TEN BLANK(テン・ブランク)
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「グラスハート」の記事における「TEN BLANK(テン・ブランク)」の解説
西条朱音(さいじょう あかね) 11月23日生。最終巻(『イデアマスター』時。以下同様)で18歳。主人公。一人称は「西条」か「あたし」。TEN BLANK(テン・ブランク)のドラマー。スティックはヒッコリーを愛用している。本作スタート時は高校2年生(17歳)で、『コゴエ ノ イロ』で大学に無事合格。 中学の音楽教師である父とフリーの音楽誌ライターである母、坂本と同学年の兄を持つが、6歳頃に親が離婚しており、現在母親と2人暮らし。両親の音楽の趣味がほぼ正反対だったため、ロックやポップス以外にクラシック音楽も聞いて育つ。父親の意向もあって、音楽に関わる物(ステレオコンポや楽器類)にはあまり不自由したことがない。3歳から10年間クラシックピアノを習っていた。食べ物の好き嫌いは特にないが、強いて挙げるならメロンやマスカットといった、値段の高い果物が苦手。 自宅は新宿御苑付近のオートロック・マンションで、最寄の地下鉄駅は新宿御苑前駅。 前バンド「テディ・メリー」ではキーボードだったが、理不尽な理由でクビになる。が、その直後に藤谷側から連絡があり、それがテン・ブランク加入のきっかけとなった。ただし、完全に「テディ・メリー」と縁が切れたわけではなく、メンバーの1人で彼女をバンドに引き込んだ張本人でもある高校の上級生・羽原ヒロマサとは、藤谷の過去のインタビュー記事をかき集めてもらったりするなど、関係が続いていた。 元々高岡尚の大ファンであり、Z-アウトのツアーはサポートの高岡目当てに追っかけをしたこともある。地の文では「尚」と呼び捨てにしているが、ファン心理が働くためか、高岡が相手の会話だと受け答えや態度が変化することも。作中中盤にかけて「音楽の神様」藤谷に惹かれるが、終盤で坂本と恋仲になる。 高岡曰く「本能」でドラムを叩くため、クリックトーンがあっても若干つんのめったようなリズム(藤谷は「変なタイム感」、ユキノは「躊躇がない」「じぶんをまもらない」と評する)になるが、一度叩き始めたらリズムキープはできる。そのドラムを高岡は「バンドの要」と評し、ヒビキは「藤谷さんの中で一番(の理想)」と評した。ライブのように声(ボーカル)が傍にある状態で叩くとその本領を発揮できる模様。なお本人は、ファンでありスタジオ・ミュージシャンとして定評のある高岡をはじめとする「雲の上の人」に囲まれていると認識している節がある。 真崎桐哉には、出会った当初の会話から「野望娘」と呼ばれることがある(途中で1度「無謀娘」に格下げされた)。 TBの活動停止期間に、坂本のプロデュースで10曲入りのソロアルバムを作った。ゲストミュージシャンには真崎や高岡、藤谷がいる上、藤谷の策略で1曲歌っている。 高岡尚(たかおか しょう) 9月17日生。最終巻で26歳(『ラッシュ』で27歳)。一人称は「俺」(時々「ワタシ」)。極まれに藤谷から「ショウタ君(尚太君とも表記)」と呼ばれる。テン・ブランクのギタリストでバンド内最年長者。そのため最年少である朱音との年齢差からくる「感覚の違い」を気にする描写も。「いい曲が弾ければ経緯は関係ない」主義。藤谷に「先生」というあだ名をつけた張本人で、後にマネージャーや朱音といった関係者に伝染する。 実家は手打ち蕎麦屋で、長男(下に弟が2人いる)。成人式に行かなかったクチらしい。メンバー唯一の自動車免許持ち(車は楽器車としても使用するためタウンエース)で、16歳からバイクにも乗っている。1人で移動する時は単車が多い(朱音曰く、「ファンとしては複雑」)。 マイナー時代はバンド「マイルス・ヴェール」のメンバーとして活動(初期ボーカルの周防タカシはその後ソロで活動している)。当時大学生だったが、バイトとバンドに明け暮れており、ほぼニセ学生だった模様。「マイルス・ヴェール」活動末期に偶然路上で藤谷と出会い、バンド活動に誘うが、振られている。バンド解散後は、玄人受けのよいスタジオ・ミュージシャンとしてアイドル・神取アキや人気バンド「Z-アウト」などにサポートで参加。この頃にある事情から、上山源司がチーフ・マネージャーを務めるバンド「ブーギーズ」のレコーディングにも参加している。 大学を卒業した藤谷の誘いに乗り、新たにバンド活動をスタートすることに。その際、藤谷との活動に専念するため、「Z-アウト」のサポートなどの契約を一旦白紙にし、事務所を移籍した。神宮前の通称「藤谷スタジオ」で坂本・藤谷と共同生活をしているが、2人の生活習慣があまりに杜撰なためお母さん的存在と化している(後に独立)。忙しい時ほど部屋の中や台所を片付けてしまうタイプ。「楽器の練習をしない」「楽器を愛していない」人間が気に入らない。実はバックコーラス程度なら歌えるのだが、それを知った藤谷に「歌えるのに歌わないのは詐欺」と非難されたことがある。 長い茶髪がトレードマーク(煙草に火をつける際、ライターから毛先に燃え移って「かちかち山」状態になったこともあるらしい)。煙草セーラムライトを好む(以前はマイルドセブンやキャメルを吸っていた)が、喘息持ちの坂本や、ボーカルの藤谷への気遣いでピックをくわえている事が多い。 基本的にお節介な性格で、喧嘩っ早い側面を持ち、冷静でいようと、かつて性格を改造したらしいが、その分、楽器の音が喧嘩腰になる(朱音とその母は、Z-アウト時代に気づいていた)。その「喧嘩腰なんだけどどこか人懐っこい」音は、モモコに「藤谷の音楽性と合ってないんじゃない?」と評されるが、藤谷にとって「自分とは異質」であるが故に必要らしい。そのため、藤谷とは「楽器の音色」で喧嘩を繰り広げることが多い。藤谷の音に飲まれることなく自分の音を出すことができるが、それでも「藤谷の曲」の根幹部分を自分なりに感じ取り、そこだけは崩さないようにしている。 手が空いているときは、大抵床に座ってギターを抱えている。いくつかのギターメーカーとモニター契約していることもあって、常にギターは複数持つ。また、中期以降のピックは白色で「TB」のロゴを彫り込んだオリジナルデザインの物を使う。 マネージャー・甲斐の退社後、上山が来るまでブランクがあったが、彼が藤谷のスケジュールをある程度把握していたため、何とかなっていた節がある。また、メンバー内では藤谷と一番付き合いが長いため、藤谷の暴走を止めるために喧嘩することもしばしばあり、藤谷に執着する面々を「ストーカー」と認識している。また、朱音が自身のファンであることを知ってからは、彼女をおもちゃにして遊ぶことも。朱音と坂本の遊び半分の提案に乗って、ギターソロを3つ即興で作るというお茶目な一面もある。 自身を「プレイヤー体質」と評し、朱音が来るまでは、アーティスト気質の藤谷・坂本に「バンド」のイロハを1人で教育する羽目になっていた。また、天性の才能を持つ他の3人と比べて、自分が「凡人」であると感じているが故に、努力を怠らない。 坂本一至(さかもと かずし) 2月6日生。朱音のひとつ年上で、最終巻で19歳。一人称は「俺」。朱音は普段「坂本くん」と呼ぶが、たまに「先輩」と呼ぶ。テン・ブランクのキーボード担当。主な使用機材はローランド。中盤からはマッキントッシュでも打ち込み作業をする。新機種には目がなく、発売されると足しげく楽器屋に通う。ピアノは朱音が羨ましがるほどの腕前だが、独学であるため、本人に言わせると「癖がありすぎ」るので、「普通に弾けるようになりたい」らしい。元々多重録音オタクであり、どの楽器もそれなりに弾きこなせるが、本職はドラムでメトロノームのように正確にリズムを刻む。しかし後述の喘息のため、ドラムを叩くことは少ない。バンドでは「傍若無人に弾きとばすソロプレイ」を身上とし、主にシンセサイザーの打ち込みと、一部の楽曲の作・編曲を担当する。藤谷経由で届くプリプロの打ち込みも仕事としており、アレンジ作業を「音と自分のケンカ」と表現する。 耳がいいので、テープを聴いただけでパート毎に分析できてしまい、音の細かいニュアンスにこだわる癖がある。 藤谷との出会いは、彼が何処かのコンテストに送ったデモテープを入手した藤谷が、全面的に曲を改変し、そのテープを坂本に送りつけて喧嘩を売ったこと。そのテープの、跡形もなく改変された曲を1度だけ聴いた坂本が、怒りのあまりテープをずたずたにした挙句早朝に藤谷の家に怒鳴り込んだらしい。藤谷の才能に嫉妬すると同時に人一倍尊敬もしている。そのため彼を意識しすぎて、真崎に「ミニ藤谷」と例えられたことも。 外見は眼鏡をかけたボサボサ頭ゆえに、合流当初の朱音には野比のび太に形容された。常に吸入器を携帯しているほどの喘息持ちで、気候と体調・精神状態によっては発作を起こすことがある。それに加えて引きこもりがちなため、心配性の母から過度の愛情を受けており、逆にそれを負担に感じている。家族構成は両親のほかに3つ年上の兄(大学の医学部在学)がいる。父親は医者であり、息子達も医者になるべきと厳しく躾けられてきたが、父親が「子供は殴って言うことを聞かせる」主義だったため、兄は、好き勝手している坂本を度々殴って言うことを聞かせようとする。また、自身の家族を「音感のかけらもない」と評する。有名な6年制の男子校に籍を置くが、中学受験で疲れ果て、中学時代から「出席日数のかけらもない」状態であるため、自分の学年を把握していない。 料理や家事は得意でなく、食事はたいてい外食か出前、コンビニ弁当などで済ますが、中盤以降は彼を気遣った西条母の計らいで、西条家で食べることもある。藤谷との共通点は、集中すると休憩や食事を忘れることと、納豆が苦手なこと。また、根本的に藤谷と同じアーティスト気質なため、作曲中は外野には意味の分かりづらい会話を披露することも多い。 作中終盤で自身が藤谷に甘えていたことに気づき、「藤谷スタジオ」を出る決心をする(その後、高田馬場付近にある、防音完備の小さなアパートで1人暮らしを開始)。また、バンド活動停止中も、藤谷との仕事(主に作曲)は続いており、楽譜やパソコンデータを通しての「交換日記」のような物をやっていた。 藤谷直季(ふじたに なおき) 2月28日生。最終巻で25歳。一人称は「僕」か「俺」。通称「先生(センセイとも表記)」(名付け親は高岡)。テン・ブランクの ベーシスト兼ボーカルでバンドリーダー。プロデューサーも兼ねるため、無意識に猫を被ったりする(本人曰く「撮影用、音楽用、人間用のマスクがある」)。撮影モードだと、朱音曰く「きれいな人」になっている。 14歳の若さで彗星の如く音楽シーンに現れた「ロック界のアマデウス」と呼ばれる天才音楽家。バンドでは作詞作曲、主な楽曲の編曲も担当。大抵「生き方(人生哲学)」を詞にする。きっちりバンドスコアを書き下ろすが、ギターリフやキーボードのアレンジは大まかな指示だけで、高岡や坂本に任せる。また、周囲がどんな状況であっても、新曲を思いついては五線紙に書き込んでいる。なお、その譜面構成は複雑で、朱音曰く「ベースを鍵盤楽器か何かと間違えている」。その他、大学時代の同期である漫画家・土岐喧介の原稿に、消しゴムをかけ、ベタを塗り、トーンを貼るという器用さを見せたことがある。ただし、基礎体力が低く、作曲に集中しすぎていたりすると、よく体調を崩す。 本職はピアノなのだが、ギターなど他の楽器もそれなり以上にこなせる、元神童(1stツアーでヴァイオリンを弾く、新曲候補のデモテープでギターを弾くなどの描写がある)。ただし右足が悪い為(後述)ドラムは叩く事が出来ず、キーボード類は作曲にしか使わない(本人曰く「自分の曲でピアノを弾くと、テン・ブランクがいらなく」なってしまうため。また「自分のピアノは誰もいない部屋」とも表現)。大抵の楽器は人並み以上の技量を持つため、高岡に「コンビニエンスストア」と評されたことがある。主に黒のプレシジョンベースを使うが、ごく稀にアイバニーズ(「バニーちゃん」)、リッケンバッカー(「バカ」)も使うらしく、作中で「俺のバカ知らない?!」などと言ったことがある。また、フェンダー・ジャズベースをライブで使用している描写もある。レコーディング時などに、ギタリストの高岡に対して「楽器の音色」でよく喧嘩を売る。 癖のある黒髪が特徴。ある事故の後遺症で、歩く際に右足を若干引きずるため、精神状態によってはよく物にぶつかったり転んだりする。そのため高岡などから「走るな」と注意されることも。普段たばこは吸わないが、ごく稀に高岡から分けてもらったりしている。また、時季に関わらず丈の長いコートをよく着ているが、真夏にも着そうになって、高岡に注意されたことがある。 渋谷・神宮前の一等地に一軒家を持っている。関係者に「藤谷スタジオ」と呼ばれるそこに、高岡と坂本が居候しているが、作中終盤で2人とも出て行ったため、寂しさのあまり猫を飼い始めたらしい。 真崎桐哉の異母兄で、そのあたりの話は複雑。また、幼い頃は桐哉がいる実父の家で過ごし、桐哉の母にピアノを教わっていたが、ある事情からピアノの調律師とピアニストの夫婦の養子となり、「藤谷」姓に。養父母と共に海外で暮らした経験もある。スタインウェイのグランドピアノの音が好きで、彼にピアノを弾かせたい坂本とは、作中で「坂本の曲だったらピアノを弾く」という約束をしている(朱音のソロアルバムを作る際に叶った)。 ソロ活動時代、自身が歌うことは少なく、井鷺一大プロデュースの歌手、森生リカ、高野仁実などに楽曲を提供。また、名前は出さずにギターやピアノを弾くことも多々あったという。東京大学(教育学部)入学を理由に音楽活動を停止していたが、大学を卒業し、音楽活動を再開するにあたり、コンテスト等に送られてきたデモテープを人脈を駆使してかき集め、それらを聞いて人選を行う。そこで偶然見つけた坂本と、出会って以来度々連絡を取っていた高岡とで、名前を決めないままバンドを結成、これが後にテン・ブランクとなる。このデモテープの件を見てもわかるように、業界に広がるプライベートな人脈は膨大であり、年長者の多くに自分の名前が知られていることも含めて「消えないならドロドロに汚れるまで利用した方がマシ」と発言したことがある。 昔は曲をアレンジする際に、作曲者の美点と言えるものを壊してしまっていたが、バンドとして活動するうちに、坂本の曲を「坂本らしさ」を壊さずにアレンジすることもできるようになった。 根っからのアーティスト気質であるため、全力で音楽に集中するあまり思考回路や言動が飛ぶ事が多く(朱音曰く「全身音楽の人」「音楽の神様」、高岡にも「音楽バカ」と評される)、たびたび周囲を振り回している「困ったちゃん」。人に対して腹を立てることが苦手なためか、朱音のいる前で理性を飛ばして作曲モード全開にした際は、「作曲モード全開の方が理性的なんじゃないか」と評されている。なお、自身が精神面で「普通の人」ではないことは自覚している。 喘息のためドラムに集中できない坂本のドラムの音に近く、自分のバンドで使えるキーボード兼ドラマーを探していて、偶然朱音のドラムに出会った。また、作中終盤で、「天才である自分に壊されない人(=藤谷直季より天才な人)」となら、共同で音楽をやっていけると思い、バンドの人選をしていたことが明かされる。また、「自分1人では出せない音」を創り上げることができるのがバンド、というような認識をしている。 作中では、セリフや彼視点の一人称の場合、あまり句点がつかず、句点を打つべきところが読点になっていることがある。
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主人公たちが活動するバンド。TBとも略される。メンバー構成はギター・トリオ+キーボードでベースの藤谷がボーカルも兼任。キーボードの坂本とドラムの朱音に「互換性」があるのが特徴。ピアニストが本業の藤谷による作曲が中心の為、メロディアスな曲が多い。その譜面構成もさることながら、メンバーそれぞれに独特のリズムがあるため、「曲」として成立するかしないかの瀬戸際を地でいく。
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