食品 産業

食品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/05 07:51 UTC 版)

産業

食品は、食品を生産する農業水産業、加工しさまざまな加工食品を生産する食品工業、生産された食品を集荷し流通させる運輸業卸売、そして食品小売業にさまざまな料理を消費者に提供する外食産業まで、フードシステム英語版と呼ばれる巨大な産業構造を形作っている[53]。1980年代以降、こうしたアグリビジネス企業の巨大化が農業生産・食品加工・食品小売の各部門で進んでいる[54]一方で、世界各国に無数の中小食品企業が存在して生産を続けており、大企業と中小企業が併存する構造となっている[55]

食品行政

日本

食品表示

日本では多くの食品が農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(通称JAS法)によって日本農林規格に従った表示が義務付けられている。1999年平成11年)の改正によって、消費者向け飲食料品への品質表示(産地・原料など)が義務化された。このほか食品衛生法および健康増進法にも食品表示の規定が存在したが、2013年(平成25年)に食品表示法が制定されたことでこれら三法の食品表示規定が一本化された[56]。また、2009年(平成21年)10月の消費者庁発足により、食品安全行政の所管省庁が消費者庁に一元化された[56]

食品衛生法

食品衛生法(昭和22年法律第233号)は、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律。所管は厚生労働省消費者庁。食品と添加物と器具容器の規格・表示・検査などの原則を定める。食品表示に関しては食品衛生法でも基準が定められている。使用した添加物については表示をさせる。また2003年(平成15年)には、食品安全管理の基本法として食品安全基本法が制定された[57]

米国

FDA
米国では「食品及び栄養摂取の目的で口から入るもの」について主に保健福祉省(Department of Health and Human Services、HHS)のアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)が主に所管する[6]
USDA
アメリカ合衆国農務省(United States Department of Agriculture、USDA)は食品のうち、果物、畜肉、家禽肉、卵製品を所管する[6]。食品に関する有機(オーガニック) 査定表示認証もUSDAの所管である[6]
EPA
アメリカ合衆国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は食物の残留農薬値の設定など食品の環境による汚染に対する安全審査を所管する[6]
FTC
連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)は食品や栄養補助食品の表示、健康強調標示(ヘルスクレーム)、広告内容などを所管する[6]
財務省

アメリカ合衆国財務省(Department of Treasury)はアルコール類の規制を行っている[6]

脚注


注釈

  1. ^ 法改正前の食品衛生法第4条では、「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号)に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」と規定していた[5]

出典

  1. ^ 他言語では、: alimentum : Lebensmittelなど。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 小学館『日本大百科全書』「食品」河野友美 執筆。
  3. ^ 広辞苑第6版
  4. ^ 用語解説(食品ロス参照)”. 京都府. 2020年6月1日閲覧。
  5. ^ 食品衛生法(昭和二十二年十二月二十四日法律第二百三十三号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2009年11月30日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i 健康食品調査(米国)”. 日本貿易振興機構ロサンゼルス事務所農林水産・食品調査課. 2020年6月1日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 資料 1-1. コーデックス食品分類システム(Food Category System: FCS)”. 農林水産省. 2020年6月1日閲覧。
  8. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 29–31.
  9. ^ 食品保健研究会(編) 1989, p. 29.
  10. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 29–30.
  11. ^ 食品保健研究会(編) 1989, p. 30.
  12. ^ a b 食品保健研究会(編) 1989, p. 31.
  13. ^ a b 「好きになる栄養学 第3版」p3 麻見直美・塚原典子 講談社 2020年2月18日第1刷発行
  14. ^ 「好きになる栄養学 第3版」p29-30 麻見直美・塚原典子 講談社 2020年2月18日第1刷発行
  15. ^ 「世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理」p24-25 バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント著 山本紀夫監訳 柊風舎 2010年1月20日第1刷
  16. ^ 「好きになる栄養学 第3版」p16-17 麻見直美・塚原典子 講談社 2020年2月18日第1刷発行
  17. ^ 「食料の世界地図」p86-87 エリック・ミルストーン、ティム・ラング著 中山里美・高田直也訳 大賀圭治監訳 丸善 平成17年10月30日発行
  18. ^ 「世界の食用植物文化図鑑 起源・歴史・分布・栽培・料理」p26 バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント著 山本紀夫監訳 柊風舎 2010年1月20日第1刷
  19. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 91–92.
  20. ^ a b c d e f 食品保健研究会(編) 1989, p. 92.
  21. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 92–93.
  22. ^ a b c d e f g h i 食品保健研究会(編) 1989, p. 93.
  23. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 93–94.
  24. ^ a b c d e f 食品保健研究会(編) 1989, p. 94.
  25. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 94–95.
  26. ^ a b c d e f g h i j 食品保健研究会(編) 1989, p. 95.
  27. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 95–96.
  28. ^ a b 「火と人間」p4 磯田浩 法政大学出版局 2004年(平成16年)4月20日初版第1刷
  29. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p119 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年(平成24年)5月30日初版第1刷
  30. ^ 「新訂 食用作物」p3 国分牧衛 養賢堂 2010年(平成22年)8月10日第1版
  31. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p110 - 111 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年(平成24年)5月30日初版第1刷
  32. ^ 南直人 『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、56 - 58頁。ISBN 4-0625-8123-X 
  33. ^ 南直人 『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、98頁。ISBN 4-0625-8123-X 
  34. ^ 南直人 『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、195 - 200頁。ISBN 4-0625-8123-X 
  35. ^ 南直人 『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、209 - 212頁。ISBN 4-0625-8123-X 
  36. ^ a b 「食料の世界地図」p78-81 エリック・ミルストーン、ティム・ラング著 中山里美・高田直也訳 大賀圭治監訳 丸善 平成17年10月30日発行
  37. ^ 「食 90億人が食べていくために」(サイエンス・パレット025)p144-145 John Krebs著 伊藤佑子・伊藤俊洋訳 丸善出版 平成27年6月25日発行
  38. ^ 「食料の世界地図」p12-13 エリック・ミルストーン、ティム・ラング著 中山里美・高田直也訳 大賀圭治監訳 丸善 平成17年10月30日発行
  39. ^ https://www.unicef.or.jp/news/2020/0173.html 「世界の飢餓人口 増加続く 2030年の「飢餓ゼロ」達成困難のおそれ ユニセフなど、国連5機関が新報告書」公益財団法人 日本ユニセフ協会 2020年7月13日 2021年2月5日閲覧
  40. ^ [1] 鎌倉市 2021年7月1日閲覧
  41. ^ 「食文化としての昆虫食」p43 野中健一 (「文化昆虫学事始め」所収 三橋淳小西正泰編 創森社 2014年(平成26年)8月20日第1刷)
  42. ^ 「イスラエルのユダヤ料理」p110 鴨志田聡子(「イスラエルを知るための62章 第2版」所収 立山良司編著 明石書店 2018年(平成30年)6月30日第2版第1刷)
  43. ^ 『イスラームと食』p370 山根聡(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 2018年(平成30年)1月30日発行
  44. ^ 「食と健康 インドの浄・不浄観と社会」p107 - 109 松尾瑞穂(「世界の食に学ぶ 国際化の比較食文化論」所収 河合利光編 時潮社 2011年(平成23年)11月25日第1版第1刷
  45. ^ 『イスラームと食』p370 山根聡(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 2018年(平成30年)1月30日発行
  46. ^ 『アルコール』p384 池亀彩(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 2018年(平成30年)1月30日発行
  47. ^ 「世界の食文化百科事典」p304-305 野林厚志編 丸善出版 令和3年1月30日発行
  48. ^ 「世界の食文化百科事典」p386-387 野林厚志編 丸善出版 令和3年1月30日発行
  49. ^ 「食 90億人が食べていくために」(サイエンス・パレット025)p90-91 John Krebs著 伊藤佑子・伊藤俊洋訳 丸善出版 平成27年6月25日発行
  50. ^ 「新・食文化入門」p30 - 34 森枝卓士南直人編 弘文堂 2004年(平成16年)10月15日初版1刷発行
  51. ^ 「食文化の多様性と標準化」p79 岩間信之(「グローバリゼーション 縮小する世界」所収 矢ヶ﨑典隆山下清海加賀美雅弘編 朝倉書店 2018年(平成30年)3月5日初版第1刷)
  52. ^ 「食で読み解くヨーロッパ 地理研究の現場から」p120-124 加賀美雅弘 朝倉書店 2019年4月10日初版第1刷
  53. ^ 「新版 キーワードで読みとく現代農業と食料・環境」p218-219 「農業と経済」編集委員会監修 小池恒男・新山陽子・秋津元輝編 昭和堂 2017年3月31日新版第1刷発行
  54. ^ 「新版 キーワードで読みとく現代農業と食料・環境」p14-15 「農業と経済」編集委員会監修 小池恒男・新山陽子・秋津元輝編 昭和堂 2017年3月31日新版第1刷発行
  55. ^ 「食料の世界地図」p82-83 エリック・ミルストーン、ティム・ラング著 大賀圭治監訳 中山里美・高田直也訳 丸善 平成17年10月30日発行
  56. ^ a b 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p13 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年(平成25年)4月1日第1刷
  57. ^ 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p8 - 9 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年(平成25年)4月1日第1刷






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