旅客機 派生型

旅客機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 05:03 UTC 版)

派生型

1970年代に登場した旅客機のいくつかは、最初に設計製作された時の基本となる機体を元に、数十年にわたって何度も改良が施され、多様な派生型を持つ航空機ファミリー[注 54][注 55] として21世紀現在もジェット旅客機の主要な一角を占めている。こういった派生型では、胴体の延長や短縮によって搭載容積を変更したものや、構造部材の変更やエンジン、航法装置や操縦装置の刷新などの改良が行われる。

例えばボーイング777では、最初に製作された機体は"777-200"と呼ばれ、その後、以下のような派生型が作られた。

  • 777-200ER : 200の燃料容量を増やし最大離陸重量を引き上げた機体
  • 777-200LR : 200ERの燃料容量を増やし最大離陸重量を引き上げた機体で世界最長の航続距離を持っている
  • 777-300 : 200の胴体を63.7mから73.9mへ延長した機体
  • 777-300ER : 300の燃料容量を増やし最大離陸重量を引き上げた機体

777-200と777-300ERでは、性能と外観がかなり異なる。逆にボーイング747は、生産開始後35年が経過して派生型も多いが、SPを除けば大きさにそれほどの差はなく、-100と-200あるいは-300以降とSUDは外観もよく似ている。

機体塗装の役割と変遷

高速で上空を飛行するためなどにより傷が付けられるので、塗装は見た目の意匠だけではなく機体保護の役割もある[24]。塗料の量はボーイング747型機を例にとると約500リットルから600リットルが使用されている[25]。重さを軽減することを目的に無塗装で表面保護の塗膜だけで処理する場合もある。日本航空では機体外板の詳細検査と共に5年に1度、再塗装が行われている。

旅客機のデザインも機体の技術同様、工業デザインのトレンドや塗装の技術などの進歩に合わせて変化を辿って来た。当初は機体に社名を書いただけという簡素なものであったが、機体が大型化するにつれて会社のロゴを描いたり、ラインを入れたりするようになった[26]

1960年代になると、工業デザイナーのレイモンド・ローウィによるユナイテッド航空などの機体デザインによって現在へ続く機体デザインの流れがスタートし[26]1965年ブラニフ航空による"The End of the Plain Plane"キャンペーンのように、機体のデザインそのものをアピールポイントにする航空会社も現われた。また、ランドーアソシエイツのような大手のデザイン事務所が航空会社のブランド戦略の一環としてデザインを手がけるようになって来ている[26]

プロペラ時代の末期からジェット化初期の1960年 - 70年代まで大半の航空会社は塗装が白地で、窓の部分にライン(チートライン)を入れるという塗装を採用していた。機体先端のノーズは格納したレーダーの電波の透過を良くするための誘電性塗料が塗られていたが、当時の誘電性塗料は黒しかなかったため、ノーズ部分は黒に塗られていた[26]

しかし、1980年代に入るとレーダーの技術的進化によってノーズ部分の黒い塗装が不要になり[26]、デザインが多様化していった。この時代から多く見られるようになったのは、白地に大きな社名ロゴ(「ビルボードスタイル」[26] と呼ばれる)を導入したものであり、まずUTAが採用し、後にパンアメリカン航空が採用したことから世界的に流行した[27]

1990年代以降は塗料やデカール技術などの進化により、写真をそのままデザイン化した塗装やエア・カナダなどのようにパール系の塗装などが増えるようになってきた[26]。また、特別塗装機やかつてのデザインの復刻塗装、広告塗装など、様々なデザインが生まれている。一方では、アメリカン航空(旧塗装)のようにポリッシュド・スキンと呼ばれる金属の地色そのままのデザインを採用した航空会社もある。

脚注


注釈

  1. ^ 「りょきゃくき」という読み方は辞書にない。大辞林 : りょかくき、大辞泉 : りょかっき
  2. ^ : combination
  3. ^ : convertible
  4. ^ 日本の航空法の耐空類別では「航空輸送業務の用に適する飛行機」としての「輸送 T」に分類される。
  5. ^ およそ300km超。これを下回る距離の路線は存在しない。ただし、離島など、陸路で到達できない箇所であれば、300km未満の短距離でも運航されている。日本一短い定期航空路線は北大東空港南大東空港を結び、直線距離にして13kmである。
  6. ^ 複葉機は翼厚比数%の薄翼であったが、当時の風洞実験では風速も遅く、またレイノルズ数も良く理解されておらず、模型大と実機大の差が流体の挙動でどれほど異なるかは知られていなかったので、風洞実験で最良の結果が得られた翼断面形状が選ばれた。薄翼では内部の構造部材だけで翼の強度を保とうとすると当時の技術では重くなりすぎるため、複数の翼面を上下に並べて支柱や張線で互いを結ぶことで全体をトラス構造とした。薄翼による性能の低下だけでなく支柱や張線、さらには固定された脚部による空気抵抗の増大が飛行速度の向上を阻害していた。
  7. ^ 第一次世界大戦後のドイツ、ユンカースの機体は全金属製で低翼であった。
  8. ^ ドイツのユンカース社は、トラス構造を波板外板で覆った全金属製の機体に低翼で厚みのある片持翼を備えた単葉機を生産し世界中に輸出した。全金属製の機体と低翼配置は整備製に優れていたが、脚はまだ固定式のむき出しであり、外板の波板は表面積を増して抵抗を増やし、速度は他と同様の150km/h程度だった。当時の、羽布と木で出来た機体は風雨から木や布を守り、特に接合部の接着剤が水にさらされないように留意が求められ、複葉機では多数の張線の調整も手間だったので、辺境地では整備保守の簡便なユンカース機が歓迎された。1つの機種だけで数百機も量産され世界中に輸出された機体は、米国日本ソ連でもその技術を模倣したり、導入したりした機体を産んだ。
  9. ^ 飛行船は、既に戦前においてツェッペリン飛行船が35,000人もの乗客を無事故で運んだ実績があった。
  10. ^ エンジンの変化で見れば、第二次世界大戦期の水冷列型エンジンをそのまま使っていたので、約50時間ごとにエンジンをオーバーホールする必要があったが、新たな空冷星型エンジンでは約300時間ごとのオーバーホールとなった。
  11. ^ 米国国内の航空旅客輸送初期にはフォッカー社とフォード社が旅客機を生産していたが、フォッカー1931年に雷雲と乱気流の中で空中分解する事故が起き、木製の機体の脆弱性が露見した後は米国市場から撤退した。フォード社も全金属製機体の大量生産を目論んでいた矢先に1929年からの大不況で経済的な大打撃を受けて、1932年に航空機産業から撤退した。
  12. ^ 1933年にボーイング社のボーイング247と1934年、1936年のダグラス社のDC-2は全金属製セミモノコック構造と引込脚による流線型のボディ、可変ピッチ・プロペラ過給器付エンジンなどによって、エンジンの馬力が変わらないのに巡航速度が300km/h近くに向上し、フォード機の運航費と比べて10席の247では4/5程に、14席のDC-2では2/3程になった。1936年のダグラス社のDC-3では21席になり、フォード機/フォッカー機の運航費に比べて1/2程になった。
  13. ^ 1940年以前の機体構造は、フォード機/フォッカー機のように枠組構造とも呼ばれるトラス・ビーム構造か、モノコック構造であったが、金属を外板に使うモノコック構造では重すぎたためにモノコックはほとんどが木製だった。1920年代の欧州のユンカース社は金属製の波板を使ったモノコック構造の機体で成功したが、空気抵抗が大きいかったためにセミモノコック構造の登場で消えていった。20世紀の後半半世紀は全金属性の機体が大半となったが、21世紀現在では逆に心材はフォーム材やハニカム材を使い、表面には複合材料をサンドイッチ状に使用するモノコック構造が小型機で増えている。
  14. ^ 1930年代の欧州では、ドイツのユンカース社、ドルニエ社、ロールバッハ社のようなメーカーが第一次世界大戦から続く航空産業を形成して、フランスや英国と共に欧州域内で新型機を登場させていた。それでも米国ほど革新的に性能向上した機体は現れず、例えば1931年に英国のインペリアル航空では、東洋の植民地までの長距離航空路にハンドレページHP42という160km/hの比較的低速の4発で固定脚の巨大な複葉機を新たに就航させた。
  15. ^ 2010年現在も世界最大の航空機は1947年に初飛行したスプルース・グースが翼長97.6mで世界最大である。
  16. ^ そもそも当時はまだ大型機用の格納式の降着装置は開発されておらず、たとえ製作されても重く複雑でコストのかかるものとなった。飛行船や豪華客船を利用していた裕福な旅客を乗せるには、艇体によって幅広の機内になるのは都合が良かった。
  17. ^ 滑走路の長さによる制約を受けて、航空路や機体、航続距離と搭載貨物量が決定されるのは21世紀現在でも同様である。
  18. ^ 本機の日本初の民間航空便の開拓物語は、『南海の花束』という映画にもなった。
  19. ^ プロペラ式エンジンでは高速飛行しようとしてレシプロエンジンなどの馬力を増やしても、機体の飛行速度が音速のかなり手前で回転するプロペラ翼の先端付近から音速を越えるため、駆動力の多くが衝撃波の発生に奪われて効率が低下してしまう。
  20. ^ 米空軍の新輸送機開発開発プロジェクトとは「プロジェクト・フォーキャスト」であった。先進複合材料開発や再利用可能宇宙機、超大型輸送機に加えて高バイパス比ターボジェットエンジンも含まれていた。このエンジンはGE社のTF39となりロッキード社のC-5Aに搭載された。新輸送機の開発契約を勝ち取れなかったボーイング社がB-747を作り、同じく敗れたP&W社がJT9Dを作った。
  21. ^ 1995年就航のB-777は、ETOPSに向けた型式設計承認を受けた機体である。
  22. ^ 近代的なジェット旅客機は高空を高速で飛行する力強さのイメージから、プロペラ機より多くの燃料を消費しているように見えるが、初期のジェット旅客機を除けば1930年代から1960年代のプロペラ旅客機よりも1人当りの燃料消費は少なくなっている。
  23. ^ 米国内では連邦航空保安官が密かに搭乗するようになっているとされ、各国もスカイマーシャル制度を始めている。操縦室のドアも強化されていると言われている。
  24. ^ 米国の連邦航空保安官は連邦航空保安局に属している。
  25. ^ 乗務員と乗客の重量は、手荷物を含めて1人当たり170ポンドが標準的な目安とされるが、航空会社や客室クラスで変わることもある。
  26. ^ ジェット旅客機の燃料はジェット燃料である。燃料は胴体と主翼の燃料タンクに搭載されるが、尾翼にも燃料タンクが設けられている機種や、床下貨物室内に増槽を設けることができる機種がある。尾翼燃料タンクの目的はタンク容量増大のほかに、燃料を随時ポンプで機体前後に移動させて機体の重量バランスを取り、舵面操作によらずに迎え角を調整するトリム調整という目的がある。燃料の重量は種類や温度によっても比重が異なるため、計算時に考慮される。
  27. ^ ボーイング 777-200では、運航自重は139トン、最大ペイロードは51トン、燃料は約80トン搭載でき総合計は270トンとなる。しかしこの機体は総重量が229t以上では離陸をしてはいけないと決められている。この限界値を「最大離陸重量」と呼ぶ。270 - 229 = 41トン分は飛行する路線によってペイロードと燃料の重量を調整して飛行する。短距離の路線では最大離陸重量以下で飛行する場合も多い。また、空港の着陸料は、最大離陸重量を元に決定されるため、短距離路線専用の機材では、意図的に本来の最大離陸重量より少ない重量で登録することも多い。最大着陸重量は、主として降着装置の強度上の理由から性能上の最大離陸重量よりかなり少ない。従って燃料満載時の緊急着陸では燃料投棄(ダンピング)あるいは上空旋回等での燃料消費が必要となる。
  28. ^ 客席を等級によって分類する方法は、客船での船室の等級分けをそのまま真似たものであり、旅客輸送が本格的に始まった1950年代から導入された。
  29. ^ 1970年代にパンアメリカン航空が団体割引を使わず正規料金でエコノニークラスに搭乗する旅客向けに、それまでのファーストクラスとエコノミークラスという2クラス制に加えて、新たにエコノミークラスの上位にクリッパークラスというものを設けた。これが現在のビジネスクラスになっており、チケットの表記などの"C"は"Clipper"に由来する。シンガポール航空ではA380でビジネスクラスの上位ではあるが、従来のファーストクラス以上のサービスを提供するとして「スイートクラス」という名前で呼ばれる、個室状態になる席を設けている。
  30. ^ 客室でのクラス分けでは、使用される座席もクラスごとに違いがあり、上級ほど座面や肘掛に余裕があり、座席同士の前後左右の間隔も広く、ファーストクラスでは60-80インチ (152-203cm) ほどで水平にリクライニングする他にも衝立によって半個室状態にできるものがあり、ビジネスクラスでは40-60インチ (102-152cm) ほどでシートが深くリクライニングし、水平までリクライニングするものもある、エコノミークラスでは31-34インチ (79-86cm) ほどでリクライニングの程度が小さくなっている。
  31. ^ 日本の国内線ではエコノミークラス主体で、大手三社は路線によっては少し広めの特別席を持つ上級クラスを加えた2クラス構成か3クラス構成としている。上記のボーイング777-200の場合国際線3クラスでは305 - 328席だが、最大詰め込めばモノクラス440席の設定が可能。2007年現在国内航空会社が運航する該当機(国内線用機材)の座席数は、全日空では2クラスで415席、日本航空では3クラスで375席または2クラスで397席か380席である。航空機には非常時の脱出時間の規制があるため座席スペースに余裕があっても出入り口や非常口に余裕がないとむやみな増席はできない。
  32. ^ 機体の隅々まで完全な状態でないと飛行を許さないとなれば、航空会社にとっては大きな経済的負担となり、旅客へも航空運賃の上昇や突然の欠航という形で不利益が出る。安全に影響しない範囲での小さな不具合は飛行後に修理することを許容するというルールが、ATA(: air transport association)の「運用許容基準」(: minimum equipment listMEL)によって装置ごとに細かく規定されており、このリストを元に整備士とも相談して機長が飛行の可否の最終判断を下す。
  33. ^ 損傷許容性を得るフェイルセーフ構造では「多荷重経路構造」という荷重を支える構造を複数備えることで、1つが破断しても検査等による発見によって修理されるまで残りの構造で支えるものと、「クラック停滞構造」という大きなクラックの成長をある程度までで抑えて急拡大させないものがある。
  34. ^ 21世紀になってからはコストを考慮して、1機種に1つか2つのエンジンしか対応しない傾向がある。
  35. ^ 比較的近距離を高頻度で運航する路線は「シャトル・サービス」や「エア・シャトル」「シャトル・フライト」と呼ばれる。
  36. ^ 「ハブ・アンド・スポーク」型の路線ネットワーク方式とは、各地方においては単一の拠点空港とその周囲にある複数の地方空港との間を放射線状の地方路線で結び、地方間を結ぶ広域路線としてそれぞれの拠点空港同士を結ぶ方式のことを指す。地方空港を利用する旅客は拠点空港で何度も旅客機の乗り換えが必要となるが、仮に多数の小さな地方空港同士を細かく接続しようとしても相互に行き交う乗客数が見込めなければ発着の頻度は少なくせざるを得ず、航空会社にとっても利用者にとっても不利や不便な点が多くなるのに比べれば、拠点空港に集約するハブ・アンド・スポーク型の路線方式は双方にとってメリットが大きくなる。ハブ空港では、到着便から出発便への乗り換えのための時間設定への配慮がなされ、航空会社の機体整備基地としての機能も備えている。ハブ空港が何らかの理由で閉鎖されると代替空港により運航されるが、一般にはハブ・アンド・スポーク方式より困難が増す。本方式での車輪との幾何学的類似性から、拠点空港は車輪の中心を意味する「ハブ」 (Hub) と呼ばれ、周辺の地方空港は「スポーク」 (spoke) と呼ばれる。ハブ・アンド・スポーク方式のハブ空港に類似したものとして、ゲートウェイ空港がある。ゲートウェイ空港は入国管理機能を持たせたハブ空港とも考えられ、国際線と国内線との仲立ちとなるため、一般的にハブ空港が内陸に位置するのに対してゲートウェイ空港は国境近くに位置する。比較的長距離となる国際路線の旅客を受け入れて周囲の国内路線へ振り分けたり、その逆に周囲の国内路線から国際路線へ送り出す働きをする。太平洋や大西洋のような長距離国際線の両端にあって周囲の国々へ向けた比較的短距離の国際線へ振る分けるものもゲートウェイ空港と呼ばれる。
  37. ^ : Lycoming Engines
  38. ^ 2002年に社名をテキストロン・ライカミングからライカミング・エンジンズに変更した。
  39. ^ 日本では、操縦士には「定期運送用操縦士」の資格とそれぞれの機種ごとの限定免許が求められ、他国もおおむね同様である。
  40. ^ 乗客の手荷物は、コンテナの他にも貨物室内でコンテナ搭載に適さない形状部にバラ積みされることもある。コンテナを使う場合には、1コの約30人分を納めて重量計算を済ませておき、貨物室には最後に搭載するのが普通である。機体が目的地に到着後に貨物室から最初に取り出されるのも乗客の手荷物である。チェックインを済ませて手荷物を預けたまま搭乗ゲートに現れない乗客がいる場合には、呼び出しなどでしばらく出発を遅らせた後、最終的には現れない乗客の手荷物を貨物から捜して取り出す。これは現れない乗客の利便だけでなく、爆弾などを警戒しての措置である。
  41. ^ 航空管制用の無線はAM波が使用されている。FM波の方が音声が明瞭に伝わるのでスムーズな会話が期待できるが、FM波では弱い信号波は強い信号波に隠されて聞こえなくなる特性があり、緊急事態などで遠方からの通信を試みても認識されない可能性が高まる。AM波は一般に受信信号中にノイズが多くなるが、信号波の大小がそのまま受信再生音の大小となるので遠方などで信号波が弱くとも小さな音で受信が可能である。また、航空管制ではグリニッジ標準時を使用するのでローカル時間とは異なることが多い。
  42. ^ 航空管制などほとんどの無線交信は英語で行われ、日本の国内便でも英語である。
  43. ^ プッシュバックはごく一部のスポットを除いてほとんど全てで行われる。ターミナルビルに着けない「沖止めスポット」であっても、やはりプッシュバックによって誘導路まで後ろ向きに押し出される。これは前進方向にも誘導路を作るとそれだけ場所をとるためである。
  44. ^ 日本の茨城県航空自衛隊と共用化された茨城空港のように、経費節減のためにプッシュバックを行わず、ターミナルビルの前に横向きに駐機して自力で直線的に移動する方式を採る空港もある。
  45. ^ エンジンが複雑だった過去には、乗客が搭乗している間にエンジンの始動を始めた。客船と同じく旅客機でも左側(ポートサイド)が搭乗口であるため、客から最も離れた側の右端(スターボードサイド)のエンジンから始動した。今でもその流儀が残っていて、右端の4番エンジンから始動している。
  46. ^ 航空機は飛行中に燃料を消費するために時間と共に軽くなる。軽くなった機体は、経済的な燃料消費率となる最適な速度と高度が変化する。このためFMSを搭載した旅客機では飛行速度を少しずつ遅くして最適な(正確には最適値より1%だけ航続率が劣る)燃料消費となるようにエンジン出力を調整している。また、近距離では定高度巡航方式によって航空路管制に従って同じ高度を飛行するが、高空を長距離飛行する場合には、ステップアップ巡航方式と呼ばれる、最適な高度にできるだけ近い高度になるように、航空路管制に従い1,000フィートごとに区切られた航空路別に高度差を持った航空路内を段階的に上昇しながら巡航する。
  47. ^ 目的の滑走路で先に離着陸機する機があれば、空中で待たされることがある。これが「ホールディング」 (holding) であり、指定された空域をホールディング・パターンを描いて旋回飛行することになる。
  48. ^ 進入管制を担当する係官の手順は空港によっても異なるが、日本の大きな空港では「アプローチ」「フィーダー」「ファイナル」と3段階の担当官に引き継がれて誘導される。
  49. ^ 短波や超短波帯で空港周辺の気象情報を放送している「ボルメット」 (VOLMET; VOice Language METeorological report) と略称される音声気象放送があり、この対象になっている空港ではこれによっても気象情報が得られる。
  50. ^ 空港側ILS施設の精度や機上ILS装置、操縦士の資格といった条件が揃えばILSのみによる自動操縦を使用した着陸も行える。この自動操縦着陸でも、操縦士は常に飛行が正しく行われているかを監視して、異常があれば直ちに操縦を引き継ぐことになる。
  51. ^ 着陸時の機体の操縦は、条件が整えば機械的な誘導に制御を預けたまま滑走路への着陸も可能になっている。
  52. ^ 飛行場内で航空機を駐機させる場所全体を「エプロン」と呼び、エプロン内の駐機地点を「バース」と呼ぶ。指定されたバースが「スポット」であり、スポットは「ベイ」や「スタンド」と呼ばれることがある。
  53. ^ 機内食のコストは1食当たりエコノミーで1,200-1,300円、ビジネスで3,000-3,800円、ファーストで5,000-5,800円ほどという情報がある。
  54. ^ 成功した航空機ファミリーに、ボーイング737ボーイング747DC-9がある。
  55. ^ 例えばエアバスや旧マクドネル・ダグラスでは、ボーイングや、旧ダグラスであれば枝番の変更で済ます程度の変更でも新機種としての名称を与えているケースもある。また、エアバスA320の短胴型がエアバスA319とさらに短縮したエアバスA318、長胴型がエアバスA321といったものもある。ダグラス、マクダネル・ダグラス、ボーイングと社名が変わりながら製造が続いたDC-9シリーズでは、ダグラス時代はDC-9-XXの名称で多くの派生型が作られ、マクダネル・ダグラスでは、MD-8X/9Xの名でさらに派生型が作られ、最終型はボーイング7X7の空き番号であるボーイング717とされた例がある。

出典

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