警視庁 沿革

警視庁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 02:20 UTC 版)

沿革

1931年(昭和6年)から1977年(昭和52年)まで使用された建て替え前の旧本部庁舎。1980年(昭和55年)からは同じ場所に現本部庁舎が竣工。

以下の略年表は、主に『警視庁百年の歩み』の「警視庁略年表」[6]と警視庁公式ホームページの「警視庁創立150年記念サイト[7]」を参考にしている。

前史

  • 1868年(明治元年)4月16日:東征大総督府が江戸市中取締り強化のために、薩摩藩ほか11藩から藩兵を拠出させる。藩兵は後に府兵に改称[8]
  • 1871年(明治4年)10月23日:府兵が廃止され、東京府が薩摩藩出身者を中心に邏卒3,000人による取締組を編成[8]

警視庁の設置

  • 1874年(明治7年)
    • 1月15日:川路利良の建議書が採用され、首都警保のために東京府下の警察事務一切を管理する、内務省管轄の東京警視庁を設置[9](明治七年一月十五日太政官達第六号)。この後に機構の変革があるものの、警視庁の歴史(警視庁創立周年)はこの日を起点としている。
      • なお、1906年(明治39年)に行われた警視庁官制の改正まで、国事犯については全て警視庁の長に執行権限が与えられており、その権限は全国に及んでいた。その為、西南戦争等の騒乱に際し、警視庁の警察官が日本各地に派遣され、騒乱の鎮圧または警戒警備にあたった。
    • 8月19日:警察手帳を交付。
  • 1877年(明治10年)
    • 1月11日:日本各地で頻発していた士族の反乱に対処する為、政府は全国の警察を一元化し警察力を内務省の直轄下に置くことを決定し、東京警視庁を廃止し内務省に統合[1]
    • 1月27日:東京警視本署を設置[1]
  • 1881年(明治14年)1月14日:「警視庁」を再設置太政官布告1号及び2号により、大警視を警視総監に改め、新たに警視副総監を置く。この年より警察署と巡査屯所を設置[1]
  • 1903年(明治36年)9月21日:騎馬巡査を配置(騎馬隊の発足)。
  • 1913年(大正2年)2月10日:護憲派の民衆が都下の交番を襲撃。焼失52ヶ所、破壊24ヶ所[10]
  • 1918年(大正7年)1月1日:オートバイ(通称「赤バイ」)による交通指導取締りを開始。
  • 1921年(大正10年)6月2日:刑事部を設置。
  • 1923年(大正12年)10月20日:警察官の拳銃携帯が許可される。
  • 1931年(昭和6年)5月29日:関東大震災後の「霞が関官庁街集中計画」の先陣を切って、麹町区外桜田町1番地の陸軍教導団砲兵屯営の跡地(現本部庁舎所在地と同じ)に地下1階・地上5階建ての旧桜田門庁舎(本節掲載の写真の建物)が竣工。その後、1977年(昭和52年)1月まで使用される。
  • 1933年(昭和8年)10月1日:警視庁に特別警備隊(現在の機動隊に相当)を設置。「昭和の新撰組」と呼ばれた。
  • 1936年(昭和11年)8月1日:従来の「赤バイ」が「白バイ」となる。
  • 1948年(昭和23年)3月7日:警察法(旧)施行により、それまでの内務省警保局(→内事局第一局、現在の警察庁)及び警視庁と府県警察部からなる一本化されていた警察組織は再編成され、これに伴い、東京都区部(東京23区)のみを管轄とする自治体警察としての警視庁 (旧警察法)となる。東京都内ではこの他に、三多摩地区に国家地方警察東京都本部と市町村自治体警察を設置[11]
  • 1954年(昭和29年)7月1日 :警察法(新)の施行により、国家地方警察と自治体警察が廃止となり、警察庁都道府県警察に再編成され、再び警察組織が一本化される。これにより、国家地方警察東京都本部(15署)と警視庁 (旧警察法)、八王子市警察などの4市警察が廃止・統合され、再び東京都全域を管轄とした現在の警視庁に再編成される[12]。新警察法案の審議は国会乱闘事件となり、警視庁の警察官が院内出動する事態となった。
  • 1957年(昭和32年)4月1日:警邏交通部を交通部に、警備第一部を警備部に、警備第二部を公安部に、予備隊を機動隊にそれぞれ改称。警らに関する業務を警備部に移管。
  • 1967年(昭和42年)
    • 4月1日:住居表示実施に伴い、本部の住所表記が「東京都千代田区霞が関二丁目1番1号」に変更。
    • 7月21日:警備部から警ら部が独立。
  • 1976年(昭和51年): 本部庁舎の建て替えに伴い、6月から順次、物産館東京消防庁旧庁舎等を仮庁舎として使用(1980年まで)。翌年の1977年6月8日から現本部庁舎の建築に着工。
  • 1980年(昭和55年)6月17日:地下4階・地上18階建ての警視庁現本部庁舎が竣工。
  • 2007年(平成19年) パトカーのデザインを52年振りに「POLICE」のロゴ入りのものに変更。東京マラソン2007より使用され、その後、地域課や交通機動隊などのパトカーを順次新デザインに変更している。

注釈

  1. ^ 関東管区警察局には属さない。
  2. ^ 1954年(昭和29年)制定の「警視庁の設置に関する条例」(昭和29年東京都条例第52号)、「警察法」(昭和29年法律第162号)第47条第2項、「警察法施行令」(昭和29年政令第169号)第5条第1号を参照。
  3. ^ 道府県警察の本部は、道府県警察本部(例えば神奈川県警察本部)となる。
  4. ^ ただし、1954年7月1日より1958年3月末までは警察通信に関する業務のみ関東管区警察局の管理下であった。関東管区警察局#沿革の項を参照。
  5. ^ 警察法30条には、東京都(及び北海道)の記述はない。
  6. ^ 警察法16条より。警察法30条には、府県警察について所掌事務が管区警察局に分掌される旨の規定があるが、東京都警察である警視庁はこの適用対象にならないため、府県警察のように各管区警察局によって監督(警察法31条2項)されることなく、警察法16条2項によって警察庁長官から直接に監督されることになる。なお、警察通信などについては警察法33条1項より、警察庁の地方機関である東京都警察情報通信部により分掌される。東京都警察情報通信部の位置は警察法施行規則155条により東京都千代田区と定められているが、現在は警視庁本部庁舎内に所在している。
  7. ^ 警察法47条1項では、警視庁は特別区の区域内に置くことを定めている。
  8. ^ 塔部込みでは兵庫県警察本部庁舎の110mを上回る。
  9. ^ 自転車防犯登録ステッカーが「xx県(府・道)警(察)」「警視庁」となっていることや、報道での「xx県(府・道)警と警視庁が合同捜査本部を設置」といった表現などが例として挙げられる。
  10. ^ 2012年11月までは、各島を管轄する警察署・駐在所で受理していた。

出典

  1. ^ a b c d e 警視庁創立100年記念行事運営委員会 1974, p. 419.
  2. ^ 警視庁創立100年記念行事運営委員会 1974, p. 420.
  3. ^ 組織について | 警視庁で働くとは | 令和5年度警視庁採用サイト”. www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp. 2023年8月1日閲覧。
  4. ^ 具体的な警察署の名称については警視庁の設置に関する条例(昭和29年東京都条例第52号)13条及び別表第1参照
  5. ^ a b 日本政治学会 『年報政治学』64巻 (2013) 1号 p.319-333
  6. ^ 警視庁創立100年記念行事運営委員会 1974.
  7. ^ https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/150th/index.html
  8. ^ a b 警視庁創立100年記念行事運営委員会 1974, p. 418.
  9. ^ 警視庁創立100年記念行事運営委員会 1974, p. 55.
  10. ^ 下川耿史『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』p.385 河出書房新社 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
  11. ^ 警視庁創立100年記念行事運営委員会 1974, p. 429.
  12. ^ 警視庁創立100年記念行事運営委員会 1974, p. 306.
  13. ^ 警視庁の統計(平成30年)”. 警視庁の組織 (PDF). 2020年6月28日閲覧。
  14. ^ a b c 人事異動発令通知(R6.4.5付) (PDF)』警察庁、2024年4月5日。
  15. ^ 採用案内 警視庁職員Ⅰ類 - 7 採用、給与及び昇任制度”. 警視庁. 2015年9月2日閲覧。
  16. ^ 採用案内 警視庁職員Ⅱ類 - 7 採用、給与及び昇任制度”. 警視庁. 2015年9月2日閲覧。
  17. ^ 採用案内 警視庁職員Ⅲ類 - 7 採用、給与及び昇任制度”. 警視庁. 2015年9月2日閲覧。
  18. ^ asahi.com (2003年12月4日). “警視庁元警部、犯歴漏らした疑いで書類送検 武富士事件”. 朝日新聞社. 2010年4月30日閲覧。
  19. ^ 「拘置中の男が巡査長を恐喝、500万円脅し取る・警視庁玉川署」読売新聞
  20. ^ 警部補、殺人・強制わいせつの捜査書類7件放置 読売新聞 2013年3月15日
  21. ^ MSN産経ニュース (2009年9月2日). “白バイ隊員、スピード違反の記録ねつ造で書類送検 警視庁”. マイクロソフト. 2010年4月30日閲覧。
  22. ^ 不倫でコケる人、コケない人…組織トップが女で失敗するワケ 夕刊フジ
  23. ^ 警視庁、「教団のテロ」と発表 長官銃撃事件の時効受け 時事通信 2010年3月30日
  24. ^ 警視庁発表は「名誉毀損」=アレフ勝訴、都に賠償命令-長官銃撃訴訟・東京地裁 時事通信2013年1月15日
  25. ^ 国際テロ情報ネット流出=内部文書か、交換ソフトで拡散[1][リンク切れ]
  26. ^ 警視庁:テロ捜査資料流出 海外サーバーを経由 流出元の捜査困難に[2][リンク切れ]
  27. ^ 公安部捜査費詐取の疑い=巡査部長を書類送検、免職-交際女性と飲食・警視庁 時事通信 2010年12月17日
  28. ^ 警視庁巡査部長、事故の相手にウソの電話番号 読売新聞 2012年4月12日
  29. ^ 警視庁警視 業務上横領容疑で捜査 捜査費二十数万円 - スポーツニッポン 2012年10月11日
  30. ^ 放置自転車修理し路上に…「わな」仕掛けた警官 読売新聞 2013年11月23日
  31. ^ 警察官が個人情報調査の疑い NHKニュース 2013年11月27日
  32. ^ 行方不明:拳銃所持し不明の警官、栃木で逮捕 銃刀法違反容疑 毎日新聞 2013年10月19日
  33. ^ 警視庁蒲田署の警官自殺:原因はパワハラ 上司の警部補を減給 毎日新聞 2014年4月22日
  34. ^ 女性警官を殺害後、巡査の男自殺か 埼玉・狭山 日本経済新聞 2014年4月12日
  35. ^ 警視庁:時効の証拠品など1万点放置 地検に送らず 毎日新聞 2014年9月26日
  36. ^ 捜査費着服:容疑で警部補書類送検 警視庁 毎日新聞 2015年1月24日
  37. ^ 警視庁の警官、体触った疑い 埼玉県警、逮捕 朝日新聞 2015年4月23日
  38. ^ 「スリルたまらず…」盗撮常習か? 巡査部長を書類送検 停職1カ月処分で辞職 産経新聞 2015年6月19日
  39. ^ 2警官自殺 上司を訓戒処分 書き置きに同じ名前 警視庁 毎日新聞 2016年7月8日
  40. ^ 少年に自白強要の高井戸署は、萩原流行死亡事故でも隠蔽の過去! 児童買春、覚せい剤、裏金隠し...警察の不祥事隠蔽”. LITERA 2017年8月12日(土)18時30分. 2020年7月26日閲覧。
  41. ^ 守秘義務違反 交際組員に捜査情報 容疑の女性巡査を書類送検 警視庁 毎日新聞 2018年3月19日
  42. ^ 58歳警視 路上で女性の体を触った疑い 酒に酔っていたか NHKニュース 2018年7月13日
  43. ^ GPS捜査で偽証の疑い 警視庁の警部ら4人を書類送検 NHKニュース 2018年11月30日
  44. ^ パトカーにはねられ重体の5歳男児が死亡 東京・四ツ谷駅前”. 毎日新聞 2019年9月13日 18時43分. 2020年7月26日閲覧。
  45. ^ 男児死亡パトカー事故 男性巡査部長を書類送検 警視庁”. 毎日新聞 2019年11月26日 12時23分. 2020年8月8日閲覧。
  46. ^ 警察官を逮捕、70代女性からひったくり容疑 警視庁”. 朝日新聞 2020年3月19日 23時30分. 2020年7月22日閲覧。
  47. ^ 交通事故の捜査資料偽造 容疑で警部補を書類送検―警視庁”. 時事通信 2020年03月27日13時09分. 2020年9月13日閲覧。
  48. ^ 警察署の当直中に責任者が飲酒 警視庁警視を懲戒処分”. 産経新聞 2020.7.3 17:35. 2020年7月27日閲覧。
  49. ^ 警視庁捜査1課の男を詐欺容疑で書類送検「将来備えて」”. 朝日新聞 2020年7月17日 22時00分. 2020年8月3日閲覧。
  50. ^ 警視庁職員の54歳男逮捕 死亡ひき逃げ疑い”. 日本経済新聞 2020/7/19 23:38. 2020年7月20日閲覧。
  51. ^ 警視庁職員が死亡ひき逃げか「通勤を優先させた」”. テレビ朝日ニュース 2020/7/20 12:03. 2020年7月20日閲覧。
  52. ^ 警視庁警視、通勤に公用車 高速を無料利用、減給処分”. 千葉日報 2020年11月20日 19:46. 2021年2月3日閲覧。
  53. ^ 同僚の現金抜き取り懲戒 警視庁の機動隊員”. 産経新聞 2020.12.18 19:23. 2021年1月13日閲覧。
  54. ^ “警察署内の自分の引き出しから覚醒剤 所持容疑で警部補を現行犯逮捕”. 朝日新聞. (2022年4月10日). https://www.asahi.com/amp/articles/ASQ4B5QYDQ4BUTIL00R.html 2022年5月8日閲覧。 
  55. ^ “「注意力散漫だった」 国葬応援の警察官の拳銃を紛失、警部補減給”. 朝日新聞. (2022年10月7日). https://www.asahi.com/sp/articles/ASQB75GJXQB7UTIL019.html?iref=sp_ss_date_article 2022年10月11日閲覧。 
  56. ^ 稲葉圭明『警察のウラ知識』宝島社、2021年。ISBN 978-4-299-01336-1 






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