焦電核融合とは? わかりやすく解説

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焦電核融合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/06 04:57 UTC 版)

焦電核融合(しょうでんかくゆうごう、Pyroelectric fusion)とは、焦電性結晶が生成する高強度の静電場を利用した核融合反応のこと。焦電性結晶の静電場により、重水素(またはトリチウム)イオンを加速し、重水素(またはトリチウム)を含む金属水素化物に衝突させて核融合反応を発生させる。

静電場を用いて軽イオンを加速する過程と重水素イオンを重水素化したターゲットに衝突させ固体内で核融合を起こす過程はジョン・コッククロフトアーネスト・ウォルトンによって1932年に初めて行なわれた。現在ではこの装置の小型版が中性子発生管として石油探査の産業に応用されている。

焦電性を核融合に利用する焦電核融合のアイデアは、焦電効果が加速電場を作り出すことを応用している。数分間の間に-30度から+45度まで結晶を加熱することで強い加速電場を作り出している。

2005年4月に、Brian Naranjoを中心とするUCLAのチームは、焦電効果によるエネルギーが核融合を引き起こすことを研究室の卓上装置で実験的に証明した。この装置はタンタル酸リチウムの焦電性結晶を用いて、重水素原子をイオン化し、固定された重水素化エルビウム(ErD2)ターゲットに向けて加速している。毎秒およそ1,000回の核融合が起こり、それぞれ820 keVのヘリウム-3と2.45 MeVの中性子が生成した。彼らはこの装置の中性子源としての、または宇宙における推進のためのマイクロスラスタとしての応用を予想している。

Dr. Danonと彼の大学院生であるJeffrey Geutherが率いるRensselaer Polytechnic Instituteのチームは、この結果を確認し、2つの焦電性結晶を用いることで装置を改良し、低温を用いない動作を可能にした。

この現象はバブル核融合(en:bubble fusion)が観測されたと言う主張とは関係ない。実際に、Brian Naranjoはそれらの主張の主要な批判者の一人である。

出典

  • Jeffrey A. Geuther, Yaron Danon, “Pyroelectric Electron Acceleration: Improvements and Future Applications”, ANS Winter Meeting Washington, D.C, November 14 – 18, 2004.

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焦電核融合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/08 09:55 UTC 版)

タンタル酸リチウム」の記事における「焦電核融合」の解説

ネイチャー2005年4月号論文によると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) の Brian Naranjo, Jim Gimzewski, Seth Putterman は、重水素原子核ビーム発生加速させるのに十分な電荷発生するようなタンタル酸リチウム結晶大きな温度差与え重水素化したターゲットにそのビーム当てた結果として極限的な温度圧力に依らずに重水素試料核融合実現してヘリウム-3中性子の弱い放射発生させた。 核融合起こすために必要なエネルギーの方が核融合から得られるエネルギーより大きいため、この結果発電目的には実用的ではない。しかし、小さな中性子生成装置、特に重水素ではなく三重水素用いるようなものにおいては有用な技術であると考えられている。静電相互作用によるイオンプラズマの閉じ込め原理とする "fusor" などの慣性静電閉じ込め方式 (IEC) による核融合実験成果比べると、この方法は小さ標的である非イオン化重水素原子加熱ではなく電場により加速する点が特徴である。また、他のピエゾ素子や非ピエゾスパーク発生素子でも同様な結果得られるかどうかという研究課題提起されている。 詳細は「焦電核融合」を参照

※この「焦電核融合」の解説は、「タンタル酸リチウム」の解説の一部です。
「焦電核融合」を含む「タンタル酸リチウム」の記事については、「タンタル酸リチウム」の概要を参照ください。

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