私の履歴書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 02:31 UTC 版)
概要
第1回は鈴木茂三郎で、3月1日から7日にかけて連載された。当初は連載期間が1週間と短かったが、その後次第に長くなり、1987年(昭和62年)からは、毎月1か月間(1日から末日)にわたって1人を取り上げるスタイルが定着。2024年(令和6年)現在も継続中である。
これを原作として、テレビ東京・BSジャパンとラジオ日経で放送化されている。
過去のバックナンバーの一部については日経電子版にも掲載されている。
2006年11月23日の日本経済新聞朝刊に、『「私の履歴書」50周年特集』が掲載された。
なお、読売新聞が「時代の証言者」[注釈 1]、朝日新聞が「語る 人生の贈りもの」、産経新聞が「話の肖像画」、東京新聞が「この道」、北海道新聞が「私のなかの歴史」等と題した同様の記事がある。
解説
各界の著名人が、出生から連載時に至るまでの半生を描く『履歴書風の自伝』である。連載開始当初は活躍中の人物が連載することが多く、首相在任中の岸信介や自民党幹事長時代の田中角栄も五十代の頃に登場したが、次第に主に第一線を退いた人物を取り上げるようになった。
他界した人物は取り上げない。運輸事務次官・日本通運社長を務めた広瀬真一のように、原稿がほぼ出来上がっていたのにもかかわらず逝去した[注釈 2]ため、お蔵入りとなったケースもある。城山三郎も同様で遺稿は他社から出版された。小林秀雄も、書くことに同意していたのにもかかわらず亡くなったため登場しなかった[注釈 3]。なお、1989年(平成元年)3月掲載の五島昇は、連載中の3月20日に逝去し、以後を遺稿扱いとする異例の事態となった。
シリーズの連載は2022年(令和4年)末までで880回、取り上げた人物は879人に及ぶ。両者が一致しないのは、松下幸之助が2回登場したためである。
河野一郎と河野洋平、河竹繁俊と河竹登志夫、野村万蔵[注釈 4]と野村萬、五島慶太と五島昇、井植歳男と井植敏、立石一真と立石義雄、細川護貞と細川護熙、茅誠司と茅陽一、服部良一と服部克久、吉田忠雄と吉田忠裕[注釈 5]のように親子二代が、二代目市川猿之助と二代目市川猿翁のように祖父と孫が、河野一郎と河野謙三、斎藤茂太と北杜夫、九代目松本幸四郎と中村吉右衛門のように兄弟が、また坂田藤十郎と扇千景のように夫婦が、また瀬越憲作と橋本宇太郎のように師匠と弟子がそれぞれ取り上げられた例もある。
過去の登場者で襲名を除いて完全に同姓同名であったのは、2003年の伊藤雅俊(イトーヨーカ堂名誉会長)と2019年の伊藤雅俊(味の素会長)のみである。
またマーガレット・サッチャーやジョージ・W・ブッシュ、マハティール・ビン・モハマドなど、外国人が登場した例もある。
連載中の題字は、登場した人物自身がしたためることが多い。
取り上げた人物
掲載年、氏名、肩書の順。肩書は原則として掲載時のものである。
1950年代
- 1956年
- 鈴木茂三郎(社会党委員長)
- 原安三郎(日本化薬社長)
- 里見弴(作家)
- 松村謙三(前文相)
- 五島慶太(東京急行電鉄会長)
- 浅沼稲次郎(社会党書記長)
- 江戸川乱歩(探偵作家)
- 堀久作(日活社長)
- 正宗白鳥(作家)
- 砂田重政(自民党全国組織委員長)
- 杉道助(大阪商工会議所会頭)
- 山田耕筰(作曲家)
- 遠山元一(日興証券会長)
- 西尾末広(社会党顧問)
- 佐藤春夫(作家)
- 出光佐三(出光興産社長)
- 堤康次郎(前衆議院議長)
- 村松梢風(作家)
- 松下幸之助(松下電器産業社長)
- 片山哲(社会党顧問)
- 長谷川伸(作家)
- 中山均(日本銀行政策委員会委員)
- 大麻唯男(国務相)
- 広津和郎(作家)
- 山崎種二(山崎証券社長)
- 新関八洲太郎(第一物産社長)
- 野村胡堂(作家)
- 高碕達之助(経済企画庁長官)
- 武者小路実篤(作家)
- 1957年
- 石坂泰三(東京芝浦電気社長、経団連会長)
- 久保田万太郎(作家)
- 大谷竹次郎(松竹会長)
- 石橋正二郎(ブリヂストンタイヤ社長)
- 荻原井泉水(俳人)
- 伊藤忠兵衛(東洋パルプ会長)
- 河野一郎(前国務大臣)
- 吉井勇(歌人)
- 山本為三郎(朝日麦酒社長)
- 橋本宇太郎(囲碁九段・王座)
- 永田雅一(大映社長)
- 藤原義江(藤原歌劇団主宰)
- 杉山金太郎(豊年製油会長)
- 河合良成(小松製作所社長)
- 杉山元治郎(衆議院副議長)
- 岩田宙造(中外調査会会長、元法相、法博)
- 藤山愛一郎(外相)
- 安井誠一郎(東京都知事、全国知事会会長)
- 岡野喜太郎(駿河銀行頭取)
- 三船久蔵(講道館十段)
- 石毛郁治(東洋高圧社長)
- 芳沢謙吉(元外相)
- 木村義雄(将棋十四世名人)
- 1958年
- 1959年
- 岸信介(元首相)
- 茅誠司(東大学長)
- 豊竹山城少掾(芸術院会員、文楽座紋下)
- 大川博(東映社長)
- 栗田淳一(日石社長)
- 川端龍子(画家、青竜社主宰)
- 市川寿海(歌舞伎俳優、花梢会主宰)
- 井村荒喜(不二越鋼材社長)
- 井上貞治郎(聯合紙器社長)
- 小島政二郎(作家)
- 伊藤保次郎(三菱鉱業社長)
- 藍澤彌八(東証理事長)
- 大山康晴(将棋名人)
- 内ヶ﨑贇五郎(東北電力社長)
- 井上八千代(四代目)(井上流家元、芸術院会員)
- 佐藤貢(雪印乳業社長)
- 山岡孫吉(ヤンマーディーゼル社長)
1960年代
- 1960年
- 1961年
- 1962年
- 1963年
- 1964年
- 1965年
- 1966年
- 1967年
- 1968年
- 1969年
- 永野重雄(富士製鐵社長)
- 桑原幹根(全国知事会会長、愛知県知事)
- 時国益夫(麒麟麦酒社長)
- 司忠(丸善社長)
- 木下又三郎(本州製紙社長)
- 坂本繁二郎(画家)
- 舟橋聖一(作家)
- 倉田主税(日立製作所相談役)
- 今日出海(文化庁長官)
- 砂野仁(川崎重工業社長)
- 喜多六平太(芸術院会員、能楽師)
- 水田三喜男(衆議院議員、自民党)
- 加藤辨三郎(協和発酵工業会長)
1970年代
- 1970年
- 1971年
- 1972年
- 1973年
- 1974年
- 1975年
- 1976年
- 1977年
- 1978年
- 1979年
- 猪熊弦一郎(画家)
- 安井正義(ブラザー工業会長)
- 尾上梅幸(七代目)(歌舞伎俳優、芸術院会員)
- 伊藤傳三(伊藤ハム栄養食品社長)
- 山階芳麿(山階鳥類研究所理事長)
- 加藤治郎(将棋名誉九段)
- 川井三郎(協栄生命保険会長)
- 古井喜実(法務大臣、衆議院議員)
- 小原豊雲(華道小原流家元)
- 森繁久彌(俳優)
- 木内信胤(世界経済調査会理事長)
- 北裏喜一郎(野村証券会長)
- 藤山一郎(歌手)
1980年代
- 1980年
- 1981年
- 1982年
- 1983年
- 1984年
- 1985年
- 1986年
- 1987年
- 1988年
- 1989年
- 藤林益三(元最高裁判所長官)
- 市川崑(映画監督)
- 五島昇(日本商工会議所名誉会頭)
- 團伊玖磨(作曲家)
- 鈴木治雄(昭和電工名誉会長)
- 遠藤周作(作家)
- 岩谷直治(岩谷産業会長)
- 片岡仁左衛門(歌舞伎俳優)
- 永倉三郎(九州電力前会長)
- 山村雄一(大阪大学前学長)
- 西岡常一(宮大工棟梁)
- 八尋俊邦(三井物産会長)
1990年代
- 1990年
- 1991年
- 1992年
- 1993年
- 1994年
- 1995年
- 1996年
- 1997年
- 1998年
- 1999年
- リー・クアン・ユー(シンガポール上級相)
- 清岡卓行(詩人・作家)
- 山本卓眞(富士通名誉会長)
- 竹本住大夫(文楽太夫)
- 江頭匡一(ロイヤル創業者取締役)
- アルベルト・フジモリ(ペルー共和国大統領)
- 高橋政知(オリエンタルランド相談役)
- 渡辺貞夫(ジャズ演奏家)
- マイク・マンスフィールド(駐日米大使)
- 牛尾治朗(ウシオ電機会長)
- 上山善紀(近畿日本鉄道相談役)
- 白川静(立命館大学名誉教授)
2000年代
- 2000年
- 2001年
- 2002年
- 2003年
- 2004年
- 2005年
- 2006年
- 2007年
- 2008年
- 2009年
- ハワード・H・ベーカー・ジュニア(元駐日米大使)
- 鳥羽博道(ドトールコーヒー名誉会長)
- 香川京子(女優)
- 近藤道生(博報堂最高顧問)
- 磯崎新(建築家)
- 篠原三代平(一橋大学名誉教授)
- 加山雄三(俳優・歌手)
- 芦田淳(ファッションデザイナー)
- 槇原稔(三菱商事相談役)
- 安居祥策(日本政策金融公庫総裁)
- 益川敏英(京都大学名誉教授)
- 津本陽(作家)
2010年代
- 2010年
- 2011年
- 2012年
- 2013年
- 渡辺淳一(作家)
- 馬場彰(オンワードホールディングス名誉顧問)
- カーラ・ヒルズ(元米通商代表部代表)
- 渡文明(JXホールディングス相談役)
- 岡本綾子(プロゴルファー)
- 篠原欣子(テンプホールディングス社長)
- 大竹英雄(囲碁棋士、名誉碁聖)
- 野村萬(狂言師)
- 宮内義彦(オリックス会長)
- 利根川進(分子生物学者)
- 和田勇(積水ハウス会長兼CEO)
- フィリップ・コトラー(マーケティング学者)
- 2014年
- 2015年
- 2016年
- 2017年
- 2018年
- 2019年
- 石原邦夫(東京海上日動火災保険相談役)
- 五百籏頭真(政治外交史家)
- 伊藤雅俊(味の素会長)
- 奥正之(三井住友フィナンシャルグループ名誉顧問)
- 橋田壽賀子(脚本家)
- 石原信雄(元内閣官房副長官)
- 中嶋常幸(プロゴルファー)
- コシノジュンコ(ファッションデザイナー)
- 野中郁次郎(一橋大学名誉教授)
- 鈴木幸一(IIJ会長)
- 池森賢二(ファンケル会長)
- 澤部肇(元TDK会長)
2020年代
- 2020年
- 2021年
- 2022年
- 2023年
注釈
- ^ 西部本社版では「道あり」も掲載。
- ^ 1986年(昭和61年)
- ^ 田村祥蔵「日経『私の履歴書』名言録」「文藝春秋」2007年3月号
- ^ “野村万蔵 - 吉田勝昭の「私の履歴書」研究 ー 私の履歴書から得られるもの”. 吉田勝昭の「私の履歴書」研究. 2023年10月26日閲覧。「生年月日」より本人と判明。同サイトはウィキペディアを参照読み込みしているが、論評記事に書かれている記述はWikipediaに書かれていないため。
- ^ 養親子、吉田忠裕の実父は吉田忠雄の兄吉田久松。
- ^ 王座戦は、日本経済新聞社がスポンサーの棋戦である。
- ^ この場合、故人の生前出演していたテレビ版第1作の取材映像を含む、過去のテレビ東京系番組におけるインタビュー、記録映像のアーカイブや、その人物に関連した人物への撮り下ろしインタビューを放送する
- ^ プレミアムセレクションとして放送されたものも含む。
- ^ 2013年、この連載原作を基に加筆・訂正した書籍『私の履歴書 森喜朗回顧録』が日本経済新聞出版社より発刊され、番組ではこの書籍も原作に使用しており、第1話でもその書籍について触れている。
- ^ 「カリスマ経営者が語る"経営のターニングポイント"」と題して、2013年度に放送されたシリーズから、稲盛、鈴木、堀場、牛尾の経営者4人(登場順)のエピソードを1話完結読み切り形式のオムニバスで再構成して紹介した。
- ^ この回では、すでに故人となっている日本の偉人5人を「珠玉の言葉」にスポットを当て、生前のインタビューや記録映像(一部、テレビ版第1作の取材映像もあり)などを交えて特集したものである。この回は長谷川も顔出しでナビゲーターを担当した。出演人物は登場順に本田宗一郎(原作・1962年8月)、井深大(1962年12月)、杉村春子(1968年4月)、井上靖(1977年1月)、川上哲治(1974年12月)。
- ^ 当日は土曜日21:00 - 22:54の2時間スペシャルで放送。
- ^ 原作掲載当時は「桂三枝」。
- ^ 10月2日より23:00 - 23:30に時間枠を移動。
- ^ a b 第22シリーズは「すべてはニッポンの未来のために〜真の経営者魂を学ぶ〜」として、放送時にはすでに故人となっている日本を代表する企業経営者2人を、前後編の2週完結型で紹介した。
- ^ 第23シリーズは2回シリーズ「今こそ"改革精神"で切り開け!」と題し、2014年度に放送されたシリーズから渡と宮内の経営者2人(登場順)のエピソードを、1話完結読み切り形式のオムニバスで再構成して紹介した。
- ^ 存命者としては初の前後編の2回シリーズ。
- ^ この回では、すでに故人となっている日本の偉人5人を「人生のターニングポイント」にスポットを当て、生前のインタビューや記録映像(一部、テレビ版第1作、『人に歴史あり』などの取材映像もあり)などを交えて特集した。また、長谷川も顔出しでナビゲーターを担当した。出演人物は、登場順に松下幸之助(原作・1956年8月、1976年1月)、森光子(2007年12月)、東山魁夷(1965年5-6月)、斎藤英四郎(1985年6-7月)、服部良一(1981年7-8月)。
- ^ 当日は日曜日21:00 - 22:54の2時間スペシャルで放送。
- ^ これ以後は前後編の2回シリーズを本格化。
- ^ この回より日曜18:30 - 19:00に放送枠を移行。
- ^ a b c 第40シリーズは「世界を制したニッポンの"ものづくり"」として、世界的な活躍を見せる日本企業の創業者3人を1話完結形式で紹介。
- ^ a b c 第45シリーズは「作家シリーズ」として、数々の名作を発表した作家に注目した、1話完結形式で紹介。
- ^ 第46シリーズは拡大版として、1話完結形式で紹介。
- ^ 第55シリーズは前編・中編・後編の3回シリーズ
- ^ この回では、世界には羽ばたいた3人を「人生のターニングポイント」にスポットを当て、特集したものである。出演人物は登場順に鈴木敏文(原作・2007年4月)、森英恵、(1994年2月)、青木功(2010年2月)。
- ^ 第76シリーズは第一話・第二話・最終話の3回シリーズ
- ^ a b c d e f g h i j 第77シリーズは「シリーズ・伝説の経営者」の通しテーマで、原則第4土曜夜10時~夜10時55分に放送(登場人物は毎回1話完結)
- ^ この回以後の新作は不定期特番扱い(1時間枠)で放映
出典
- ^ a b 株価も倍返し? 「半沢直樹」と「私の履歴書」で上がる株 - DIAMOND online・2013年9月4日
- ^ 日経新聞の連載コラム『私の履歴書』を投資に活かせ - 日刊SPA!・2014年2月16日
- ^ a b 『私の履歴書』に出るとROEが低下するという怪 - DIAMOND online・2015年6月24日
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