海市とは? わかりやすく解説

かい‐し【海市】

読み方:かいし

蜃気楼(しんきろう)の異称。《 春》

[補説] 書名別項。→海市


かいし【海市】

読み方:かいし

福永武彦小説親友の妻との不倫の恋に溺れ画家の姿を描く。昭和43年1968刊行


海市

作者瀬口黎生

収載図書潮のわかれ
出版社鉱脈社
刊行年月2003.7


海市

作者長野まゆみ

収載図書左近の桜
出版社角川書店
刊行年月2008.7


海市

読み方:カイシ(kaishi)

蜃気楼別称

季節

分類 天文


海市

読み方:カイシ(kaishi)

作者 福永武彦

初出 昭和43年

ジャンル 小説


海市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/13 16:53 UTC 版)

海市』(かいし)は、福永武彦長編小説1968年昭和43年)、「純文学書下ろし特別作品」の一冊として新潮社より刊行された[1]。文庫版は新潮文庫で刊行されていた。中年の画家と謎めいた若い人妻との恋愛を、主人公や他の登場人物の視点の断片をモンタージュのように挿入しながら描く[2]。題名は蜃気楼を意味している[3]


注釈

  1. ^ 引用文は「海上蜃氣。時結樓臺。名海市。」。新潟市立中央図書館は『三齊紀略』の情報を求める質問に対し、『三齊紀略』なる書物は見当たらず、代わりに『三齊略紀』が幾つかの資料に見られる旨を回答している[6]
  2. ^ 藤原鎌足の得恋の歌「我はもや安見子得たりみな人の得がてにすとふ安見子得たり」。意味を聞いた澁は「平和で心が穏やかな」意味があると言ったが、安見子は「軍国主義みたいで嫌い」と返しており、稲垣裕子はここから「実験小説(ヌーヴォーロマン)」的な多義性を見出している[3]
  3. ^ 当時はまだ「傳説」「邯鄲」「風雪」「あなたの最も好きな場所」の4編のみで、単行本1冊分にはならない量だった[18]。のちの1969年(昭和44年)9月に『幼年 その他』として纏められ、講談社より刊行された。
  4. ^ 「第二部」の9章に四つの節を含んでいたのが、単独で存在する9章に変更され、13章に五つの節を含んでいたのが、二つの節と三つの節を含む二つの章に改変されたため、章の数が23章から25章に増えた[1]
  5. ^ 福永は定期的に胃を悪くして入院していたが、この旅行は『忘却の河』を書き終えた後の3度目の入院の後のことで、「恢復期のすがすがしい気持」で旅行したという[21]
  6. ^ 福永は、主人公が女と出会う岬、桜の下で絵を描いた丘、カラスの群れている庚申塚などは他の場所の流用や想像を交えて描いたものであるとしつつ、「ただ落居部落に関する部分だけは私の写生である」としている[24]
  7. ^ 湯川久光は最初の1章4節の主体を澁としているが、栗山嘉章はこれは古賀ではないかとした上で、福永の「私は四人のうちの誰が死ぬのかを予め決定することなく、まず書き始められた」との言から、当初は古賀や弓子の視点も幾つか入れる予定があり、そのために初めのほうに古賀視点の節が設けられているのではないかと考察している[1]
  8. ^ 倉西はそのような形になった理由を、福永が後半部を締切に追われて急いで書いたこと、作家として年齢を重ねるにつれ、読者を獲得するために妥協するようになり、因果関係の不明な会話を連続させることを避けたこともあると考察し、「しかしだからといって、この作品が全くの失敗作に終わったというつもりはない。小説の前半部分、特に「第一部」の完成度を無視することはできないからである」としている[33]
  9. ^ 中條は一方で、弓子は夫に精神的に頼り、太平に愛情を注いでいるため、安見子と同じく「駄目なのよ」と口にしながらも、生きていくことのできる存在であるとしている[41]
  10. ^ 池澤の解説は、全文が小学館のサイトで公開されている。外部リンク節参照。

出典

  1. ^ a b c 栗山 2005, pp. 62–63.
  2. ^ a b 佐々木 1968, pp. 206–207.
  3. ^ a b c d 稲垣 2010, pp. 104–105.
  4. ^ 高木 徹 2001, p. 2.
  5. ^ a b c 倉西 1995, p. 131.
  6. ^ レファレンス協同データベース(2015年6月9日)2022年2月20日閲覧。
  7. ^ a b c d 西原 1991, p. 236.
  8. ^ a b c d 佐々木 1968, p. 206.
  9. ^ a b c 首藤 1977, pp. 97–99.
  10. ^ a b 倉橋 2008, p. 198.
  11. ^ 鶴岡 1968, p. 8.
  12. ^ 栗山 2005, pp. 66–67.
  13. ^ a b 中條 1981, pp. 68–69.
  14. ^ 鶴岡 1968, p. 9.
  15. ^ a b c 首藤 1977, pp. 100–101.
  16. ^ a b c 倉西 1995, pp. 132–133.
  17. ^ 福永武彦「著者の言葉」『福永武彦全集 第八巻』(新潮社、1987年12月20日)465頁。
  18. ^ a b 背景 1968, p. 466.
  19. ^ 背景 1968, pp. 466–468.
  20. ^ a b 稲垣 2010, p. 99.
  21. ^ a b 序 1974, p. 3.
  22. ^ a b c 海市再訪 1969, p. 149.
  23. ^ a b c d 序 1974, p. 4.
  24. ^ a b c 海市再訪 1969, p. 150.
  25. ^ a b c 海の想い 1968, pp. 54–56.
  26. ^ 日本文学研究資料刊行会 1978, p. 225.
  27. ^ 中村真一郎「〈読書〉愛の不可能を証明 運命とのかかわりでつづる"恋愛小説" 福永武彦著 海市」『読売新聞』1968年2月1日東京夕刊5頁
  28. ^ 日本文学研究資料刊行会 1978, pp. 226–227.
  29. ^ 倉西 1995, p. 128.
  30. ^ 西田 2005, pp. 120–121.
  31. ^ 稲垣 2010, pp. 100–101.
  32. ^ 倉西 1995, p. 135.
  33. ^ 倉西 1995, pp. 135–137.
  34. ^ 倉橋 2008, p. 200.
  35. ^ 月村 1968, pp. 184–185.
  36. ^ 月村 1968, p. 186.
  37. ^ 小島&佐々木 1968, pp. 15–16.
  38. ^ 水谷 1972, p. 135.
  39. ^ 水谷 1972, p. 136.
  40. ^ 大河内昭爾「海市」『国文学 解釈と鑑賞』第39巻第2号、至文堂、1974年2月、136-137頁。
  41. ^ a b c 中條 1981, pp. 70–71.
  42. ^ 水谷 1972, pp. 138–140.
  43. ^ 栗山 2005, pp. 65–67.
  44. ^ a b 稲垣 2010, pp. 106–107.
  45. ^ 小島&佐々木 1968, pp. 14–15.
  46. ^ 西田 2005, pp. 128–129.
  47. ^ a b 「初出と書誌」『福永武彦全集 第八巻』(新潮社、1987年12月20日)469頁。



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