燃料系統
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 15:07 UTC 版)
ジェットエンジンの燃料系統の構成は、エンジンの製造会社(メーカー)、エンジンの大小やエンジンの種類によって異なるが、ここでは、アメリカで製造された中・大型エンジンで使用されている燃料系統の構成を説明する。 燃料は燃料タンク内部に設けられたブースタポンプで加圧された後に非常閉止弁を介して燃料系統に供給されており、燃料系統は基本的に主燃料ポンプ、燃料フィルター、燃料コントロール装置、PアンドDバルブ、燃料マニホールド、燃料ノズルで構成されており、燃料の流れとしては、主燃料ポンプ→燃料フィルター→燃料コントロール装置→PアンドDバルブ→燃料マニホールド→燃料ノズルとなっている。そのほかに、主燃料ポンプと燃料フィルターの間には、燃料の氷結防止のための燃料ヒーターが設けられており、燃料コントロール装置とPアンドDバルブの間には、エンジンの燃料を利用してエンジンの潤滑油の冷却を行う燃料・滑油冷却器と燃料流量を計測してそれを操縦室のエンジン計器盤に送信する燃料流量トランスミッタが設けられている。 燃料コントロール装置(Fuel control unit)は出力レバーの動きや位置に応じて、エンジンに供給される燃料流量を制御する装置であり、出力レバーを急激に上げて加速または下げて減速すると、燃料流量は直ちに増加または減少するが、圧縮機ローターの慣性力により、加速時では、燃料と空気の混合気が濃くなり過ぎて、過濃火炎消失、タービン入口温度の上昇、圧縮機ローターのストールが起こりやすく、減速時では、燃料と空気の混合気が薄くなり過ぎて、過薄火炎消失が起こりやすくなるほか、加減速時に必要以上に燃料流量の増加や減少を抑制するとエンジンの加減速応答性が鈍くなる。そのため、燃料コントロール装置はそれらの起こる領域を避けながら燃料流量の調整を受け持つ機能を有しており、出力レバーの位置が一旦にセットされると、出力レバー位置・エンジン回転数・圧縮機入口温度・大気圧力・圧縮機出口圧力などの基本的入力信号を基に、大気の温度変化に関係なく、自動的に燃料流量を調整して、その位置でのタービン入口温度または回転数を一定に保つ機能も有している。
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