精米(せいまい)
精米
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/23 00:24 UTC 版)
精米(せいまい)は、玄米の糊粉層(糠層)を取り除いて皮部と胚乳部に分けること[1]。また、その工程を経て糠層の全部または一部を取り除いて精白した米[2]。糠層を完全に削った米は「精白米」または「白米」ともいう。
もち米とうるち米の区分に応じて、でん粉にアミロース成分を含まない精米を「もち精米」、それ以外を「うるち精米」という[2]。
白度
精米の度合いを白度という[1]。酸化マグネシウムを100パーセントとしたときの白さで示され、一般的に玄米の状態で白度20度、白米の状態であるが品種等によって値は変化する[1]。
一般的には糠層を残す度合いによって「三分づき(三分搗き)」や「五分づき(五分搗き)」のように表すことがある[1]。これは玄米を0、白米を10割の精米率とし、何割精米しているかを示す。
歴史と技術
日本
日本では古代から杵と臼を用いた精米が行われていた[1]。江戸時代の元禄期に清から手回しで精米を行う「土臼」が導入され、さらに足踏み作業でシーソーの原理により米を搗く「唐臼」が利用されるようになった[1]。『日本書紀』推古18年(610年)の記録によれば、朝鮮半島の高句麗から来た僧・曇徴(どんちょう)が、碾磑(てんがい)という水車で動く回転式の臼の原理を伝えたという。つまり水力を利用した回転臼は西暦600年代には存在していたが、川沿いでなければ利用できない制約がありあまり普及しなかった[1]。
1890年代にイギリスからエンゲルバーグ式精米機が輸入され、1920年には日本独自の研削式精米機が開発された[1]。
日本国内における玄米及び精米の品質表示について定めた「玄米及び精米品質表示基準」(平成12年3月31日農林水産省告示第515号)第2条では、「精米」を「玄米のぬか層の全部又は一部を取り除いて精白したもの」と定義している[3]。
東南アジア
東南アジアの在来精米技術は手搗き(Hand pounding)であり、籾(もみ)摺りを磨り臼で行い、搗き臼と杵あるいは足踏み式の唐臼(碓とも)で精米を行った[4]。
近代精米技術が導入される前には、在来技術で加工した半搗米に、輸送時の品質保持のため籾を混ぜたカーゴライス(Cargo rice)が輸出品となっていた[4]。
ヨーロッパから近代精米技術がもたらされ、例えばビルマでは宗主国イギリスとの米貿易が行われており、1850年頃にはダグラス=グラント社が開発した竪型研削式精米機が導入されるようになった[4]。
脚注
- ^ a b c d e f g h 「今日から精米工学会~美味しいお米と精米技術~」『精密工学会誌』第83巻第6号、公益社団法人 精密工学会、519-524頁。
- ^ a b “玄米及び精米”. -農林水産省. 2023年10月28日閲覧。
- ^ 「玄米及び精米品質表示基準」(平成12年3月31日農林水産省告示第515号)第2条
- ^ a b c 高橋 塁「近代精米技術の発展と華僑の役割 : アジアにおける精米業の発展要因再考」『東海大学紀要』第83巻第6号、東海大学政治経済学部、119-150頁。
関連項目
精米
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:45 UTC 版)
玄米から糠・胚芽を取り除き、あわせて胚乳を削る。削られた割合は精米歩合によって表される。 米に含まれるタンパク質・脂肪は、米粒の外側に多く存在する。醸造の過程において、タンパク質・脂肪は雑味の原因となるため、米が砕けないよう慎重に削り落とされ、それにより洗練された味を引き出すことができる。その反面、精米歩合が低くなればなるほど米の品種の個性が生かしにくくなり、発酵を促すミネラル分やビタミン類も失われるので、後の工程での高度な技術が要求されることになる。 精米の速度が速すぎると、米が熱をもって変質したり砕けたりするので、細心の注意をもってゆっくり行わなくてはならない。吟醸、大吟醸となると、削りこむ部分が大きいだけでなく、そのぶん対象物が小さくなって神経も使うので、精米に要する時間は丸二日を超えることもある。 1930年(昭和5年)頃以降は縦型精米機の出現により、より高度で迅速な精米作業が可能になり、ひいてはのちの吟醸酒の大量生産を可能にした(参照:吟醸酒の誕生)。最近ではこの縦型精米機をコンピュータで制御して精米している大手メーカーもある。
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「精米」の例文・使い方・用例・文例
- 日本酒は、米と水と酵母で蒸留します。大吟醸に使われる米はほかのお酒に比べ、よく精米されています。
- 精米機械
- 精米所
- 精米の籾
- 玄米をついて精米にするとき砕けてしまった米
- もみすりや精米の際に砕けて細かくなった米
- もみをとっただけで,まだ精米していない米
- 精米する時砕けた米
- 精米などのときにできる砕けた米
- 精米するとき薄皮を七割とること
- 精米するとき薄皮の七割をとった米
- 精米する
- 胚芽を残して精米した米
- 十分に精米すること
- 籾搗きという精米法
- 精米時に砕けた米
- 精米
- 胚芽精米という,胚芽の保有率が8割以上の精米
- 精米していない茶褐色の砂糖
- 玄米を精米する時に残る粉
精米と同じ種類の言葉
品詞の分類
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