島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 22:41 UTC 版)
島の生物
島には、特殊な生物相が見られることがよくある。固有種が多く、また、飛べない鳥の出現なども広く見られることである。島の生物の生態についての研究は、島嶼生物学が扱う。
洋島では、漂着する生物が定着する事によって生物相ができることから、両生類や哺乳類を欠くといったような、大陸に比べて偏った生物相になりやすい。ガラパゴス諸島やハワイ諸島、小笠原諸島などが有名である。
陸島でも、大陸では絶滅した群が生き残っているなど、特殊な生物が見られる例が非常に多い。
しかし逆に何らかの要因で外来種が入ってくると島の固有種に壊滅的なダメージを与えたり、固有種と外来種の雑種が生まれたりするなどの影響が出ることが多い。
行政上の「島」
律令制時代の日本
日本では、律令制時代の8世紀から9世紀にかけて、国(令制国)と同格の行政機関として「島(嶋)」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島府」と言い、国分寺に相当する「島分寺」が建立された。島司は国司に相当する官職であり、中央から派遣された官吏である。
701年制定の大宝律令では、壹伎島・対馬島・多褹島の3島が置かれていた(いずれも西海道)。このうち多褹島は824年に廃止されて大隅国に併合された。また、876年には肥前国から五島列島・平戸島が分割され値嘉島(ちかのしま)が新設されたが、10世紀初頭までには廃止された。壱岐・対馬は「国」に改められたが、この2国を他の令制国(中国風に「州」とも呼んだ)と区別し「島」と呼ぶ慣習は残った。西海道が九州二島と称されたり、日本全土が六十六州二島と称されたりしたのは、このためである。
近代日本の島嶼制度
近代の日本では、伊豆諸島・小笠原諸島・隠岐諸島・奄美諸島などの島嶼部において町村制が施行されず、島嶼町村制と呼ばれる特殊な行政制度が採られた。これらの地域では、「郡役所」に相当する「島庁」が置かれた。島庁の長は「島司」である。島庁は、1920年代には府県の支庁に改められた。現在でも日本のいくつかの都道府県では、離島地域を島嶼もしくは島嶼部とし、法制や行政上、特別扱いすることがある。
東京都
東京都にあっては島嶼とは、伊豆諸島と小笠原諸島(南方諸島)を指す。島嶼部(とうしょぶ)と呼ばれることもあり、日本において「部」を付ける場合は東京都所管の離島を指す場合がほとんどである。
これらの諸島にある自治体には、東京都の他の町村、他の道府県の町村と異なり、包含する郡が存在しない。また、鳥島は帰属を巡って争いがあることから特定の町村に属さず、都の直轄となっている(厳密には都の出先機関である東京都総務局八丈支庁が管轄)。小笠原諸島の沖ノ鳥島、南鳥島、硫黄島を含む火山列島は小笠原村に属している。
東京都島嶼部の自治体は大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村の2町7村で構成される。
長崎県
自治体の領域内における島の数が全都道府県で最も多い長崎県の壱岐・対馬・五島列島を総称して長崎県島嶼部と呼ぶ場合がある。これら3諸島には、県の出先機関としてそれぞれ壱岐振興局・対馬振興局・五島振興局が設置されている。また、長崎県企画振興部地域振興課ではこの3諸島に加えて西彼杵半島周辺の島々(西彼諸島)や架橋により本土と繋がっている平戸島も「島嶼部」に含めている[5]。
鹿児島県
鹿児島県では県庁企画部離島振興課が所管する獅子島・甑島列島・新島・上三島(三島村)・トカラ列島(十島村)・種子島・屋久島・口永良部島・奄美群島を総称して鹿児島県島嶼部と呼ぶ場合がある。この内、種子島・屋久島・口永良部島には熊毛支庁、奄美群島には大島支庁がそれぞれ県庁の出先機関として設置されている。
かつては離島であったが噴火により本土と地続きになった桜島や架橋により自動車での往来が可能となった長島については、島嶼に含める場合と含めない場合がある。
日本統治時代の朝鮮
日本統治時代の朝鮮では、郡と同格の行政機関「島」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島庁」と言う。行政機関としての「島」は済州島と鬱陵島の2つであった。日本統治時代の朝鮮の行政区画参照。
上記定義以外で「島」と呼ばれるもの
湖沼・河川の中にある陸地
湖沼や河川の中にある陸地は四方を水域に囲まれているため島と呼ばれることがあるが、海洋ではないため地政学における島に当たらない。河川の中にある陸地は中州と呼ばれることもある。
浮島
水底に接していない島を浮島(うきしま)と呼ぶ。天然の湖沼の一部には浮島が見られ、植物の栽培(農耕)や人の居住が行われることもある。
ミャンマーのインレー湖の浮島は表土を持ち、植物の栽培が可能である。ペルー・ボリビア間に広がるチチカカ湖にも浮島がある。
日本では、和歌山県新宮市の沼地にある泥炭でできた浮島が最大(約0.5ヘクタール)であり、その上に構成された植物群とともに天然記念物(「新宮藺沢浮島植物群落」、通称「浮島の森」に指定されている。このほかにも、例えば秋田県鹿角市の作沢沼にはミズゴケ類からできた直径数mの浮島がある。
独立したものの象徴としての「島」
- 陸地地名としての「島」
- 日本語の「島」には古来より、さまざまな意味がある。川沿いの耕地、一定の領域,集落、盆地の小高い処など。日本各地の内陸には、「島」がつく地名があるが、それらはこれに由来するものも多い。静岡県の蛭ヶ小島、長野県の島々や川中島など。
- 縄張り
- 「区画」という意味から、ヤクザが独占的に勢力を及ぼす範囲。「シマ」と片仮名表記されることが多い。
- 臓器の「島」
- 膵臓中でインスリンなどのホルモンを分泌するランゲルハンス島は、顕微鏡下の観察で他の膵細胞から独立して見えたことに由来する。
形からの連想で「島」と名付けられたもの
- 島式プラットホーム
- 線路に挟まれたプラットホームのことを「島式ホーム」と呼ぶ。
- 島(パチンコ、パチスロ用語)
- 遊技台が設置されている取り付け台を、通路に挟まれている様から「島」と呼ぶ。
- デスクや陳列棚の「島」
- オフィスの机や店舗の陳列棚などが数個まとめて配置され、その四方が通路で囲まれているものを島と呼ぶことがある。スーパーマーケットの陳列棚の場合、それぞれの島の両端には店側の最も売りたい商品が並べられていることが多く、大抵は買い得な価格が設定されている。コミックマーケットなどの同人誌即売会では参加者がジャンルごとにまとまって配置されることから、特定のジャンルの参加者が集まっている一帯をジャンルごとに「(作品名)島」「評論島」などと呼ぶ。
奄美・沖縄の「シマ」
奄美地方や沖縄県では、自分たちの生活の場や故郷、集落などのことを「シマ」と表現する(シマ社会)。これは接頭語としても用いられ、泡盛は「島酒」、地元産の農産物は「島野菜」などと呼ばれる。
庭園を指す「島」
平安時代末期から鎌倉時代初期に記されたと考えられている日本最古の造園書である『作庭紀』(さくていき)は、庭の主たる構成要素として築山、池、島、南庭白砂、鑓水を挙げている。これが転じて、池や築山のある日本庭園のことを島と呼ぶこともある。
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