山王_(大田区)とは? わかりやすく解説

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山王 (大田区)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/13 06:40 UTC 版)

日本 > 東京都 > 大田区 > 山王
山王
町丁
山王弁天池
北緯35度35分19秒 東経139度43分27秒 / 北緯35.588558度 東経139.724097度 / 35.588558; 139.724097
日本
都道府県  東京
特別区 大田区
地域 大森地域
人口情報2024年(令和6年)4月1日現在[1]
 人口 20,660 人
 世帯数 11,134 世帯
面積[1]
  0.98 km²
人口密度 21081.63 人/km²
郵便番号 143-0023[2]
市外局番 03(東京MA[3]
ナンバープレート 品川
ウィキポータル 日本の町・字
ウィキポータル 東京都
ウィキプロジェクト 日本の町・字
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大森貝墟碑
山王小路飲食店街

山王(さんのう)は、東京都大田区町名。現行行政地名は山王一丁目から山王四丁目。住居表示実施済区域。郵便番号143-0023[2](集配局 : 大森郵便局[4])。

地理

東京都大田区の北東部に位置する。北辺は品川区西大井・品川区大井にそれぞれ接する。東辺はJR東海道線線路に接し、品川区南大井・大田区大森北にそれぞれ接する。南辺は環七通りに接し、これを境に大田区中央に接する。西辺も環七通りに接し、これを境に大田区南馬込に接する。北西端は大田区東馬込に接する。なお、現在、池上通り拡幅を含めた大森駅西口再開発計画がある[5]

町域内を南北に池上通りが通っている。町域東部は大森駅の西口にあたり、駅周辺は商店やビルが立ち並ぶ。他に池上通りやジャーマン通りなど幹線道路沿いにはビルや商店が並んでいる、そのため多くの商店街組合が形成されている。

池上通りの裏、駅前の傾斜を下ったところにある山王小路飲食店街は、かつてが降ると坂を上がれないことから地獄谷と呼ばれており、昭和の香りを色濃く残す飲食店が並んでいる。高台地区は、基本的に第一種低層住居専用地域に指定されており、低層住宅地となっている。

地価

住宅地の地価は、2025年令和7年)1月1日公示地価によれば、山王2-25-20の地点で73万7000円/m2、山王3-34-3の地点で77万5000円/m2となっている[6]

歴史

山王の地名は、大森駅の北西にある大森山王日枝神社に由来する。大森山王日枝神社は、中世の頃、比叡山山嶺にある日吉大社の祭神山王権現が勧請されたことを縁起とする。

江戸時代は「平間街道(現池上通り)」沿いの宿場町として「新井宿(現在の大田区中央)」と称した。江戸時代浮世絵師歌川広重(安藤広重)」が「名所江戸百景」で八景坂鎧懸松という浮世絵作品を残すなど、古くから高台から海を望む景勝地として知られていた。大森駅前の山側は将軍家の御狩場で低地部は田畑となっていた。明治以降も、文化人や実業家政治家の邸宅が並ぶ住宅地であり、1924(大正13)年第23代内閣総理大臣として組閣した清浦奎吾の邸宅のある坂は「清浦さんの坂」と坂の名に残る[7]

1872年(明治5年)に鉄道が開通し(新橋 - 横浜間)、大森停車場(後の大森駅)が開業(1876年)すると、多くの外国人が移り住み、開発が始まった。また、その列車に乗車していたエドワード・S・モースが隣接している品川区大井にある貝塚を発見し、現在は大森貝墟の石碑が建てられている[8]

1887年(明治20年)には大森八景園が開業し、京浜の新名所となる。その後、大森ホテルや望翠楼ホテルを中心に別荘地として栄えたが、1923(大正12)年の関東大震災後は安全利便な郊外住宅地として人気を博し、各界の名士が移り住んだほか、大森停車所もあり外国人も多く住んでいたことから、独逸学園が横浜より移転し(1991年閉校)、現在もジャーマン通りの名称にその名残を残す。

1889年(明治22年)に本郷より日本帝国小銃射的協会が移転し、約15,000坪の土地に射的場を建設。その後、敷地内にテニスコートを設置し、1923年(大正12年)には「大森庭球クラブ」が開設された。射的場は鶴見に移転し、敷地の過半が住宅地として分譲されたが、テニスコートは残り、「大森テニスクラブ」として存続している。

また、昭和初期には時代を代表する文学者が数多く集まり、馬込文士村の一角を形成した。

かつてのお屋敷街も現在では相続等により分割され、往時を偲ばせる洋館は年々少なくなっている。

1954年(昭和29年)5月1日、山王一丁目のうち東海道本線東側の大部分を品川区大井坂下町・大井水神町(現南大井六丁目)に編入した[9]

1965年(昭和40年)4月1日に住居表示が実施された[10]

かつて山王に居住した著名人

世帯数と人口

2024年(令和6年)4月1日現在(東京都発表)の世帯数と人口は以下の通りである[1]

丁目 世帯数 人口
山王一丁目 3,052世帯 5,766人
山王二丁目 2,919世帯 5,662人
山王三丁目 3,322世帯 5,711人
山王四丁目 1,841世帯 3,521人
11,134世帯 20,660人

人口の変遷

国勢調査による人口の推移。

人口推移
人口
1995年(平成7年)[12]
15,943
2000年(平成12年)[13]
16,210
2005年(平成17年)[14]
16,593
2010年(平成22年)[15]
17,429
2015年(平成27年)[16]
18,989
2020年(令和2年)[17]
20,445

世帯数の変遷

国勢調査による世帯数の推移。

世帯数推移
世帯数
1995年(平成7年)[12]
7,143
2000年(平成12年)[13]
7,573
2005年(平成17年)[14]
7,928
2010年(平成22年)[15]
8,654
2015年(平成27年)[16]
9,738
2020年(令和2年)[17]
10,705

学区

区立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなる(2023年3月時点)[18][19]

丁目 番地 小学校 中学校
山王一丁目 45番 大田区立馬込第二小学校 大田区立馬込東中学校
1〜44番 大田区立山王小学校 大田区立大森第三中学校
山王二丁目 1〜40番
41〜42番 大田区立馬込第二小学校 大田区立馬込東中学校
山王三丁目 5〜23番
43〜45番
大田区立入新井第二小学校 大田区立大森第三中学校
1〜4番
24〜42番
大田区立山王小学校
山王四丁目 1〜10番
21〜33番
11〜20番 大田区立馬込第二小学校 大田区立馬込東中学校

事業所

2021年(令和3年)現在の経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りである[20]

丁目 事業所数 従業員数
山王一丁目 171事業所 1,231人
山王二丁目 449事業所 3,688人
山王三丁目 254事業所 2,390人
山王四丁目 83事業所 475人
957事業所 7,784人

事業者数の変遷

経済センサスによる事業所数の推移。

事業者数推移
事業者数
2016年(平成28年)[21]
907
2021年(令和3年)[20]
957

従業員数の変遷

経済センサスによる従業員数の推移。

従業員数推移
従業員数
2016年(平成28年)[21]
7,259
2021年(令和3年)[20]
7,784

交通

町域東部に京浜東北線大森駅がある(大森北に所在)。他に、大森駅から各方面通じているバス路線の利用もある。

施設

かつて存在した施設

  • 大森射的場(現:大森テニスクラブ)(1889年 - 1937年)
  • 望翠楼ホテル(1912年 - 1922年)- 横浜の生糸問屋若尾幾太郎が経営、文人の社交場だった[24]
  • 大森ホテル[25](現:山王公園)(1922年 - 1965年)
  • 三喜旅館
  • 八景園(遊園地)(1884年 - 1922年)
  • 富岡美術館(- 2004年)
  • ドイツ学園(1925年 - 1991年)
  • ILO東京支局(望翠楼ホテル内)
  • 大日本果汁株式会社(現:ニッカウヰスキー)本店(1934年 - 1935年)- 設立時の最初の本店登記がされた[26][27][28]
  • 京成百貨店(1973年 - 1981年)
  • ホテルモントレ山王(1986年 - 2011年) - ホテルモントレ1号館。Montereyは、スペイン語でmonte〈モント〉が「山」、rey〈レ、レー〉が「王」。
  • 内外無線電機工業(家電量販店)(?年 - 2004年)

脚注

  1. ^ a b c 大田区の面積・人口・世帯数 令和6年度区政ファイルデータ” (XLSX). 東京都 (2025年3月5日). 2025年3月23日閲覧。 “(ファイル元のページ)(CC-BY-4.0)
  2. ^ a b 山王の郵便番号”. 日本郵便. 2023年11月17日閲覧。
  3. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2019年6月24日閲覧。
  4. ^ 郵便番号簿 2022年度版” (PDF). 日本郵便. 2023年10月28日閲覧。
  5. ^ 「大森駅西側の都市基盤整備の基本的考え方について」を取りまとめました”. 大田区ホームページ (2021年4月1日). 2025年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月8日閲覧。
  6. ^ 国土交通省 不動産情報ライブラリ”. 国土交通省. 2025年3月19日閲覧。
  7. ^ a b 入新井特別出張所. “地域の魅力を紹介”(2021年8月10日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  8. ^ 『品川区史2014』品川区、2014年、320頁。ISBN 978-4-9907906-0-8 
  9. ^ 品川、大田の区界変更」『品川区政ニュース』第98号、品川区役所、1954年5月15日。2025年7月1日閲覧。
  10. ^ 社会教育部社会教育課文化財係 編『地図でみる大田区(1)』大田区教育委員会〈大田区の文化財〉、1988年3月31日、129頁。NDLJP:9644260 
  11. ^ 『人事興信録 第15版 上』オ51頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2021年2月23日閲覧。
  12. ^ a b 平成7年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年3月28日). 2019年8月16日閲覧。
  13. ^ a b 平成12年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年5月30日). 2019年8月16日閲覧。
  14. ^ a b 平成17年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年6月27日). 2019年8月16日閲覧。
  15. ^ a b 平成22年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2012年1月20日). 2019年8月16日閲覧。
  16. ^ a b 平成27年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2017年1月27日). 2019年8月16日閲覧。
  17. ^ a b 令和2年国勢調査の調査結果(e-Stat) -男女別人口,外国人人口及び世帯数-町丁・字等”. 総務省統計局 (2022年2月10日). 2022年2月20日閲覧。
  18. ^ 区立小学校通学区域一覧” (XLSX). 大田区 (2023年3月30日). 2023年12月16日閲覧。 “(ファイル元のページ)(CC-BY-4.0)
  19. ^ 区立中学校通学区域一覧” (XLSX). 大田区 (2023年3月30日). 2023年12月16日閲覧。 “(ファイル元のページ)(CC-BY-4.0)
  20. ^ a b c 経済センサス‐活動調査 / 令和3年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 事業所数、従業者数(町丁・大字別結果)”. 総務省統計局 (2023年6月27日). 2023年9月15日閲覧。
  21. ^ a b 経済センサス‐活動調査 / 平成28年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 都道府県別結果”. 総務省統計局 (2018年6月28日). 2019年10月23日閲覧。
  22. ^ 田園調布より歴史ある「大田区山王」富裕層に愛された街の今”. 幻冬舎ゴールドオンライン (2020年10月30日). 2022年8月2日閲覧。
  23. ^ MEGAドン・キホーテ大森山王店”. パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス. 2025年7月8日閲覧。
  24. ^ 中村敏宏「東京ホテル建築史1868年~1939年 : その意味と多様性」『法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編』第2号、法政大学大学院デザイン工学研究科、2013年3月、1-7頁、doi:10.15002/00009257ISSN 2186-7240NAID 120005354012 
  25. ^ 大田区. 06:新井宿(2023年8月9日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  26. ^ ニッカの語らい|ニッカワールド|NIKKA WHISKY[リンク切れ]
  27. ^ 竹鶴政孝を歩く(3) ニッカウヰスキー会社創立の地。
  28. ^ 大田区ホームページ わがまち新井宿 第67号 平成27年12月1日発行

参考文献

  • 人事興信所編『人事興信録 第15版 上』人事興信所、1948年。
  • 社会教育部社会教育課文化財係 編『大田区の近代建築 ー住宅編1ー』東京都大田区教育委員会〈大田区の文化財〉、1991年3月31日。NDLJP:9644541 

関連項目

外部リンク


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