利用と使用の違い
「使用」はあくまでも、そのもの本来の役割が果たされる際に用いられます。たとえば、辞書を読んで単語の意味を調べるときは「辞書を使う」となります。しかし、「辞書の重さを利用してシワ伸ばしに使った」という場合なら「辞書を利用した」と表現できるでしょう。
「利用」「使用」の意味・読み方は?
そもそも、利用は「りよう」と読みます。利用には物や人を、ある状況にあてはめるという意味合いがあります。仮に物や人の目的と違っていたとしても、性質を状況にあてはめるのであれば「利用する」となるでしょう。なお、利用にはネガティブな意味合いが含まれることもあります。なぜなら、物や人の目的が違った場面で生かされることは、それらの意図に反しているケースもありえるからです。特に、「人が人を利用した」と書く場合、否定的な意味が強くなるといえます。次に、使用は「しよう」と読みます。使用の意味合いは「物や人を、それぞれの領域で生かす」ということです。基本的に、物や人の能力、機能にそった形で使用は行われます。あるいは、その人の望みを叶えようと、役割を与えることも「使用する」と表現可能です。ただし、人に対して「使用する」という言葉を用いる際には注意が必要です。「使用人」という言葉があるように、「人が人を使う」ということは、そこに主従関係が生まれているからです。もしも両者が対等な関係であるならば、「使用」と表現するのはふさわしくないでしょう。
「利用」「使用」の使い方、使い分けは?
利用と使用を使い分ける際には、対象となる物や人の役割を踏まえなければなりません。本来の役割と異なる場面で対象物が用いられるなら「利用」が正しいといえます。逆に、本来の役割通りの用いられ方をするのであれば、「使用」が正しいでしょう。ただし、設備や建物の機能を目的のために役立てる際には、「利用する」とすることが一般的です。たとえば、娯楽施設に行ったり、アトラクションや遊具で遊んだりするときは「利用」があてはまります。対象物が用いられたことにより、利益が発生したかどうかも重要です。「割引券を支払いのときに提示した」「携帯料金のプランを踏まえて、支払額が安くなるようにした」といった場合は、「自己の利益のために対象物を用いた」といえるでしょう。すなわち、「割引券を利用した」「料金プランを利用した」と書くことができます。ただし、「パソコンで文字入力した」「包丁で料理を作った」などという状況では、それらの行為自体が直接、利益につながっているわけではありません。そのため、「パソコンを使用した」「包丁を使用した」といった表現になります。
対象物が用いられた方法が、「単純かどうか」も大きなポイントです。利用は物や人の役割を応用して、目的達成に役立てるというニュアンスを含んでいます。つまり、何かが利用される際には、その方法が複雑になることも珍しくありません。例を挙げれば、「顕微鏡を利用して、日光を集めて、紙に火をつけて調理した」といった書き方になります。ここでは、顕微鏡を本来の役割とは別の状況で用いただけでなく、「調理」という大きな目的達成のために一部を担わせたとの意味が込められています。もしも顕微鏡を、小さなものを見るという単純な役割で用いたなら「顕微鏡を使った」という書き方で正しいでしょう。
そのほか、サービスや特典を用いる際には「利用」、道具や物体を用いる際には「使用」とするのが適切です。
「利用」「使用」の用例・例文
利益や打算が絡んだ文脈では、使用よりも利用を用いるのが適しています。「夏休みを利用して旅行した」「彼のリーダーシップは現場をまとめる際に利用できる」といった例文が挙げられるでしょう。なお、利用を含んだ言葉には「利用者」「利用価値」などがあります。いずれも、何らかの利益と関係している使われ方です。それぞれ、「ホテル利用者に向けてサービスを用意した」「どれほど傲慢な従業員でも、利用価値があるうちは解雇できない」といった文脈で用いられてきました。シンプルに、物や人の機能を何かに用いるという場合は「使用」が的確です。「手袋を使用すれば、雪かきは楽だ」「明るい場所ではなかなか寝られないので、サングラスを使用した」といった例文が挙げられます。さらに、使用は「使用料金」「使用人」などにも含まれてきました。「使用料金を確認する」「使用人に言い渡す」といった表現で使われている言葉です。
利用と使用の違い
利用と使用の違い
「利用」と「使用」の違いとは、簡単にいえば、「利用は目的を達成するために何かを活用すること」であり、「使用は物や設備をその本来の目的に従って使うこと」である。 「利用」は「何かを目的達成の手段として活用すること」を意味する語である。「使用」は「物や設備をその本来の目的に従って使うこと」を意味する語である。「利用」も「使用」も、どちらも「何かを使うこと」を意味する言葉である。そして「利用」は特に「何かを目的達成のために活用すること」を意味し、同じく「使用」は特に「物や設備をその本来の目的に従って使うこと」を意味する。「利用」と「使用」の主な使い方・使い分け方
日常生活における使い分け
例えば、電車やバスなどの公共交通機関を使う場合、「電車を利用する」という表現が一般的である。これは、電車を目的地に到達する手段として活用することを意味している。一方で、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを操作する場合には、「パソコンを使用する」という表現が適している。これは、パソコンをその本来の機能に従って操作することを意味している。ビジネスシーンにおける使い分け
ビジネスシーンでは、例えば「リソースを利用する」という表現がよく使われる。これは、人材や資金、時間などのリソースを目的達成のために活用することを意味している。一方で、「ツールを使用する」という表現は、特定のソフトウェアや機器をその本来の目的に従って使うことを意味している。法律や契約における使い分け
法律や契約の文脈では、「利用規約」という表現が一般的である。これは、サービスや製品を利用する際のルールや条件を定めたものである。一方で、「使用許可」という表現は、特定の物や設備をその本来の目的に従って使うことを許可するものである。教育や学習における使い分け
教育や学習の場面では、例えば「図書館を利用する」という表現が適している。これは、図書館の資料や設備を学習や研究のために活用することを意味している。一方で、「教科書を使用する」という表現は、教科書をその本来の目的に従って学習に使うことを意味している。技術や工学における使い分け
技術や工学の分野では、例えば「エネルギーを利用する」という表現がよく使われる。これは、エネルギーを目的達成のために活用することを意味している。一方で、「機械を使用する」という表現は、機械をその本来の目的に従って操作することを意味している。「利用」と「使用」の用例・例文
「利用」と「使用」の具体的な例を以下に示す。例文1: 電車を利用する
「毎朝、通勤のために電車を利用する。」この場合、「利用」は電車を目的地に到達する手段として活用することを意味している。
例文2: パソコンを使用する
「仕事のためにパソコンを使用する。」この場合、「使用」はパソコンをその本来の機能に従って操作することを意味している。
例文3: リソースを利用する
「プロジェクトを成功させるために、社内のリソースを最大限に利用する。」この場合、「利用」は人材や資金、時間などのリソースを目的達成のために活用することを意味している。
例文4: ツールを使用する
「デザイン作業には専用のツールを使用する。」この場合、「使用」は特定のソフトウェアや機器をその本来の目的に従って使うことを意味している。
例文5: 図書館を利用する
「試験勉強のために図書館を利用する。」この場合、「利用」は図書館の資料や設備を学習や研究のために活用することを意味している。
例文6: 教科書を使用する
「授業で教科書を使用する。」この場合、「使用」は教科書をその本来の目的に従って学習に使うことを意味している。
例文7: エネルギーを利用する
「再生可能エネルギーを利用して発電する。」この場合、「利用」はエネルギーを目的達成のために活用することを意味している。
例文8: 機械を使用する
「工場では最新の機械を使用して製品を製造する。」この場合、「使用」は機械をその本来の目的に従って操作することを意味している。
「利用」と「使用」の漢字の意味
「利用」の「利」は「利益」や「利便性」を意味し、「用」は「使うこと」を意味する。したがって、「利用」は「利益を得るために使うこと」や「目的を達成するために使うこと」を意味する。 「使用」の「使」は「使役」や「使うこと」を意味し、「用」は「使うこと」を意味する。したがって、「使用」は「物や設備をその本来の目的に従って使うこと」を意味する。 このように、「利用」と「使用」は似た意味を持つが、使い方やニュアンスに違いがある。具体的な文脈や目的に応じて適切に使い分けることが重要である。- 利用と使用の違いのページへのリンク