複製権(ふくせいけん)
”複製権”とは、著作権の支分権の1つであり、その中核をなす権利である。「複製」とは著作物をコピーすることであるが、異なる表現媒体にコピーすることも該当する。また、CD-ROMに記憶された画像データをハードディスクにコピーする行為、ある本の画像をスキャナで読取ってデータとして記憶する行為、ブラウザソフトを用いてホームページ上の画像データをダウンロードしたり、プリントアウトすることも同様である。
なお、著作権侵害においては、デッドコピーの場合を除き、複製したという立証が事実上不可能に近いので、“アクセス性”および“実質的類似性”の2つの要件から、複製に該当するかどうかが判断される。
ただし、コンピュータ内のメモリへの瞬間的な書込みについては、複製には該当しないと考えられている。例えば、ブラウザソフトを用いてホームページの画像データを覗いている場合のメモリへの一時記憶や、プログラム実行時におけるプログラムの一時書込み等である。
また、インターネット上にて、リンクを張ることは、HTML言語を用いて、リンク先のアドレスを指定しているだけなので、複製には該当しないといわれている。
リンクについては、ホームページの上での人物写真の利用とリンクについて(宮下佳之氏:弁護士)を参照のこと。
複製権
複製権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:28 UTC 版)
複製権とは、著作権制度において全ての著作物を対象とする最も基本的な権利で、著作物を無断で複製されない権利である。著作権法において複製とは、手書き、複写、写真撮影、印刷、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積その他、どのような方法であれ著作物を形のある物に再製すること(有形的再製)を指す。したがって、複製の結果出来上がった複製物は物に固定されている必要があるが、複製の対象となる著作物の方は必ずしも物に固定されている必要はない。例えば、演劇用の脚本の複製といった場合、脚本を直接コピー機を使って複写した場合だけでなく、その脚本に基づいて上演されたり放送されたりした演劇(無形的再製)をCDやDVDに録音、録画する行為も脚本の複写にあたり、複製権が及ぶことになる。また、建築の著作物については、その設計図に従って同じ建築物を建てれば、建築の著作物の複製となる。 さらに、映画(映像)の作品の中で音楽や美術作品が使われている場合、その映画の著作権とは別に音楽や美術作品の著作権が独立して成立しているので、その映画を複製しようとする場合には、映画の著作権者だけでなく、その映画の中で使用されている音楽や美術作品の著作権者(複製権者)の許諾も必要となる(同じことは、二次的著作物や、著作物性を有する素材からなる編集著作物やデータベースについてもいえる)。 複製権侵害の要件としては、判例は原著作物と複製物との同一性・類似性の他に原著作物に「依拠したこと」も求めている。従って、原著作物の存在を知らずに創作し、結果的にたまたま同一の著作物が出来上がったにすぎない場合は、そもそもアクセスしていないため、複製に該当せず、複製権侵害にもならない。 また、著作権法第30条から47条の7に規定されている著作権の制限規定に該当する場合、基本的には複製権者に無断で複製しても例外的に複製権の侵害とはならないが、法が許容する目的以外でその複製物を利用すると、その行為は複製とみなされる。 なお複製権者は、その複製権の目的たる著作物について出版権を設定することができるが、その複製権を目的とする質権が設定されているときには、当該質権者の承諾を得なければならない。 また、著作権法第30条の4では情報解析についての規定があり、この条文では「非営利」に限定していない。このため、営利企業が他人の著作物を使って機械学習を行ったり、学習済みモデルを販売しても、著作権侵害には当たらないとされる。諸外国の著作権法にも同様の規定はあるが、大抵は「非営利」に限定されており、営利での利用が可能であることは、日本の著作権法の特徴となっている。
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