エルヴィス・コステロとは? わかりやすく解説

エルヴィス・コステロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/26 20:44 UTC 版)

エルヴィス・コステロ
OBE
トロント国際映画祭にて(2009年)
基本情報
出生名 デクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナス
別名
  • D.P.コステロ
  • ジ・インポスター
  • リトル・ハンズ・オブ・コンクリート
  • ナポレオン・ダイナマイト
  • ハワード・カワード[1]
  • マック・マヌス[2]
生誕
ジャンル
職業
担当楽器
活動期間 1970年 -
レーベル
共同作業者
  • ジ・アトラクションズ英語版
  • ジ・インポスターズ
  • ニュー・ベースメント・テープス英語版
著名使用楽器

デクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナスDeclan Patrick Aloysius MacManus OBE1954年8月25日 - )は、エルヴィス・コステロElvis Costello)の名で知られるイングランドのミュージシャン、作曲家、プロデューサーである。

ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第80位。

経歴

1954年にイングランドリヴァプールに生まれる。芸名の「エルヴィス・コステロ」は、エルヴィス・プレスリーと、父方の祖母の旧姓コステロに由来する。「コステロ」はイタリア系の響きに聞こえるが、一般にアイルランド系の名前として多い苗字である。父親のロス・マクマナスはアイルランド系のジャズ・ミュージシャンで、ジョー・ロス&ヒズ・オーケストラでシンガー&トランペッターをつとめた。コステロは父親がもらってくる大量の試聴用レコードに囲まれて育ち、その豊富な音楽的素養を培い、音楽への関心を深めていった。

幼少よりビートルズ、特におなじアイルランド系のジョン・レノンの影響を受け[4]、働きながら「フリップ・シティ」というバンドで活動を始める。デビュー前の1974年に最初の妻・メアリーと結婚、デビュー時には既に長男・マシューがいた。1977年パブロックムーブメントの立役者ニック・ロウのプロデュースにより、シングル『レス・ザン・ゼロ(Less Than Zero)』[5]でデビュー。当時はインディーズの代表レーベルである、スティッフ・レコードからレコードが発表されていた。その後、ニック・ロウとともにレイダー・レーベルに移籍している。 ファースト・アルバムは『マイ・エイム・イズ・トゥルー(My Aim Is True)』(1977)である[6]。 セカンド・アルバムの『ディス・イヤーズ・モデル(This Year's Model)』(1978)は日本でも発売された。このアルバムからは自身のバンドであるジ・アトラクションズを率いるようになった。デビュー当初のコステロは、パンク調の作品が多く「怒れる若者」とも言われた。初来日時東京にてプロモーションのため、トラックの荷台に乗り日本の学生服を着てライヴ・パフォーマンスを行ったが、この時は全く見向きもされなかったという[7]。ライブ盤の後の3枚目のオリジナル・アルバム『アームド・フォーセズ』まではニュー・ウェーヴのミュージシャンとして注目を集めたが、80年代に入ってからは注目度が薄れた。コステロにとって80年代は、大人向けの音楽を演奏するミュージシャンへの、産みの苦しみの時期であった。

彼は、その後もソロやオーケストラとのコラボレーション等々、多彩な活動を展開した。ジョン・レノン率いるのビートルズのメンバーで、同じアイルランド系のポール・マッカートニーとも共作し、「ヴェロニカ」を発表した。また、ポール・マッカートニーに、彼のトレードマークであるヘフナー・500-1の再使用を勧めたのはコステロであると言われている。その他の有名曲には「シー」がある。

2000年以降はNorthのようなジャズ作品や、アラン・トゥーサンとの共作であるThe River In ReverseではR&B、Secret, Profane & Sugar Caneではカントリー・ミュージック、Il Sognoではバレエ音楽を手がけるなど、など従来の枠に収まらない活動を積極的に行っている。2003年に「エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello & the Attractions) 」名義でロックの殿堂入りを果たした。

シングル"A Town Called Big Nothing (Really Big Nothing)"では父と親子共演を果たしている。プロデューサーとして関わったのが縁でザ・ポーグスのベーシスト、ケイト・オリオーダンと1986年に再婚。2003年にはジャズ歌手のダイアナ・クラールと3度目の結婚。2006年に双子の息子が生まれている。

カップヌードルの発明者である安藤百福への敬意から、自身のアルバムに『momofuku(百福)』と名付けたものがある。またフジロック・フェスティバルにも、複数回出演している。

2018年7月6日、悪性腫瘍の除去手術を受けていたことを明らかにした。手術後にツアーを開始していたが、体力回復に時間がかかるため、その後予定されていた欧州公演をキャンセルすると発表した。

ディスコグラフィ

シングル(イギリス盤のみ)

  1. 1977 - Less Than Zero / Radio Sweetheart
  2. 1977 - Alison英語版 / Welcome To The Working Week
  3. 1977 - (The Angels Wanna Wear My) Red Shoes/Mystery Dance
  4. 1977 - Watching The Detectives
  5. 1978 - (I Don't Want To Go To) Chelsea
  6. 1978 - Pump It Up
  7. 1978 - Radio Radio
  8. 1979 - Oliver's Army
  9. 1979 - Accidents Will Happen
  10. 1980 - I Can't Stand Up For Falling Down
  11. 1980 - High Fidelity
  12. 1980 - New Amsterdam
  13. 1980 - Clubland
  14. 1981 - From A Whisper To A Scream
  15. 1981 - Good Year For The Roses
  16. 1981 - Sweet Dreams
  17. 1982 - I'm Your Toy(live)
  18. 1982 - You Little Fool
  19. 1982 - Man Out Of Time
  20. 1982 - From Head To Toe
  21. 1982 - Party Party
  22. 1983 - Pills And Soap (The Imposter名義)
  23. 1983 - Everyday I Write The Book
  24. 1983 - Let Them All Talk
  25. 1984 - Peace In Our Time(The Imposter名義)
  26. 1984 - I Wanna Be Loved (radio version)
  27. 1984 - The Only Flame In Town
  28. 1985 - The People's Limousine(The Coward Brothers名義)
  29. 1986 - Don't Let Me Be Misunderstood(The Costello Show名義)
  30. 1986 - Tokyo Storm Warning - part 1+2
  31. 1986 - I Want You
  32. 1987 - Blue Chair (single version)
  33. 1987 - A Town Called Big Nothing (Really Big Nothing) (single version)(The MacManus Gang名義)
  34. 1989 - Veronica
  35. 1989 - Baby Plays Around
  36. 1991 - The Other Side Of Summer
  37. 1991 - So Like Candy
  38. 1993 - Jacksons, Monk And Rowe
  39. 1994 - Sulky Girl (single version)
  40. 1994 - 13 Steps Lead Down
  41. 1994 - You Tripped At Every Step
  42. 1994 - London's Brilliant Parade
  43. 1996 - It's Time (single version)
  44. 1996 - Little Atoms
  45. 1996 - The Other End (Of The Telescope)
  46. 1996 - Distorted Angel
  47. 1996 - All This Useless Beauty
  48. 1999 - Toledo
  49. 1999 - She
  50. 2002 - Tear Off Your Own Head (It's A Doll Revolution)
  51. 2002 - 45
  52. 2004 - Monkey To Man
  53. 2005 - Brilliant Mistake

アルバム

エルヴィス・コステロ 1979
  1. 1977 - My Aim Is True (UK #14, US #32)
  2. 1978 - This Year's Model (UK #4, US #30)
  3. 1979 - Armed Forces (UK #1, US #10)
  4. 1980 - Get Happy!!(UK #1, US #11)
  5. 1981 - Trust (UK #9, US #28)
  6. 1981 - Almost Blue (UK #7, US #50)
  7. 1982 - Imperial Bedroom (UK #6, US #30)
  8. 1983 - Punch the Clock (UK #1, US #24)
  9. 1984 - Goodbye Cruel World (UK #10, US #35)
  10. 1986 - King of America (UK #11, US #39)
  11. 1986 - Blood and Chocolate (UK #16, US #84)
  12. 1989 - Spike (UK #2, US #32)
  13. 1991 - Mighty Like a Rose (UK #3, US #55)
  14. 1993 - The Juliet Letters (UK #18)
  15. 1994 - Brutal Youth (UK #2, US #34)
  16. 1995 - Kojak Variety (UK #21)
  17. 1995 - Deep Dead Blue
  18. 1996 - All This Useless Beauty (UK #28, US #53)
  19. 1998 - Painted from Memory, with Burt Bacharach (UK #32, US #78)
  20. 2001 - For The Stars , with Anne Sofie Von Otter
  21. 2002 - When I Was Cruel (US #20)
  22. 2003 - North (UK #44, US #57, US Traditional Jazz #1)
  23. 2004 - Il Sogno
  24. 2004 - The Delivery Man (US #40)
  25. 2005 - Piano Jazz: Costello/McPartland
  26. 2006 - My Flame Burns Blue
  27. 2006 - The River in Reverse , with Allen Toussaint
  28. 2008 - Momofuku
  29. 2009 - Secret, Profane & Sugar Cane
  30. 2010 - National Ransom
  31. 2013 - Wise Up Ghost , with the Roots
  32. 2018 - Look Now
  33. 2020 - Hey Clockface
  34. 2022 - The Boy Named If

主な編集盤

  • 1980 - Ten Bloody Marys & Ten How's Your Fathers
  • 1985 - The Man - The Best Of Elvis Costello & The Attractions
  • 1987 - Out of Our Idiot
  • 1989 - Girls, Girls, Girls
  • 1994 - The Very Best Of Elvis Costello & The Attractions
  • 1997 - Extreme Honey - The Very Best of Warner Brothers Years
  • 2001 - The Very Best Of Elvis Costello
  • 2002 - Cruel Smile
  • 2003 - Singles, Volume 1
  • 2003 - Singles, Volume 2
  • 2003 - Singles, Volume 3
  • 2007 - Best of Elvis Costello: The First 10 Years
  • 2007 - Rock And Roll Music
  • 2011 - Pomp & Pout: The Universal Years

日本公演

11月23日 福岡大博多ホール、11月24日 大阪御堂会館、11月27日28日 日本教育会館11月29日30日 西武劇場
6月4日,5日 東横劇場、6日 渋谷公会堂
11月16日,17日,18日 中野サンプラザ、20日 北海道厚生年金会館、21日 東京厚生年金会館、23日 京都会館、24日 大阪サンケイホール、25日 愛知県勤労会館、27日 福岡サンパレス
  • 1989
  • 1991
  • 1993
  • 1994
  • 1996
  • 1998 FUJI ROCK FESTIVAL 98
  • 1999
  • 2002
  • 2003 FUJI ROCK FESTIVAL 03
  • 2003
  • 2004
  • 2006
  • 2009 SUMMER SONIC 09
  • 2011
3月1日 Bunkamuraオーチャードホール、3月3日 サンケイホールブリーゼ
  • 2012 FUJI ROCK FESTIVAL 12
  • 2013
12月11日,12日,13日 EXシアター六本木、12月15日 Zepp Namba
  • 2016

映画出演

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Upchurch, Michael (2014年4月17日). “Diana Krall takes fresh twist on forgotten tunes | Concert review”. The Seattle Times. 2021年6月30日閲覧。
  2. ^ (1993年) Elvis Costello『The Juliet Letters』のアルバム・ノーツ. Warner Bros Records.
  3. ^ a b c d e Erlewine, Stephen Thomas. “Elvis Costello | Biography & History”. AllMusic. All Media Network. 2021年6月30日閲覧。
  4. ^ ジョンのアルバムの『ザ・ヒッツ〜パワー・トゥ・ザ・ピープル』の解説によると、まだ少年だったコステロは「彼が(ビートルズの)リーダーだったことは、すぐにわかったよ。あの目は俺たち不良仲間と同じ目だったよ」と述べている。
  5. ^ http://www.songfacts.com/detail.php?id=1144
  6. ^ http://www.discogs.com/ja/artist/55029-Elvis-Costello
  7. ^ エルヴィス・コステロ、かつて日本で行った路上ライヴが悲惨だったと語る”. NME Japan (2015年10月23日). 2015年10月31日閲覧。

関連項目

外部リンク


エルヴィス・コステロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 02:21 UTC 版)

忘れじのおもかげ」の記事における「エルヴィス・コステロ」の解説

1999年イギリスの映画ノッティングヒルの恋人』の主題歌としてカバー。この曲は、オープニング劇中使われているが、イギリス日本などフィルムでは、オープニングアズナヴール原曲劇中のみコステロカバーである。一方アメリカでは両方ともコステロカバーである。なお、日本サウンドトラックには、コステロ版が収録されている。 元々映画には、アズナヴールによる原曲使われていた。しかし、アメリカではこの曲の知名度低くテスト上映結果良くなかった。そのため、急遽コステロカバーし差し替えられた。 UKチャートでは19位で、コステロにとって16年ぶりのTOP20入りとなった

※この「エルヴィス・コステロ」の解説は、「忘れじのおもかげ」の解説の一部です。
「エルヴィス・コステロ」を含む「忘れじのおもかげ」の記事については、「忘れじのおもかげ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「エルヴィス・コステロ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「エルヴィス・コステロ」の関連用語

エルヴィス・コステロのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



エルヴィス・コステロのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのエルヴィス・コステロ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの忘れじのおもかげ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS