【核分裂炉】(かくぶんれつろ)
核分裂を安定的に行うための設備。
制御棒や減速材を用いて、核分裂を臨界ぎりぎりに収めながらエネルギーを発生させる。
原子力発電では燃料の90%以上が比較的安定したウラン238で占められるが、潜水艦等では90%以上の高濃縮ウランを用いるのが一般的。
主な利点と欠点
現在のシェア
世界的なシェアにおいてはアメリカがトップ、次いでフランス、日本と続く。
特にフランスは国内シェアと併せて原子力発電推進国としてよく話題に上る。
国内発電量の割合ではリトアニアやフランスが80%近くと突出して高く、他には旧東側諸国が比較的高い。
中進国や無資源国家では産業が発展していくとともに積極的に採用される傾向にある。
いわゆるならず者国家も強く保有を望む傾向にあるが、これはおそらく電力を賄うためではなく、大国に対抗しうる戦略兵器の開発・生産のためという側面が強いと見られる。
日本では発電の30%超を占め、主に昼夜問わず消費される基幹電力を賄っている。
どの国でも上記のような原子炉特有の問題や核兵器に関する偏見から問題視される事が多いが、発電コストや環境負荷の関係上、有力な代替システムはそうそう存在しないのが現状である。
核分裂炉の分類
核分裂炉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/13 05:22 UTC 版)
核分裂炉(かくぶんれつろ)は、原子炉の一種で、核分裂反応の連鎖反応を制御し一定量の核分裂を継続的に行うことにより熱エネルギーを得るシステムである。
基本原理
核燃料に使われるウラン235などの物質は中性子を吸収することで核分裂反応を起こし、その際に熱エネルギーと新たな複数の中性子を放出する。
燃料物質の量が多く、そこを飛び交う中性子の数が多いほど核分裂反応の起こる確率は高くなるため、一定量を超えると核分裂が複数の核分裂を引きおこし、指数的に核分裂が増えていく連鎖反応がおこる。
そこで、中性子を吸収する制御棒を使い、中性子を減らして核分裂の増加を制御することで、一定量の核分裂を継続的に行うことが可能になる。
この継続的な核分裂によって生まれた熱エネルギーを、水を気化させてタービンを回すなどの方法で利用する。
構成要素
炉心
炉心を構成する基本要素は以下の通り。
- 核燃料
- 核分裂を起こしてエネルギーを発生する。
- 冷却材
- 原子炉で発生した熱量を運搬する。
- 減速材
- 反射材
- 原子炉外へ飛び出そうとする中性子を反射させて炉内へ戻す。
- 制御棒
- 中性子を吸収する素材でできていて核燃料の連鎖反応を制御する。
- 原子炉圧力容器
- 炉心を格納する圧力容器。圧力管型原子炉には無い。
付属装置
- 冷却材循環ポンプ
- 冷却材の循環を行う。
- 冷却材再循環ポンプ
- 冷却材を原子炉内で循環させる。沸騰水型原子炉のみに設置される。
- 蒸気発生器
- 冷却材の熱量で蒸気を発生させる熱交換器。沸騰水型原子炉以外の炉形に設置される。
- 燃料交換・保管設備
- 燃料プール、燃料交換機など。
保安装置
原子炉の保安装置には以下のものがある。
種類
軽水炉
軽水炉には以下の炉型がある。
- 改良型沸騰水型軽水炉(ABWR : Advanced BWR)MOX燃料実装可能
- 沸騰水型原子炉(BWR : Boiling Water Reactor)
- 改良型加圧水型軽水炉(APWR : Advanced PWR)
- 加圧水型原子炉(PWR : Pressure Water Reactor)
- ロシア型加圧水型原子炉(VVER)
- 韓国標準型原子炉(KSNP)
重水炉
重水炉には以下の炉型がある。
黒鉛炉
黒鉛炉には以下の炉型がある。
- ガス冷却炉(マグノックス炉)(GCR)黒鉛減速二酸化炭素冷却炉
- 改良型ガス冷却炉(AGR : Advanced Gas-cooled Rractor)
- 高温ガス冷却炉(HTGR)
- 黒鉛減速沸騰水冷却型原子炉(RBMK)
- 黒鉛減速加圧軽水冷却型原子炉
開発中の原子炉
関連項目
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核分裂炉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 14:25 UTC 版)
「テイラー・ウィルソン」の記事における「核分裂炉」の解説
2013年2月27日に開催されたTED 2013で、ウィルソンは廃棄された核兵器から取り出したウランやプルトニウムを燃料として使用する、自己完結型の小型地下核分裂炉を建設することの利点についてのアイデアを発表した。また、約50MWの電力を供給し、30年に一度の燃料補給で済む小型溶融塩原子炉を設計した。ウィルソンによれば、原子炉の大部分は地下に埋められ、使用するウランは兵器級(英語版)ではないため、テロリストの攻撃や誤用に対して脆弱ではないという。 『パワー・エンジニアリング(英語版)』誌の記事の中で、ウィルソンは次のように述べている。 「 その中心となる技術は、1960年代にオークリッジ国立研究所で発明された溶融塩型原子炉である。私が開発した原子炉の設計は、このオリジナルのコンセプトにヒントを得て、先ほど触れた必要な機能のいくつかを提供している。さらに、受動的な非常用冷却装置、非常にコンパクトな炉心と原子炉サブシステム、少数の可動部品、最小限のオンライン処理、最新の材料と製造技術を提供することで、私が市場に投入しようとしている設計のイメージをつかむことができる。密閉されたモジュールの設計寿命は30年で、フッ化物塩の過酷な環境下でも、極端に難しい材料の問題はない。設計の規模は、コア技術が得意とする2-100 MWeである。しかし、街中での分散型発電を必要とする電力会社の顧客には、50 MWeが標準的な設計となっている。 」 —Taylor Wilson, August 15, 2013
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