体勢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 09:41 UTC 版)
「ライオン (紋章学)」の記事における「体勢」の解説
体勢を表す用語は、その紋章動物が何であるかを表した後に続けて呼ばれる。 名称解説例rampantランパント フランス語では、同義・同綴で「ランパン」という。左後肢(左の後ろ脚、sinister rear-leg)で立ち上がり、右後肢(右の後ろ脚、dexter rear-leg)を前に出している。両の前肢 (forelegs) は揃えず、それぞれ前方と上方に突き出している。なお、紋章学においては、擬人化されて人の腕や手になっていても、あくまで動物の脚は leg、鉤爪のある足は paw と表現される。この体勢には多くの派生形があり、上に示したのはあくまで基本形である。前肢がこのような形になっているのは、前肢のままか(■、右図2)あるいは擬人化された手でシールドを支え持ったり、塊状の物や棒状の物を握る(右図3)ことが多いのと関係がある。一つの例として、右図3のフィンランドの国章に採用されている「グスタフ1世の紋章に由来のライオン像」を挙げる。このライオンは、右前肢 (dexter fore-leg) が防具を装着した人の腕に換わって剣を振りかざし、地面に落ちている敵の刀を両足で踏み付けにしている。また、ランパントの足の配置は、シールドなどのサポーターとして描かれる際には、体を中央へ寄せる様子を表すのに役立っている。■Commons Category: Lions rampant in heraldry statantステータント "to stand" を意味するラテン語 stare(スターレ)を語源とする。四肢で立つ。移動する様子は見せず、その場に凛々しく立っている。イギリスの国章がそうであるように、ライオンに限らず、クレストに配置される紋章獣にはこの体勢のものが多い。ほかにも、山の頂上や都市国家の正門の上などといった周囲を見渡せるような高い所に立っているものが多いのが、この体勢の特徴。■Commons Category: Lions statant in heraldry passantパッサント 同義・同綴のアングロ=ノルマン語もしくは中世フランス語を語源とする。歩いており、右前肢を上げている。上げた右前肢で物を持っていることもある。右図3のようにガーダント(正面顔)であることも多い。右図3の下の1頭は描画スペースが限られているせいで形が崩れているが、これでもパッサントである。右図1は A lion passant Or(ア・ライオン・パッサント・オーア)、右図2は Three lions passant gulus(スリー・ライオンズ・パッサント・ギュールズ)、右図3は Two lions passant guardant Or(トゥー・ライオンズ・パッサント・ガーダント・オーア) という。■Commons Category: Lions passant in heraldryなお、イギリスの紋章学でいうところの "lion passant" をフランスの紋章学では "lion léopardé(リオン・レオパルデ)" という。さらに、"lion passant guardant"(正面顔のライオン・パッサント)など、ランパント以外の正面顔のライオンは全て "léopard(レオパール)" という。右図で言えば、1と2 は lion léopardé、3は léopard である。イギリスでいう "lion rampant guardant"(正面顔のライオン・ランパント)は "léopard lionné(レオパール・リオーネ)" という。 courantクーラント フランス語では courant(クーラン)といい、"running" の意。四つ脚で走っている。両の前肢を前方に、両の後肢を後方に伸ばしている。 salientセイリャント ラテン語に由来しており、原義を英訳すれば jump。つまり、跳躍する様子を写した図案である。両の後肢で地面を押しており、両の前肢は揃えて上方に突き出している。したがって、この姿勢の直後にはライオンの体は大きく跳ねてその場からいなくなっている。右図は後肢に力を蓄えている段階を表しているように見えるが、後肢を伸ばしきる寸前の様子を描いているものもある。■Commons Category: Lions salient in heraldry sejantシージャント ネコ科動物がよくやる、揃えた前肢をまっすぐに伸ばして体を起こしつつ腰を下ろして座る姿勢を執っている。右図2は、右前肢でラバルムを支え持ち、ガーダント(正面顔)であるが、シージャントの変化形であり、ライオン像の部分の紋章記述は A lion sejant guardant Or と表現される。■Commons Category: Lions sejant in heraldry sejant erectシージャント エレクト / シージャントエレクト シージャントの姿勢のまま、前肢だけを動かしている。前肢はランパントと同じ形を作っている。 affrontéアフロンテ 体が正面を向いている。シージャントを正面から見た状態が基本形になっている。右に示したスコットランドにおけるイギリスの国章でクレストに配置されている赤いライオンは最も有名な例かも知れない。 couchantクーシャント 語源は、同義の中世フランス語 couchant(クーシャン)から同義の古フランス語 couchant まで遡れる。寝そべっているが、頭は起こしている。あるいは、少なくとも眠ってはいない。使用例は比較的少ない。■Commons Category: Lions couchant in heraldry dormantドーマント "I sleep" を意味するラテン語 dormio(ドルミオー)を語源とする。寝そべって、眠っている。使用例は少ない。■Commons Category: Lions dormant in heraldry sustainingサステイニング 足もしくは鉤爪を大きな物に掛けている。大きな物とは、例えば塔。 名称解説例counterカウンター 体が右を向いている。体勢を表す語の一部として用いる。右図は、フランス南西部にあるシャラント県の都市シャトーヌフ=シュル=シャラント(英語版)の市章であるが、この場合、銀のライオンがカウンターランパントの体勢を執っているため、英語およびその日本語音写では lion counter-rampant argent(ライオン・カウンターランパント・アージェント) となる。右列に画像で示した「エチオピア帝国の国旗」の場合は、特殊色「テニ- (tenny)」のライオンがカウンターパッサントの体勢を執っているため、lion counter-passant tenny(ライオン・カウンターパッサント・テニー) ということになる。■Commons Category: Lions counter-rampant in heraldry
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「体勢」の例文・使い方・用例・文例
- 初めから果敢に前へ出て圧倒し、体勢を崩した相手を押し出した。
- 彼らはどんな体勢でとっても地肩が強いからいい返球ができる。
- 警棒で空をなぐりつけ、よろめいて体勢をたてなおしたガードマンは、自分に向かって突進してくる金網づくりのクズカゴを見た。
- これより着陸体勢に入ります 《旅客機内のアナウンス》.
- 場所の変化を伴わない体勢の変化
- 横たわっている体勢であると考えられる
- 国内中の基地で戦闘機を戦闘体勢に保つ
- 相手に負けそうになりながら,まだ体勢を立て直す見込みがある状態
- 相撲で,急に体をかわして相手の体勢を崩す
- 相撲において,差し身という体勢
- 相撲で,体勢がくずれ,立ち直る見込みのない状態
- 相撲における吊り身という体勢
- 相撲で,両者が同じ体勢で倒れたり,土俵外に出たりすること
- 左手を相手の右手の下にして組み合った体勢
- 相撲で,向こう付けという体勢
- 波乗りの体勢を解くこと
- レスリングで,グラウンドポジションという体勢
- レスリングにおいて,パーテルポジションという,両手両膝をついた相手を背後から攻める体勢
- それが不安定な体勢から立ち直るのに役立っている。
- 2回目の滑走の序盤に体勢を崩したが,攻めの滑りをし,再び1位になった。
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