二次的著作物(にじてきちょさくぶつ)
二次的著作物
【英】 derivative work, secondary work
広義には,原著作物を基礎として創作される新たな著作物のことをいう。わが国の著作権法においては,二次的著作物は「著作物を翻訳し,編曲し,若しくは変形し,又は脚色し,映画化し,その他翻案することにより創作した著作物をいう」(著2条1項11号)と定義されている。二次的著作物を作成するに際しては原著作物の著作(権)者の許諾を要しないが,その利用には許諾が必要となる(著11条,27条)。第三者が二次的著作物を利用する場合には,二次的著作物の著作(権)者の許諾のみならず,原著作物の著作(権)者の許諾をも必要とされる(著28条)。
(注:この情報は2007年11月現在のものです)
二次的著作物
なお、この二次的著作物を利用する場合は、二次的著作物の創作者である翻訳者、編曲者等の了解を得る必要があることはいうまでもありませんが、原作の著作者についても了解が必要で、一般にこれを二次的著作物の利用権(第28条)と呼んでいます。
二次的著作物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/27 14:17 UTC 版)
著作権法における二次的著作物 (英: derivative work) とは、先に創作された第一の著作物 (原著作物) から著作権の発生する主要な要素を取り込んだ創作的表現のことである。二次的著作物は第一の著作物から独立した、第二の別の著作物となる。二次的著作物が創作的でありそれゆえ著作権で保護されるためには、著作物の変形、改変、または翻案が相当に含まれ、著作者の個性が十分に発揮されなければならない。翻訳、映画化、及び編曲は二次的著作物の典型的な種類である。
- ^ 米国では、17 U.S.C. § 106(2) が二次的著作物を保護する。英国についてはUK Copyright Service, "Fact Sheet P-22: Derivative works" (Last updated: 10 December 2012) を参照。フランス法は二次的著作物を "œuvres composites" または "une œuvre dérivée." として保護する。フランス知的所有権法典のArticle L. 112–13 (CODE DE LA PROPRIÉTÉ INTELLECTUELLE, Art. L.112–13) を参照。ドイツ著作権法、UrhGの、sec. 3, 23、及び69c No. 2が、protects 翻訳 (Übersetzungen) 及びその他の翻案 (andere Bearbeitungen)、並びに脚色、編曲、及び新しい版の著作物など、その他の種類の合成を保護する。スペインでは、Art.11 TRLPIが翻訳、翻案、改版、編曲、及び文学的、美術的、又は科学的著作物のあらゆる変形などの二次的著作物の保護を与える。イタリア著作権法のArt. 4は他言語への翻訳、文学的又は美術的形態から他の形態への変形、原著作物の大幅な再作成を構成する改変及び追加、翻案、(保護された著作物の短縮版を意図した) "削減"、抄録、及び原著作物を構成しない変化などの、著作物の創作的な工夫への保護を提供する。オランダでは、オランダ著作権法のArticle 10-2が、翻訳、編曲、翻案、及びその他の改変のような、文学的、科学的、又は美術的著作物の改変された形態の複製は、一時的著作物を侵害することなく原著作物と同様に保護されると述べている。 ベルヌ条約のArt. 2, § 3 は、「文学的又は美術的著作物の翻訳、翻案、編曲及びその他の改変は、原著作物の著作権を侵害することなく原著作物と同様に保護されなければならない」と述べている。この規定はTRIPS協定に組み込まれている。 二次的著作物の保護に関する各国の体制の比較については、Daniel Gervais, The Derivative Right, or Why Copyright Law Protects Foxes Better than Hedgehogs, 15 VANDERBILT J. OF ENT. AND TECH. LAW 785 2013; Institute Archived 27 December 2016 at the Wayback Machine. for Information Law, Univ. of Amsterdam, The digitisation of cultural heritage: originality, derivative works, and (non) original photographsを参照
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- ^ “Supreme Court of Canada - Decisions - Théberge v. Galerie d'Art du Petit Champlain inc.”. 2008年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月24日閲覧。 “examples of what might be called derivative works [are] listed in s. 3(1)(a) to (e) of our Act”
- ^ “Creative Commons Attribution 2.5 Canada Legal Code”. 2008年5月24日閲覧。 “Derivative works include: ...”
- ^ 著作権法 - e-Gov法令検索
- ^ 参考: キャンディ・キャンディ事件
- ^ 「ポパイ」著作権侵害第3事件:東京地昭和59年(ワ)10103号平成2年2月19日判(一部認容)(1)、東京高平成2年(ネ)734号平成4年5月14日判(棄却)(2)、最高平成4年(オ)1443号平成9年7月17日判(上告認容)(3)
- ^ Scotchmer, Suzanne (March 1991). “Standing on the Shoulders of Giants: Cumulative Research and the Patent Law” (英語). Journal of Economic Perspectives 5 (1): 29–41. doi:10.1257/jep.5.1.29. ISSN 0895-3309 .
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- ^ Dariusz Jemielniak; Aleksandra Przegalinska (18 February 2020). Collaborative Society. MIT Press. ISBN 978-0-262-35645-9
- 1 二次的著作物とは
- 2 二次的著作物の概要
- 3 関連項目
二次的著作物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 06:19 UTC 版)
二次的著作物とは「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」である(2条1項11号)。すなわち二次的著作物とは、原著作物に基づき(依拠性)新たに思想又は感情を創作的に表現したものである。例えば以下が二次的著作物である。 漫画の続編(原著作物: 漫画第1シーズン) 映画化作品(原著作物: 原作小説) アレンジ曲(原著作物: 原曲) 原作者つき漫画(原著作物: 原作者文章原稿) 一般的な言葉で言えば、二次的著作物とは派生作品(スピンオフ)に類似した概念である。 二次的著作物を創作する権利は、原著作物の権利者が専有する(翻案権: 27条)。また意に沿わない原著作物の改変(二次的著作物の創作)は同一性保持権でも保護されている。財産権である翻案権は譲渡が可能であり、例えば他人へアレンジ曲の作成許可(編曲許諾)をおこなうことができる。またライセンスやガイドラインといった形で非独占的に二次的著作物の創作が許諾される場合もある(参考: 二次創作ガイドライン)。 二次的著作物に対する著作権法の保護は、原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない(11条)。二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、著作者財産権で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を有する(28条)。「この規定によれば、原著作物の著作権者は、結果として、二次的著作物の利用に関して、二次的著作物の著作者と同じ内容の権利を有することになることが明らかである」(キャンディ・キャンディ事件控訴審判決(平成12年3月30日東京高裁判決)。なお原審は、平成11年2月25日東京地裁判決)。 「二次的著作物は、その性質上、ある面からみれば、原著作物の創作性に依拠しそれを引き継ぐ要素(部分)と、二次的著作物の著作者の独自の創作性のみが発揮されている要素(部分)との双方を常に有するものであることは、当然のことというべきであるにもかかわらず、著作権法が上記のように上記両要素(部分)を区別することなく規定しているのは、一つには、上記両者を区別することが現実には困難又は不可能なことが多く、この区別を要求することになれば権利関係が著しく不安定にならざるを得ないこと、一つには、二次的著作物である以上、厳格にいえば、それを形成する要素(部分)で原著作物の創作性に依拠しないものはあり得ないとみることも可能であることから、両者を区別しないで、いずれも原著作物の創作性に依拠しているものとみなすことにしたものと考えるのが合理的である」(同控訴審判決)。 この規定は、必ずしも不合理な結果を生まない。「まず、〔原著作物の著作者〕と〔二次的著作物の著作者〕とは、互いに協力し合う者同士として、当該〔二次的著作物〕の利用につきそれぞれが単独でなし得るところを、事前に契約によって定めることが可能である。明示の契約が成立していない場合であっても、当該〔二次的著作物〕の利用の中には、その性質上、一方が単独で行い得ることが、両者間で黙示的に合意されていると解することの許されるものも存在するであろう。次に、契約によって解決することができない場合であっても、著作権法65条は、共有著作権の行使につき、共有者全員の合意によらなければ行使できないとしつつ(二項)、各共有者は、正当な理由がない限り、合意の成立を妨げることができない(三項)とも定めており、この法意は、〔二次的著作物〕の〔原著作物の著作者〕と〔二次的著作物の著作者〕との関係についても当てはまるものというべきであるから、その活用により妥当な解決を求めることも可能であろう。」(同控訴審判決)。 一話完結形式の連載漫画においては、後続の漫画は先行する漫画の二次的著作物として扱われ、「二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当」とされている(「ポパイ」著作権侵害第3事件(最高平成4年(オ)1443号平成9年7月17日判))。
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二次的著作物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:45 UTC 版)
「GNU General Public License」の記事における「二次的著作物」の解説
セクション"リンクと派生物"の通り、GPLで保護されたコードに由来する二次的著作物はGPLでなければならない、と明白に要求されているが、GPLのライブラリに動的にリンクしたプログラムが、二次的著作物と見なせるかどうかは、議論が分かれている。これに対しFSFとその他の人々の見解が異なることが新たな論争の種となっている。この点に関し、著作権法が二次的著作物をどう定義するかが問題になると述べたが、著作権の支分権の具体的内容についての問題が提起されている。アメリカ合衆国著作権法を収録した合衆国法典第17編の第101条 (各種用語の定義) によれば、著作物の改変・翻案を例にあげたうえで「既存の著作物を基礎とする」ことが二次的著作物の要素となっているため、動的リンクの場合でも既存の著作物を基礎としているのかが問題となり得る。これに対し、日本国著作権法第二条によれば、二次的著作物は原著作物の「翻案」を要素としているため、GPLのライブラリとGPLでないプログラムが動的にリンクするプログラムを作って頒布したところで、二次的著作物を作成したことにはならず、プログラムを実行したときに必然的に生じるメモリへの複製の段階で初めて問題になるに過ぎない。しかし、日本国著作権法ではプログラムを実行することそれ自体(これを使用権という)は著作権の支分権としては認められていない。ちなみにGPLv3では"derivative work"という語が姿を消し、代わりに「改変されたバージョン」や「元プログラムに基づく作品」となっている。これらは「二次的著作物」を指している。 また、アメリカ合衆国著作権法においても、日本国著作権法においても、原著作物の著作権者は、二次的著作物に対して著作権行使をすることができるのは当然の前提なのだが、ソフトウェアが著作権の対象となるように法制度が確立する前は、改変したプログラムに対する権利範囲等が不明確であったこともあり、法の建前を前提として議論がされていない側面がある。 いずれにせよ、当該著作物が二次的著作物であるかの判断は、ライセンス如何の問題ではなく、最終的には法廷が個々の著作物毎に判断することとなる。しかし、現時点では明確な線引きを行った著作権法上の条文や判例は存在せず、その他法源となるものもない。ガルーブ対任天堂(英語版)訴訟においても二次的著作物の範囲が明確に定められなかったのは前述の通りである。
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