小林勇とは? わかりやすく解説

小林勇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/11 01:04 UTC 版)

左から,栗田賢三,小林勇,火野葦平,野田宇太郎,三木清 (1942年)

小林 勇(こばやし いさむ、1903年明治36年)3月27日 - 1981年昭和56年)11月20日)は、編集者、随筆家、画家。号は冬青。岩波書店の創業者岩波茂雄の女婿であり、同社会長を務めた。

人物

長野県上伊那郡赤穂村(現・駒ヶ根市)の農家の五男として生まれる[1]。実業学校で基礎教育を受けたのち家業を手伝っていたが、1920年、17歳で上京し、岩波書店の住み込み社員となり、岩波文庫の創刊に携わる。幸田露伴の愛顧を受ける。

岩波茂雄の女婿(次女小百合と結婚)となるが、1928年に独立し、三木清らの援助を受けて自身の出版社・鉄塔書院[2]、新興科学社を興す。だが、後に経営不振となり、1934年に岩波書店に復帰。1937年には『回想の寺田寅彦』を編んでいる。1945年5月治安維持法違反の嫌疑で逮捕され拷問を受ける(横浜事件)が、終戦により同年8月29日釈放[1]

1946年岩波書店支配人、1949年に岩波映画を設立。岩波書店代表取締役を経て1962年から1972年まで岩波書店会長。

1955年初の随筆集『遠いあし音』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。数多くの随筆評伝などの著書を上梓している。

中谷宇吉郎、初代中村吉右衛門など[1]文化人たちとの交遊は幅広く、生涯にわたり書画を描き「吉井画廊」などで個展を十数回催した。晩年は山梨県北西部の長坂町(現・北杜市)での清春白樺美術館創設に関わった。

著書

  • 『遠いあし音』文藝春秋新社 1955
    • 『遠いあし音・人はさびしき 人物回想』筑摩叢書 1987
  • 『蝸牛庵訪問記 露伴先生の晩年』岩波書店 1956、講談社文芸文庫 1991
  • 『小閑』東京創元社 1960
  • 『随筆 雨の日』文藝春秋新社 1961
  • 『惜櫟荘主人 一つの岩波茂雄伝』岩波書店 1963、講談社文芸文庫 1993
  • 『随筆 竹影』筑摩書房 1965
  • 『彼岸花 追憶三十三人』文藝春秋 1968、講談社文芸文庫 1992
  • 『蓑雲 歌集』新星書房 1968
  • 『隠者の焔』文藝春秋 1971
  • 『山中独膳』文藝春秋 1971
    • 『山中独膳・厨に近く』筑摩叢書 1988
  • 『随筆 書画一如』求龍堂 1972
  • 『人はさびしき』文藝春秋 1973、筑摩叢書 1987
  • 『随筆 夕焼』文藝春秋 1974
  • 『一本の道』岩波書店 1975、復刊2003、新版2012
  • 『冬青庵楽事』新潮社 1977
  • 『厨に近く』[3]中央公論社 1978、筑摩叢書 1988
  • 『赤い鞄』新潮社 1980

文集

  1. 遠いあし音、彼岸花 他
  2. 蝸牛庵訪問記 他
  3. 惜檪荘主人
  4. 人はさびしき 他
  5. 隠者の焔 他
  6. 山中独膳、厨に近く
  7. 冬青庵楽事、赤い鞄
  8. 随筆書画一如 他
  9. 小閑、竹影、雨の日
  10. 夕焼、故人今人 他
  11. 一本の道、竹頭木屑 他
別巻『回想 小林勇』谷川徹三井上靖

関連文献

  • 編『回想の寺田寅彦』岩波書店 1937
  • 『闘うアメリカの第三党』同友社 1948
  • 『冬青 小林勇画集』中央公論美術出版 1969。限定版
  • 『冬青 小林勇画集』同刊行会編、岩波ブックサービスセンター 1987
  • 『絵筆を持って 冬青小林勇畫文集』求龍堂 2003。生誕百年記念の画文集
  • 『懐遠 小林勇-娘への絵手紙』アートデイズ 1997、東京堂出版 2015。小松美沙子編著 
  • 私の履歴書 反骨の言論人』日本経済新聞出版社〈日経ビジネス人文庫〉2007。文庫新版

脚注

外部リンク


小林 勇(こばやし いさお)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 22:20 UTC 版)

青の橘花」の記事における「小林 勇(こばやし いさお)」の解説

炎使いノッカーズ母子人質取り民家立て籠った。次郎丸狙撃される。逮捕後は全く口を割らない

※この「小林 勇(こばやし いさお)」の解説は、「青の橘花」の解説の一部です。
「小林 勇(こばやし いさお)」を含む「青の橘花」の記事については、「青の橘花」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「小林勇」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小林勇」の関連用語

小林勇のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小林勇のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの小林勇 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの青の橘花 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS