旧東側諸国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/12 08:21 UTC 版)
ソ連海軍も、第二次世界大戦の教訓から対空兵器の開発に注力し、種々のSAMを開発していた。1955年からは、防空軍のS-75(SA-2)地対空ミサイルを艦載化したM-2をスヴェルドロフ級巡洋艦に搭載する計画がスタート、また1957年より設計が開始された81型原子力防空艦では、長射程のM-3および短射程のM-1という2種類の艦対空ミサイルの搭載が予定されていた。しかし原子力防空艦とともにM-3の計画は中止され、M-2も「ジェルジンスキー」に搭載されて1957年より試験に入ったものの、艦載運用するにはシステム規模が過大であると評価されて、装備化されなかった。短射程のM-1のみは順調に開発が進み、1962年に就役した。 一方、1959年からは、1126型原子力防空艦用として、長射程のM-31(2K11地対空ミサイルの艦載版)および中射程のM-11の開発が着手されたものの、1961年の1126型の計画中止に伴って、これらの開発も中止された。その後、M-11の開発のみが再開され、1967年竣工の1123型対潜巡洋艦(モスクワ級)で装備化された。このように、長射程の艦対空ミサイルが装備化されなかったのは、ソ連海軍が大規模な編成の艦隊を紛争に投入することを考えておらず、艦対空ミサイルは基本的に個艦防空用として捉えられていたことに由来すると推測されている。 その後、1960年代中期よりクヴァント多目的対空ミサイルの開発が開始されており、のちにS-300F フォールトに発展して、大型対潜艦「アゾフ(ロシア語版)」(1134BF型)での試験を経て、ソ連海軍初の長射程SAMとして1984年に就役した。また同時期に艦隊配備されたM-22も、基本的には個艦防空レベルのシステムではあるが、ある程度の多目標処理が可能であり、艦隊防空能力もあると考えられている。 中国人民解放軍海軍では、ロシアからM-22搭載の杭州級駆逐艦を導入して防空ミサイルの運用能力を獲得した。その後、052B型ではM-22の発展型にあたるシュチーリ-1、そして052C型ではS-300Fと同系列の国産ミサイルであるHHQ-9Aを搭載した。051C型ではS-300Fの発展型にあたるリフ-Mとなったが、052D型では再び国産のHHQ-9Bとなった。 M-1(SA-N-1「ゴア」) ソビエト連邦海軍 / ロシア海軍61型大型対潜艦(カシン型駆逐艦) 58型ミサイル巡洋艦(キンダ型巡洋艦) 1134型ミサイル巡洋艦(クレスタI型巡洋艦) 56A/K型駆逐艦(ブラーヴイ級駆逐艦) 57A型大型対潜艦(カニン型駆逐艦) ポーランド海軍「ワルシャワ」(56-AE型) 「ワルシャワ」(61-MP型) インド海軍ラージプート級駆逐艦(61-ME型) M-11(SA-N-3「ゴブレット」) ソビエト連邦海軍1134A型大型対潜艦(クレスタII型巡洋艦) 1134B型大型対潜艦(カーラ型巡洋艦) 1123型対潜巡洋艦(モスクワ級ヘリコプター巡洋艦) 1143型重航空巡洋艦(キエフ級航空母艦) M-22(SA-N-7「ガドフライ」) ソビエト連邦海軍/ ロシア海軍956型艦隊水雷艇(ソヴレメンヌイ級駆逐艦) 11356M型フリゲート(アドミラル・グリゴロヴィチ級) 中国人民解放軍海軍956E/EM型艦隊水雷艇(杭州級) 052B型駆逐艦(旅洋I型) ※シュチーリ 054A型フリゲート(江凱II型) ※HQ-16 インド海軍 - いずれもシュチーリ15型駆逐艦(デリー級) 11356型フリゲート(タルワー級) 17型フリゲート(シヴァリク級) S-300F(SA-N-6「グランブル」) ソビエト連邦海軍 / ロシア海軍1134BF型大型対潜艦(カーラ型)「アゾフ」(5V55RM型ミサイル) 1144型重原子力ミサイル巡洋艦(キーロフ級)(1・2番艦は5V55RM型ミサイル、3番艦は48N6E型ミサイル、4番艦は48N6E2型ミサイル) 1164型ミサイル巡洋艦(スラヴァ級)(5V55RM型ミサイル) 中国人民解放軍海軍051C型駆逐艦(※リフ-M) 3K96 ロシア海軍アドミラル・ゴルシコフ級フリゲート 20381/20385型コルベット HHQ-9 中国人民解放軍海軍052C型駆逐艦(蘭州級) 052D型駆逐艦(昆明級)
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