強度部材
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/12 20:56 UTC 版)
旅客機は一般的に約20年間、3-6万回ほどの飛行が経済的で安全な範囲で行えるように作られており、これを実現するためには余裕をみて6-12万回の飛行に耐える強度が求められる。基本的に強度部材は軽量なアルミニウム合金で作られているが、21世紀現在では金属に比べて軽量で強度も高い炭素繊維強化プラスチック (CFRP) が、主な胴体や主翼の構造を除けば採用が始まっており、1982年に動翼から採用が順次始まり、1985年には垂直尾翼、2006年には尾部胴体部分まで採用が広がっている。リージョナルジェット機では主翼の端側に使われるものがある。強度部材には、引張強さ、圧縮強さ、剪断強さ、曲げ強さ、ねじれ強さなどの静的強さの他にも、クリープ強度や繰り返しに対する疲れ強さも備えている必要がある。金属材料の中でもアルミニウムを中心とする軽量合金は軽くて強度も比較的高いので強度部材として多用されるが、金属材料は腐食の問題やひび割れなどでの十分な強度が保てなくなることもある。このため、たとえ万が一、一部の強度が不足してもそれが急速に全体に波及しないように応力の分散化が図られており、そういった不良箇所は定期的な検査によって発見され修理されることで安全性が保たれるようになっている。GFRP、BFRP、CFRP、AFRPといった繊維強化樹脂も部分的な導入が進んでいる。旅客機の強度部材で最も考慮されるのは軽量であっても充分な強度を備えることであり、過去の教訓から強度部材の一部がたとえ破壊され強度を失っても、その破壊が進行することで大きな破壊につながらないように、フェイルセーフ構造を備えた設計がなされることである。
※この「強度部材」の解説は、「旅客機の構造」の解説の一部です。
「強度部材」を含む「旅客機の構造」の記事については、「旅客機の構造」の概要を参照ください。
- 強度部材のページへのリンク