レコード製作者の権利(1)
「許諾権」は、他人が無断で利用(録音・録画やインターネット送信など)することを止めることができる権利です。
また、使用料などの条件を付けて他人が利用(録音・録画やインターネット送信など)することを認めることもできる権利です。
これに対して「報酬請求権」は、他人が利用することを止めることはできませんが、利用(放送・有線放送、レンタル)した者に使用料(報酬)を請求できる権利です。
許諾権としては、複製権(無断で複製されない権利)(第96条)、送信可能化権(無断で送信可能化されない権利)(第96条の2)、譲渡権(無断で公衆に譲渡されない権利)(第97条の2)、貸与権(無断で公衆に貸与されない権利、レコードの発売後1年間に限る)(第97条の3第1項)があり、また報酬請求権として、CD等の「放送」「有線放送」「レンタル」について使用料を請求できる権利(第97条)があります。権利内容の詳細については、文化庁ホームページに掲載されてある著作権テキストを参照してください。
<許諾権>
ア 複製権(無断で複製されない権利)
レコードをコピー(複製)することに関する権利です(第96条)。
音楽CDなどをコピーする場合には、「著作者」である作詞家、作曲家、実演家だけでなく、原盤を作成した「レコード製作者」の了解も必要となります。
また、CDなどによる放送などを受信して、その音を録音することも含まれます。
イ 送信可能化権(無断で送信可能化されない権利)
レコードを、サーバー等の「自動公衆送信装置」に「蓄積」「入力」することにより、「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」状態に置くことに関する権利です(第96条の2)。
「入力」による送信可能化とは「自動公衆送信装置への蓄積(コピー)」を伴わない場合であり、レコードを、いわゆる「ウェブキャスト」「インターネット放送」などによって(サーバー等を通じて)そのまま流す場合です。
ウ 譲渡権(無断で公衆に譲渡されない権利)
CDなどを公衆向けに譲渡することに関する権利です(第97条の2)。
この権利は、著作者の譲渡権の場合と同様に、いったん適法に譲渡されたCDなどについてはなくなりますので、購入したCDなどの転売は自由です。
レコード製作者の権利(2)
CDなどを公衆向けに貸与することに関する権利です(第97条の3第1項)。
この権利については、実演家の「貸与権」と同様、立法時の経緯から、特別の扱いがされており、発売後「1年間は許諾権」「残りの49年間は報酬請求権」とされています。
<報酬請求権>
ア CD等の「放送」「有線放送」について使用料を請求できる権利
CDなど(市販用に限る)が、放送や有線放送で使われた場合、放送事業者や有線放送事業者に対して使用料(報酬)を請求できる権利です(第97条)。
「著作者」の場合には、公衆への送信(放送、有線放送、インターネットでの送信(送信可能化を含む)など)は、すべて「許諾権」の対象とされています。これに対して、レコード製作者の著作隣接権の場合は、「送信可能化権」のみが「許諾権」の対象で、放送・有線放送は、「報酬請求権」とされています。
なお、この権利の行使は、文化庁が指定する団体(社団法人 日本レコード協会)を通じて行われます。
イ CD等の「レンタル」について使用料を請求できる権利
CDなど(市販用に限る)の公衆向けレンタルについては、発売後1年間は「許諾権」が付与されていますが、2年目から50年目までの49年間については「報酬請求権」とされています。このため、実演家と同様、レコード製作者はレンタル店に対して、使用料(報酬)の請求のみができることとされています
なお、この権利の行使は、文化庁の指定する団体(社団法人 日本レコード協会)を通じて行われます。
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