著作隣接権とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > > 権利 > 権利 > 著作隣接権の意味・解説 

ちょさく‐りんせつけん【著作隣接権】


著作隣接権(ちょさくりんせつけん)


著作隣接権

読み方ちょさくりんせつけん
【英】 neighbouring right 【独】 angrenzendes Recht

著作物利用することによって生ず実演レコード放送有線放送について,それぞれ実演家レコード製作者放送事業者有線放送事業者有する権利総称(著89条以下)。これらの者は,既存著作物利用してこれを一般公衆伝達するのが通常であり,著作権との関連大きいが,自ら精神的創作なさないゆえ著作者ではなく,したがって著作権主体とはならない。そこでこれらの者の経済的利益保護目的として創設されたのが著作隣接権である。著作隣接権の国際的保護については,実演家等保護条約ローマ条約)がある。
なお,アメリカ合衆国では著作隣接権という概念そのものがなく,同国では,レコード著作物として,レコード製作者著作者として保護しており(実演家放送事業者らは著作権法によっては保護されていない。),これが著作権保護国際的摩擦生じ一因となっている。

(注:この情報2007年11月現在のものです)

著作隣接権

著作物等を「伝達する者」(実演家レコード製作者放送事業者有線放送事業者)に付与される権利です。著作隣接権は、実演等を行った時点で「自動的」に付与されるので、登録等は不要です(無方式主義)。

こうした伝達」は様々な形態で行われていますが、条約の規定諸外国著作権法では、多く場合実演家」「レコード製作者」「放送事業者」の三者が、著作隣接権を持つ主体とされています。しかし、日本の著作権法はこれよりも保護厚く、「有線放送事業者」にも著作隣接権を付与してます。

著作隣接権 copyright and related rights

著作物創作当たっていないが、著作物伝達重要な機能を果たす演奏家レコード製作者放送事業者有線放送事業者認められ権利である。この著作隣接権制度には、著作者人格権にあたるものはない。又、この保護機関実演放送が行われたときから50年それぞれ翌年から起算する)とされている。

著作隣接権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 22:09 UTC 版)

著作隣接権(ちょさくりんせつけん、: droits voisins: related rights: Verwandte Schutzrechte )とは、著作物の創作者ではないがその流布に貢献のある者に対して契約に基づかずに与えられる法律上の利益の総体をいう。著作隣接権の保護範囲は、法域ごとにばらつきが大きく、権利の外縁を特定することは困難である[注釈 1]が、実演家(歌手、俳優、声優など)の実演は、立法例の多くで保護の対象となっている。これに対して、本の出版は、言語や美術の著作物の創作と並んで古くから保護の対象とされてきたことから、著作隣接権に含ませない立法例が多い[1]

日本では著作権法第4章(89条 - 104条)に規定があり、フランスでは知的所有権法典に関する1992年7月1日の法律第1部第2編(211の1条 - 217の3条)に規定があり、ドイツでは1965年9月9日の著作権及び著作隣接権に関する法律第2章(70条 - 87e条)に規定がある。他方、アメリカの著作権法が収録された合衆国法典第17編には「著作隣接権」と銘打った一節はない[2]。国際条約としては、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(略称:実演家等保護条約、ローマ条約など)と許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約(略称:レコード保護条約など)とが重要である。

著作隣接権の起源

日本において、実演家の実演を保護する必要性が意識され始めたきっかけとしては、桃中軒雲右衛門事件(大審院大正3(1914)年(れ)第233号同年7月4日第三刑事部判決・刑録20輯1360頁)が有名である。

浪曲師である雲右衛門は、歴史上の人物に関する浪曲を録音してレコードを製作し、著作権を私訴原告に譲渡した。被告人らは、このレコードを複製して販売したため、著作権侵害の罪により起訴されるとともに、私訴原告から損害賠償を請求された。大審院は、被告人らの行為は正義の観念に反するが著作権侵害には当たらないと述べ、被告人らを無罪とし、私訴原告の請求を棄却した。大審院は、次のとおり説明する。すなわち、著作権法(被告人らが複製をした当時のもの。)にいう「美術の著作物」には、音楽の著作物が含まれる。音楽の新旋律は、演奏によって作曲することもでき、楽譜の作成は必須ではない。しかし、音楽の著作物というためには、新旋律がいつでもどこでも再演奏できる程度に熟していなければならない。録音は再演奏ではなく、単なる複製である。問題となった雲右衛門の浪曲は、新旋律を含むが、楽譜が作成されたという証拠がなく、雲右衛門が再演奏可能であるという証拠もないので、音楽の著作物と認めることができない。著作物でない音楽を複製しても、著作権侵害には当たらない。

大審院も自認するとおり、この結論に違和感を持つ学者や有識者は多かった[3]。この事件がきっかけとなって大正9(1920年)に著作権法が改正され、「演奏歌唱」が著作物として例示されるとともに、音を機械的に複製する機器に他人の著作物を「写調」する者は偽作者とみなされることになった。

脚注

注釈

  1. ^ 英語版ウィキペディアは、「「ベルヌ条約の対象外である著作権型の権利」と定義するのが実用的である。」と述べている。

出典


著作隣接権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:14 UTC 版)

著作権」の記事における「著作隣接権」の解説

著作者によって制作され楽曲著作物)は、著作者である作詞家・作曲家著作権有している。しかし、楽曲演奏する実演家や、それを録音するレコード製作者楽曲放送する放送事業者有線放送事業者も、著作者ではないものの著作物に密接に関わる活動業としており、1970年現行著作権法制定に伴い、これらの利用者による実演レコード放送または有線放送にも著作権準じた一定の権利(著作隣接権、英: neighboring right)が認められることになった。著作隣接権は実演家の権利著作権法90条 - 95条)、レコード製作者の権利(同96条 - 97条)、放送事業者権利(同98条 - 100条)、有線放送事業者権利(同100条)からなり人格権財産権含まれる保護期間実演日(実演)または最初固定日(レコード)から70年間(放送有線放送放送等から50年間)。著作権異なり楽曲著作物そのもの権利はないため、演奏権翻案権編曲権)は認められていない。また映画の著作物においては二次利用の際の著作隣接権の適用制限される映画の著作物#著作隣接権との関係参照)。

※この「著作隣接権」の解説は、「著作権」の解説の一部です。
「著作隣接権」を含む「著作権」の記事については、「著作権」の概要を参照ください。


著作隣接権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 07:42 UTC 版)

著作権法 (フランス)」の記事における「著作隣接権」の解説

一般的に著作隣接権とは、著作物社会伝達する者の権利である。直接著作物創作はしていないものの、準創作的に寄与しているため、権利保護されている。具体的にフランスにおける著作隣接権者とは、歌手・俳優朗読者といった実演家や(L212条-1)、レコード製作者(L213条-1)、映画など視聴覚著作物製作者(L215条-1)、および放送事業者(L216条-1)の計4者が著作権法上で定義されている。 実演家には著作者本人と同様、尊重認められており、相続可能だが、譲渡不可能であり、時効はない(L212条-2)。また、財産権としては、複製権頒布権実演家にも認められており、たとえばレコード製作者歌手演奏者無断音楽CDなどを販売できないことから、書面での契約を必要とする(L212条-3)。同様に映画製作者俳優無断映画配給DVD販売を行うことはできず、やはり書面契約が必要となる(L212条-4)。これらは、実演家報酬保護する労働法典(フランス語版)第762-1条および第762-2条の規定とも密接に関連している(L212条-3)。 実演家映画製作者への報酬支払については、著作権管理団体徴収分配業務代行する規定されている(L214条-5)。具体的には、対実演家窓口としてADAMIフランス語版)とSPEDIDAM(フランス語版)の2団体が、また対映画製作者窓口としてはSCPP(フランス語版)とSPPFフランス語版)の2団体フランスには存在する。これらの規定は、1961年採択1964年発効ローマ条約実演家等保護条約)に準拠している。 一方レコード製作者視聴覚著作物製作者、および放送事業者の3者には、財産権として複製権頒布権以外に貸与権第三者無断作品レンタル貸出できない権利)が認められている(L213条-1、L215条-1およびL216条-1)。 歴史的に著作隣接権を見てみると、フランスでは著作者本人よりも著作隣接権者特権与える形で発達してきた(#歴史節で後述)。しかし現代著作権法では、著作隣接権が著作者本人権利害してならない明記されており(L211条-1)、保護優先度逆転している。 では、どこまでが著作者本人権利(仏: droits d'auteur)で、どこからが著作隣接権(仏: droits voisins)なのか。社会技術的に発展するに伴い、この棲み分け問題生じた。たとえば、写真創作者創造性というよりは、機械による創作品だとみなせるかもしれない。また映画著作者個人創作物ではなく企業・団体の創作物とみなせる。これらを伝統的な droits d'auteur同様に保護すべきなのか検討した結果フランスはじめとする大陸法諸国では、写真映画著作物として認めて著作者本人権利保護する一方実演家レコード製作者放送事業者は著作隣接権で保護する棲み分けとした。これは、英米法圏の米国著作権法とは異なり米国ではレコード製作者共同著作者として著作者本人権利保護されている。ただし1990年代採択されTRIPS協定WIPO実演・レコード条約により、著作隣接権者保護水準高まったことから、このような棲み分け論の意義大きく後退しているとの指摘もある。

※この「著作隣接権」の解説は、「著作権法 (フランス)」の解説の一部です。
「著作隣接権」を含む「著作権法 (フランス)」の記事については、「著作権法 (フランス)」の概要を参照ください。


著作隣接権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 03:52 UTC 版)

Nokia Tune」の記事における「著作隣接権」の解説

Nokia tune音源そのものは、ノキア作成したものなので、ノキアによる著作隣接権が1994年発生し日本では50年後の2044年終わりまで存在するそれまで自由に使うことはできない

※この「著作隣接権」の解説は、「Nokia Tune」の解説の一部です。
「著作隣接権」を含む「Nokia Tune」の記事については、「Nokia Tune」の概要を参照ください。


著作隣接権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:28 UTC 版)

著作権法」の記事における「著作隣接権」の解説

「著作隣接権」も参照 著作隣接権とは、「著作物公衆伝達する役割を果たす行為に対して与えられる独占的な財産権」のことを指す。具体的には、実演家レコード製作者放送事業者有線放送事業者認められる権利のことを指す。なお、著作隣接権は、著作者の権利影響を及ぼす物として解釈してならない

※この「著作隣接権」の解説は、「著作権法」の解説の一部です。
「著作隣接権」を含む「著作権法」の記事については、「著作権法」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「著作隣接権」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

著作隣接権

出典:『Wiktionary』 (2021/08/22 02:04 UTC 版)

名詞

著作隣接ちょさくりんせつけん

  1. 著作物公衆により利用できるようになる過程著作物作られる過程係わる著作者以外の人物または法人与えられる知的財産権

翻訳


「著作隣接権」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



著作隣接権と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「著作隣接権」の関連用語

著作隣接権のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



著作隣接権のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
古谷国際特許事務所古谷国際特許事務所
(C)1992-2024 FURUTANI PATENT OFFICE
www.sekidou.comwww.sekidou.com
© 1996-2024 Sekidou Kousuke.
文化庁文化庁
Copyright © 2024 The Agency for Cultural Affairs. All rights reserved.
広告転職.com広告転職.com
Copyright(C) 2024 Total Brain co., ltd. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの著作隣接権 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの著作権 (改訂履歴)、著作権法 (フランス) (改訂履歴)、Nokia Tune (改訂履歴)、著作権法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの著作隣接権 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS