著作財産権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 07:42 UTC 版)
「著作権法 (フランス)」の記事における「著作財産権」の解説
一般的な著作権法では、著作財産権の支分権を細かく用語定義する傾向にあるが、フランス著作権法ではシンプルに「複製権」(L122条-3)、「演奏・上演権」(L122条-2)、「追及権」の3つに分類している。このうち、複製権と演奏・上演権は「利用権」であるととらえられている(L122条-1)。著作財産権における利用権とは、著作者以外が無断で利用できない権利、すなわち著作者のみに排他性を認める権利であり、使用権とは異なる。したがって、無断で第三者が著作物の複製や演奏・上演を行えば、著作権侵害にあたる。ただしこの利用権には、後述する著作権の保護期間が定められていることから、永久に利用権を独占することはできない。また、著作者は第三者に有償または無償で利用権を譲渡することができる(L122条-7)。 著作財産権3つのうち、追及権だけは利用権とは定義されていない(L122条-1)。つまり、美術作品の著作者は、その作品を手放したあとに作品の購入者がどのように利用するかを拘束することはできない。また、追及権は複製権や演奏・上演権とは異なり、譲渡不能と定義されている(L122条-8)。EU指令によって、追及権はEU加盟国で広域に認められていることから、EU加盟国民が美術作品の著作者であった場合でも、追及権は適用される(L122条-8)。ここでの「美術作品」であるが、絵画や彫刻などの一点物だけでなく、リトグラフ、版画、写真のように複製可能な作品であっても、シリアルナンバーが付されているなど、著作者がオリジナルだと何らかの方法で認めている場合は、追及権の対象となる(EU追及権指令(英語版)第2条第2項)。 一般的には著作財産権のひとつとして「頒布権」を規定する国が多いが、フランスでは頒布権、およびこれとセットで議論される「消尽論」が否定されてきた。頒布権とは、著作者が著作物を販売するなどして、社会に流通させることができる独占的な権利である。消尽論とは、複製・頒布された著作物の購入者は、その著作物を自由に売却処分(再販)できるとする考え方であり、換言すると著作者に認められた独占的な権利は、購入者のその先の使用行動にまではおよばず、消え尽きてしまう。たとえば、小説家は執筆した小説の著作権を有しているが、その小説が文庫本として出版されたら、その文庫本の購入者は小説家に無断で古本屋に売却しても、著作権侵害にはならない。 ところがフランスでは、この消尽論を認めておらず、代わりにフランスでは「用途指定権」(仏: le droit de destination)の考え方を判例上で用いてきた。用途指定権とは、複製された著作物の購入者が再販するのを禁じる、あるいは事前許諾を求める権利である。しかし、デジタル著作物への対応強化を目的とするWIPO著作権条約に基づき、2001年に施行されたEU指令のひとつである「情報社会指令」で、頒布権を規定している(第4条第1項)。フランスもこのEU指令に対応すべく、2006年に通称「DADVSI(フランス語版、英語版)」(フランス語: Loi sur le Droit d'Auteur et les Droits Voisins dans la Société de l'Information、情報社会における著作権・著作隣接権法、法令番号: 2006-961)を、2009年には通称「HADOPI 1法(フランス語版)」(法令番号: 2009-669)と「HADOPI 2法(フランス語版)」(法令番号: 2009-1311)を成立させ、特にインターネットを介した頒布権に関し、フランス著作権法の条文上で明文化するようになった(詳細は#情報社会指令と国内法化の遅延で後述)。 また、従来の複製権を拡大する形で、「複写複製権」が導入されている(L122条-10以降)。ここでの複写とはコピー機を想定しており、RAMへの書き込み・保存は対象外である。複写複製権は、国が認可した著作権管理団体(集中管理機関)に著作権者から譲渡される。
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著作財産権
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「著作権法 (ルーマニア)」の記事における「著作財産権」の解説
作品を再製すること及びこれを頒布すること。 作者の同意を得て制作された複製品を国内市場で商品化するために輸入すること。 作品を賃貸し又は貸し出すこと。 公衆に対して、直接に又は間接に、作品を伝達すること(時間と場所とを問わず、公衆が作品に触れられるようにすることによる伝達を含む。)。 作品を放送し、作品を有線送信し又はそこから派生作品を創作すること。 加えて、画像、造形美術又は写真の著作物の作者は再販権を有し、その作品が美術品取扱業者が売主、買主又は代理人として参加する再販売行為の対象とされたときは、作者はその価格のある割合を収受する権利(これを追及権と呼ぶ)を有する。
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