燃料生産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/19 19:05 UTC 版)
核融合炉の燃料として有力視されているのが重水素と三重水素である。重水素は自然水中に含まれる水素の内の0.015%から抽出することでも生産が可能であるが、三重水素は自然界には検出限界程度の割合でしか存在せず抽出は不可能である。これらの事情から何らかの方法で三重水素を作らなければならない。 リチウム6を中性子にさらすとヘリウム4と三重水素の原子核が得られるので、ブランケット内に天然リチウム(リチウム6の天然存在比は約7.6%)を置き、ヘリウム4と三重水素のガスを発生させる。これを取り出して核融合炉の燃料として使用することが考えられている。最初の核融合ではおそらく核分裂炉で三重水素を生産しなければならないが、いちど核融合での運転が軌道に乗れば重水素とリチウムの供給だけで、三重水素の供給は必要がなくなる。また、1つの中性子をリチウムに当てて核分裂させると中性子が2つ出てくるので、中性子が倍増できるためこのことも効率をよくする。さらに中性子を発生させてエネルギー生産効率を高めるために、それに適した元素による中性子増倍材も検討されている。 三重水素原子は他の小さな原子同様に多くの物質中に浸透・透過してゆくため、この放射性物質が三重水素ガス回収系の途中や冷却水循環系に浸透した後で逃げ出したりしないように、設計時に考慮する必要がある。また重水素、三重水素、ヘリウムの各原子・分子は周辺部材に浸透することで水素脆化やヘリウム脆化を引き起こすのでこれらのガスに長期間曝される力学的負荷の高い部材は高分子化合物等の被覆処理などの対応が必要となる。
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