腐食の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/16 01:10 UTC 版)
ウランもプルトニウムも非常に腐食されやすい。 UGM-27 ポラリスに搭載された W47 核弾頭 は定期点検で核物質に腐食が見つかって交換が必要になることがあった。後の W58 核弾頭 でも同じような腐食の問題が起きた。 W45 核弾頭はその形状から腐食を起こしやすかった。また、グリーングラスのピットも腐食しやすかった。ピットの放射性によって周囲の物質が腐食することもあった。プルトニウムは湿度に敏感で、湿った空気中では腐食の進行は200倍も早まる。特に水素による腐食は破壊的で、水素の存在により腐食速度は13桁(10兆倍)も加速される。水素は空気中の湿度や周囲の有機物(プラスチックなど)の放射線分解によって生じるため、これらの要素はプルトニウムの保管において大きな問題となった。酸化によって体積が膨張することで格納容器が破裂したり、ピットが変形する恐れもあった。 事故あるいは設計上の都合によってピットが重水素や三重水素に晒されると、水素化腐食が起こってピットの表面に自然発火性の水素化プルトニウムの層ができる。これは空気中の酸素によって加速される.。また、重水素と三重水素は多くの材料に水素脆化を引き起こす。 保管条件が適切でないと腐食が起きやすい。パンテックス保管所で使われていた AL-R8 コンテナは腐食を防ぐどころか自己腐食性があった。ピット自身の崩壊熱(ピットが 150 ℃にも達することがあった)も懸念材料で、多数のピットを保管する施設では積極的に冷却する必要があった。湿度管理も問題となった。 ベリリウム外殻は清掃に使う溶剤によって腐食することがある。研究の結果、 トリクロロエチレン (TCE) はベリリウムを腐食させ、トリクロロエタン (TCA) は腐食させないことが分かった。ベリリウム外殻を持つピットの腐食は、パンテックス保管施設での保管期間が延びるにつれ大きな懸案となっていった。
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