三井住友信託銀行とは? わかりやすく解説

三井住友信託銀行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/24 00:39 UTC 版)

三井住友トラストグループ > 三井住友信託銀行
三井住友信託銀行株式会社
Sumitomo Mitsui Trust Bank, Limited
三井住友信託銀行本店ビル
種類 株式会社
機関設計 監査等委員会設置会社
略称 SMTB
本店所在地 日本
100-8233
東京都千代田区丸の内1丁目
4番1号 三井住友信託銀行本店ビル
設立 1925年(大正14年)7月28日
住友信託株式会社)
業種 銀行業
法人番号 2010001146005
金融機関コード 0294
SWIFTコード STBCJPJT
事業内容 信託銀行業
代表者 大山一也(取締役社長)
資本金 3420億3700万円
(2024年3月31日)
発行済株式総数 普通株式:1,674,537,000株
(2024年3月31日)
売上高 連結:2兆3497億9000万円
単独:1兆9564億7300万円
(2024年3月期)
経常利益 連結:862億9500万円
単独:587億100万円
(2024年3月期)
純利益 連結:658億2100万円
単独:578億3900万円
(2024年3月期)
純資産 連結:2兆7914億6700万円
単独:2兆3645億7100万円
(2024年3月期)
総資産 連結:75兆5781億8900万円
単独:73兆3386億4200万円
(2024年3月期)
従業員数 連結:20972名
単独:13848名
(2024年3月期)
決算期 3月31日
会計監査人 有限責任あずさ監査法人
主要株主 三井住友トラストグループ 100%
主要子会社 #関連会社参照
外部リンク www.smtb.jp
特記事項:経営指標は、三井住友信託銀行『2024年3月期 有価証券報告書』(2024年6月21日)を参照。
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三井住友信託銀行のデータ
法人番号 2010001146005
店舗数 国内 147店、海外 5店
貸出金残高 33兆7731億3300万円
預金残高 37兆1518億9600万円
特記事項:
貸出金残高は、元本補てん契約のある信託勘定含む。国内店舗数には支店のほかローンプラザなどを含めるが、海外店舗数に駐在員事務所は含めない(2024年3月31日時点、参考資料は上記テンプレートと同じ)。
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三井住友信託銀行株式会社(みついすみともしんたくぎんこう、: Sumitomo Mitsui Trust Bank, Limited)は東京都千代田区丸の内に本社を置く、日本最大の信託銀行三井住友トラストグループ完全子会社であり、2012年4月1日に発足した。

なお、三井グループの三井業際研究所[1]・月曜会・三井文庫[2]の会員企業であり、住友グループ白水会 [3]住友グループ広報委員会[4]の会員企業[注釈 1]でもある。同じく「三井住友」を冠するメガバンク三井住友銀行SMBC信託銀行などを傘下に置く三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)とは直接的な資本関係はなく、互いに独立した企業となっている。

概説

店舗の一例
枚方支店(大阪府枚方市

コーポレートスローガンは「The Trust Bank」。銀行事業と信託・財産管理事業を一体として展開する専業信託銀行グループである。

2009年、住友信託銀行金融持株会社中央三井トラスト・ホールディングスが経営統合に合意、2011年4月1日、三井住友トラスト・ホールディングスを設立。翌2012年4月1日、住友信託銀行(旧住信)、中央三井信託銀行中央三井アセット信託銀行の3行合併によって発足した[7][注釈 2]

本社機能は千代田区丸の内に置き、旧住信の本店営業部(大阪市北浜)を「大阪本店営業部」へ、旧住信の東京営業部を「本店営業部」へ改称した[注釈 3]。なお、元々住信の東京営業部が入居していた東京本部ビル(丸の内一丁目4番4号)は、三菱地所主導による隣接した旧UFJ信託銀行本店ビル跡地(同4番3号)と旧東銀ビル跡地(同4番2号)の敷地を集約して一つのオフィスビル(同4番1号)へ建て替える再開発計画(住信は共同事業者として参画)が2009年に着工したことに伴い、2007年より順次八重洲側に仮移転した。2012年1月に「丸の内永楽ビルディング」として竣工した事に伴い[8]、三井住友信託銀行発足時に同ビルに本部機能と共に入居(転入)した。なお、旧中央三井の本店は「芝営業部」へ改称、旧中央三井の名古屋支店が「名古屋営業部」に昇格し、旧三井信託銀行の本店であった「日本橋営業部」と共に5営業部体制となった。

2014年、シティグループの個人金融ビジネス(日本事業)撤退に伴い、三井住友信託銀行、新生銀行三越伊勢丹ホールディングスJCBの3社連合がシティカードジャパン買収に名乗りをあげていたが[9]、2015年3月31日、独占的交渉権を得た三井住友信託銀が400億円強程度で全株式を取得すると発表した[10][11]

自社[12]あるいはフロンティア不動産投資法人等の投資ファンド所有の商業施設の大規模小売店舗立地法における名義上の設置者(所有者)になっている物件もある[13][14]

勘定系システム

勘定系システムは2014年5月7日に、旧中央三井のシステムについてリプレースを実施[15]。その後、同年7月~11月までの4回の3連休期間に、旧住信の店舗を旧中央三井店の新システムへ順次移行。2014年11月25日、全店舗での新システムの移行が完了した。

合併における経緯

合併前

住友信託銀行は、金融ビッグバン以降の都市銀行および信託銀行間の経営統合による金融再編に参加していなかった銀行である。2004年5月に当時経営難であったUFJホールディングスからUFJ信託銀行の売却を打診され、経営統合の方向で基本合意するも、UFJグループは同年7月に三菱東京フィナンシャル・グループとの統合を選択し、一方的に契約が破棄された事により合併は実現しなかった。その後、住友信託と(中央)三井トラスト・ホールディングスが経営統合を検討し、2005年2月には合意寸前まで至ったが、人事や合併比率等で合意できずに破談に終わっている[16]

一方、国内の金融業界では、金融ビッグバンの影響で業種間の垣根が撤廃・緩和され、2000年代は商業銀行・信託銀行・証券会社で構成される一大金融グループを形成する動きが加速した時代であった。信託部門ではみずほFGみずほ信託銀行を、三菱UFJFG三菱UFJ信託銀行を擁する中、(老舗系)信託銀行を持たない三井住友FGから住信・中央三井の両行に対し統合圧力が高まるのは、想像に難くない[16]。このような情勢の中で、メガ傘下入りを嫌い独立志向を貫く両行の思惑は合致しており、業界内でも両行の合流は“既定路線”とされていたが、多角化路線を進む住友信託と個人営業重視の中央三井といった経営方針の違いもあり、再編劇は当時社長であった高橋温(住友信託)と田辺和夫(中央三井)の退任以降と見られていた[16]

しかし、折からの金融危機の影響で公的資金の返済が予定通りに進まず実質国有化されていた中央三井と、大口融資先アイフルの業績悪化の影響を受けた住友信託は、規模拡大による業務効率化が急務となり[16]2009年は両グループで再び経営統合の交渉についた。両行の経営統合が正式に発表されたのは、同年11月6日の事だった[17]。また、当初は大和銀行(現:りそな銀行)と住友信託の合弁会社であった日本トラスティ・サービス信託銀行2002年に(中央)三井トラストが資本参加した。

合併後

三井住友信託銀行は国内唯一のメガ信託となったものの、それでもメガバンクとの差は歴然であり、今後の経営戦略を描くのは容易ではない。統合発表会見の際に田辺和夫社長は「(三井住友FG傘下入りは)今のところ全くない」と述べているものの、現実問題として傘下入りのメリットを指摘する声があるのも事実である[17]。統合に際し旧行の幹部も「三井住友FGに吸収されるなら統合で体力を付けてから」と本音を漏らしており[16]、他のメガバンク幹部からも「結局は三井住友FGに合流せざるを得なくなる」という見方がある[17]

年表

関連会社

など

不祥事

株主総会の議決権行使書の不適切処理

2020年9月24日に三井住友信託銀行が公表したプレスリリースによると、当社及び連結子会社の東京証券代行と日本証券代行が受託した株主総会の議決権行使集計業務について、三井住友トラストTAソリューションを通じて再委託した日本株主データサービスにおいて、2020年5月から7月に開催された株主総会のうち当社が受託した891社、東京証券代行が受託した38社、日本証券代行が受託した46社の合計975社で株主総会の議決権行使を巡り、期限当日に届いた議決権行使書を集計から外すといった不適切処理が行われていた[21]この不適切処理は約20年間にわたり行われていたという報道もある。[22]

証券代行営業第二部長によるインサイダー取引

2025年3月24日、証券取引等監視委員会は証券代行営業第二部長だった元社員を金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で東京地検特捜部に告発した。元社員は2024年10月末に三井住友信託銀行に不正を自己申告し、11月1日付で懲戒解雇された。告発状によると、 元社員は主に株式を上場する顧客企業などの内部情報を管理する業務に従事。次長または部長だった2022年12月から2024年8月、業務を通じて3社のTOB(株式公開買い付け)情報を知り、公表前に本人名義で計2万5900株を約3210万円で不正に買い付けた疑い[23][24]。同月25日、特捜部は元部長を在宅起訴した[25]

5月1日、大山一也社長の月例報酬30%を3カ月分減額するなど役員7人の処分を発表した。また、三井住友トラストグループ高倉透社長も同20%を2カ月分減額する[26]

脚注

注釈

  1. ^ 親会社の三井住友トラスト・ホールディングスは三井グループの二木会・三井広報委員会[5]・月曜会・綱町三井倶楽部[6]に加盟しているが、三井業際研究所・三井文庫、住友グループの白水会・住友グループ広報委員会にはいずれも非加盟。
  2. ^ また宅地建物取引業の届出番号は、旧住友信託銀行の届出番号を引き継ぐ形で、国土交通大臣届出第1号となる。
  3. ^ 本店を東京へ移転した事に伴う改称は三井住友銀行(旧住友銀行)と同様。

出典

  1. ^ 会員会社|三井業際研究所”. 三井業際研究所公式サイト. 三井業際研究所. 2024年7月29日閲覧。
  2. ^ 定款・役員・賛助会社 | 公益財団法人 三井文庫 – 社会経済史史料の保存・公開、調査研究をおこなう史料館と美術品の保存・公開、調査研究をおこなう三井記念美術館からなる研究機関”. 三井文庫公式サイト. 公益財団法人 三井文庫. 2024年7月29日閲覧。
  3. ^ 田中彰「六大企業集団の無機能化 : ポストバブル期における企業間ネットワークのオーガナイジング」、『同志社商学』64巻5号、同志社大学商学会、doi:10.14988/pa.2017.0000013201NAID 110009605659 pp. 330-351
  4. ^ 住友グループ各社のご案内 | グループ各社・関連団体 | 住友グループ広報委員会”. 住友グループ広報委員会公式サイト. 住友グループ広報委員会. 2024年7月29日閲覧。
  5. ^ 会員会社 | 三井広報委員会”. 三井広報委員会公式サイト. 三井広報委員会. 2024年7月29日閲覧。
  6. ^ 会員企業一覧 | 綱町三井倶楽部”. 綱町三井倶楽部公式サイト. 綱町三井倶楽部. 2024年7月29日閲覧。
  7. ^ 三井住友信託銀が発足 3行合併、最大メガ信託」『47NEWS』(共同通信)2012年4月1日。2013年9月26日閲覧。
  8. ^ 物件詳細 丸の内永楽ビルディング 三菱地所
  9. ^ 「三井住友信託銀が独占交渉 「ダイナース」買収:M&Aニュース」『日本経済新聞電子版』2015年2月14日
  10. ^ 米シティ、カード事業売却を発表 三井住友信託に」『日本経済新聞』日本経済新聞、2015年3月31日。2015年4月1日閲覧。
  11. ^ シティカードジャパン株式会社の株式の取得に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 三井住友信託銀行株式会社、2015年3月31日http://smth.jp/news/2015/150331.pdf2015年4月1日閲覧 
  12. ^ 北海道告示第10144号” (PDF). 北海道公式サイト (2014年2月21日). 2014年3月21日閲覧。
  13. ^ 平成24年度大規模小売店舗立地法法第6条第2項(変更)届出の概要【2012年10月末】” (PDF). 経済産業省 (2012年10月31日). 2014年3月21日閲覧。
  14. ^ イオンモール茨木”. ポートフォリオ情報. フロンティア不動産投資法人. 2014年3月21日閲覧。
  15. ^ “中央三井にシステムを一本化 三井住友信託の勘定系”. 47NEWS. 共同通信. (2011年8月31日). https://web.archive.org/web/20130927134847/http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011083101000829.html 2013年9月26日閲覧。 
  16. ^ a b c d e “メガ信託、銀行に挑戦状 住友信託・中央三井、統合へ”. フジサンケイ Business i (日本工業新聞社). (2009年10月28日) 
  17. ^ a b c “規模の力で難局打開 住友信託・中央三井、統合発表”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2009年11月7日). http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY200911060473.html 2015年3月15日閲覧。 
  18. ^ 横浜銀行との業務提携の検討について” (PDF). 三井トラスト・ホールディングス株式会社 株式会社三井住友信託銀行 (2014年8月27日). 2014年8月28日閲覧。
  19. ^ “三井住友信託、横浜銀と業務提携へ 資産運用 地銀他行も視野”. 日本経済新聞. (2014年8月28日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H1W_X20C14A8MM8000/ 2014年8月28日閲覧。 
  20. ^ [https://www.smtb.jp/-/media/tb/about/corporate/release/pdf/240730.pdf 三井住友信託銀行株式会社、東京証券代行株式会社、および日本証券代行株式会社の合併について 三井住友信託銀行、東京証券代行、日本証券代行 2024年7月30日
  21. ^ 当社取引先の議決権行使書集計に係る業務についての調査結果のお知らせ” (PDF). 2020年10月7日閲覧。
  22. ^ 20年間で1000社超、株主の一部が賛否投票できず?…三井住友信託銀が誤集計 : 経済 : ニュース”. 読売新聞オンライン (2020年9月24日). 2020年10月7日閲覧。
  23. ^ “三井住友信託銀元社員を告発 インサイダー取引の疑い―監視委”. 時事通信. (2025年3月24日). https://www.jiji.com/sp/article?k=2025032400690 2025年5月22日閲覧。 
  24. ^ “三井住友信託元社員を告発 インサイダー疑い、監視委”. 日本経済新聞. (2025年3月24日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE198470Z10C25A2000000/ 2025年5月22日閲覧。 
  25. ^ “三井住友信託銀元社員を在宅起訴、インサイダー取引事件”. 日本経済新聞. (2025年3月25日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE2502W0V20C25A3000000/ 2025年5月22日閲覧。 
  26. ^ “大山社長ら8人報酬減額 元部長のインサイダー事件―三井住友信託銀、親会社が処分”. 時事通信. (2025年5月1日). https://www.jiji.com/sp/article?k=2025050100716 2025年5月22日閲覧。 

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