コピーレフトとは? わかりやすく解説

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コピーレフト【copyleft】

読み方:こぴーれふと

公開されソフトウエアなどについて、利用再配布改変の自由を認め思想。さらにその派生物についても、著作権保持したまま、同等の自由が守られなければならないとする。コピーライト対す考え方として、GNUプロジェクト推進する米国プログラマーリチャード=ストールマンによって提唱された。


Copyleft

読み方:コピーレフト

ソフトウェアなどの著作物作者が、自身著作権保持したまま、その著作物自由な利用配布改変公衆に対して許諾し著作物を自由(フリー)に流通させることを可能にするため、FSFによって考案されソフトウェアライセンス概念
Copyleftの概念は、GPLなどのライセンス契約書の中で定義されており、ソフトウェア文書などの著作者は、表示画面添付文書の中で著作物にこれらのライセンス適用する旨を宣言し適用するライセンス全文一緒に著作物配布することで、自分著作物をCopyleftの状態に置くことができる。Copyleftの状態にある著作物は、それぞれのライセンス条件下で自由に利用再配布改変ができるほか、その複製物改変による派生物もCopyleftの状態に置かれる
「Copyleft」という単語は、Copyright著作権)の対極(右に対する左)という意味と、著作権を残す(left)という意味から作られ造語である。
関連見出し
Free Software Foundation
GNU General Public License
GNU Lesser General Public License
フリーソフトウェア
関連URL
コピーレフトって何?(http://www.gnu.org/copyleft/copyleft.ja.html)

コピーレフト

【英】copyleft

コピーレフトとは、フリーソフトウェア普及活動行っているFSFFree Software Foundation)が推進するGNUプロジェクト」の著作権に関する根本思想で、一度公開されソフトウェアは、誰もが利用改変再配布できるという考え方である。FSF創設者であるリチャード・ストールマンによって提供された。

コピーレフトの概念は、著作権保護意味するcopyright」にかけた対概念である。FSF策定されフリーソフトライセンス形式である「GPL」(GNU General Public License)が代表的なコピーレフトの表現となっている。

GPLライセンスでは、著作物改変再配布を自由と認めており、GPL著作物二次著作物にも改変再配布の自由が自動的に認可されるソフトウェアならソースコード全部公開しなくてはならないソースコード改変再配布繰り返しによって、フリーソフトウェア進化普及図られている。GPLで公開されソフトウェア著作権元来著作権者にあるが、いちどGPLで公開されソフトウェアは、元の著作権者でも後からGPL利用禁止することはできない。なお、コピーレフトは二次著作物であっても公開されないプログラム秘匿認めている。

ちなみにコピーレフトのライセンス体系としては、GPLの他にもBSDライセンスなどがある。BSDライセンス改変したソフトウェアコード非公開にして商用利用することも認める、非常に緩いライセンス形態である。


コピーレフト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/15 14:59 UTC 版)

コピーレフトのシンボル(🄯)としてしばしば使われるアイコン。Cの文字が左右逆になっている。

コピーレフト: copyleft)は、著作権: copyright)に対する考え方で、著作権を保持したまま、二次的著作物も含めて、すべての者が著作物を利用・再配布・改変できなければならないという考え方である[1]リチャード・ストールマン自由ソフトウェア運動の一環として熱心に広めた考えである[2]コンピュータプログラムの特にバイナリに変換されることを前提としたソースコードについてのものであったが、その後、CC BY-SAなどを用いてソースコード以外の著作物にも適用しようという動きがある[3]。なお、1990年代前半の日本において、コピーレフトを「左隣の人からソフトウェアのコピーを求められた際に断ってはならないという意味である」と解説している一部の書籍[要文献特定詳細情報]も有ったが誤りである。

概念

コピーレフトの考えでは、著作権者はそのコピー(複製物)の受取人に対して撤回の出来ないライセンスを認め、販売を含む再配布を許可し、翻案(改変)されることも可能とする必要がある[1]。逆に、コピーレフトを利用する側では、このライセンスのものをコピーや変更、再配布する時にはこのライセンスをそのまま適用し、それを明確に示さなければならない。

コピーレフトの定義をまとめると次のようになる。

  • 著作物の利用、コピー再配布翻案を制限しない
  • 改変したもの(二次的著作物)の再配布を制限しない
  • 二次的著作物の利用、コピー、再配布、翻案を制限してはならない
  • コピー、再配布の際には、その後の利用と翻案に制限が無いよう、全ての情報を含める必要がある(ソフトウェアではソースコード含む)
  • 翻案が制限されない反面、原著作物の二次的著作物にも同一のコピーレフトのライセンスを適用し、これを明記しなければならない

コピーレフトという概念について、フリーソフトウェア財団および同代表のリチャード・ストールマン自由ソフトウェア運動の一環として普及を推進している[2]

コピーレフト以外にも自由ソフトウェアのライセンスは数多く存在し、BSDライセンスMIT licenseなどの、オープンソースソフトウェアで適用されているものがある。これらは二次的著作物へのライセンス適用や、使用可能なソースコードのコピーを義務づけていないため、コピーレフトではない[4]。よく議論されることに、これらのライセンスとコピーレフトのどちらがより自由なライセンスであるのか?というものがある[要出典]。これは視点の問題で、他のライセンスでは制作者など、現在のライセンス保持者の自由を最大限にしたもので、コピーレフトでは今後のライセンス保持者の自由を最大限にしたものだと考えることができる[要出典]

歴史的背景

リチャード・ストールマンcopyleft という語を気に入ったのは、1984年にドン・ホプキンスリチャード・ストールマンに宛てて送った「Copyleft — all rights reversed」(コピーレフト―全てのright(ここでは右の意)は逆さにされている)というフレーズに由来する[5]

これは著作権表示によく使われる「Copyright — all rights reserved」(著作権―全ての権利は留保されている)という句のもじりである。このある種のミームは、1980年頃のコンピュータ文化(1960年代生まれのミニコンピュータ文化と70年代生まれのマイクロコンピュータ文化が渾然としていた)の裡に育まれていたもので、1976年に発表されたLi-Chen WangによるTiny BASICインタプリタのソースコードに見られるのが、今日知られている確認例である[6][7]

rightに「正しい」という意味があることに掛けてそれを逆にした「all wrongs reversed」(全ての間違いは逆さにされている)というバージョンもある[要出典]

思想的背景

著作物の利用権の共有

インセンティヴ論に基づく著作権制度という議論はあるものの、著作物を不特定多数の者が利用できるようにすることは、著作物をより発展させるための有用な手段となる場合がある。これは典型的な商業ソフトウェアが制作・流布される際に、複製や内的構造の研究(リバースエンジニアリング)や改変が禁じられているために、既存のソフトウェアを改良して新しいより優れたソフトウェアを開発する可能性が閉ざされている、という点を考えると分かりやすい。あるいは、インターネットを支える基礎的な技術はソフトウェアを共有し改良し合うことで発展してきたということを考えても良い。

一般に、芸術作品や評論、解説文、コンピュータプログラムなどを含む著作物は、その作者が著作権を持っている。そのため、作者の許可を得なければ改変したり、(個人的なバックアップを除いて)複製したり、配布・販売することはできない。しかし、このような制度の枠組みは、作品を共有して多人数で共同的な創造活動を行う際にはかえって妨げとなる場合がある。

そのためにまず最初に行われたのは、明示的に著作権を放棄したり(パブリックドメイン)、放棄はしないが「誰でも自由に使って良い」と宣言したり、という形で共有する方法であった。

ところが、本当に誰でも自由に使えることにしてしまうと、共有・発展という作者の意図に反するような利用が行われることもある。パブリックドメインの状態にある著作物を改変した場合、二次的著作物パブリックドメインになるわけではなく、改変者に著作権が帰属することになるためである。

このような問題をストールマンが経験した際に、コピーレフトという発想が生まれた。シンボリックス社から、ストールマンが作成したLISPインタプリタを使いたいと打診された際、ストールマンは彼の作品のパブリックドメイン版を提供した。シンボリックス社はそのプログラムを拡張して更に強力なものにした。そして、彼のもともとのプログラムに対して拡張した部分を見せてくれるよう求めた時に、シンボリックス社はそれを拒否した。これは法的にはどうすることもできなかった。

共有状態の維持・拡大

このような経緯のため、以降のソフトウェアの公開に際してストールマンは、著作権を主張し利用する際の決まりをライセンスに書くようになり、これがコピーレフトへと繋がっていった。

つまり、利用権を共有するための仕組みとして、著作権を放棄するのではなく、ライセンス(利用許諾)の形で共有と共同的な創造活動を保護する方法を採る。すなわち、「著作権は私が有していて複製・改変・配布(販売)には私の許可がいるのだが、ソフトウェアを共有して発展させるという意図に反しないならば、いつでも誰に対しても利用を許可する」という形態を採る。

その様な仕組みには、

  • 「コピー/改変した共有物を共有的な状態から、独占的な状態へ移行させる事」を一定の条件の元に誰にでも許すパブリックドメインに近い仕組みと、
  • 「独占的な状態への移行を許さない」より強い共有的な仕組みがある。

後者の「独占的な状態への移行を許さない」強い共有の仕組みは、特にフリーソフトウェア財団 (FSF) によって(コピーライトに対する)コピーレフトと呼ばれている。 しかしながら、ライセンスに反する形で利用され、著作権が侵害される事例も後を絶たない。

法的・技術的背景

ライセンスのコピーライトの制約強度、左:パブリックドメインは緩く、右:企業秘密は厳しい

コピーレフトライセンスを構成するときに基本となる法的考え方は、独占的なライセンスを構成する場合と同じく、著作物の再配布に制限を設けるコピーライトである。この制限を厳しくして二次著作物の作成まで阻害しているのが独占的なライセンスであり、二次著作物のライセンスの変質を許し、自己のライセンスの適用例が縮小再生産されるほど緩いのがパブリックドメインである。

コピーレフトに於いては、二次以降の著作物にも一次著作物と同一のライセンスが適用される という性質(「ウイルス性」「ライセンス感染」などと呼ばれる)が確保される様に、再配布制限をコピーライトによって設ける。この「ウイルス性」「ライセンス感染」の性質により、自己複製能力を獲得した生物が増殖するのと同様に、自己のライセンスを拡大再生産して広げる力をコピーレフトは得る。

その法的強制力の根拠は独占的なライセンスと同じくコピーライトであり、コピーライト無しにはコピーレフトは効力を持ち得ない。独占的なライセンス以外の使用法を示し、コピーライトの新たな可能性を発見したこの方法は「コピーライト・ハック」とも呼ばれる[8]

しかし以上はある意味で、「法(ルール)に、その精神にではなく、文字通りに従う」という行為であり、もし将来、仮に「コピーレフトこそが正しい」ということになって現行著作権制度が部分的に解体されたとするならば、それと同時に瓦解する。従って、ジャーゴンファイルの「hack」の項[9]の第1義にある「a quick job that produces what is needed, but not well.」その通りの意味の「ハック」とも言える。

ライセンス種別

コピーレフトの考えが導入されているライセンスには以下のようなものがある。

コピーレフトではないライセンスの例としては以下のものがある。

また、コピーレフトの概念をプログラム以外のものに適用しているライセンスには以下のようなものがある。

文字コード

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
🄯 U+1F12F - 🄯
🄯
COPYLEFT SYMBOL

脚注

注釈

  1. ^ 現行のQtはGPLv3と商用ライセンスなどとのマルチライセンス形式を採用している。

出典

  1. ^ a b Free Software Foundation (2018年1月1日). “What is Copyleft?”. 2018年2月9日閲覧。
  2. ^ a b Richard Stallman, Free Software, and Copyleft”. University of California, Santa Barbara. 2018年3月1日閲覧。
  3. ^ Attribution-ShareAlike 4.0 International (CC BY-SA 4.0)”. Creative Commons. Creative Commons. 2015年8月14日閲覧。
  4. ^ GNU Porject (2018年2月10日). “Various Licenses and Comments about Them”. 2018年2月9日閲覧。
  5. ^ Stallman, Richard (2008年1月21日). “About the GNU Project”. Free Software Foundation. 2008年8月23日閲覧。
  6. ^ Wang, Li-Chen (May 1976). “Palo Alto Tiny BASIC”. Dr. Dobb's Journal of Computer Calisthenics & Orthodontia, Running Light Without Overbyte 1 (5): 12–25.  (NB. Source code begins with the following six lines. "TINY BASIC FOR INTEL 8080; VERSION 1.0; BY LI-CHEN WANG; 10 JUNE, 1976; @COPYLEFT; ALL WRONGS RESERVED". The June date in the May issue is correct. The magazine was behind schedule, the June and July issues were combined to catch up.)
  7. ^ Rauskolb, Roger (December 1976). “Dr. Wang's Palo Alto Tiny BASIC”. Interface Age 2 (1): 92–108.  (NB. The source code begins with the following nine lines: "TINY BASIC FOR INTEL 8080; VERSION 2.0; BY LI-CHEN WANG; MODIFIED AND TRANSLATED TO INTEL MNEMONICS; BY ROGER RAUSKOLB; 10 OCTOBER, 1976 ; @COPYLEFT; ALL WRONGS RESERVED")
  8. ^ The essential freedoms”. OCL4Ed. 2018年3月1日閲覧。
  9. ^ http://catb.org/jargon/html/H/hack.html

関連項目

外部リンク


コピーレフト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 21:10 UTC 版)

自由ソフトウェアライセンス」の記事における「コピーレフト」の解説

詳細は「コピーレフト」を参照 リチャード・ストールマン1980年代中ごろ書いたフリーソフトウェアライセンス群は、コピーレフトという概念さきがけである。コピーレフト条項では、自由ソフトウェア改変版を配布する際に元のソフトウェアと同じ条件下で配布されなければならないことを述べている。したがってコピーレフトのソフトウェア対す全ての改良機能追加また、自由ソフトウェアとして配布されなければならない。これを "share and share alike"(均等分配)あるいは "quid pro quo"(代償)などと呼ぶこともある。 製品にGPLのコードを使う開発者は、たとえそのオブジェクトコード対価要求する製品であっても、そのソースコード誰でも入手可能にしておかなければならないその場合、そのソースコードにはその開発者加えた全ての改変含め必要がある。GPLのコード使ったとしても、それを何らかの形で配布するのでなければ改変部分他者明らかにする要はない。したがって開発者組織私的目的(つまり、そのコードプロジェクト販売配布目的としていない場合)でGPLのコード改変した場合、その改変内容を公けにすることは要求されない。 GPL支持者は、派生著作物フリーであり続けるよう命じることで、自由ソフトウェア成長促進し全ての利用者参加要求することになると主張している。

※この「コピーレフト」の解説は、「自由ソフトウェアライセンス」の解説の一部です。
「コピーレフト」を含む「自由ソフトウェアライセンス」の記事については、「自由ソフトウェアライセンス」の概要を参照ください。

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コピーレフト

出典:『Wiktionary』 (2021/08/13 11:18 UTC 版)

語源

名詞

コピーレフト

  1. 作者著作権保持しながら他者による無断利用複製改変配布認めなおかつ二次的著作物についても同じ程度利用の自由を求める、著作物ソースコード利用条件

対義語



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