製し、リバース・パッシングオフ(英語版) (他者商品自分名義偽って販売する「逆詐称通用」) を行った。これがランハム法(英語版) (米国連邦商標法であり、不正競争防止法要素も含む) に抵触するとしてフォックス提訴。リバース・パッシングオフの非を認めつつも、パブリックドメイン帰していることからダスター著作権侵害棄却MGMスタジオグロクスター裁判(Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.) 2005(545 U.S. 913) 著作権侵害技術提供者二次責任 (誘引侵害責任理論英語版)) 違法 著作権侵害技術提供の文脈で、ベータマックス裁判比較されることが多い訴訟:2。Peer-to-peerファイル共有ソフトMorpheus等が著作権侵害利用されているとして、開発会社グロクスター等を相手取りメトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) など計28原告団が提訴Morpheus頒布者には二次責任認めたが、その開発者の責までは問わなかった。本件では特許法用いられる誘引侵害責任理論 (inducement theory または inducement test)が著作権侵害でも適用される判示された。最高裁判決後グロクスター社は原告各社和解達したが、StreamCast Networks社 (旧MusicCity Networks社) とConsumer Empowerment社 (KaZaA社) は訴訟継続。 :53 リード・エルゼビア対マッチニック裁判(Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick) 2010(559 U.S. 154) 著作物の登録、事物管轄 訴訟概要参照ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判」の類似ケース学術出版5大企業一角リード・エルゼビア (現レレックス・グループ) がフリーランサー著作物デジタル化し、ニューヨークタイムズなどに提供。訴訟対象となった著作物多く未登録だったことから和解金受取対象問われた。一審では1800ドル和解金示されるも、マッチニックら一部フリーランス著作者和解反対した。二審では未登録著作物に対して裁判所事物管轄有しないとの理由から、一審覆した最高裁著作権法411条 は出訴にあたって著作物の登録を必須要件だとしつつも、未登録であっても司法管轄はあると判示した。本件9年後の最高裁判決「#フォース・エステート対Wall-Street.com裁判」にも大きな影響与えた。 :16 オメガコストコ裁判(Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.) 2010(562 U.S. 40) per curiam decision 消尽合法 「#カートサン対ワイリー裁判」とセット論じられることが多い:4。スイス高級腕時計メーカーオメガ正規販売ルートのみに「シーマスター」のモデル卸していたが、安価大量販売知られるコストコ非正規ルート (闇転売) でオメガシーマスター輸入して販売時計彫刻デザイン "Omega Globe" がシーマスター施されており、このデザイン著作権保護対象であることから、オメガコストコ提訴したオメガ正規ルート販売する際に、米国内への輸入コストコへの転売許可していないと主張した。しかし米国著作権法109条 では、複製した商品の購入者は自由に中古売買でき、著作権者排他的な権利所有者まで及ばない消尽論をとっており、コストコ行為合法判示された:3–5。 ゴランホルダー司法長官裁判(Golan v. Holder) 2012(565 U.S. 302) 権利回復著作物ウルグアイ・ラウンド協定法合憲性 合法 過去パブリックドメイン帰していた外国著作物が、1994年制定ウルグアイ・ラウンド協定法により著作権保護対象となった (これを権利回復著作物と呼ぶ)。権利回復によって著作物社会利用妨げられることから、表現の自由保障する合衆国憲法修正第1条反するとの主張なされたが、合憲判示となった。 カートサン対ワイリー裁判(Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.) 2013(568 U.S. 519) 消尽合法 タイ人留学生スパップ・カートサンは、学術出版大手ジョン・ワイリー・アンド・サンズ (略称ワイリー) の出版する教科書タイ比べて米国高額に販売されていると知りタイから米国逆輸入しオークションサイトeBay販売し、約120万米ドル収益得たとされる。第2巡回控訴裁の判決を覆す形で、最高裁はカートサン無罪判決下した。この判決により、米国著作物米国外複製印刷販売され、再び米国内逆輸入した際にも、米国著作権法109条が定め消尽論が適用されることが判示された。 ペトレラMGM裁判(Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.) 2014(572 U.S. 663) ラッチェスの法理 訴訟概要参照 プロボクサージェイク・ラモッタ実話に基づきラモッタ友人ペトレラ脚本2版と小説本それぞれ執筆した。後にMGM傘下ユナイテッド・アーティスツ映画化権獲得してレイジング・ブル』を1980年製作・公開ペトレラ本人1981年死去しペトレラ相続人 (娘) は1991年1963年発行され旧版脚本について著作権期限更新行った1997年ペトレラ相続人MGM著作権侵害だと警告したが、実際に訴訟へ発展したのは2009年である。米国著作権法では民事訴訟発生から3年以内提訴認められている (いわゆる出訴制限)。また判例では「ラッチェス抗弁」(懈怠法理) が一部認められる。これは原告出訴遅らせることで不当に損害請求額積み増してはならないとする考え方である。従来はラッチェスの法理損害賠償請求のみに適用され差止命令適用外解されてきたが、二審控訴裁では差止および3年以内発生した侵害分の損害賠償全ての原告請求棄却した。しかし最高裁では一転し著作権法規定しているのは出訴制限のみで、衡平に欠く場合なければ原則損害賠償差止などの侵害救済にまでラッチェスの法理及ばない判示した。 ABC他対Aereo裁判(American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.) 2014(573 U.S. 431) 複製権公衆実演 違法 ストリーミング配信における公衆実演に関する米国初の連邦最高裁判決:466。Aereo(英語版)は各地小型アンテナ数千設置し、各ユーザアンテナインターネット経由アクセスすることで、TV番組見逃し配信提供するストリーミング動画サービス番組著作権有する地上波テレビ局ABCらがAereoを訴えた2001年の「#ナップスター判決」で違法とされたP2Pのファイルシェアのように著作権法の穴を掻い潜ろうとする新技術登場は、判事らからも "Aereoization" と揶揄された:469。Aereoはケーブルテレビビジネスモデルに近いことから、先例引用して公衆実演抵触しない抗弁した。「#ソニー・ベータマックス判決」では各ユーザ個々人複製し家庭内視聴していることから著作権法定め公衆実演侵害していないとされるが、Aereoの場合、各ユーザ向けに複製行っているのはアンテナ有するAereoであることから、著作権侵害判示された:17。この結果、Aereoは2014年連邦倒産法第11章に基づき破産申請している。 スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判(Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.) 2017(580 U.S. 15-866) 著作物保護範囲の定義、デザインファッションロー 違法 通称「チアリーディング・ユニフォーム事件」。チアリーディングのユニフォームデザイン (縞・ジグザグ逆さV字模様など) が似ているとしてスポーツ・アパレル大手ヴァシティ (デザイン著作権登録済) が同業スター提訴した実用品向けのデザインのため著作権発生しないスター抗弁実用品著作権保護巡って1954年最高裁「#メイザー判決」が知られているが:712、チアリーディングユニフォーム場合デザイン衣服という実用性物理的に概念的に分離不可能であり、一審では著作物性否定された。二審の第6巡回区控訴裁、および最高裁はこれを覆し分離不可でも著作権保護されると判示した。このように判断分かれたのは連邦著作権法が「分離性」(separability) の用語を定義していないことに起因する:709。第6巡回区控訴裁は概念的分離について「実用的な側面から分離して識別できること、およびデザインが「実用的な側面から独立して存在」しうるかを判断基準とした。最高裁二審支持して結審。 フォース・エステート対Wall-Street.com裁判(Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com) 2019(586 U.S. ___)(Docket no. 17-571) 著作物登録手続 訴訟概要参照 フォース・エステート(英語版) (4E) は社会性の高いテーマを扱うメディアで他のメディア企業記事提供している。企業IR情報などを掲載するWall-Street.comが4Eとのライセンス契約打ち切ったが、4Eの提供済記事サイト掲載し続けたため4E提訴した著作権法411(a) では著作者米国籍の場合提訴前にアメリカ合衆国著作権局 (USCO) に著作物登録することを求めている。ここでの登録を著作権者の「申請」(著作物納付登録料支払) とするか、USCOによる「登録許可」とみなすかで各巡回控訴裁判所によって過去判例分かれていた。最高裁では後者の「登録許可方式採用し、登録許可完了するまで原告提訴を待たなければならない判示された。

※この「連邦最高裁判所の判例」の解説は、「著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」の解説の一部です。
「連邦最高裁判所の判例」を含む「著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」の記事については、「著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」の概要を参照ください。

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