所得恒等式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/14 05:33 UTC 版)
付加価値の合計は最終生産財の価値に等しい。最終生産財を、生産に関与しない消費と、次の生産のための投資とに分けると、 所得 ≡ 消費 + 投資 が常に成り立つ。(より厳密には、政府支出、経常収支(≡輸出-輸入)を考慮して、 所得 ≡ 消費 + 投資 + 政府支出 + 経常収支 が常に成り立つ。)これを所得恒等式という。 これらの恒等式は常に成立するものだが、ここでいう投資の中には、結果として発生してしまった在庫投資(余剰在庫)が含まれていて、一般に企業が意図した結果ではない。その場合、企業は生産規模を縮小するので、所得は縮小する。逆に在庫投資がマイナスの場合には、企業は生産規模を拡大するので、所得は拡大する。ここで、投資を在庫投資を含まないものとして定義した場合、所得規模は企業が意図した投資額と適合する規模、即ち 所得 = 消費 + 投資 (又は 所得 = 消費 + 投資 + 政府支出 + 経常収支) が成り立つような規模で均衡する。 まとめると、投資を在庫投資を含めて定義すると常に所得恒等式が成立するが、投資を在庫投資を含まないものとして定義すると、所得の水準が調整されない限り、「所得=消費+投資」は成立しない。
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