強度・機械的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 23:42 UTC 版)
「オーステナイト系ステンレス鋼#機械的性質」、「フェライト系ステンレス鋼#機械的性質」、「マルテンサイト系ステンレス鋼#機械的性質」、「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼#機械的性質」、および「析出硬化系ステンレス鋼#機械的性質」も参照 ステンレス鋼の機械的性質も、その組織の状態と組成によって様々に変わる。多くの種類のステンレス鋼が存在するように、ステンレス鋼の機械的性質も幅広い。一般に、鉄鋼材料の強度・硬度を高める原理には、次の5つがある。 固溶強化 添加された元素の原子が材料中に固溶されることにより、母材格子にゆがみが起こり、転位の運動が妨害されて強度が高まる機構。 加工硬化 転位強化ともいい、塑性加工によって組織中の転位を意図的に増大させ、転位同士がその運動を妨害することで強度が高まる機構 析出硬化 分散強化ともいい、合金炭化物や金属間化合物の第2相が微細に分散して母相中に析出することで、転位の運動の障害となって強度が高まる機構。 粒界強化 細粒化強化ともいい、多結晶体中の結晶粒サイズを小さくすることで強度が高まる機構。降伏応力を上昇させ、延性-脆性遷移温度を低くする。 マルテンサイト変態による強化 基礎的な強化機構というより、上の4つが重ね合わさった強化機構である。マルテンサイト変態が起きることで、上記4つの強化機構を同時に実現し、高強度化される。特に炭素を過飽和に含有することによる固溶強化が大きい。 いずれの強化機構も、塑性変形の基となる転位の運動を妨げることで材質を高強度化させる。ステンレス鋼の強度も、これらの強化機構を基礎とする。一方、材質を高強度化すると、一般的に延性・靭性が低下する。延性・靭性が低下すると、材料が破壊されるときに脆性破壊となる。機械・構造物の安全使用の観点からは、強度が高いことだけでなく、靭性が大きいことも望ましい。
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