バンドリーダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/22 09:59 UTC 版)
バンドリーダー (bandleader) は、バンドを主導するリーダーであり、スモール・コンボからビッグバンドまで、ジャズ、ブルース、リズム・アンド・ブルース、ロックンロールなどのポピュラー音楽を演奏するグループについて広く一般的に用いられる[1]。
ただし、「多数のミュージシャンたちの集団を主導する者 (a person who leads a large group of musicians)」と定義されることもあり[2]、特にビッグバンドなど比較的大人数の楽団への言及で用いられる[3]。また、「バンドを指揮する者 (someone who conducts a band)」と定義されることもあり、特に「ダンスバンド (dance band)」や「ジャズバンド (jazz band)」について用いられるともされる[4]。
表記
英語では通常は「bandleader」と1単語として綴られるが[4]、「band leader」と2単語で綴られることもある[5][6]。日本語でも「バンド・リーダー」と(中黒を付けて)表記する場合がある[7][8]。
バンドリーダーの役割
バンドリーダーは、バンドの編成を決め、編曲や選曲をして、音楽スタイルを決定し、おもだった楽器のひとつを演奏したり、音楽プロデューサーの役割を引き受けたり、バンドに名前を付けたりすることもできる[3][9]。リーダーとなる者は、起業家精神を持った人物であることが多い[10]。
このような伝統的なバンドリーダーの役割は、その後、多様化しており、特定のアーティストのコンサートツアーのためにバンドを編成する者や、テレビ番組などのためにハウスバンドを組む者もいる[3]。
バンドリーダーは、音楽的な側面の責務だけでなく、ライブやリハーサルのための場所の確保、スケジュール確認、マネジメント・スタッフや法務関係を含むアドバイザーの雇用、レコードレーベルなどとの折衝などにも責任をもつことになる[3]。
バンドリーダーは、普通はバンドの雇用主であり、公演の主催者や、テレビ局/ラジオ局などとの間に請負の契約を結ぶ[11]。ただし、放送局専属の楽団や、特定の施設で継続的に演奏を提供するために専属契約を結ぶ、いわゆる「ハコバン」の場合などは、雇用される側、雇われる立場での使用従属関係が成立する[12]。
バンドリーダーとバンドの名称
バンドリーダーが率いる楽団は、しばしばリーダーの個人名を冠した名称を用いる。カウント・ベイシー・オーケストラのように、古いバンドの中には、元々のバンドリーダーが死去した後も永くバンドリーダーの名前で活動を続けているものもある[1]。
バンドの名称は、バンドリーダーの名前から命名されることも多いが、バックバンドにバンドリーダーの名前とは異なる独自の名称が付けられることもある(例えば、ブルース・スプリングスティーンとEストリート・バンド、エルヴィス・コステロとジ・アトラクションズなど)。
グレン・ミラー・オーケストラのように、バンドリーダーが他のメンバーを雇っている場合は、バンド名はバンドリーダーに帰属するとされ、名称に係るパブリシティ権等の諸権利はバンドリーダーのものと見なされる[13]。これは個人名が、バンド名に含まれている場合に限られたことではない[14]。
フロントマン
小規模なバンドでは、しばしば、フロントマンと呼ばれる、バンド内で重要な位置を占めるメンバーがいる。フロントマンは、必ずしも楽器を演奏せず、舞台の前面に立って、通常は歌うことに専念している[15]。
ローリング・ストーンズのミック・ジャガー[16]、クイーンのフレディ・マーキュリーやその跡を引き継いだアダム・ランバート[17]、また、RCサクセションの忌野清志郎[18]などは、フロントマンとして言及される例である。
脚注
- ^ a b Club Date Musicians: Playing the New York Party Circuit. Bruce A. MacLeod. University of Illinois Press. ISBN 9780252019548 (1993)
- ^ “bandleader”. Cambridge University Press & Assessment. 2025年6月22日閲覧。
- ^ a b c d “What does a Bandleader do?”. Berklee College of Musi. 2025年6月22日閲覧。
- ^ a b “bandleader ロングマン現代英英辞典より”. LDOCE Online. Pearson. 2025年6月22日閲覧。
- ^ “Early Band Leaders in New Orleans Jazz”. National Park Service. 2025年6月22日閲覧。
- ^ “Early Band Leaders in New Orleans Jazz”. National Park Service. 2025年6月22日閲覧。
- ^ 愛知県地方労働委員会「愛知、昭53不7、昭55.10.2 命令書 (PDF)」厚生労働省、1980年10月2日。2025年6月22日閲覧。
- ^ 伊藤,2008,p.59
- ^ Bandleader. (Memento vom 11. 12月 2013 im Internet Archive) In: Musiklexikon
- ^ Broder Carstensen, Ulrich Busse (2001), Anglizismen-Wörterbuch: F-O, Walter de Gruyter, ISBN 978-3-11-017169-3, 2023年6月4日閲覧
- ^ “Twist bis 65”, Der Spiegel (ドイツ語), no. 15, p. 162, 1972
- ^ 大阪府地方労働委員会「大阪、昭50不117、昭52.10.21 命令書 (PDF)」厚生労働省、1977年10月21日。2025年6月22日閲覧。
- ^ 伊藤,2008,p.60
- ^ 伊藤,2008,p.61:キング・クリムゾンのリーダーであるロバート・フリップが起こしたパブリシティ権をめぐる訴訟についての記述を参照。
- ^ J. R. Mcmanus (10 September 2009), A Music Enthusiast Guide to Songs You Should Have on Your I-Pod, iUniverse, ISBN 978-1-4401-5344-0, 2023年6月4日閲覧
- ^
「ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、44歳年下の元バレリーナと婚約していたと報道」『NME Japan』NME Networks Media Limited.、2025年4月11日。2025年6月22日閲覧。
ザ・ローリング・ストーンズのフロントマンであるミック・ジャガーは交際相手の...
- ^ 「アダム・ランバート、クイーンでフロントマンを務める意味について言及。「フレディの精神を継承したい」」『rockin'on.com』ロッキング・オン、2020年2月21日。2025年6月22日閲覧。
- ^
「伝説のコンサート RCサクセション SUMMER TOUR 1983」『NHKアーカイブス』日本放送協会。2025年6月22日閲覧。
フロントマン・忌野清志郎の強烈なカリスマ性と、...
参考文献
- 伊藤知生「解散後におけるバンド名の使用--商標の共有をめぐる問題」『patent』第61巻第12号、日本弁理士会、東京、2008年、59-67頁、 CRID 1523388080503796224。
関連項目
- バンドマスター
- リードボーカル - en:Lead vocalist - ポップやロックなどポピュラー音楽ジャンルにおいては、グループのリーダーであることが多い。
関連文献
- Whiteman, Paul and Lieber, Leslie How to Be a Bandleader (New York City: Robert M. McBride & Company, 1948)
バンドリーダー
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「小室哲哉の使用機材」の記事における「バンドリーダー」の解説
楽曲提供や音楽プロデュースと並行して、TM NETWORK、globe、GABALLなどの音楽ユニットのリーダーとしても活動する。ユニットの一員としての活動はレコード会社のディレクターや芸能事務所に任せるのではなく、飽くまでもメンバーによる提案・主導で行い、マネジメントスタッフもそれを可能にできるほどの柔軟性のあるスタッフが配置された。ライブ活動にもプロデューサーとして一歩引いた目線で指揮するより、ミュージシャン・舞台監督として現場で直接指揮しながらメンバーとして参加する。それは自分を含むメンバーの顔を覚えやすくし、一定の印税が確保され、所属事務所の経費・交通費・宿泊代・公演活動に割くスケジュールの削減にもなった。他に所属している人数の多いバンドにかかる固定給との差額はレコーディング費用・衣装代に回している。 それ故に他の芸能人と比べ個人レーベル・個人企業・個人スタジオを設立した数が比較的多い。小室曰く「今日思いついたアイディアを明日実践する機動力を持って面白いことをするため」「必ず結果を出す前提で一から十まで好き勝手やりたい放題行うための責任表明」とのこと。しかし、後に「僕は事業運営に向いていなかった」と親交のあるテリー伊藤に述懐していた。 「シンセサイザー・シーケンサーが発達すれば、演奏はやがてコンピューターの役割になる。しかし、曲作りとボーカルは人間の役割だ。だったらフロントマンは作家とボーカリストで事足りる」という発想から、5,6人の大所帯のバンドより少人数の音楽ユニットを志向している。 より高い演奏レベルを求め、どんなジャンルやビートにも対応できるようにドラマーやベーシスト等起用するその生楽器を専門とするスタジオ・ミュージシャン・バックバンドを楽曲・プロジェクト毎に変えるようにしている。基準は「そのとき一番上手な人」であり、それは固定メンバーの腕・成長具合で起こるトラブルを未然に防ぎ、企画に関わる人数が多くなったときの金銭的なリスクを回避した。 小室は「TM NETWORKの活動の延長線上であり、突き詰めると僕の関わる企画の全てがTM NETWORKでの試みが原点である」「どのユニットも、必要なアーティストやスタッフを集めて、自分のやりたいアイディアを形にするのが共通点」「僕がメンバーになることで、歌詞・サウンド・メンバーのキャラクターがストレートで生々しくて、色濃くなります」「プロデューサーからミュージシャンに戻れる場所」「音楽ユニット自体がプロジェクト・イベント・新しいサウンドの実験室であり、活動第1弾としてシングルを出し、それをコンセプトにしたアルバムを制作した後、最終的にはアルバムをテーマにしたコンサートを行うのを早めに展開して、『このプロジェクトはここまでで終了』と区切るのが基本である。こうしないと、僕も他のメンバーも今後どう進んだらいいのか困ってしまう」と語っている。
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