所得分布
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経済学において所得分布(しょとくぶんぷ、income distribution)とは、ある国の国内総生産(GDP)が人口にどのように配分されているかという点である[1]。
- ^ Sullivan, arthur; Steven M. Sheffrin (2003). Economics: Principles in action. Upper Saddle River, New Jersey 07458: Prentice Hall. p. 348. ISBN 0-13-063085-3
- ^ 貧困についてはフォスター-グリーア-ソーベッケ指数(英語: Foster-Greer-Thorbecke indices)を参照。
- ^ Congressional Budget Office: Trends in the Distribution of Household Income Between 1979 and 2007. October 2011.
- ^ 国税庁 長官官房 企画課 (September 2019). 民間給与実態統計調査 調査結果 (PDF,Excel) (Report). 2020年6月7日閲覧。
所得格差
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経済学者のロバート・H・フランク(英語版)は「第二次世界大戦後の30年間は所得の伸びは、所得の良し悪しに限らず年間3%程度であったが、それ以降は所得の伸びの恩恵を享受してきたのは、大半が高所得者層である」と指摘している。ロバート・H・フランクは「購買力から見ると賃金の中央値は1975年から変わっていないが、現在(2013年)は上位1%の高所得者が当時の約3倍を稼いでいる」と指摘している。 OECD諸国に於ける収入差は過去半世紀の中で最大であり、OECD全体において、人口のトップ10%グループの平均収入は、人口の下位10%グループの平均収入の9倍となり、25年前の7倍からさらに上昇した。 エコノミストのブランコ・ミラノヴィッチ(英語版)の研究によれば、1988-2008年にかけて、世界人口の上位1%の所得が60%も増加する一方で、最下層5%の所得にはまったく変化が見られないとしている。 経済協力開発機構(OECD)の2011年度の研究によれば、所得格差は、1970年代後半から1980年代前半にかけてアメリカ・イギリス・イスラエルで広がりはじめ、この傾向は1980年代後半にさらに拡大したとされる。所得格差はこの10年(2013年時点)で、ドイツ・スウェーデン・デンマークでも拡大し、フランス・日本・スペインという少数の例外を除き、多くの先進国で最上層10%の稼ぎ手が上昇したが、最下層の10%は停滞している。 2013年にピュー研究所が世界39カ国を対象に実施した世論調査によると、先進国・途上国に限らず7割以上の人々の格差は5年間で拡大し、2013年現在の仕組みは富裕層を優遇していると考えている。 2014年現在、日本の高所得層の上位1%が占める国民所得シェアは約9%であり、1980年代の7%から2ポイント拡大している。フランス、ドイツ、スウェーデンは日本とほぼ同じペースでシェアが拡大したが、アメリカでは10-15ポイント上昇している。高所得層の上位0.1%が占める国民所得のシェアは、2014年現在の日本では2.5%ほどであり、1980年代初めの1.5%から拡大している。 イスラエルとアメリカについては、その不平等は過去既に高いレベルであったが、差は更に増加した。ジニ係数で見ると、アメリカの上位10%の所得階層が国全体の所得に占める割合は、1910年には約50%であったが、第二次世界大戦後は30%程度に低下、2010年には再び50%ほどへと上昇している。アメリカの富の不平等については、1910年には上位10%の富裕層が国全体の富の80%を占めていたが、第二次世界大戦後にはその比率は60%程度に低下、2010年には70%近くに再び上昇している。 伝統的に平等主義であった国々(ドイツ・デンマーク・スウェーデンなど)では、貧富の差は1980年代は1-5の範囲であったものが、1-6に広がった。 フランスのベルエポックで広がった所得・資産の格差は、第一次世界大戦から1970年代までの間に縮小したが、1980年以降、所得・資産の格差は再び拡大して100年前の状態に近づいている。 中国における所得格差は重層的であり、都市部と農村部、沿海部と内陸部、そして個人レベルといった様々な格差が生じ拡大し続けている。上海・北京・広州などの大都市・沿海部の4億人の地域と、内陸農村部の9億人の地域で経済格差が存在する(2010年時点)。地域別の一人当たりのGDPは、沿岸部の上海市と内陸部の貴州省では10倍近い差がある(2008年時点)。貴州省は中国でもっとも貧しい省であり、上海との年収格差は15-16倍である(2010年時点)。経済学者のケネス・ロゴフは「1970年以降の中国の経済成長は、人類史上類を見ないほどの速さで所得配分の格差を生んでいる。もはや中国国内の格差は、アメリカを追い越しラテンアメリカのレベルにまで近づきつつある」と指摘している。
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所得格差
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日本のジニ係数は1980年中盤より年々上昇し続け、2006年度OECD経済レポートでは「OECD諸国の中で最も経済的不平等の大きい国の1つである」と指摘された。OECDはその原因を非正規雇用者の増加などの「労働市場の二極化」が主因であると指摘しており、OECDは「正規労働者に対する雇用保護を削減せよ」と勧告している。さらにOECDは高齢化の影響で50〜65歳の労働者層の割合が突出していることが、賃金のゆがみを大きくさせていると指摘している(世代間格差)。2015年から2019年間で比較できるジニ係数は0.339でありOECD加盟国では10番目であった。 貯蓄を一切持たない世帯も増加しており、「一億総中流」の社会は崩壊し階層社会へ移行しつつあるという認識が広がっている。政府は、格差拡大に対して努力により上層へチャレンジすることができる社会を掲げているが、親の収入に基づく教育格差の拡大や企業の新卒限定採用により、階層が世代を超えて固定化されることが懸念されている。 所得分配の格差問題はバブル景気の頃に一度問題となり「マル金」「マル貧(ビ)」(金魂巻)などの流行語を生み出した。バブル経済の崩壊と長期にわたる経済の低迷によりこうした流行語は消滅したが、経済の自由化や派遣労働など雇用の流動化を背景に、所得格差・資産格差の階層化は固定化の傾向にあり、近年では高所得・資産のグループを「勝ち組」、低所得・資産のグループを「負け組」と呼ぶ風潮が流行している。
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