ぜんそう‐きょく【前奏曲】
読み方:ぜんそうきょく
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㋐導入的性格をもつ器楽曲。15世紀ごろ、即興的な器楽曲として現れ、17、8世紀には舞踊組曲の冒頭楽章として、また、フーガと組み合わせた形式で盛んに作られた。19世紀以降は導入的性格をもたない独立的な作品も多い。プレリュード。
ぜんそうきょく【前奏曲】
前奏曲 [ prelude]
シュナーベル:前奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シュナーベル:前奏曲 | Preludes | 作曲年: 1899年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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モデラート Moderato, 4/4, B-Dur | No Data | No Image | |
非常に静かに、明朗に Sehr ruhig und heiter. Allegretto, 3/4. g-Moll | No Data | No Image |
作品解説
2曲の習作から構成されている。全44小節の第1曲の自筆譜にはこの作品が1899年6月23日に完成したことが記録され、「和声課題」という表題が付けられている。第2曲は37小節から成り、翌日の6月24日に完成したと書かれている。
前奏曲
バッハ:前奏曲(幻想曲) イ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:前奏曲(幻想曲) イ短調 | Praeludium (Fantasie) a-Moll BWV 922 | 作曲年: 1710-14年 出版年: 1866-67年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
成立の時期と契機は不明。2つの筆写譜で伝えられている。そのうちの片方を作成した弟子のJ.T. クレープスは、この曲に「幻想曲Fantasie」と名づけ、さらに続いて《半音階的幻想曲とフーガ》(BWV903)を書き付けている。両者は形式の上ではまるで異なっているが、両手が時に交差しつつ織り成す分散和音のフィギュレーション、半音階を多用した装飾的な旋律によって、冒頭部分に似た雰囲気が生まれている。
全体は3つの部分から成り、すなわち分散和音の走句による冒頭部、クレープスが「フーガ」と書き込んだ第34小節からの中間部、おそらくバッハ自身が「プレスト」とした第92小節後半以降の終結部である。このうち、冒頭部はつむじ風のように鍵盤の端から端まで駆け抜けるアルペジオと、三和音にオクターヴが続く音型の2セクションに分かれる。中間部は短い音型が雨だれのように両の手に繰り返し現れるだけで、「フーガ」と呼ぶにはあまりに頼りない。しかし、こうした同じ音型の反復を冗長に終わらせないのは、転調の冒険が音楽を豊かにしているからだろう。冒頭部の終わりあたりには既に変ロ音が現れて色彩感あるナポリ六度を形成する。中間部では嬰ト短調、嬰ハ短調を通り、後半に再び変ロ音が現れ、今度はフラット系の調すなわちニ短調やト短調へと転じる。音型の反復は、和声の変化を聞かせるにはむしろ効果的な手法である。
この作品がかつて疑作とされたのは、あまりに即興的で動機労作に乏しい点、トッカータとしても形式が整わない、あるいはきわめて古風な構成であることによるのかも知れない。しかしそれだけに、後年の円熟したバッハの作品にない勢いと爽快感に溢れているともいえよう。
バッハ:前奏曲(幻想曲) ハ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:前奏曲(幻想曲) ハ短調 | Praeludium (Fantasie) c-Moll BWV 921 | 作曲年: 1707-13年 |
作品解説
「アンドレーアス・バッハ本」、すなわちバッハの兄ヨハン・クリストフの楽譜帖に含まれている。バッハの真作であるかどうか議論の余地があるが、最後の3小節は紛れもなくバッハの筆跡である。
楽曲には、若きバッハの演奏者としての情熱が漲っている。現代では超人的な技巧の持ち主に対し、驚嘆(場合によっては一抹の侮蔑)を込めてヴィルウオーゾと賞賛する。フォルケルが伝えるところでは、バッハ自身はこの種の「なにを弾くべきかを指に指示するのではなく、指から教わるタイプ」の曲芸人を「クラヴィーア軽騎兵」と呼んだ。「前奏曲」とのタイトルを持つが、バッハの他の前奏曲には類似する書法・様式はみられない。
全体は5つの部分から成り、それぞれ拍子や基本となるリズムが異なっている。動機やリズム自体はきわめて単純で、ひたすらに反復される。そのため、細かい動機でどれほどの変奏、どのような和声進行できるのか、その可能性をカタログにしたような印象さえ受ける。
しかしこの曲には、動機労作や対位法技法からは得られない、聴く者をトランス状態に引き込む強い力が備わっている。現代のピアノにはさらに音色の追究の余地が残されており、バッハの異色の作品として取り組む価値は充分にあるだろう。
バッハ:前奏曲 ロ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:前奏曲 ロ短調 | Praeludium h-Moll BWV 923 |
作品解説
アルペジオの走句の連なりのみから構成される小品。創作史においては初期に位置付けられ、バッハがロ短調を扱った最初期の作品として注目に値する。《アルビノーニの主題によるフーガ》BWV951に添えられた手稿譜が複数ある。この取り合わせはバッハ自身によるものではないが、調を同じくし、音楽の雰囲気がよく合うことから、効果的で納得のいくものである。(現代でもBWV923と951を1曲に組み合わせた出版譜が広く使われている。)
目を惹くのは、後半の二分音符の和音の連続である。おそらく未完成のスケッチだろう。バッハはこうした略記をする場合かならず「解法」を示した。第8-9小節のそれぞれ後半に示された右手のフィギュレーションは、第6-10小節の略記の「解法」とみてもよいかも知れない。(「解法」の例は《半音階的幻想曲》BWV903/1にも見られる。また、《幻想曲》BWV944/1も二分音符の和音のみからなる作品で、おそらく未完と思われる。)そもそもこうした部分が小節数の上で半分を越える長さを持つのは、あまりにバランスが悪い。加えて、和声連結はとくに終結に向かう部分であまりうまくいっていないようにみえる。いずれにせよこの種の略記には奏者の自由な想像力で音楽を補うことが求められるだろう。なお、後半部分を補ったBWV923a なる異稿が存在するが、これはバッハに近いところにいた誰かの改作とみられる。
いっぽう、前半の仕上がりは即興的でありながら緻密に作りこまれており、見事というほかない。上行と下行、十六分音符と三十二分音符を使い分け、音域とテンポを自在に操る。中間では動機を左右の手に対等に与えて展開し、八分音符の刻みに耳が馴れたところで再び鍵盤の幅いっぱいに走句を散りばめ、拍節の世界から飛翔する。
前奏曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/06 02:06 UTC 版)
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前奏曲(ぜんそうきょく)は、他のより規模の大きい楽曲の前に演奏する楽曲を指す。後に独立した即興性の高い曲となった。通常は声楽を伴わない器楽曲である。プレリュード(英語: prelude、フランス語: prélude)、フォアシュピール(ドイツ語: Vorspiel、ただし古典派音楽以前に関しては通常Präludium; プレルーディウム)ともいう。類似する形態として序曲(オーヴァーチュア)やシンフォニアがある。
概要
- 本来はリュートや鍵盤楽器によって即興により演奏されるものであったが、後に書きとどめられるようになり、しばしば演奏技巧を発揮するような曲として、また、即興的で自由な作風の作品として、作曲された。
- フランスで発達したプレリュード・ノン・ムジュレでは、奏者の即興性を重視して拍子を定めず、小節線も書かれない。
- 後には独立した楽曲として演奏技巧を発揮するような、また即興的な自由な作風の作品、特にピアノ曲にこの名が付けられるようになった。性格的小品の一種である。ショパンの24曲から成る前奏曲集、ドビュッシーの前奏曲集全2集、スクリャービンの85曲から成る前奏曲集が有名である。
- ワーグナーは、自身のオペラ(多くは楽劇と呼ばれる)から、序曲を廃して前奏曲(フォアシュピール)を置くことをした。劇が始まる前に冗長で劇の開始自体とは関係のない種明かし的な序曲が演奏されることを避け、劇の開始とより一体化した曲を求めたためである。これはより後の時代に受け継がれた。
上に述べた意味の前奏曲ではないが、標題音楽の主題として「前奏曲」を採用したリストの交響詩「前奏曲」もある。
主要曲
ピアノ(鍵盤楽器)独奏曲
前奏曲集
- ショパン - Op.28(全24曲)、他2曲
- サティ - 「星たちの息子」への3つの前奏曲、犬のためのぶよぶよとした前奏曲、犬のためのぶよぶよとした本当の前奏曲
- ドビュッシー - 全2集・24曲
- フォーレ - Op.103(全9曲)
- ラフマニノフ - Op.23(10曲: 第5番ト短調他)、Op.32(13曲)、他にOp.3-2(1曲)
- ガーシュウィン - 3つの前奏曲
- ヒナステラ - 12のアメリカ大陸風前奏曲集
- メシアン - 全8曲
24の前奏曲
J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の「すべての長短調をめぐる」という構成を受け継いだ曲集。ショパンが有名である。ショパンのように五度圏を平行調ごとにめぐる配列、バッハを参考にした半音ずつ同主調ごとに上昇する配列、独自の配列、といったように24曲の調配列については様々工夫がある。また、最初の曲と同じ調(ハ長調)で締めくくる25曲のものもある。
- フンメル - Op.67(1815年)
- カルクブレンナー - Op.88(1828年)
- ショパン - Op.28(1839年)
- クラーマー - Op.91(1842年)
- ゴリネッリ - Op.23(1844年)、Op.69(1852年)(各24曲)
- アルカン - Op.31(25曲)(1847年)
- ヘラー - Op.81(1853年)
- ラインベルガー - Op.14(1867年)
- ブゾーニ - Op.37(1881年)
- キルヒナー - Op.60(25曲)(1882年)
- ブルーメンフェルト - Op.17(1892年)
- サンテステバン - Op.84(1892年)
- スクリャービン - Op.11(1896年)
- キュイ - Op.64(25曲)(1903年)
- グリエール - Op.30(25曲)(1907年)
- カラマー - (1910年)
- パルムグレン - Op.17(1910年)
- メラルティン - Op.85(1913年 - 1920年)
- スクシドレフスキ - (1917年)
- ニーマン - Op.55(1918年)
- スタンフォード - Op.163(1919年)、Op.179(1921年)(各24曲)
- カサドシュ - Op.5(1925年)
- チェイシンズ - Op.10・11・12・13(1928年)
- ショスタコーヴィチ - Op.34(1932年 - 1933年)
- ザデラツキー - (1934年)
- ジェロビンスキー - Op.20(1934年)
- ヴィシネグラツキー - Op.22(1934年、出版1977年)
- ゴルツ - Op.2(1934年 - 1935年)
- シュケリアンツ - (1936年)
- ハジエフ - (1937年)
- ボウエン - Op.102(1938年、出版1950年)
- ダレッサンドロ - Op.30(1941年)
- チゾーム - (1943年)
- カバレフスキー - Op.38(1943年 - 1944年)
- 矢代秋雄 - (1945年)
- アブラミアン - (1948年 - 1972年)
- バグダサリアン - (1951年、1953年、1954年、1958年)
- カラーエフ - (1951年 - 1963年)
- ハサノフ - (1963年)
- ガル - Op.83(1965年)
- カップ - (1967年)
- ブーレル - Op.29(1967 - 1968年)
- カシャーノフ - (1968年)
- ラーツ - Op.33(1968年)、Op.60(1977年)、Op.80(1989年)(各24曲)
- ツィンツァーゼ - (1971年)
- ブラッハー - (1974年)
- カラビッツ - (1976年)
- ゴンチグソムラー - (1978年 - 1979年)
- 芥川也寸志 - (1979年)
- カプースチン - Op.53(1988年)
- 日下部憲夫 - Op.14-6(1988年)
- 林光 - 草稿の森(24の前奏曲)(1993年)
- ホルミノフ - (1994年)
- アウエルバッハ - Op.41(1999年)
- コーウィ - (2005年)
- ドンピエール - (2010年)
その他
独立した楽曲としての前奏曲(その他の演奏形態)
- ドビュッシー - 牧神の午後への前奏曲(管弦楽)
- R・シュトラウス - 祝典前奏曲Op.61(管弦楽)
- ヤルネフェルト - 前奏曲(管弦楽)
- A・リード - 音楽祭のプレリュード(フェスティヴァル・プレリュード)(吹奏楽)
関連項目
前奏曲(ホ短調、4分の3拍子)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 17:40 UTC 版)
「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV 548」の記事における「前奏曲(ホ短調、4分の3拍子)」の解説
重厚な和音の上に長い主題が提示され、後から内声が絡み合って進行する。副楽節を経た後、主楽節と副楽節が協奏的に交替して表れ、主楽節の後半が再現された後に終える。
※この「前奏曲(ホ短調、4分の3拍子)」の解説は、「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV 548」の解説の一部です。
「前奏曲(ホ短調、4分の3拍子)」を含む「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV 548」の記事については、「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV 548」の概要を参照ください。
「前奏曲」の例文・使い方・用例・文例
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