ナトリウムれいきゃく‐こうそくろ〔‐カウソクロ〕【ナトリウム冷却高速炉】
ナトリウム冷却高速炉
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ナトリウム冷却高速炉(なとりうむれいきゃくこうそくろ、英語:Sodium-cooled Fast Reactor、略称:SFR)とは冷却材として液体金属ナトリウムを使う減速材のない高速炉である。
原子力開発の初期から存在する炉型であり、世界初の原子力発電に成功したEBR-I(冷却材はナトリウムカリウム合金)も含まれる。高速増殖炉と言われる原子炉の殆どがこの炉型である。第4世代原子炉の炉型の一つに選ばれている。[1]
液体金属ナトリウムを使う利点は、中性子をあまり吸収しないため中性子経済が良く、燃料増殖が可能であること、沸点が高いため水炉のように炉を高圧に耐えるようにする必要が無いこと、配管の腐食性が低いこと、熱伝導性がよいため除熱能力が高いこと、水とほぼ密度が等しいため水ポンプ技術がそのまま使え、大型化が可能であることが挙げられる。[2]
欠点は、酸素や水との反応性が高いこと、ボイド反応率が正、不透明であるため燃料交換時等のメンテナンス性に難があることが挙げられる。[2]
直接核燃料に照射されるナトリウムは、放射化し、また一次系への影響を避けるために二次系ナトリウムと熱交換を行い、二次系ナトリウムが蒸気発生器で熱交換を行う。主な炉構造に炉心と中間熱交換器、ポンプを配管で接続したループ型炉と、それらを一つの大きな容器に入れたタンク型炉がある。 いずれも、ガードベッセルを持ち、破損時の炉心冷却喪失を防止する。[3]
ナトリウム冷却高速炉の一覧
日本
旧ソ連・ロシア
アメリカ
- PRISM (原子炉)
- VTR(多目的試験炉)
- S1G・S2G - 潜水艦用原子炉の原型炉(S1G)と実用炉(S2G)。ただしこれらの炉はベリリウムを減速材として用いる中速炉であった。また、ナトリウムの漏洩による発火事故を起こしたことから早期に見限られ、実用炉の搭載艦は、加圧水型炉に換装された。
フランス
インド
- FBTR
- PFBR
中国
出典
外部リンク
ナトリウム冷却高速炉(Sodium-cooled fast reactor、SFR)
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「第4世代原子炉」の記事における「ナトリウム冷却高速炉(Sodium-cooled fast reactor、SFR)」の解説
詳細は「ナトリウム冷却高速炉」を参照 ナトリウム冷却高速炉は液体金属高速増殖炉と一体型高速炉(IFR)の二つの近い関係の原子炉建設の設計案である。 目標は増殖したプルトニウムによってウラン使用の効率を増加させ、超ウラン同位体が発電所から離れる必要性を除去することである。この原子炉設計では高速中性子で駆動される無減速の炉心が用いられ、超ウラン同位体を消滅、或いは燃料とする事が可能であるように設計されている。加えて廃棄サイクルから長半減期の超ウラン元素を取り除くことに利用でき、また炉心がオーバーヒートした際に炉の燃料は膨張し、連鎖反応は自動的に減速する。この特徴から受動的安全を得ているとされる。一体型高速炉は燃料サイクルに特徴付けられる原子炉のために設計されている。この炉の原型炉は建設されているが、しかしながら、同様の炉を他所にも建設する前に計画中止になっている。 ナトリウム冷却高速炉の案では液体のナトリウムによって炉が冷やされウランとプルトニウムの金属合金が供給燃料となる。燃料は液体ナトリウムの満ちた炉の中にある鉄鋼被覆管の中に存在し、これらの集まりが燃料集合体を作っている。設計の課題はナトリウム運用の危険性で、ナトリウムは水に触れると爆発反応を起こす特徴を持つ。しかしながら、多くの原子炉で冷却液である水の代わりに、気体になる温度が高い液体金属ナトリウムを利用することで冷却液の循環システムを大気圧下で稼動させることを許しており、冷却液漏れのリスクを減少させてはいる。
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