岩手県 経済・産業

岩手県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/13 13:34 UTC 版)

経済・産業

かつては、産業がほとんどない事を自称していたが、東北新幹線東北縦貫自動車道などの整備に伴って、企業の誘致が進んでいる。企業の誘致には、法人道府県民税収や、法人事業税、従業員からの住民税収、関連企業による経済波及効果などで大きな税源涵養が見込まれることから、全国の自治体が誘致にしのぎを削っている。岩手県もこの例に漏れず、誘致に腐心しており、これまでにトヨタ自動車系の生産工場、東芝フラッシュメモリ工場、富士通などを誘致した。こうした奏功から、1995年(平成7年)以降は製造品出荷額が伸びを示し、47都道府県中、県民所得は40位台後半から、38位にまで改善した。東北6県で見ると、福島県宮城県山形県に続く数字である[19]

特に自動車産業については、トヨタ自動車が東北地方を新たに生産拠点と位置付けており[20]、今後とも一層の誘致が見込まれる産業分野である。

さらに、近年は国際リニアコライダーを軸とした国際学術研究都市構想を表明している[21]

貯蓄率が極めて高いことで知られる。地方の県としては珍しく、県内に3行の地方銀行第二地銀を含む)を持ち、保有する金融資産は4兆円以上に達する。県民の貯蓄率は39%で、東北地方平均の25%、全国平均の16.5%を大きく上回り、東北では宮城県に次いで2位、全国でも9位の高率を保つ[22]

産業

農業・水産業

2006年(平成18年)農林水産統計によると、農業産出額は2,544億円。食料自給率は106%であり[23]北海道青森県秋田県山形県などとともに、自給率100%を超える数少ない県の一つである。広大な面積と、山岳に囲まれた地形のため、地域によって気候が大きく異なる所があり、特性に応じてさまざまな形態の農業が営まれている。

穀物畜産業などが伝統的に盛んである。林業は、県が木質バイオマス事業などの自然エネルギー活用に熱心なこともあって、生産高188億円(2005年(平成17年))と、全国5位の数字を出している。

水産業では、三陸海岸周辺が、黒潮による豊かな漁場として知られている。リアス式海岸の岩礁は、ワカメ海苔といった海藻類の養殖にも適しており、ワカメとあわびの養殖で、生産高全国1位の規模を持つ。

商工業

製造品出荷額は2兆1000億円で、東北地方では福島県(全国順位19位)、宮城県(同24位)、山形県(同28位)に次いで4位(同31位)である。

長らく主要な産業新日本製鐵(現、新日鐵住金釜石製鐵所釜石市)、太平洋セメント大船渡工場(大船渡市)ほどしかなく、政府の救済策を求めたこともあったが、1982年(昭和57年)に東北新幹線大宮・盛岡間が開業すると、企業誘致が徐々に進展した[14]1993年(平成5年)に関東自動車工業金ケ崎町(現・トヨタ自動車東日本岩手工場)が進出して以来、製造業は大きく進展し、県民所得は全国40番台後半から、30番台まで向上した。このほか、県南には富士通塩野義製薬東芝などの工場が立地する。

特に、2008年(平成20年)2月に決定された東芝フラッシュメモリ工場の北上市への建設は、波及効果を合わせると1兆円程度の経済効果があるとされ、県は法人事業税減免や低利融資などを通じて、これを後押しするとしている。東芝が「行政からの融資措置だけでなく、質の高い人材の確保が容易なことが決め手になった」とし、「金のかからない新しい産業誘致モデル」として注目された[24][25]。工場新設に当たって、北上市はこれまでに蓄積した企業誘致と合わせて、法人市民税固定資産税の大きな増収が見込まれることから、国から地方交付税の交付を受けない「不交付団体」への昇格を果たすことになった。岩手県では、かつて製鉄業が隆盛を極めていた時代に釜石市が不交付団体となっていた前例があり、「それに次ぐ快挙」(2008年(平成20年)2月・岩手県知事定例記者会見)と評された。

自動車産業に関しては、トヨタ自動車が、東北地方を新たな生産拠点とする意向を示しており[20]、すでに金ケ崎町に立地する自動車工場も、現行より10万台増の25万台生産規模まで拡大されることが決まっている。自動車関連産業の集積を進めるため、岩手県は、トヨタ自動車東日本が進出している宮城県山形県福島県などと連携して、今後も誘致活動を展開していくとしている。

県内に拠点を誘致した主な製造業

サービス業

観光業の振興に腐心している。2007年(平成19年)には、盛岡市を舞台にしたNHK連続テレビ小説どんど晴れ」が放映され、盛岡さんさ踊りに訪れた観光客が8.7%増えて128万3000人となり[26]、一定の効果が上がっている。2011年(平成23年)には、奥州藤原氏の栄華の遺産「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」(平泉町)が世界遺産文化遺産)に登録された。




  1. ^ 国土地理院. “全国都道府県市区町村別面積調”. 2014年7月17日閲覧。
  2. ^ 国土地理院. “全国都道府県市区町村別面積調”. 2014年6月6日閲覧。
  3. ^ 国土地理院. “日本の東西南北端点の経度緯度”. 2014年6月6日閲覧。
  4. ^ 国土地理院. “岩手県 市町村の役所・役場及び東西南北端点の経度緯度(世界測地系)”. 2014年6月6日閲覧。
  5. ^ 国土地理院. “北海道・東北地方の東西南北端点と重心の経度緯度”. 2014年6月6日閲覧。
  6. ^ a b 総務省統計局. “我が国の人口重心 -平成27年国勢調査結果から-”. 2017年8月14日閲覧。
  7. ^ [1] - 岩手県
  8. ^ デーリー東北 - デーリー東北新聞社2006年(平成18年)3月5日確認[リンク切れ]
  9. ^ 岩手日報社、2006年(平成18年)2月12日確認
  10. ^ ステップバイソン参照
  11. ^ 細井計「風と人間」2ページ
  12. ^ 細井計、伊藤博幸・菅野文夫・鈴木宏 『岩手県の歴史』 山川出版社〈県史 児玉幸多 監修 3〉、1999年8月。ISBN 4-634-32030-4
  13. ^ 太政官布告第1号、仙台県ヲ宮城県盛岡県ヲ岩手県ト改称。
  14. ^ a b 岩手日報 - 岩手日報社、2008年1月17日確認[リンク切れ]
  15. ^ 平成27年国勢調査”. 総務省統計局 (2016年10月26日). 2017年7月22日閲覧。
  16. ^ 総務省統計局. “我が国の人口重心 -平成22年国勢調査結果から-”. 2017年8月14日閲覧。
  17. ^ 統計表一覧 政府統計の総合窓口”. 総務省統計局 (2017年4月14日). 2017年7月23日閲覧。
  18. ^ 読売新聞2007年3月13日付朝刊 - 読売新聞社
  19. ^ 岩手の統計情報 - 岩手県庁総務部統計課、2008年5月確認
  20. ^ a b ゲンダイネット[リンク切れ] - 2008年2月28日確認など。
  21. ^ 岩手県 ILCを核とした国際学術研究都市イメージ
  22. ^ 金融資産と負債 - 金融広報中央委員会、2008年6月確認
  23. ^ 農林水産統計 - 農林水産省提供、2008年8月12日確認
  24. ^ 毎日新聞 2008年(平成20年)2月20日付朝刊 - 毎日新聞社
  25. ^ 岩手日報 - 岩手日報社、2008年2月8日確認
  26. ^ 盛岡タイムス - 盛岡タイムス社、2007年8月6日確認
  27. ^ 岩泉線の廃止について (PDF) - 東日本旅客鉄道(2013年11月8日付)
  28. ^ 岩泉線きょう廃止届 押角トンネルなど無償譲渡 - 読売新聞(2013年11月8日付) ※インターネットアーカイブ
  29. ^ 地域高規格道路であるが、三陸道や八戸久慈道と一体となって全線自動車専用で運用されている。
  30. ^ 「都道府県別進学率・就園率」島根県庁調査、2008年(平成20年)5月確認
  31. ^ 岩手日報社、2007年(平成19年)2月13日確認
  32. ^ JNN系列局が存在しない秋田県の全国報道取材も行う。CATV経由で秋田市にも再送信。
  33. ^ 開局当初は盛岡市茶畑二丁目に本社演奏所があった。のちに現在地の盛岡市内丸に移転。
  34. ^ 開局当初は盛岡市盛岡駅前通8番17号の小岩井明治安田ビル2階に本社演奏所があったが、2006年(平成18年)に現在のTVI本社ビル7階へ移転。
  35. ^ 開局当初は奥州市水沢区佐倉河に本社演奏所を、盛岡市本宮に業務センターを置いていたが、のちに盛岡業務センターを本社に格上げ・機能拡充する形で演奏所を移転。奥州市の旧本社跡は「めんこい美術館」に衣替えし、業務センターは奥州市に置かれて現在に至る。
  36. ^ FNN/FNS系列局が存在しない青森県の全国報道取材も行う。CATV経由で青森県三八上北地方にも再送信(折爪岳からの電波の直接受信も可)。
  37. ^ 本堂寛作成の『日本言語学地図』を参照
  38. ^ 私立花巻東高等学校野球部に対する県民栄誉賞の授与について





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