家畜化
家畜化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 14:31 UTC 版)
家畜化(かちくか)[1]および栽培化(さいばいか)[2]とは、前者が動物で後者が植物と、対象とする生物が異なるものの、いずれも、ヒト(人間)が対象の生殖を管理し、管理を強化していく過程をいう[1]。その過程においてヒトは自らに有益な特徴を多く具える個体を対象の群れの中から人為選択し続けるため、代を重ねることで遺伝子レベルでの好ましい変化が発現し、固定化し、家畜化・栽培化が成功する。栽培化は作物化(さくもつか)ともいう[2]。
注釈
- ^ したがって、犬の "domestication" という語 "dog's domestication(犬の飼い慣らし)" も成立する。
- ^ 次のような語と連結する。animal(動物)、wild animals(野生動物)、plant(植物)、wild plants(野生植物)、human(人間)、ほか。心理学用語 self-(自己…)→ self-domestication(自己家畜化 cf. en)[5][6]。
- ^ domestication of wild plants などといった表現。
- ^ 元資料では、種を特定できない通称「バッファロー」が用いられているが、論旨に適う種を特定するならアフリカスイギュウが最適である。
- ^ 「イヌの起源」も参照のこと。
- ^ 「ドバト(土鳩、鴿)」ともいうが、この語は「家禽化(家畜化)された後で再野生化したカラワバトの総称」と定義される一方で、別の定義では「カワラバトの飼養品種」であるとされ、ベクトルが逆方向の相反する定義が並立している。いずれにしても、この表では野生のカワラバトが家禽化された時点を主題としており、その家畜の名称を問われれば、「カワラバト」である。「ドバト」の定義はどちらも後世の事象を説明している。
- ^ ミトコンドリアDNAの解析による知見[37][38]。2003年発表[38]。
- ^ シロガチョウ(白鵞鳥)はシナガチョウの一種。
出典
- ^ a b c 日立デジタル平凡社『世界大百科事典』第2版. “家畜化”. コトバンク. 2019年12月27日閲覧。
- ^ a b c 『世界大百科事典』第2版. “栽培化”. コトバンク. 2019年12月27日閲覧。
- ^ a b “domestication”. Online Etymology Dictionary. 2019年12月27日閲覧。
- ^ “domestication”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2019年12月27日閲覧。
- ^ a b 『世界大百科事典』第2版. “自己家畜化”. コトバンク. 2019年12月27日閲覧。
- ^ a b 『世界大百科事典』第2版. “self-domestication”. コトバンク. 2019年12月27日閲覧。
- ^ 生物の多様性に関する条約第二条を参照。
- ^ 岡本 2019, p. 20.
- ^ ワルドバウアー & 屋代 2012, p. 54.
- ^ ダイアモンド & 倉骨 2013 [要ページ番号]
- ^ Diamond 1998.
- ^ a b c d ブレンフルト 2004, pp. 54–55.
- ^ 赤澤威 (1997年). “ネアンデルタールとの出会い─洪積世人類遺跡調査”. 国際日本文化研究センター. 2019年12月31日閲覧。 “ドゥアラ洞窟の古生物分析が提供した興味深い論点は、イヌの起源問題である。洞窟からは、少なくとも三個体分のイヌ科の骨が見つかった。イヌの仲間としては、周囲に現在、オオカミとジャッカルが生息しているが、ドゥアラの骨はオオカミとしては小さすぎるし、ジャッカルよりは骨太である。しかも歯の形が違っている。むしろ家畜化されたイヌと似ていたのである。西アジアではっきりと家犬とわかるものが現れるのは、考古学的にはナトゥーフ期、つまり一万数千年前でしかない。どう新しく見積もっても四万五〇〇〇年よりは古いドゥアラの住人は、この珍奇な動物とどうつきあっていたのだろうか。ペイン[1980]が提示した「砂漠でイヌを飼っていた旧人」という興味深い仮説は、物議をかもしたままである。”
- ^ ブレンフルト 2004, p. 54.
- ^ 青山 2015, p. 252.
- ^ Arnold, Carrie (2015年12月22日). “イヌ家畜化の起源は中国、初の全ゲノム比較より 世界のイヌとオオカミ58頭の全ゲノムを解読、「2つの段階」が判明”. ナショナルジオグラフィック(公式ウェブサイト). 日経ナショナル ジオグラフィック社. 2019年12月30日閲覧。
- ^ Krebs 2003 [要ページ番号]
- ^ Simmons 2000 [要ページ番号]
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad 鹿児島大学, p. 4.
- ^ Melinda A. Zeder, Goat busters track domestication (Physiologic changes and evolution of goats into a domesticated animal), April 2000, (英語).[リンク切れ]
- ^ a b Giuffra E, Kijas JM, Amarger V, Carlborg O, Jeon JT, Andersson L. The origin of the domestic pig: independent domestication and subsequent introgression., April 2000, (英語).
- ^ 石黒直隆ほか (2004年). “東アジアのイノシシ・ブタの遺伝的源流に位置するベトナムのイノシシ属の遺伝子調査”. 科学研究費助成事業データベース. 文部科学省、日本学術振興会. 2019年12月30日閲覧。
- ^ a b c d 鹿児島大学, p. 3.
- ^ 本郷一美[1] (2008年). “ドメスティケーションの考古学 - 『総研大ジャーナル』13号” (PDF). 国立大学法人 総合研究大学院大学(総研大). 2019年12月30日閲覧。
- ^ Late Neolithic megalithic structures at Nabta Playa (Sahara), southwestern Egypt. Archived 2008年2月13日, at the Wayback Machine.
- ^ Source : Laboratoire de Préhistoire et Protohistoire de l'Ouest de la France “アーカイブされたコピー”. 2009年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月17日閲覧。, (フランス語).
- ^ West B. and Zhou, B-X., Did chickens go north? New evidence for domestication, World’s Poultry Science Journal, 45, 205-218, 1989, quotation (PDF, 26.3 KiB) , 8 p. (英語).
- ^ History of the Guinea Pig (Cavia porcellus) in South America, a summary of the current state of knowledge
- ^ Beja-Pereira, Albano et al., African Origins of the Domestic Donkey, Science 304:1781, 18 June 2004, cited in New Scientist, (英語).
- ^ Roger Blench, The history and spread of donkeys in Africa (PDF, 235 KiB) (英語).
- ^ “Breeds of Livestock - Tarpan Horse”. Breeds of Livestock, Department of Animal Science. Oklahoma State University (1998年5月29日). 2019年12月30日閲覧。
- ^ The Domestication of the Horse Archived 2007年2月2日, at the Wayback Machine.[リンク切れ]
- ^ Domestication of Reindeer Archived 2009年3月16日, at the Wayback Machine.
- ^ a b c d 日立デジタル平凡社『世界大百科事典』第2版. “ガチョウ(鵞鳥)”. コトバンク. 2019年12月31日閲覧。
- ^ Amun-Ra (2015年4月11日). “Controversy over the Meidum Geese”. Amun-Ra Egyptology Blog. 2019年12月31日閲覧。
- ^ “Geese: the underestimated species”. 2019年12月31日閲覧。
- ^ Church, Bob (1998年2月27日). “Ferret Natural History FAQ”. Ferret Central. 2020年1月1日閲覧。 “Nevertheless, it is clear from other archaeological and historical sources that ferrets have been domesticated for quite a while, at least 2500 years. According to information from Bob Church, ferrets were mentioned in 450-425 BC in plays by Aristophanes, by Aristotle around 350 BC, and by Pliny in AD 79, for example.”
- ^ a b Sato JJ, Hosoda T, Wolsan M, Tsuchiya K, Yamamoto M, Suzuki H (Feb 2003). “Phylogenetic relationships and divergence times among mustelids (Mammalia: Carnivora) based on nucleotide sequences of the nuclear interphotoreceptor retinoid binding protein and mitochondrial cytochrome b genes.”. Zoological Science 20(4) (243-64). doi:10.2108/zsj.20.243. PMID 12655187 2020年1月1日閲覧。.
- ^ a b c d 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “シナガチョウ”. コトバンク. 2019年12月31日閲覧。
- ^ “サカツラガン”. コトバンク. 2019年12月31日閲覧。
- ^ “日本の養蜂の歴史”. 日本養蜂協会. 2019年12月31日閲覧。 “文献上で「蜜蜂」の語が初めて用いられたのは「日本書紀」の皇極2年(643)のくだりに出てくる「百済の太子余豊、蜜蜂の房四枚をもって三輪山に放ち、養う。しかれどもついに蕃息(うまわ)らず」 という記載です。百済人の余豊が奈良の三輪山で養蜂を試みたけれど、失敗に終わったという記録で、これが日本における養蜂のはじめだというのが通説になっています。”
- ^ ウズラ(ニホンウズラ)の家畜化は食用から始まった。啼き鳥としての飼育は16世紀半ば(戦国時代後期)の『言継卿記』が初出。ヨーロッパウズラ (Coturnix coturnix) とは別種。ヨーロッパウズラは古代オリエントおよび古代地中海世界でも食用にされていた野鳥であるが、肉に毒性が認められる種であり、ニホンウズラと違って家畜化はされていない。
- ^ “伊藤文紀”. 日本の研究.com. 株式会社バイオインパクト. 2019年12月27日閲覧。
- ^ a b 伊藤 1995, p. 793.
- ^ a b Laboratory of Entomology, Faculty of Agriculture, Kagawa University (2103年2月20日). “Evaluation of the benefits of a myrmecophilous oribatid mite, Aribates javensis, to a myrmicine ant, Myrmecina sp.” (英語). PubMed. NCBI. 2019年12月27日閲覧。
- ^ a b c d 伊藤 1995, p. 795.
- ^ 小学館『デジタル大辞泉』. “社畜”. コトバンク. 2019年12月27日閲覧。
- ^ a b “wage slave”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2019年12月27日閲覧。
家畜化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 04:19 UTC 版)
最初に家畜として飼われ始めたのは、約5000年前に野生種であるアフリカノロバを飼育したものとされる。古代から乗用、荷物の運搬などの使役に重用されたが、ウマに比べると従順でない性質があり、小型でもあるのが家畜として劣る点であった。逆にウマよりも優れていたのが、非常に強健で粗食に耐え、管理が楽な点であった。 野生種の中で現存するのは、ソマリノロバ (Equus africanus somaliensis) のみであり、ソマリアとエジプトの国境地帯に見られたが、ソマリア内戦の影響で激減したため、現在はその大部分がイスラエルの野生保護区で飼育されている。一方、ハワイ島には家畜から野生化したロバが多数生息している。 飼い主に捨てられた無数のロバが野生化した結果、最近ではブラジル北東部各地でトラブルを引き起こしている。
※この「家畜化」の解説は、「ロバ」の解説の一部です。
「家畜化」を含む「ロバ」の記事については、「ロバ」の概要を参照ください。
家畜化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 23:38 UTC 版)
詳細は「カイウサギ」を参照 「養兎」および「en:Cuniculture」も参照 ウサギの一種であるアナウサギを家畜化したものはカイウサギと呼ばれ、広く利用されている。ペットとして人気の高いネザーランド・ドワーフやロップイヤー、毛皮用にも使われるレッキス、日本で実験用によく使われるジャパニーズホワイトなど多くの品種があるが、分類学的にはアナウサギと同種とみなされ、学名も同じOryctolagus cuniculusである。 利用目的は毛用・肉用・愛玩用など多岐にわたる。ペット用に品種改良されたものはしばしばイエウサギと呼ばれ、一般家庭での飼育も可能である。実験動物としては、薬品や化粧品の安全性試験や、医学研究のモデル生物として使われるが動物実験の結果をそのまま人間には適用できない事例もあるだけでなく、倫理上の観点からも問題視されており、徐々に動物実験を廃止する動きが広まりつつある。 日本の大久野島・前島やニュージーランド、オーストラリアでは逸出したカイウサギの野生化が起こっている。オーストラリアでは、野生化したカイウサギが生態系や農業に与える悪影響が問題視されている。 明治時代、その愛くるしさからウサギを飼う事が大流行し、ウサギの価格が高騰。闇取引することが多く政府が取り締まるほどの一大ムーブメントが起きていた。 ARBA (American Rabbit Breeders Association) は世界最大規模のウサギ協会。純血種を保護するため毎年ブリーダーや一般の飼い主が持ち寄ったウサギを品種ごとに基準を定め品評会を行っている。
※この「家畜化」の解説は、「ウサギ」の解説の一部です。
「家畜化」を含む「ウサギ」の記事については、「ウサギ」の概要を参照ください。
「家畜化」の例文・使い方・用例・文例
- セキショクヤケイに由来すると考えられる家畜化されたキジ目の鳥
- 有史以前から人間に家畜化されて来た(おそらく普通のオオカミを先祖とする)イヌ属の動物
- 先史時代から家畜化されている、蹄のある草食性の四肢動物
- 野性的な状態から家畜化された状態に持ってくる
- 性別や年齢に関わらずグループとしての家畜化したウシ科の動物
- しばしば家畜化されるチベット産の長い毛の大型野牛
- 牽引用の動物としての使用のためによく家畜化されたアジアのバッファロー
- 時々、ガウアの家畜化した種類とされる南西アジアの雄牛
- 家畜化されてないヤギ
- 家畜化した群れでのみ生存している中国産の大型の鹿
- 家畜化のページへのリンク